予算特別委員会 予算組替え提案説明 二〇〇六年三月二八日

村松みえ子(日野市選出)

不要不急の事業の見直しと大幅税収増の活用で、都民要求実現は可能

 日本共産党を代表して、ただいま提出いたしました第1号議案、平成18年度東京都一般会計予算、第12号議案、平成18年度東京都都営住宅等事業会計予算、第20号議案、東京都中央卸売市場会計予算、第21号議案、平成18年度東京都都市再開発事業会計予算及び第27号議案、平成18年度東京都水道事業会計予算の編成替えを求める動議について、提案理由の説明を行います。

 小泉政権の雇用と所得の破壊、社会保障の連続改悪のもとで、貧困の増大と格差の拡大が急激にすすみ、都民生活がかつてないきびしい状況におかれるときに、地方自治体がはたすべき役割は、都民のくらしと営業を守るために全力をあげることです。
 しかし、石原都政は、「財政が厳しい」といって、福祉をはじめとするすぐれた都民施策に大なたを振るい、都民に「痛み」を押しつけてきました。このため、福祉保健費は4年間の決算で539億円も削減されて介護基盤施設は全国最低レベルに後退、教育の分野では、30人学級の未実施県はついに東京都だけになってしまいました。中小企業対策予算はピーク時の半分にまで後退させられ、母子保健院や商工指導所など都民生活に欠かせない都立施設がつぎつぎと廃止されてきました。
 来年度予算案でも、老人医療費助成の廃止に向けた削減、保育所・学童クラブへの都加算補助の廃止、「官から民へ」への流れにそった都立施設の廃止、商工予算の削減などがさらにすすめられ、都民の切実な要望のほとんどはかえりみられていません。
 その一方、超高層ビルと大型幹線道路中心の「都市再生」を最優先し、来年度も、大型道路や大規模再開発に重点的に予算が配分された結果、投資的経費は2年連続で増大され、逆立ち予算の構造がいっそう強められています。オリンピック招致をテコに大型開発をすすめようとしていることも重大です。
 来年度の都税収入は2500億円もの増収が見込まれており、これを都民本位に活用することと、不要不急の大型開発に偏った予算の使い方をあらためることで、都財政の立てなおしと都民施策を大きく拡充することができます。
 今回の提案は、都政を都民が求める方向へ転換する一歩として、最小限の項目にしぼりこんだものです。組み替えの対象も一般会計予算を中心とし、他の会計の組み換えは関連して修正が必要となるものにとどめました。
 組み換えの規模は、全体でも7.8%程度、実際の施策でいえば、3.6%に過ぎません。それでも切実な都民要求が実現できます。
 都の予算をこの方向に組み替えることは、かならずや都民の願いに応えるものになると確信するものです。

以下、予算組み替えのポイントについて説明いたします。
 第1は、都民のくらしと営業をまもることです。貧困と格差拡大の是正や都民生活を守るため、生活保護施策の拡充、公衆浴場原油高騰対策や消費生活総合センターを充実させます。東京雇用センターの開設、若年者雇用促進事業など雇用の確保をはかります。新元気を出せ!商店街事業の拡充と工業集積地域活性化事業の創設、借り換え融資の拡充など中小企業対策予算を増額します。
第2は、高齢者福祉の拡充、安心して子育てできる東京を目指して、シルバーパス負担の軽減、老人医療費助成(マル福)の存続、重度要介護高齢者手当の創設、さらに介護保険の負担軽減や特別養護老人ホームの整備促進など高齢者福祉を充実させます。小学6年生までの医療費無料化、保育所・学童クラブの都加算の存続、妊娠出産助成の創設など子育て支援を抜本的につよめます。少子・高齢社会対応基金を創設し、増大する行政需要に対応します。
 第3は、30人学級など切実な都民要求にこたえるために、全国で唯一未実施県となった、30人学級の段階的に実施ふみだすことや私学助成の拡充など、ゆきとどいた教育をすすめ、マンション相談室、都営住宅の新規建設やエレベーター設置の促進、地域密着型ミニバスへの支援など都民要望に積極的に応えます。
 第4は、地震につよく、誰もが安心して生活できる東京のため、木造個人住宅の耐震診断と耐震改修の助成の創設をおこないます。ハイパーレスキューや救急車の拡充など都民の安全にも備えます。都立公園の整備、緑地保全費の拡充、環境総合アセスメント制度の創設など、地球温暖化、ヒートアイランド対策をすすめ、持続可能な東京をめざします。
 第5は、不要不急、浪費型都政の転換です。
超高層ビルと大型幹線道路中心の「都市再生」や臨海副都心開発、の緊急性に欠ける不要不急・浪費型の大型開発予算を4,837億円削減し、新たな都債発行額を1,035億円削減します。
 また、東京オリンピック開催準備基金積立金を削除します。
以上の見直しの結果、生み出された一般財源3,286億円を組み替え予算の財源といたしました。
 この結果、一般会計予算の規模は6兆291億円となります。

 各委員の皆さんのご賛同を心からお願い申し上げて、提案理由の説明とさせていただきます。

以上