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「都議会議員後藤雄一君の調査活動等に関する調査特別委員会設置に関する動議」への反対討論

二〇〇六年三月三十日 古館和憲(板橋区選出)

 日本共産党を代表して、「都議会議員後藤雄一君の調査活動等に関する調査特別委員会設置に関する動議」に反対する立場から討論をおこないます。
 いうまでもなく、わが国の地方議会は、住民から直接選挙で選ばれた議員で構成され、第一に、それぞれの地域の住民の意思を代表する機能、第二に、自治立法権に基づく立法機能、第三に、執行機関に対するチェック機能をもっています。だからこそ議員は、日常的にさまざまな問題について調査・研究をおこない、議会での発言や提案、申し入れ、交渉などによって、住民要望の実現をはじめ有権者に付託された機能の全面的発揮に向け力を尽くすことが、つよく求められています。したがって、都議会議員は、調査活動や議会での発言に旺盛にとりくむ責務があり、それらの活動が最大限に保障される必要があります。
 この立場からみると、自民党と公明が提案した「都議会議員後藤雄一君の調査活動等に関する調査特別委員会設置要綱(案)」は、見過ごすことのできない重大な問題があります。すなわち、その目的は、「都議会議員後藤雄一君の調査活動等の具体的事例を検証し、もって、議員の品位保持と調査活動のあり方等について調査・検討する」とされています。特定の議員個人の調査活動等をただすために特別委員会を設置すること自体、問題ですが、それにとどまらず、これを機会にすべての都議会議員の調査活動を規制する道をひらく危険性があることを指摘しないわけにはいきません。
 もとより、議員の調査活動等は法を守ることはもちろん、社会的常識にかなう節度をもったものであるべきことは当然です。しかし、仮に議員が調査活動をするなかで行き過ぎがあった場合、所属する委員会や議会運営委員会で、その行き過ぎを正せばよいことです。提案されたような特別委員会を設置することは、それこそあまりにも行き過ぎと言わねばなりません。都道府県議会でこのような先例がないことが、何よりの証左であります。
 しかも、都議会ではこれまで、特別委員会の設置は全会一致の原則が慣例とされてきました。こうした誇るべき伝統をふみにじって、重大な問題のある特別委員会の設置を多数の力で強行採決することは許されません。
 都道府県議会で例がない、特定の議員個人の名を冠した特別委員会をつくり、議員の調査活動のあり方等について調査・検討するということは、有権者から付託をうけた議員の自由な活動と言論があってこそ成り立つ議会制民主主義にもとるものです。これを強行することは、都議会史上に重大な汚点を残すことにつながることをきびしく指摘し、本動議に反対する討論を終わります。

以上