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「二○一六年オリンピック競技大会の東京招致への支援に関する意見書案」に対する反対討論

二〇〇六年一二月十五日  たぞえ民夫(世田谷区選出)

 日本共産党都議団を代表して、自民党、民主党、公明党が提出した「二○一六年オリンピック競技大会の東京招致への支援に関する意見書案」に反対の立場から討論を行います。
 わが党のオリンピック招致に関する態度は、オリンピック開催そのものに反対ではないが、石原知事が推進しているオリンピック計画については賛成できないというものです。

 第一に、都の計画が、メインスタジアムをはじめ多くの競技施設や選手村を、地震危険地域と言われる臨海部に集中させていることです。同地域は、都が今年五月に発表した「首都直下型地震による被害想定」報告書で液状化の危険が指摘され、地震の専門家から、地盤が横に数メートルも移動する「側方流動」の発生も指摘されています。しかも、同地域は、護岸や液状化対策など巨大地震に対する対策がほとんどなされておらず、首都直下型地震が発生すれば、甚大な被害は避けられないということは明らかです。
 このようなところに、万全の地震対策もなく、世界のトップアスリートと観客を招くことは許されません。

 第二に、知事のいう「コンパクトなオリンピック」とは裏腹に、競技施設や道路などのインフラ整備のために、八兆円をはるかに超える投資が計画されていることです。
 すなわち、会場建設費やメインスタジアムなど三施設の用地取得などで一兆三千億円を投入することとなるのをはじめ、インフラ整備では、外郭環状道路などの三環状で三兆六百億円、羽田〜築地間のトンネル道路で一兆円、環状二号線をはじめとする臨海部広域幹線道路建設で七千二百四十五億円、メインスタジアムと都心の鉄道駅とを結ぶ地下鉄整備で二千億円など、七兆円以上の事業費が必要となることが明らかになっており、これが都財政にあらたな負担をもたらし、都民施策の後退につながることは避けられません。
 「意見書案」は、こうした大問題に目をふさぎ、欠陥計画を推進するとともに、「国家的プロジェクト」の名のもとに、巨額の債務をかかえる国にも浪費的な投資に財政投資をさせようとするものであり、認められせん。

 最後に、都議会での意見書の扱いは、全会一致を原則しており、この良き伝統をふみにじり、一部会派の賛成多数で強行することは断じて、認められないことを申し述べて、討論を終わります。

以上