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「充実した東京パラリンピックの開催を求める決議」に対する反対討論

二〇〇六年三月三〇日  小竹ひろ子(文京区選出)

 日本共産党を代表して、「充実した東京パラリンピックの開催を求める決議」に反対する立場から討論をおこないます。
 わが党は、くり返し述べてきたように、スポーツを通じた諸民族の相互理解と友好の促進、平和への寄与などを目的とした、オリンピックそのものに反対するものではありません。しかし、巨大開発の口実とされたり、環境破壊につながるような計画とセットにされるのであるならば、招致には賛成できないとしてきたところです。
 今回のパラリンピックの招致決議についていえば、そもそもパラリンピックは「もう一つのオリンピック」と言われているように、オリンピックと一体のものとして開催されるものであり、なぜ、屋上屋を重ねる招致決議をおこなうのか理解に苦しむところです。
 二〇〇〇年、第十一回シドニーパラリンピック大会期間中、サマランチ国際オリンピック委員会会長と、ステッドワード国際パラリンピック委員会会長による話し合いによって、「オリンピック開催国は、オリンピック終了後、引き続いてパラリンピックを開催しなければならない」との基本的な合意がなされていることをふまえれば、二つの決議は不要であることは明らかです。
 なお、バリアフリー都市東京、新しい福祉社会モデルを示すと言うなら、なにも、パラリンピックを待つまでもなくただちにやればいいのではないでしょうか。オリンピック基金に積み立てる一千億円の一部を使うだけでも、障害者などの切実な要望の多くが実現できるのです。
 むしろ問われるべきことは、知事が、オリンピック開催をテコに大型開発を推進しようとしていることです。
例えば、外郭環状道路は全国の高速道路の整備計画をつくる、いわゆる「国幹会議」の検討路線にも入っていません。しかも、地域住民や関係自治体と話し合っている真最中で、担当局は「住民の意見、自治体の意見を聞きながら今後とも検討を進めたい」としているのです。にもかかわらず、都はあたかも外郭環状道路の完成期日が決まっているかのように言い、さらにこれをオリンピックに間にあわせるため前倒しでやると説明しました。
 知事は、わが党がこの問題を質したのに対し、〃国の計画がどうなっているか知りませんが、・・実現して見せます〃、〃私が責任を持って担当局の言明とは違うことをやるんですよ〃などと、なにがなんでも外環道を建設する態度をとったことは、認められません。
 その他、計画にもない羽田と築地を結ぶ地下トンネルなど、いま遡上にあがっている道路計画だけでも六兆円近い莫大な財政出動がともないます。すでに七兆円の借金をかかえ、これから本格的な少子高齢社会を迎えるもとで、都財政にも都民生活にも深刻な被害をもたらすことは明らかです。
 オリンピック開催をテコに、大型開発をすすめることは、許されないことを重ねて申し述べて討論を終わります。

以上