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第四回定例会 代表質問(全文) 二〇〇六年十二月七日

吉田信夫(杉並区選出)

ワンダーサイト事業に見られる都政の私物化は、石原知事の都民不在の都政運営を象徴的に示す

オリンピックをテコにした浪費をやめ、都民のくらしを守るために全力を

 日本共産党を代表して質問します。
 戦後最長の景気拡大という政府発表とは裏腹に、大多数の都民の生活と営業はますます深刻な状態となっています。大企業は、徹底したリストラによってこの五年間で経常利益を十兆円も伸ばし、一方、労働者の給与総額は二兆三千億円も減らされました。くわえて定率減税縮小をはじめとする庶民増税と、介護保険料などの社会保障負担増が都民生活を直撃しているからです。
 こうしたときだからこそ、都政が都民のくらしに思いを寄せ、支援の手だてをつくすことが必要なのではないでしょうか。ところが石原知事がおこなっていることは、まったく正反対です。知事は、大型開発などの投資に毎年一兆円規模の投資をおこなう一方で、都民は財政危機を理由に老人福祉手当をはじめ福祉施策を容赦なく廃止、縮小し、福祉関係費は六年間で五百四十億円も後退、中小企業予算は毎年削減し、六割にまで後退しました。生活が困窮し応募者が急増しても、都営住宅の新規建設をおこないませんでした。また、総額二億四千万円、十五回に及ぶ知事の海外出張の常識をこえる浪費ぶりに、都民の怒りがひろがっています。
 さらに、税収増にもかかわらず、これを都民のために使わず、オリンピック招致を口実にした八兆円を超える浪費的大型開発をすすめるために、毎年一千億円以上の積み立てにまわそうとしています。この一千億円を都民のために使えば、高齢者の医療や介護の負担増の緩和、子どもの医療費無料化の小中学生までの拡充、ワーキングプアー対策、小中学生の三十人学級実現などを一気にすすめることができます。
 私は、オリンピックをテコにした浪費をやめ、都民のくらしを守るために全力をつくすべきことをつよく求めておくものです。

都民不在の都政運営を象徴的に示すワンダーサイト事業

 知事がおこなっている都民不在の都政運営を象徴的に示すものがワンダーサイト事業に見られる都政の私物化です。以下、この問題にしぼって質問します。
 わが党は、この間、ワンダーサイトの館長、副館長に、知事の四男・延啓氏の知人である今村夫妻が採用され、そのもとで、延啓氏がワンダーサイトの設立からふかく関わり、しかも、税金を使って海外出張などをおこなっていることを、明らかにしてきました。この問題は、新聞やテレビでおおきくとりあげられ、都民からも東京都にたいし、「民間企業でも身内を起用するのははばかる。いわんや公的機関は論外」「四男の海外旅行はどう考えても血税の私物化だ」など、たくさんの怒りの声が寄せられています。
 ところが、石原知事は、記者会見で、ワンダーサイト事業は自らのトップダウンではじめたことを認めたものの、四男を使っていることや今村夫妻を登用したことについて、自分が決めたわけではない、「事務局に聞いてくれ」と自らの介在を否定、さらに「私物化って何ですか」とまで言いました。
 事実はどうでしょうか。
 知事自身が認めたように、今村氏は、知事が延啓氏から「こういう人がいますよ」と教わって、館長に登用されています。今村氏はワンダーサイト館長に登用された同じ日に、都の参与に任命されていますが、その理由の一つに、「知事の知己」であることがあげられています。
 今村夫人である家村氏についても、知事自身が、「あなたやりなさい」と自らがすすめたことを認めているではありませんか。
そして、今村館長夫妻が知事の全面的バックアップのもとで、ワンダーサイトの実権をにぎり、民間人である延啓氏をワンダーサイトの設立から今日まで深く関わらせてきました。このことが知事自身の意向に沿うものであったことは、延啓氏について、「余人を持って代え難かったら、どんな人間でも使う」と言い放ったことからも明らかです。
 事実、ワンダーサイトにかざられているステンドグラスの原画についても知事が延啓氏にたいして「君がやってみろと」と言って、描かせたことを認めています。
 ワンダーサイト事業は、都政のなかで知事サイドと今村夫妻による聖域ともいえる地位を占めるにいたり、都の監査からも計画と実績に大きな乖離を指摘されるなど乱脈な運営がされてきました。知事が子息の友人に都の事業をまかせ、知事のバックアップでその友人が知事の子息を都の事業に使う|。
Q 知事、これを私物化といわずして、何を私物化というのですか。そもそも、行政の長は、絶大な権限をもっており、また、公平、公正さが求められるからこそ、自らの家族を行政にかかわらせることを厳にいましめるべきだとされています。知事の言動はまさに行政の長としての資格が問われる重大な問題だと言わざるを得ません。知事、お答えください。

「東京ナイト」鏡板制作費は延浩氏への税金の迂回支出?

 以下、具体的な問題についてただします。
 第一に、延啓氏にかかわる税金の使い方の問題です。わが党の調査などで、延啓氏が二〇〇三年三月に「能オペラ」の事前調査の目的で、ドイツ・フランスに海外出張しているのにくわえ、翌二〇〇四年には、スイス・ダボスで開催された世界経済フォーラム年次総会での知事主催のパーティー「東京ナイト」のため、二回も出張していることが明らかになりました。
 ドイツ・フランスの出張は、一ヶ月だけ「アドバイザリーボード委員」の肩書きを与えることで公費による海外出張をさせる理由としました。
 ダボスの出張については、都の開示した文書には、延啓氏のものは見あたりません。この出張は、条例にもとづく手続きがとられず、出張旅費はパーティーのイベントの会場装飾、事前調査委託契約にまぎれこませて支払われたからです。このことについて、生活文化局の荒川次長は、マスコミに対して、東京ナイトで演奏した「大鼓演奏者」からの依頼によるものと答えており、知事も「本人に聞いてくれ、頼んだ人がいるのだから」と答えています。しかし、「大鼓演奏者」はもともと延啓氏の友人であり、「能オペラ」のときも一緒に仕事をやろうとした仲間です。ここに、開示されたメールがあります。
 文書によれば、当時の荒川文化振興部長が、今村参与にだしたメールのなかで、「大鼓奏者」と東京都が委託契約をむすび、その契約のなかに鏡板制作費を盛りこませ、鏡板は、その演奏者から延浩氏に「製作発注してもらいます」と言い、制作費に「延浩さんの旅費も含め」ることが記述されています。
 また、同じく開示された文書には、今村館長から都の担当者にたいし、鏡板のイメージが示され、表具代、紙代、さらには制作者への報酬を三十万円とすること、この内容で延啓氏と話し合うことまで示されています。
 これはまさしく延啓氏への税金の迂回支出ではありませんか。
Q 知事は、インタビューに「違法でない」と開き直りましたが、「違法でなければ、自分の息子のためにこんな姑息な迂回支出をやってもいい」というのですか。答弁を求めます。
Q また、知事は、一昨日マスコミの取材に対し、「タダでやらせておいて旅費まで出さないって言うんじゃ行く人いませんよ」と言いましたが、今村氏のメールを見る限り、鏡板の製作にあたって、延啓氏が報酬を受けている疑いが強いと言わなければなりません。事実を明らかにしてください。

「能オペラ」中止に損害賠償

 この「東京ナイト」で演奏した「大鼓演奏者」は、実は二〇〇四年二月に開催するとして計画された「能オペラ」で出演する予定だった人です。このオペラは、知事自身認めたように、延啓氏が深くかかわって企画されたうえ、石原知事が脚本を書き、作曲家の細川俊夫氏が作曲を受けもつものとしてすすめられたものですが、結局、脚本の著作権をめぐるトラブルとなり、中止となりました。
 しかし、中止までの間に、事前調査の海外出張、出演者のオーディションや出演依頼、細川氏による課題曲の作曲、会場確保などがおこなわれました。また、中止にともなう損害補償のコンサートがおこなわれています。都が開示したメールのなかで、この「能オペラ」の中止にともない、どのようなことが検討されたのかが、かなり克明に示されています。
 その中には、今村夫人が関係者にたいし、できる限りの補償をしたいが、「能オペラ」中止でワンダーサイトの財源がなくなり大負担をかかえていること、その関係者にはワンダーサイトあるいは、東京都の関連する機関の主宰するコンサートに出演してもらい、これまでの謝礼として五万円払うが、それでは足りないから、今後の出演などで補償しようと考えているとするものがあります。
 今村氏が損害賠償の代替え案で無料のコンサートを考えていることにたいし、当時の荒川文化振興部長が、中止した「能オペラ」の代わりにやる新作能「伝統と未来」をこの補償がらみのコンサートと一緒にやることで、知事たちがマスコミ等から追及されないか、外国からの賠償請求はないかどうか、あまり目立つと将来、議会から追及される可能性があるなどと心配している様子も示されています。
Q 海外出張をふくめた準備費用、中止による損害補償の内容などもふくめ、「能オペラ」に関連していったいいくらの経費を要したのか、その明細と総額を明らかにしていただきだい。

「東京ナイト」に千七百万円かける必要性は

 知事は、中止の原因について、細川氏が「世界でも日本でも通用しない契約をしてくれといってきた」からといかにも、細川氏側に一方的な責任があるかのように言っています。
Q 本来、脚本の著作権にかかわる重大な問題は、事前にキチンと契約しておくのが常識です。それをせずにトラブルをおこし、税金をムダにしたことの責任が知事自身や延啓氏はないのですか。知事の明確な答弁を求めます。
 知事は、二〇〇一年のダボス会議に出席して、こんなに面白くない会議はなかったと述べていたにもかかわらず、開示文書では二〇〇四年の会議に招待もないのに出かけたうえに、延啓氏と合流して、「東京ナイト」を開催しました。そしてダボス会議の一番の収穫は「『東京ナイト』が盛況だったことだ」とまでいいました。まるで、ダボス出張の最大の目的が「東京ナイト」開催であったかのようです。しかし、この出張のための費用は、いくらかかっているのでしょうか。
 一晩のレセプションで三百四十万円という破格の費用をかけていますが、その他にも、事前調査や公演委託契約、延啓氏がかかわった鏡板制作費や旅費など、「東京ナイト」にかかった費用は、約千七百万円におよび、知事のダボス・パリ出張費用・三千七百万円余の半分近く占めると推計されます。
Q 知事、知事や今村夫妻、さらには延啓氏までくわわり、総がかりで「東京ナイト」を開催し、千七百万円もかける必要があったのでしょうか。知事の答弁を求めます。

ニューヨークアートサミット参加代表をワンダーサイト関係者が独占

 つぎに、昨年一月にニューヨーク市で開催されたアートサミットへの延啓氏の参加問題です。これは、知事がニューヨーク市からの参加要請をうけて、都の代表として四名を派遣したものです。この代表については、ニューヨーク市は、「公共芸術関係の都の責任者、公共芸術分野での民間の指導者や地域文化団体の方、公共芸術創作経験のある芸術家など、ふさわしい方」を参加させてほしいと要請してきていたものです。
 これに対して、石原知事が送った代表は、今村夫妻、延啓氏および生活文化局の課長の四人でした。都職員をふくめ、ワンダーサイトの関係者が代表を独占するということは、あまりに異常なことと言わなければなりません。それほど東京には公共芸術に関する専門家がいないというのでしょうか。私も美術を学んだ者であり、専門の方の話も伺って見ましたが、東京には現代美術館をはじめ美術館も多く、専門のスタッフが活躍しています。また、芸術系大学や民間にも公共芸術の分野で活動している方は数多くいます。
Q そこで知事に伺いますが、どこで代表の選出をおこなったのですか。延啓氏の代表はどこで誰が決めたのですか。そして実際に送られた代表が、ニューヨーク市の示した基準を満たしているとどのように判断したのですか。お答えください。
Q これまで東京都、ワンダーサイトが延啓氏にどのような理由でどれくらい公費を支出したのか、ワンダーサイトにどのように係わらせてきたのか、具体的かつ全面的に事実を明らかにすべきだと考えます。答弁を求めます。

みんなボランティアというが、多額の報酬

 知事は、また、「みんなボランティア」でやっているからといいましたが、これも事実と違います。今村夫妻は参与、館長、副館長の三人分の給与・報酬を受けとっています。
Q 設立時には、今村夫人の口座には、正式採用となる前の二〇〇二年三月に七十三万円のお金が、ワンダーサイトコミッティから振り込まれています。いったい、どういう名目でこれだけのお金が振り込まれたのですか。また、二〇〇一年度決算では、アドバイザーに八十三万円が支払われていますが、これは誰に対して、どういう名目で支払われたのか、明らかにしていただきたい。
 これまでに明らかにされた一部の資料だけでも、「ボランティア」などというのはごまかしです。
 ワンダーサイト事業における知事の家族の重用にたいし、都民の批判の声はおおきくひろがっています。ほとんどの都職員は、知事の息子の友人を、都の仕事に引きいれ、その友人を通じて、息子に都の仕事をさせるという「都政私物化」に心を痛めています。知事がこの声に耳をかたむけようともせず、「余人をもって代えがたい」などと居直っているからこそ、マスコミから「息子を世に売り出すために、都民の税金を使って活動場所をつくり、都政を私物化しているのではないか、というのが問題の論点である」との指摘がなされるのです。
 「自分の息子がどんなに能力があっても、周囲の疑念の目を向けられないためにも、自分の息子であるがゆえに選定から外した方が望ましい」という都民の声こそ、おおくの都民の考えを代表したものということができます。知事の猛省をもとめ、再質問を留保し、質問を終わります。

【再質問】

 知事に再質問します。
 知事は、私が、四男の延啓氏をワンダーサイトにかかわらせ、公費による海外出張や作品制作などさまざまな分野にかかわらせていることについて、都政の私物化そのものではないかという質問をいたしました。それ自身について全く答えていないではありませんか。
 都の文化活動に外部の専門家や有識者の知恵を結集することは当然のことです。しかし、四男を都の事業にかかわらせることによって、ゆがみが具体的にあらわれており、現実に弊害が生まれているんです。
 東京ナイトにかかわって、適正な手続ということを強調しましたが、荒川部長が今村参与に送ったメールでは、都として契約の中に盛り込ませる、旅費も盛り込ませる、制作も発注してもらう、そうしたことがはっきり書かれているんです。まさにこのような極めて異例な公費の迂回支出を部長がやらざるを得ない、指示せざるを得ない。だから、知事の息子を都政の事業にかかわらせることはやめるべきだというふうにいっているんです。
 このような迂回支出という形をとること自身をとってみても、ゆがみと弊害は明らかではありませんか。私物化といわれても仕方がありません。改めて知事、きちんと答えてください。
 また、延啓氏が鏡板を制作することは、大鼓奏者が勝手に決めたのではなく、繰り返し指摘したように、都の部長の意向に沿って東京ナイトのイベントの契約が進められたのが事実ではありませんか。違いますか。答弁を求めます。
 大体、適正な手続というなら、なぜ公募して入札するというやり方はとらなかったんですか。それをせずに最初から大鼓奏者に決め、延啓氏に仕事が行くようにしたのではありませんか。こうしたことが都庁の中で大手を振るっていることこそ私物化というものです。
 東京ナイトにかかわって問題を指摘しましたけれども、頭に浮かんだというのは、イメージのことです。金額についてはっきり書かれているんです。しかも、これが実質的な内容であって、公式見積もり内容とは異なりますということまで書かれているんですよ。
 大体千七百万も使って、当たり前であるかにいうようなことは、都民感覚としては当然納得できません。改めて明確な答弁を求めて、再質問を終わります。

【答弁】

○知事(石原慎太郎君) 吉田信夫議員の代表質問にお答えいたします。
 トーキョーワンダーサイトの運営についてでありますが、都政をあずかる者としては、都庁内部だけではなく、外部の専門家や有識者、さらに必要とあらば身内をも使って知恵を集結し、収集し、さまざまな課題に取り組んでいくべきだと思います。
 私の発案で始めた若手芸術家支援のトーキョーワンダーサイトも、世界が、先だけに、非常に限られた有能なタレントしかおりません。美術関係者などにも手伝ってもらいながら、これ、ほとんど全部ボランティアで、無料です。あなたが知っていらっしゃるのは今村夫妻と私の息子だけのようですけれども、例えばいろいろ展覧会場の壁などを塗ってくれた久住さんなんて年配になったらば無形文化財になるような方が、ほとんど無料でやってくださった。あるいは佐野君という、すぐれた、ワンダーサイトだけではなしに現代美術館も手伝ってもらっていますけど、額を飾ったりする、非常にスキルを持った専門家も、ほとんど無料でやってくださっています。
 いずれにしろ、私の発案で始めました若手芸術家支援のトーキョーワンダーサイトも、そういう限られた人材で運営されているわけですが、今後も、美術関係者などにも手伝ってもらいながら、事業を進めていくつもりでございます。
 ワンダーサイト青山のアートビレッジオープニングには、ブリティッシュ・カウンシルのジョアンナ・バーク駐日代表や国際交流基金の紿田理事などに来ていただきまして、本当に国もやっていない、すばらしい試みをありがとうということで、逆に感謝されました。大変感動していただきました。
 ワンダーサイトも、ワンダーウォールから始まりましたが、このごろ、いろいろな美大の教授たちが、有望な学生を見つけて、君もひとつワンダーサイトのコンペティションに応募したらどうだといってくれるようにまでなりました。
 次いで、東京ナイト開催に伴う四男のスイスへの渡航についてでありますが、経費の支出が違法なら、即座に是正もしますし、謝罪もします。これは事務局に任せていることですから、事務局の方に詳細をお聞きいただきたい。
 今回のケースでは、四男は、レセプション会の会場の舞台装置を受託した会社から舞台の背景画となる鏡板の制作を依頼されて派遣されたものであります。都が適正な手続に基づいて契約した会社から旅費の費用弁償を受けたものでありまして、私は違法性もないし、問題はないと思っております。
 次いで、能オペラに関する契約についてでありますが、能オペラは、トーキョーワンダーサイトの事業として、いろいろリハーサルを重ねながら、現代音楽の作曲家の発案によりまして、脚本の依頼もありまして始まったものですが、自分としては、能という伝統的な舞台芸術を、現代音楽との融合によって今までなかったパターンの新しい舞台というものを咲かせることができればと期待しておりました。しかし、私の日本における著作権者としての常識とかなり違う依頼が向こうから申し出がありまして、これは私自身が自分の著作権を全部放棄することになりますので、そういったことで交渉しましたが、折り合いがつかずに、結局、残念ながら作曲中止という表明があり、能オペラの企画そのものが中止になりました。
 次いで、ダボス会議でありますけれども、この会議の意味合いというのは私は余り感じませんから、二度行って、もう遠慮していますが、主催者の理事長のシュワブさんから再三また来いという依頼もございましたし、それにこたえて、たしか二度目は、それから、東京ナイトというオファーも向こうからあったと思いますが、いずれにしろ、各国の政府や経済界などの要人が集まるダボス会議でありまして、討論の内容は別にしましても、東京ナイトを行いました会のときには、主催者側からも、東京ナイトの開催というものの要請があったと聞いております。そのために、その機会をとらえて、東京の存在感を示して、あわせて伝統文化や観光資源、産業を紹介する目的で開催いたしました。
 当日は、世界経済フォーラムの理事長のシュワブ氏や、フォーブスマガジンのフォーブスさんとか、ヘッジファンドのソロスとか、いろいろな人がやってきまして、会場が狭過ぎて、一五〇%ぐらい人が来ちゃったものですから、暑過ぎて、雪が降っているダボスでありましたけれども、通気のために窓をあけたというような結果で、結果としては非常に大成功でありました。
 たまたま一人か二人、自民党の代議士も来ておられたようで、その人の印象のインタビューもテレビに出ていたそうでありますけれども、私としては、ほとんど無料で働いたスタッフがやってくれたにしては、大変な成果が上がっておりました。
 共産党は、巨額な支出といっておられますけれども、大きな成果を生むことができた。これが本当の都市外交というものだと思っております。

○生活文化局長(渡辺日佐夫君) 五点の質問にお答えいたします。
 東京ナイトで使用した鏡板制作の報酬についてでございますが、鏡板制作に当たっては、石原延啓氏に対して報酬は一切支払われておりません。
 なお、お話のメールは、今村参与から都職員にあてたものでございますが、そのメールの中には、今村の勝手なイメージ、頭に浮かんでいます、ふと印象というか頭に浮かんだものですなどという文言がはっきりと記載されておりまして、確定的な事項をメールで記載したものではないというのが明らかにご理解できると思います。
 次に、能オペラに関する経費でございます。
 オーディション等の準備経費百五十七万円、中止に伴う補償経費百五十九万円など、合計四百七万円でございます。このほか、能オペラ以外の事業調査も兼ねた海外出張費などが約二百万円ございます。
 次に、ニューヨークで開かれた都市の公共芸術戦略サミットの東京都からの参加についてでございます。
 ニューヨーク市姉妹都市委員会理事長から都知事あて参加の依頼があったものでございます。公共芸術の振興についての情報の入手や東京の文化の魅力を広く世界に発信する貴重な機会であることから、東京都生活文化局として出席を決定いたしました。具体的には、代表として文化担当参与と文化振興担当の課長が参加したものでございます。
 また、同委員会は、公共芸術関係の責任者や芸術家などの参加も希望していたため、パブリックアート事業を展開しているトーキョーワンダーサイトの事業担当者と、その運営に協力している芸術家であり、全米を代表する美術大学であるスクール・オブ・ビジュアル・アーツを卒業し、ニューヨークにも多くの知人や友人を持つ石原延啓氏がオブザーバーとして参加いたしました。オブザーバーとして参加したことは、事前に主催者に提出した出席名簿にも明記されております。
 なお、石原延啓氏は自費で参加しております。
 次に、石原延啓氏とトーキョーワンダーサイトとのかかわり合いについてでございます。
 石原延啓氏は、開設時からのボランティアとして、さまざまな事業で協力や助言を得てまいりました。
 公費支出は、出張に係る旅費、約六十万円でございます。内訳といたしましては、海外出張として、トーキョーワンダーサイトコミッティのアドバイザリーボード委員として平成十五年三月にドイツ、フランス等へ出張し、約五十五万円、また、国内では、キュレーティングアーチストとして平成十五年六月に福井県武生市、同年九月に新潟県妻有地方へそれぞれ出張し、合計約六万円を支出いたしました。
 なお、先ほど知事の答弁にもございましたが、トーキョーワンダーサイトでは、石原延啓氏以外にも、カリスマ左官と呼ばれる久住章氏、立花を生ける池坊の故岡田幸三氏を初め照明の専門家など、内外で活躍している芸術家や専門家からさまざまな形で協力、助言を得ております。
 最後に、トーキョーワンダーサイトコミッティからの振り込みと決算額についてでございます。
 平成十三年当時、トーキョーワンダーサイト事業の運営計画に当たって、専門的意見を必要とするため、美術館建設に精通した専門家であるライフスケープ研究所の家村佳代子氏及び今村有策氏に施設運営アドバイザーを委嘱しておりました。この助言者謝礼として、計八十三万円をライフスケープ研究所代表の家村佳代子氏の口座に振り込んだものでございます。十万円及び七十三万円の二回に分けて振り込んでおります。

【再質問答弁】

○知事(石原慎太郎君) いかにも共産党らしい貧しい発想だと思いますがね。
 トーキョーワンダーサイト、あるいは東京ナイトについて申しましたことは先ほどのとおりであります。
 公募しろとおっしゃいますけど、公募したこともありますが、ろくなアイデアが来ませんな。例えば、大手、大手とおっしゃるかもしれませんが、まあ、オリンピックに関しても、オリンピックの前夜祭のために公募したんでしょうか、どうでしょうか、随意なんでしょうか、私は知りませんが、とにかくある大手でものをつくらせましたら、全然だめで、四回つくらせてもだめで、前夜に私は注文をつけて、大改造しましてやっと間に合ったんです。
 それから、その専門家と称する人間にも出しましたが、東京マラソンのポスター、五回かき直しましたけど、ろくなものが出てこない。
 別にプロがいいわけじゃないし、新しい若い人たちに新しい発想があるんです。その中の一人がたまたま私の息子でありまして、ほかにも息子の仲間はたくさんいる。そういう人たちの力を私たちはどんどんこれからかりていきます。

以上