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本会議 一般質問 二〇〇五年九月二八日

村松 みえ子(日野市選出)

小中学校のアスベスト対策、雨漏りやひどく老朽した施設の緊急整備など教育環境の整備を
シルバーパス・・・三千円、五千円パス導入、多摩都市モノレールへの適用を

国連憲章を否定し、侮辱する答弁の撤回を

 質問に先立ち、石原知事に一言申し述べます。
 昨日、知事は「国連憲章なんて、まともに信じているバカいませんよ」と国連憲章を否定し、侮辱する答弁をしました。国際連合は、第二次世界大戦の痛切な反省にたって設立されたもので、その目的の第一条に「国際平和及び安全を維持する」ことを高らかに掲げ、各国の内政には干渉しない、国際的な武力の行使は国連の決定によるなどの諸条件を定めています。この旗の下に世界の国々がつどい、世界平和のために力を合わせているのです。知事の発言は、おおくの戦争犠牲者をだした首都東京の代表として、許されるものではありません。きびしく抗議するとともに、都民に謝罪し、発言を撤回するよう強く求めるものです。

学校でのアスベスト健康被害の調査・研究、健康診断、発症した場合の対策を

 安全で快適な学校づくりについて、伺います。
 現在、多摩地域の小・中学校には、三十万人近い児童・生徒が通学しています。その日本の未来をになう子どもたちが、安全で快適な学校生活をおくれるよう教育環境を整備することは、行政が何をおいてもすすめなければならない大切な仕事となっています。
 日本共産党は、この間、学校施設の調査をすすめてきましたが、そこで明らかになったことは、校舎の老朽化や耐震対策のおくれ、さらには、アスベストなど、子どもたちの健康被害やひとつ間違えれば大災害に結びつきかねないような状態におかれている学校がすくなくないということです。
 まずアスベスト対策についてですが、アスベストは、吸引から三、四十年もたって、発症し、短期間で死亡にいたる中皮腫やじん肺などをひきおこすものです。そのような危険なものが、成長期の子どもたちが生活する学校で、今日まで使用されつづけてきたことに、学校関係者は驚きと怒りの声をあげています。
 学校のアスベストは、一九八七年に全国一斉調査をおこない、除去対策を実施しました。吹きつけアスベストが対象外とされるなど不十分、不徹底なもので、おおくの学校にアスベストが残されました。また、かつては白墨のなかにも含有されていたと言われています。さらに今回は、予想もしていなかった給食のお釜などの調理用具からアスベストが発見されています。
 しかし、アスベストを一つも見逃すことなく見つけ出すためには、空気中のアスベスト浮遊量を検査することも必要です。また、日野市の学校での給食用のお釜は、製造メーカーからの通知で発見されたものです。もれなく掌握するためには、アスベストを製造、販売、使用した業者、すなわち川上からの追跡調査することが必要と考えます。
 また、市長会は、緊急要望として公共施設のアスベスト除去に関わる経費について「必要な財政措置を講じること」を要望しています。学校のアスベストを機敏に除去するために、この要望に応えて、都が支援することが必要と考えますが、それぞれ答弁を求めます。
 学校でのアスベスト吸引による健康被害も心配されます。過去の在校生や職員などもふくめ、学校でのアスベスト吸引とそれに起因する健康被害の発症の関係について、調査・研究するとともに、健康診断や発症した場合の対策を講じることも求められていると思いますが、どうでしょうか。

雨漏りやひどく老朽化した小中学校の改修に都の支援を

 多摩地域には、一九六〇年代からの人口急増期に建設された学校がおおくあり、大規模改修や建て替え時期をむかえています。
 この問題について、日本共産党はあらためて調査をおこない、私自身、日野市や八王子市、小金井市などの学校を訪問し、この目で現場を見てきましたが、その結果は、驚くものでした。
 ある学校では、プレハブ校舎が未だに使われていて、隙間から青空がのぞけるとか、雨漏りがひどくてバケツをいくつも並べて雨水を受けているという学校もありました。ある市では、十四校の小・中学校のうち、雨漏りしない学校がわずかに四校だということです。生徒から「雨が降ると雨漏りで黒板が使えなくなるので黒板にひさしをつけてほしい」と訴えられたところもあります。また、非常階段が腐食していて使用できない学校も複数あり、過去には、老朽化がひどくて天井のモルタルが畳一畳分くらいもはがれ落ちた学校もあったということです。幸い生徒はいなかったためにけが人は出なかったということですが、子どもたちが学ぶ学校がこんな有様でよいのかというのが、私の率直な感想です。
 そこで、これら緊急の対応に迫られている学校については、大規模改修や建て替え待ちにするのではなく、「緊急整備期間」を設定して、集中的に改修、改善をすすめることなど、都として支援することが必要と考えます。見解を伺います。
 改修や建て替えなどの必要にせまられながら、市町村が必要な対策にふみだせない原因として、きびしい市町村の財政状況を指摘しなければなりません。実際に、多摩地域の市町村の税収の規模は二三区の三分の二の水準で、財政力の差が、そのまま学校施設の改修に反映しているといっても過言ではありません。
 耐震対策も同様です。耐震改修では、二十三区が約七割済んでいるのに、多摩地域は五割を超えた水準にとどまり、これも多摩格差の一つとなっています。
 一昨年の宮城県北部地震での河南町北村小学校の被害は、耐震補強の必要をあらためてうきぼりにしましたが、学校の耐震補強の支援については、静岡県、宮城県につづき、福井県が今年度から県単独の補助に乗りだしました。東京の場合は、震度七規模の直下型地震が予想されており、対策は待ったなしです。
 この際、東京都として、あらためて区市町村と連携して学校の老朽度や耐震性の実態を調査するとともに、財政支援について、多摩地域の市町村と率直に協議をおこなうことをもとめるものですが、答弁を伺います。
 知事、あらためて伺いますが、先ほど紹介したように、多摩地域の子どもたちが、雨漏りやひどく老朽化した施設で勉強しているという現実をどう受けとめられますか。私は一日も早く、改善してあげたい思いますが、答弁を求めます。

木造個人住宅の耐震診断と耐震補強に対する補助制度の創設を

 先の第二回定例会において、個人木造住宅の耐震助成を求める決議が全会派一致で採択されました。これは、昨年末、中央防災会議が発表した直下型地震の被害想定で、三十三万棟の住宅の倒壊が予想されていることなどをふまえたもので、都はこれに早急に応える必要があります。
 都として、木造個人住宅の耐震診断と耐震補強に対する補助制度を創設することを提案するものですが、知事の決断をもとめるものです。見解を伺います。

シルバーパス・・所得に応じた三千円パスや五千円パスの導入を

 次にシルバーパスの問題です。
 シルバーパスは、高齢者の社会参加の促進と、福祉の向上をを目的としており、介護予防の効果も注目されています。ところが、年金課税強化にともない、現在千円パスを利用している人のうち一割以上の七万七千人が、来年九月には二万五百十円にはねあがります。シルバーパスが、ますます利用しにくくなる深刻な問題であり、負担増をまねかない対策が必要です。
 第一回定例会で福祉保健局長は、この問題で、税制改定にともなう高齢者への影響を認め、「慎重に対処してまいります」と答弁されました。どう対応するのか、検討の内容を明らかにしていただきたいと思います。
 高齢者に負担増がおしよせているもとで、所得に応じた三千円パスや五千円パスを導入することは重要になっています。都は、現行制度で「多く高齢者がパスを利用している」と言いますが、五年前の全面有料化にともない、住民税課税者のシルバーパス利用は、十七万人から十一万人に大きく減っているのです。負担が重くて利用をあきらめていることは明らかです。
 都は、「千円と二万五百十円の二種類だけでは差がありすぎる」「段階的な負担額にしてほしい」という多くの高齢者の切実な要望を、どう受け止めているのですか。お答え下さい。

多摩都市モノレールへのシルバーパス適用を

 多摩都市モノレールへのシルバーパス適用も、沿線住民の切なる願いです。
 モノレールが運行されてから、バス路線が大幅に縮小・廃止されています。たとえば多摩動物公園から高幡不動まで三十七往復していたバス路線が、平日は廃止、土曜もわずか三往復に減らされました。モノレールは往復で四百円かかります。
 同じケースの横浜市では、第三セクターの株式会社が運行する新交通・金沢シーサイドラインが開業したとき、それまで走っていたバス路線が廃止されたため、敬老パス条例を改定し、代替え手段として金沢シーサイドラインもパスを利用できるようにしています。千葉市、名古屋市、神戸市、広島市でも、第三セクターの新交通に敬老パスが使えます。
 多摩都市モノレールへのシルバーパス適用を提案したわが党の文書質問にたいする都の答弁は、「パスの利用対象交通機関は、東京都シルバーパス条例により都営交通と路線バスとなって」いるから適用できない、というものでした。それなら条例を変えればよいではありませんか。なぜそれができないのですか。
 多摩都市モノレールは、東京都が五割以上を出資している公共交通です。横浜市などの政令市と同じように、シルバーパスを使えるようにするのは当然のことだと考えますが、見解を伺います。

【答弁部分】

〇知事(石原慎太郎君)
 村松みえ子議員の一般質問にお答えいたします。
 お答えの前に、国連憲章に関するご注意でございますが、国連憲章に何がうたわれていようと、あの内部が腐敗し切った国連の実態、それから、戦後六十年たってもなお戦勝国条項なるものがまかり通っているいびつな仕組み、運営とその実態、あるいはチェチェン、コソボなどの危機的状況の中での国連の無能ぶりを直視されたら、そろそろ国連信仰というのはお捨てになったらいいんじゃないでしょうか。
 学校施設の改善についてでありますが、各区市町村は、学校の設置者として施設等教育環境の整備に取り組んでおります。すべての学校が、お話のように劣悪な環境にあるものとは考えておりません。
 子どもたちの安全確保を第一として、その維持管理に取り組んでいくことは、設置者の責任であります。
 なお、その他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。

〇教育長(中村正彦君)
 五点のご質問にお答えいたします。
 まず、アスベスト使用状況の調査についてでございますけれども、現在、文部科学省では、全国の学校施設及び用具類のアスベスト利用状況について調査を実施しております。
 都教育委員会といたしましても、これらの全国調査に対応いたしまして、現在、都立学校及び公立小中学校について鋭意調査を進めているところでございます。
 都立学校においてアスベストの使用が判明した場合には、必要に応じまして空気中のアスベスト濃度を測定し、飛散の有無を確認するとともに、必要な工事を行います。
 給食調理機器につきましては、製造業者に問い合わせた結果、一部にアスベストが含まれていることが判明した回転がまにつきましては、直ちに使用を中止し、早急に交換を行うとともに、区市町村への情報提供を行うなど、既に適切な対応を進めているところであります。
 次に、学校のアスベスト除去に対する都の支援についてでありますが、アスベスト対策につきましては、その緊急性と、児童生徒に対する安全対策を徹底させることが必要であることから、各区市町村が学校施設の実態に応じて主体的な取り組みを進めているところであります。
 都教育委員会といたしましては、関連各局と連携を図りながら、都の取り組み状況や関連情報を提供し、担当者を対象としました研修会の実施など、区市町村への支援を行っております。
 次に、過去の在校生や職員なども含めた健康被害の発症について調査研究することについてでございますが、現在、アスベストの使用状況調査を進め、実態の把握に努めているところでございます。健康被害への影響につきましては、国がリスク評価に基づく健診対象やアスベスト暴露者に対する健康管理の方法に関して検討を始めたと聞いております。都教育委員会といたしましては、その動向を踏まえながら、関連各局と相談の上、適切に対応してまいります。
 次に、集中的な改修への都の支援についてでございますが、区市町村では、学校施設の老朽化の状況に応じまして、国の補助制度を活用して、計画的に施設の改築、改修を進めているところであります。
 都教育委員会といたしましても、国に対して、公立小中学校の改築、改修が促進できる財源を十分確保するよう引き続き要望してまいります。
 最後に、区市町村への財政支援等についてでございますが、公立小中学校の施設を良好な状態に保ち、児童生徒の身体、生命の安全を確保していくことは、設置者であります区市町村の責務であります。お話のような調査は、設置者が主体的に行うべきものと考えております。
 都教育委員会としては、区市町村が学校施設の耐震化等を適切に推進するよう、耐震化に関する講習会を実施するなど、必要な指導、助言を行ってまいります。

〇都市整備局長(梶山修君)
 木造住宅の耐震化についてのお尋ねですが、都といたしましては、これまで簡易な自己診断方法の周知など、都民への普及啓発に努めてまいりました。今後は、耐震化を促進するため、安価で簡易な住宅の耐震工法等について、都民に広く情報提供していく予定でございます。
 また、避難の安全を確保するなど、公共性の高い地域につきましては、助成制度も含め、都民負担の軽減策を検討しております。
 今後とも、自助、共助、公助の原則を踏まえ、住宅の耐震化に取り組んでまいります。

〇福祉保健局長(平井健一君)
 シルバーパスについて三つのご質問にお答えいたします。
 まず、税制改正に伴うシルバーパスの対応についてでございますが、本事業は、市町村民税非課税の方には千円、それ以外の方には二万五百十円の利用者負担を求める制度となっております。市町村民税は、前年の所得をもとにしておりまして、シルバーパスの利用者負担への影響が生じますのは平成十八年になることから、税制改正の趣旨なども踏まえまして、今後、慎重に対処してまいります。
 次に、所得段階に応じたパスについてでございますが、本制度は、若年世代との間に負担の不公平があるなどの課題があったことから、平成十二年度に見直しを行ったものでございます。現在、多くの高齢者がパスの発行を受け、社会参加と生きがいの活動に活用されており、パス本来の目的に十分沿っているものと考えております。
 最後に、多摩都市モノレールへのシルバーパスの適用についてでございますが、シルバーパスは高齢者の社会参加活動を促進するために行っているもので、利用を希望する方に社団法人東京バス協会がパスを発行し、都が補助を行っている事業でございます。東京都シルバーパス条例により、パスの利用交通機関は都営交通と路線バスとなっておりまして、新たな対象の拡大は考えておりません。

以上