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老人の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例案の提案理由

厚生委員会 二〇〇六年三月二〇日 かち佳代子(大田区選出)

 議員提出第一号議案 老人の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例案について提案者を代表して提案理由の説明をいたします。

 本条例案は、現行条例の附則第五項の「この条例は、平成一九年六月三〇日限り、その効力を失う」との規定を削除し、当分の間、六八歳から六九歳の制度を継続するものです。
 この数年間、国と、都による増税と社会保障、福祉の切り下げ、負担増などのため、とりわけ高齢者の負担増がひろがっています。
 二〇〇〇年度からはじまった、介護保険料・利用料の負担増がさらに今年四月から、大幅に値上げされようとしています。
 二〇〇一年には、七〇歳以上の医療費が定額制から一割負担に値上げをされ、さらに、二割負担、三割負担に引き上げるなどの大幅負担増の案が国会に出されています。
 昨年十月からは、特養ホームなど介護施設利用者の食費・居住費、デイサービスの食費負担が導入されました。その上、今年度から、来年度にかけて、年金への課税を強化し、各種控除の縮小廃止など高齢者の生活が直撃されようとしています。
 このような相次ぐ増税、負担増、給付削減から都民・高齢者の健康と命を守ることが都政本来の仕事です。
 都において、六五歳から六九歳が対象であった老人医療費助成は、来年度予算ではわずか六九歳の人を残すのみとなり、六十歳代後半の方が医療にかかる受療率は大幅に減少しています。
 六十歳代の後半は、現役をしりぞき、年金生活となり、これまでとの生活環境がかわり、経済的にも、身体的にも、負担感をます年齢層でもあります。
 日ごろからの健康管理とともに、病気の早期発見早期治療こそが、病気の重症化をふせぎ、健康の保持増進をはかられるものです。しかし、医療費負担が重いゆえに、手遅れや重症化を招くことになりかねません。ひいては、医療費の増大にもつながるゆえんであります。
 だからこそ、当初の厚生労働省案では、六五歳から六九歳については、二割負担に軽減することが提案された経緯もあるわけです。
 全国都道府県における老人医療費助成事業の実施状況調査(〇五年・四月現在 加除式全国市町村医療費助成制度一覧)によると、全国の自治体で、高齢者の医療費助成をおこなっていますし、いまなお、北海道・大阪・京都・兵庫県など一九の道府県で実施を継続しています。それに加えて全国二四一の市町村が、単独事業や、道府県制度の上乗せなどのかたちで、高齢者の医療費助成を実施しているのです。その多くは六〇歳代の後半が対象で、六五〜六九歳の助成を堅持しているところもあります。
 また、老人医療費助成とは別制度で、高齢障害者や、高齢ひとり暮らし女性にたいする医療費助成などもあり、合計三四五の市町村がなんらかの形で高齢者を対象にした医療費助成を実施しております。
 以上の理由から、今後六五歳からの制度にもどすことが必要ですが、今回の条例は当面の措置として、これ以上の廃止を中止して、せめて東京都のマル福医療費助成制度の現状、六八歳・六九歳を対象として、今後も継続することを提案するものです。
 所要額は、約七三億円です。ご審議のほど、よろしくお願いいたします。

     老人の医療費の助成に関する条例の一部を改正する条例(案)

 老人の医療費の助成に関する条例(昭和四十四年東京都条例第百七号)の一部を次のように改正する。
 附則第四項を次のように改める。
4 平成十八年七月一日から当分の間、第二条第一項の規定の適用については、同項中「六十五歳以上七十歳未満の者」とあるのは、「六十八歳以上七十歳未満の者」と読み替えるものとする。
 附則第五項を削る。
 附則
 この条例は、平成十八年七月一日から施行する。

(提案理由)
 高齢者の医療費負担軽減を当分の間、継続する必要がある。

以上