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本会議 一般質問 二〇〇五年一二月八日

小竹 ひろ子(文京区選出)

元気を出せ商店街融資の創設、ポイントカードへの消費税をやめよ

非正規労働者の違法・無法行為の防止に都としてとりくみを

中小企業予算の充実を

 最近は、景気回復傾向が伝えられていますが、その中心は空前の利益を上げている大企業の話であって、中小零細企業の状況は大変厳しいものがあります。また、これに追い打ちをかけるように、原油高や鋼材価格の高騰が中小企業の経営を圧迫しています。
 そこで、知事に伺います。東京の経済活力を再生するためには、中小企業の活性化が不可欠の課題ですが、都の中小企業予算を見ると、減少の一途です。これでは中小企業の活力は望めません。今こそ中小企業予算を充実させるべきと考えますが、所見を伺います。

店舗のリニューアル、観光に着目した商店街事業に支援を

 中小企業支援では、ものづくり支援と同時に、商店街の支援が喫緊の課題となっています。また、新・元気出せ商店街事業、この事業は、生き残りをかけたイベントなど、大いに役立っており、喜ばれています。最近は、商店街のイベントだけでなく、地域団体も参加した町を挙げたイベントとして、親子、若い世代など、たくさんの人が集う地域住民の交流の場ともなっています。しかも、若い人たちが運営に手伝いとして参加するなど、うれしい変化も報告されています。
 その一方、さまざまな理由で制度を活用できない商店街も残されています。東京都が実施した商店街実態調査では、事業を利用できない理由として、四五%の人が自己負担分の確保の困難を挙げています。また、補助金の増額や補助率の引き上げ、使途の緩和などを強く要望しています。
 新・元気出せ商店街事業については、基金を設け、年度ごとの予算に左右されることなく、また、利用者がいつでも申請できるようにすることは喜ばれると思いますが、どうか。
 また、区によっては認められている、イベントの際の商店街関係者のアルバイト代の支給、財政力の弱い商店街に対する地元負担の軽減など、さらに使い勝手のよいものに改善することを提案するものですが、どうでしょうか。
 商店街を活性化し、大型店やチェーン店と競争していく上で、店舗のリニューアルは欠かせません。文京区では、こうした要望にこたえるために、商店街加入奨励金をつくり、一千二百万円を限度に、利率〇・二%の融資を実施したところ、二カ月で五十件の申請がありました。
 しかし、店舗改装の申し込みについては、都の信用保証協会が保証を渋る例が少なくありません。そこで、個別商店が活力を取り戻すために店舗をリニューアルする場合の資金融資の要望にこたえた、低利の、例えば元気出せ商店街融資を創設することが必要と考えますが、答弁を求めます。
 観光に着目した商店街支援に、新しいアプローチで、文京区では、七十万人が訪れるつつじ祭りを初め、梅、桜、アジサイ、菊の五大花祭り、朝顔、ほおずき市など、観光協会と商店街、町会など町ぐるみ、地域ぐるみの取り組みが年間を通して開催され、商店街の振興にも生かされています。
 これらの祭りは区の補助を受けていますが、花をきれいに咲かせるための年間の維持費など、補助金が足りず、企業や地域の協賛金を集めてしのいでいます。地域の観光協会が商店街と共同して開催する事業について、地域の観光行事として位置づけ、支援することを提案するものですが、いかがでしょうか。

街路灯の電気代・維持補修費、消費税課税、大型店出店など深刻な商店街

 今、商店街では空き店舗がふえ、組合員が減少するもとで、街路灯の電気代や維持補修に苦労しています。街路灯は商店街に役立つものであるとともに、夜道を照らし、町の防犯、安全に大きな役割を果たしています。だからこそ、多くの商店街が、地域の明かりを消すわけにいかないと頑張っているのです。
 商店街の街路灯は、商店街の照明としてだけでなく、防犯や地域の安全など、地域の明かりの役割を果たしていると思いますが、そうは思いませんか。行政が果たすべき仕事の一部を商店街が担っているわけですから、都として電気代、維持管理への補助を行ってもおかしくないと考えますが、見解を求めます。
 最近、消費税の免税点の引き下げに伴い、非営利の商店街の事業活動にまで課税されることが問題になっています。私が相談を受けたケースでは、年末年始などの商店街の売り出し事業、旅行会、さらには臨時会費、積立金などが新たな課税対象とされています。また、専任の経理担当者を置けず、簡易課税した場合に、サービス業扱いとなり、五〇%という重い税金を負担することになります。これでは振興事業はやれないとの悲鳴が上がっています。
 また、文京区商店街連合会が行っているポイントカードも、カードを加盟商店が購入する形をとっているため、新たな消費税の課税対象とされ、二〇〇〇年度分として、百五十万七千三百円を支払わされたのです。これに対して、スーパーやチェーン店など大手の企業の場合、ポイントカードの費用は経費扱いとされ、売り上げから控除され、消費税もかかりません。余りにひどいという怒りの声は当然です。加えて法人税も、延滞税を合わせ、八万一千八百六十三円課税されました。
 商店街に対する消費税の課税の実態を調査すること、商店街が共同して行うポイントカードや振興事業に消費税を課税しないこと、営利を目的としない団体を課税対象から外すよう国に求めることを提案するものです。
 アメリカの規制緩和圧力のもとで、大型店、それも超大型のショッピングセンターの出店が相次いでいます。先日、NHKテレビで全国のショッピングセンターの出店について報道していましたが、都内でも、葛飾区や多摩地域など、工場跡地など進出計画がメジロ押しです。中でも日の出町のイオンのショッピングセンターの場合には、建築面積十五万八千平方メートル、映画館が十もあるシネマコンプレックスや四千台の駐車場を持つ巨大施設です。商圏は自動車で三十分とされていますが、圏央道に隣接していることから、多摩地域にとどまらず、埼玉、山梨、神奈川など幅広い地域に深刻な影響を及ぼすことが予想されます。
 このような超大型店の出店を放置すれば、既存店の撤退による地域の生活破壊やさらなる商店街の衰退を招くことは必至です。来年に迫ったまちづくり三法の改正について、地方自治体への規制権限の移譲、商圏が複数県にまたがるショッピングセンターの規制のシステム、地域経済への影響の遮断など、実際に役立つ法律に改正するよう国に求めることを提案するものですが、見解を伺います。

労働法など基礎的な知識の普及啓発の充実・強化を

 次に、若者の雇用ですが、他の世代の二倍の失業率、派遣、パートなど非正規雇用が半分近くを占める若者たちに東京都が手を差し伸べることは急務です。しかも、見過ごせないのは、月収十万円程度の低賃金や平均十一時間を超える長時間労働、さらに一方的な解雇や雇いどめ、短期契約の雇用を反復するなど、無法状態が広がっています。その上、抗議をすれば、嫌ならやめろ、文句をいったら更新はしないなどの人権無視が若者を深く傷つけています。
 こうした異常な事態は、何よりも財界、大企業が利潤優先の立場から雇用のルールを無視し、破壊してきたこと、さらに、小泉内閣が労働法の規制緩和を進め、非正規化政策をとって財界の横暴勝手を支援してきたことにもたらされます。
 このような事態は少子化や社会保障制度にも深刻な影響を及ぼし、技術や仕事の伝承を困難にするなど、日本社会にとっても見過ごせない問題です。若者の雇用をめぐるこうした深刻な事態をどう認識しているのか、見解を伺います。
 都はこの間、労働行政を大きく後退させてきました。今求められているのは、若者が安定した仕事につき、人間らしく働くことができるよう手だてを尽くすことではありませんか。都として、こうした非正規労働に対する違法行為の防止やトラブル未然防止の労働相談の対応強化、労働者派遣法や労働基準法などの関係法令の周知徹底を図るべきと考えますが、どうか、伺います。
 すべての働く若者に労働者の権利と企業の義務について知らせることは急務です。労働基準法を初めとした労働法規についてわかりやすく解説したポケット労働法の普及など、あらゆる機会をとらえ、労働法などに関する基礎的な知識の普及啓発の充実強化を図るべきと考えます。
 また、若者の雇用と労働条件などあらゆる相談に応じられ、解決を図るワンストップ窓口を設けることが必要だと考えます。それぞれ答弁を求めます。
 非正規雇用の現場では、健康診断もまともに受けることが困難です。千代田区では二十歳から健康診断を行っていますが、働く若者の健康診断を都が率先して多摩地域の保健所で行うとともに、区市町村も取り組むよう支援を行うことを提案します。答弁を求めます。

小・中学生の医療費無料化を

 最後に、小中学生のアトピーやアレルギーの疾患がふえています。ある小学生のお母さんは、子どもがアトピーで全身をかきむしり、病院を転々として、医療費も本当に大変だと訴えています。せめて子どもが病気になったとき、心配なく治療ができるようにしてくださいという声がたくさん寄せられています。
 小学生、中学生の医療費無料化を願う都民の声をどう受けとめているのですか。実施に踏み出すことを求めて、質問を終わります。(拍手)

【答弁】

〇知事(石原慎太郎君) 小竹ひろ子議員の一般質問にお答えいたします。
 中小企業対策予算についてでありますが、東京の経済を活性化させていくためには、新たな時代に対応した産業力の強化を着実に推進していくことが不可欠であります。これまでも、厳しい財政状況の中、債券市場や新銀行の創設、新・元気を出せ商店街事業、さらには中小企業再生支援など、都独自の施策を全国に先駆けて実施してきました。
 最初の知事選で私が提唱した、アメリカのジャンクボンドのマーケットに似たCLO、CBO、これはハイリスク・ハイリターンな債券ともいわれておりますけれども、各党間の討論であれしましたときに、共産党の候補者は非常にヒステリックに反対しておりましたな。しかし、これは非常にデフォルトの確率も少なくて、結果としてこの四年間に四十二社がわずかな融資をするだけで立ち直って、上場までこぎつけました事実もございます。
 さらに、これから先も、都独自の政策を全国に先駆けて実施していくつもりです。
 加えて、来年度から産業技術研究所を全国の公設試験研究機関で初めて独立行政法人化し、技術支援機能のさらなる向上を図ってまいります。
 あなたのおっしゃった予算額の減少は、制度融資の預託金の減少によるものでありまして、制度融資目標額については逆に大幅に増加し、一兆七千五百億円となっております。単なる予算額の推移のみで評価することは正確性を欠いた評論だと思います。
 今後も、都は、先進性と独自性を持った取り組みを講じ、中小企業の振興に努めてまいります。
 他の質問については関係局長から答弁いたします。

〇産業労働局長(成田浩君) 商店街支援等、九点のご質問にお答えいたします。
 まず、新・元気を出せ商店街事業についてでございますが、この事業は、区市町村の予算措置を前提として、都が区市町村とともに商店街を支援する事業でありまして、また、成果や実績に応じて、毎年度予算措置を講ずべきものであることから、基金を設置することは考えておりません。
 また、本事業は地域に密着した事業であり、区市町村との予算の適切な分担のもとに円滑な事業を図っていくべきと考えております。
 なお、イベントの主催者である商店街関係者に対するアルバイト代などの報酬は、補助対象としておりません。
 次に、個別店舗のリニューアル等への融資制度についてでございますが、既存の都の制度融資のうち、小規模企業融資や個人事業者向け無担保無保証人融資などが利用できるなど、既に低利な優遇金利による金融支援を実施しているところでございます。
 次に、商店街が実施する観光行事支援についてでございますが、都は既に新・元気を出せ商店街事業により、商店街が地域の観光協会などと共同でイベントや祭りなどの観光行事を行う場合についても補助しているほか、観光まちづくり東京プランナー塾による人材育成やホームページによるイベント情報の発信などにより、こうした取り組みを支援しております。
 次に、商店街に対する消費税についてでございますが、消費税は、営利を目的としない団体も含め、事業者が有償で商品などの販売、資産の貸し付け、サービスの提供を行う場合に、その取引に対して課税するものでございます。そのため、こうした取引に該当すれば、事業者が納税義務を負うことになります。したがって、商店街に対する課税の実態調査や国への提案は考えておりません。
 次に、いわゆるまちづくり三法の改正についてでございます。
 現在、国の審議会において、ゾーニング手法による郊外開発の規制強化や個別市町村による規制を都道府県が広域的観点から調整する仕組みの導入、さらに、都市機能全般の中心市街地への集約化などについて議論されていると聞いております。都といたしましては、こうしたまちづくり三法の見直しの動向を引き続き注視してまいります。
 次に、若年者の雇用実態についてでございます。
 社会経済環境の変化などさまざまな要因を背景として、雇用形態の多様化が進み、多くの若年者がパート、アルバイト、派遣等で働いております。労働相談情報センターにおきましては、こうした労働者からのさまざまな相談事例もあり、常日ごろ労働環境の整備促進を図る必要があると認識しておりますので、企業等へ労働関係法令の周知を従来から実施しているところでございます。
 次に、労働相談等についてでございますが、都は、従来から、労働相談情報センターにおきまして労働相談を行うとともに、さまざまな機会をとらえ、関係法令の周知徹底を図るなど、雇用形態の多様化に対応した施策を展開しております。
 次に、労働関係法令に関する基礎的な知識の普及啓発についてでございますが、都では、各種普及啓発資料を作成し、街頭労働相談などで幅広く配布するとともに、インターネットを通じて公開するなど、さまざまな機会を通じて都民への労働関係法令の普及啓発に引き続き努めてまいります。
 最後に、若年者の雇用をめぐるあらゆる問題に応じられる相談窓口の設置についてでございますが、東京しごとセンターにおきましては、若年者を含むあらゆる年齢層を対象に、雇用就業や労働相談など、各種相談にワンストップで対応しているところでございます。

〇青少年・治安対策本部長(舟本馨君) 商店街の街路灯の維持管理に対する補助についてでありますが、商店街を初めとした地域団体が防犯に係る街路灯、すなわち防犯灯を設置するに当たり、申請があった場合には、都はその設置に係る経費の三分の一を区市町村を通じて補助することとしています。
 防犯に係る街路灯の維持管理費については、その設置者が負担すべきものと考えます。

〇福祉保健局長(平井健一君) まず、若年世代に対する健康診断についてでございますが、区市町村では、老人保健法に基づき、主として生活習慣病予防を目的として、四十歳以上の方を対象に健診を実施しており、四十歳未満については、区市町村が地域の実情に応じて独自の判断で行っているものでございます。都としては、お話しのような健康診断の実施や支援は考えておりません。
 次に、乳幼児医療費助成制度についてでございますが、本制度は、子育てを支援する福祉施策の一環として、区市町村に対し都が補助を行っているものでございます。現在、都議会での議論を初め、さまざまなご意見、ご要望があることは十分承知しております。
 また、乳幼児医療費助成制度の対象年齢の拡大については、対象年齢を義務教育就学前までとする現行の制度は適切なものと考えており、対象年齢を小中学生まで拡大することは考えておりません。

以上