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2005年第3回定例会文書質問趣意書

清水ひで子(八王子市選出)

食育について

 現在様々な観点から食育の重要性が指摘されています。子供の食生活の乱れ、朝食をとらない子、栄養バランスの偏った食事、不規則な食事の増加、肥満、過度の痩身傾向など健康上の問題を抱える子供たちも増えていると伝えられています。大人になり生活習慣病につながるおそれも言われています。食を通じて地域の産物や文化を理解するとりくみなども求められています。また、都がおこなった「学力の向上をはかるための調査」では朝食を食べている子どもの方が学力があると言う結果になっています。

 2004年1月の中央教育審議会答申「食に関する指導体制の整備について」では、「望ましい食習慣の形成は今や国民的課題となっている、・・・成長期にある児童生徒にとって、健全な食習慣は健康な心身を育むために欠かせないものであり、極めて重要、・・・・H13年の国民栄養調査によれば20歳代男子の朝食欠食の割合は20.4%、肥満児傾向児は小学校6年生では、S52年に6.7%がH14年には11.7%とほぼ倍増している。・・・栄養と脳の発達や心の健康との関係も指摘されている。・・・・外食や調理済み食品の利用の増大により、食の自己管理能力が必要となっている。食に関する自己管理能力の育成を通じて将来の生活習慣病の危険性を低下させるなど、こどもが将来にわたって健康に生活していけるようにするためには、食に関する指導を充実し、望ましい食習慣の形成を促すことが極めて重要である。」と食に関する指導の必要性を述べています。

 こうした中で、国において食育基本法が2005年に成立し6月に施行されました。この法律では、子供にとって「食」が生きる基本であること、成長と人格の形成に大きな影響を及ぼすものであることが確認されたのです。そして政府をあげて、食育にとりくむこととされており、地方公共団体も国と連携し、取り組んでいかなければならないとされています。

Q 今定例会で知事は「食育の推進計画を策定する」との答弁がされましたが、いつまでに東京都食育推進計画を作るのか伺います。

Q 都の食育推進計画は、学校、幼稚園の教職員、保育園の園長、職員、親、農業生産者など都民参加でつくることが重要だと思うがどうか。

Q、食育を総合的に推進するには庁内のさまざまな分野の連携が重要になります。全庁的な推進体制の確立、強化を求めるものだがどうか。

Q 群馬県ではすでに県の公式ホームページで食育に関する総合的情報提供をおこなっています。都のホームページにおいても食育に関する総合的な情報を都民にわかりやすくアクセスしやすい形で提供することを提案するものだがどうか。

 次に、学校における食育の推進について伺います。
 食育基本法第3章の第20条では「食育の指導にふさわしい教職員の設置・・」とあり、「指導体制の整備」が重要な問題として提起されています。
 2003年4月文部科学大臣から「子供の体力向上のための総合的な方向について」が諮問され、2004年9月に答申され、その中で「近年社会環境の変化などに伴う食に関する健康問題に対応するため、望ましい食習慣や栄養バランスのとれた食生活を形成する観点から、学校における食に関する指導の重要性を指摘し、「栄養教諭など学校栄養職員に係る新たな制度の創設を検討すべき」ことが提言されました。これに基づき、2005年4月には学校教育法が一部改正され、新しく栄養教諭免許制度が創設され、今年から開始されました。
 すでに、文部科学省より、各都道府県で認定講習を実施するよう通達がおろされ、それをうけて、各都道府県は認定講習の計画をすすめ、3年計画で全学校栄養職員から栄養教諭の切り替えのための認定講習を実施することとしました。

 栄養教諭は学校栄養職員として3年以上の経験をもつ栄養士が研修を受ければ免許を取得できる制度です。配置するかどうかは都道府県や学校設置者の判断となっています。約170の大学や短大が養成課程をもうけました。この養成課程を受講している栄養職員もいますが、時間の関係や費用の面で、受けられない栄養職員もいます。

 栄養教諭の仕事は学校給食の機能や役割に加えて、それを丸ごと生きた材料として活用できるような、食に関する指導と、学校給食の管理を一体のものとしてその職務とすることです。生活習慣病の予防や食物アレルギーへの対応などの観点から児童生徒の食生活に関し、その専門性を生かしたきめ細かな指導・助言を行うということです。そしてきめ細かな個別対応ができる専門性を生かして食に関する指導をすすめることです。

 栄養教諭は栄養に関する専門的な教員として、全体を見渡し、食育の指導計画をたて、関係する教職員をつなぐ役目を果たす役目があります。
 栄養職員はこれまで、給食の時間に教室をまわってメニューを紹介し、その日の材料の特徴や、体にどんな効果があるのかなど解説し、時には授業を補助してきましたが、栄養教諭として授業を受け持つならば、個々のこどもの肥満やアレルギーなどの問題にきめ細かく対応する役割もできます。保護者と連絡をとり、関係を深めることもできるのです。
地域社会や関係機関が主催する食に関する行事への参画などにおいて栄養教諭の専門性を発揮し、積極的に取り組んでいくことも期待されます。

 ある学校の児童が栄養教諭の食育の授業をうけた後に書いた感想文をよませてもらいました。「やさいを食べないといらいらしたりすることがわかった。畑には野菜をおいしく食べられるためにいろいろ知恵をだしていた。あしたからは全部やたべるようにしたい」「野菜を食べないと病気やべんぴになりやすい。」「栄養のふくんでいる野菜をごはんにいれる」「野菜を食べないといろいろなことになるのでこれからもいっぱい野菜を食べようと思いました。」食の授業を行った結果、子供たちの食や健康に対する意識が確かに変化していることがわかります。

 すでに全国では福岡県10人、高知県5人が配置され、成果をあげています。さらに北海道、大阪府、茨城県、千葉県などで配置が予定されています。
 初年度の今春に配置された福井県の栄養教諭の声が新聞に紹介されていました。「これまでも給食の時間に教室を回ってメニューを解説してきた。時には授業を補助することもあった。4月以降は栄養士としての仕事もこなしながら月に数回授業も持つ。教諭になって児童や他の教諭との関係が変化してきた。子供の顔がわかるようになった。子供たちも教室や廊下で先生と声をかけてくれる。蚊帳の外だった先生方の会議や授業研究会にも招かれるようになりました。」と導入の成果をかたっています。

 食育の推進は都政の大きな課題であり、その中核となる栄養教諭の配置は不可欠です。しかし、ことし都が実施した認定講習は、対象を栄養職員の中ですでに教諭免許を持っているものだけに限定したものでした。今後の計画もうちだされていません。これでは栄養職員のごく一部しかうけられないことになります。

Q 都としても、すべての学校栄養職員を対象に免許状認定講習を実施するべきだと考えるがどうか。

Q 学校栄養職員が免許状認定講習を受講する際には研修扱いとする必要があると考えるがどうか。

Q 学校栄養教諭の配置について積極的に検討し、早急に配置すべきだがどうか。

Q すでに配布されている食生活学習教材を、児童生徒が自ら食生活を考え、食に関する実践力を身につけるよう継続した食に関する指導を行う為に積極的に活用し、計画的に食の教育を行うことが必要だと考えるがどうか。

Q 都教委としてこれまでの実践をふまえ、専門家の意見を聞いた「指導計画書案」など参考資料をつくり、各学校が指導しやすいよう支援すべきと考えますが、どうか。

最後に学校給食の問題です。

Q 学校給食の食材に地域の生鮮野菜等を購入する際の支援を行い、導入に積極的にとりくめるようにする必要があると思うが、どうか。
 以上、答弁を求めます。