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2005年第4回定例会 文書質問趣意書
たぞえ民夫(世田谷区選出)
中小企業者にたいする信用保証協会の強制的回収の是正について
政府のおこなっている『構造改革』は、中小零細企業と地域経済に深刻な打撃をあたえています。
『不良債権処理』の号令での貸し渋り、貸しはがしの横行や、「規制緩和」による大型店の野放図な出店、大企業による下請け切捨て、消費落ち込みによる経営への圧迫などのもとで、年間四千人をこえる中小零細企業の経営者が、経済苦などから自殺に追い込まれていることは痛ましい異常な事態です。
また、景気が長期にわたって低迷するもとで、多くの業者が融資の残高を返すための借りかえ融資を必要とするなど、融資をめぐる状況は大変です。この業者を支援し、経営の発展につくすことこそが求められています。
東京の業者の多くは、材料の高騰や価格競争、低単価の押し付けなどさまざまな困難が増す中で、「お客さんの喜ぶ姿を励みに地域社会に貢献したい」「自分の技術が評価されるものづくりに誇りをもちたい」と、売り上げを確保し利益を出そうと必死に経営努力を続けています。
しかし、実態は政府の「景気の踊り場脱却」宣言とはかけはなれ、相次ぐ規制緩和と、「弱肉強食」の構造改革で『売り上げ・利益の確保』の困難や、実績・信用不足から単価たたきや資金繰りの悩みをかかえて、不安定な経営に追い込まれているのです。
こうした時、都内の中小業者の金融の円滑化と、都の制度融資の発展などのために、金融機関と協調して東京信用保証協会は制度融資を実施してきました。制度融資など信用保証による融資については、その融資がこげついた場合など、代位弁済の手続きがとられ、その債権についての残債を、債務者になりかわって信用保証協会が補償する仕組みになっています。
こうして、制度融資の場合は、保証協会が補填することで、金融機関は中小企業に貸しやすい仕組みがととのい、中小企業の4割が利用しています。
同時に、保証協会は代位弁済後の債権者から残債を回収したり、債権回収がむずかしい無担保債権などについて、債権回収の専門業者である保証協会債権回収会社に委託して、債権回収をおこなっています。こうした中には、業者の返済への努力を頭ごしにふみにじるものも少なくありません。
ある中小業者は、得意先が倒産になったことから、融資の返済ができなくなり、代位弁済の手続きがおこなわれました。その後、業者は残債の返済条件について保証協会と話し合いを継続しています。ところが、保証協会は業者が返済計画を誠実に作り話し合いをおこなっているにもかかわらず、競売決定通知を送りつけました。業者は途方にくれています。
業者は、このような措置に、話し合いの継続を主張していますが、協会は、「銀行の債務を短期で返済しても保証協会の競売は撤回しない」「ぐずくずしていたら競売だ。月々の返済額を持参しても無駄だ。任意売却で楽になれ。ゼロから出発しろ」と、強引な姿勢をとっています。また、ある方の場合は、「一括返済か担保の売却だ。協会の遅延損害金は年14lだから」と、まち金を紹介され、別の方は、「自宅を売却するなら、減額の相談に応じる。不動産屋を紹介する」と迫るなど、協会の対応は借り手にたいして異常な様相です。
このように協会が一方的に「一括返済か担保の売却か」を求めたり、債務者の不動産の競売をおこなうなど、返済をめぐるトラブルが多発しているのです。
そもそも、求償権の回収については、保証協会は「債権者の実情に配慮しつつ、きめ細かな求償権管理をおこない、公平かつ厳正な回収の促進に努める」「個々の回収にあたっては、債権者の実情に即して対応し、再起と返済意欲を促進させます」と書いています。
また、保証協会回収会社の案内では、「威迫的行為等が禁じられています」としています。
Q1 しかし、実態は業者の実情を無視した乱暴なやり方が指摘されているのです。保証協会の監督や全般的な政策責任をおう東京都として事態を調査し、即刻改善させるべきではないでしょうか。
保証協会が、誠実に対応している業者について、融資残高の一括返済を強要するいわゆる貸しはがしをおこなうなど、到底認めることはできません。
Q2 都として、信用保証協会、信用保証協会債権回収会社の債権回収のトラブルにたいして、相談者の債務についての代位弁償の経過、強引な回収のあり方に関するトラブル解決、返済方法にたいする相談など、専門の相談窓口をつくるべきと考えますが、見解を伺います。
Q3 善意の業者にたいする東京都信用保証協会、債権回収会社の強制的な債権回収方法を改善するよう都として指導を徹底する必要があると考えますが、答弁を求めます。
Q4 代位弁済など、債権返済の負担が重い中小業者などを対象に、業者が営業を継続・再生することが可能な場合、債務を返済できる融資の仕組みづくりを検討すべきと思いますが、答弁を求めます。
Q5 同じく代位弁済後、債務者と保証協会の間で合意した返済計画について、長期にわたって計画を守って返済している場合には、それを評価し、これらの人々が利用できる新たな制度融資をつくることを求めますが、見解をうかがい質問を終わります。
回答
回答1
都は、信用保証協会の個別の債権回収方法について、指導する立場にはありません。
また、中小企業信用保険法第7条により、信用保証協会は債権回収に努めなければならないことが規定されています。
信用保証協会による債権回収は、法令を遵守し、適正に行われていると認識しています。
なお、都としては、御指摘のような事実は承知していません。
回答2
都は、信用保証協会の個別取引に関して、指導を行う立場にはありません。
また信用保証協会では、各支店において随時、相談を受け付けています。
都に信用保証協会に関する相談が寄せられた場合は、申出者の了解を得た上で、相談内容について協会に伝えています。
回答3
信用保証協会に対する監督は国の権限であり、都は指導を行う立場にはありません。
また、保証協会債権回収株式会社の監督は、法務大臣が行っています。
なお、担保の競売等の実行は、法令に基づき行われるものと認識しています。
回答4
都の制度融資では、営業の継続・再生が可能な中小企業については、一定の要件のもとで再建企業向融資が利用できます。
回答5
都の制度融資では、営業の継続・再生が可能な中小企業については、一定の要件のもとで再建企業向融資が利用できます。
以上