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第一回定例会 代表質問(全文) 二〇〇七年二月十四日
大山とも子(新宿区選出)
石原知事のトップダウンの政治、飲み食い政治が、都政をゆがめている
「何が贅沢かといえば、まず福祉」と、福祉と保健関係費を四百五十億円も減らした
日本共産党都議団を代表して質問します。いまほど石原知事の都政運営の基本姿勢が鋭く問われているときはありません。
第一に、都民にはわずかな額の補助金までも切りすて、痛みを押しつけながら、自らは豪華海外出張やワンダーサイト事業での四男重用にみる浪費と都政私物化をすすめ、都民からきびしい批判があがっていることです。ところが、この問題について施政方針では一言の説明も反省の言葉もありませんでした。驚くべきことです。
さらに知事が側近とともに公費・税金をつかった飲み食いをくりかえしていることが明らかになりました。私たちは、開示文書にもとづいて知事交際費の実態について調べましたが、知事と側近による接遇という名の公費での飲食は、七年間で百五十五回にぼり、千六百十五万円もの税金が使われています。そのなかには高級料亭などで一般都民が口にすることのできない豪華な食事や高価なお酒を飲食するというものがすくなくありません。
知事の飲食による接待にたいして東京地裁が七八件中、十一件について判決を下しました。二件については明確に違法と断定し、他二件についても「適法」との判断がなされなかったことを知事は重く受け止めるべきです。ところが知事は、「違法」とされた二件について控訴するだけでなく、却下された六十七件は問題なかったかのように強調しています。とんでもありません。そもそも六十七件は監査請求の期間がすぎたために判断が下されなかっただけで、目的や高額な費用など、「交際費の支出基準」にてらして違法性の強い「飲み食い」が多くあります。
知事、いま都民のなかには「税金の使い方」「政治と金」についての怒りがおおきく広がっています。料亭などでの飲食に高額の税金を使っていることは、「違法」であるかどうかだけでなく、税金の使い方として許されるのかという地方自治体としてのモラルが問われているのです。お答えください。
重大なことは、密室での飲み食いのなかで都政の重要課題が議論され、都政の方向が歪められてきた疑惑がうかびあがったことです。例えば、二〇〇三年五月二十九日に三十四万円を使った棚橋参与らとの接待は、判決文では「羽田空港の国際化問題に関する会合だった」と紹介されています。知事はこの飲食の後に、自治体負担反対という態度を一八〇度転換し一千億円もの費用負担を決めたのです。
また、二〇〇一年から二年にかけて四回、五十五万円をかけた唐津一氏との接遇には、大きな疑惑があります。この接遇の時期は、秋葉原のITセンター計画が具体化された時期でしたが、唐津氏は再開発計画を検討する懇談会の座長であり、請負企業を決めるコンペの審査委員長でもありながら、鹿島の石川名誉会長と親しく「今度こういうものをつくるけど」「勉強しといてくれ」と指示したことを認めています。
結局、ITセンターの入札は落札した鹿島グループのみでしたが、公正・中立であるべき唐津氏が、鹿島にこの開発の勉強を指示していたとすれば、一種の官製談合といわれても仕方ないものです。知事、そう思いませんか。
また、知事と唐津氏との四回の接遇は何のために行われ、何が話しあわれたのですか。それぞれ、明確にお答えください。
知事の私的な顧問団・アドバイザリーボードとの飲食もくりかえしています。にもかかわらず、知事は裁判のなかでも氏名を明らかにすることを拒否しています。裁判で氏名を明かすこともできないような人たちとの飲み食いの場で、新銀行の設立、羽田空港の国際化、横田基地問題、東京大マラソンなど都政の重要問題を話し合っていたというのです。
知事、これでは密室の飲み食いで都政が動かされているといわれても、仕方ないではありませんか。答弁を求めます。
公務員への接遇を禁止した「交際費の支出規準」に反する接待、飲食も見過ごせません。都は、官官接待への社会的批判をうけて、公務員への接遇は禁止しています。ところが石原知事と側近は、「支出規準」を破って、公務員への接遇をくりかえし行っており、都が接遇する側の人物だと主張している都参与を除いても、米長都教育委員や国会議員では麻生太郎、徳田虎雄氏などと二十回にわたって飲食をくりかえしています。
国会議員などへの接遇は明白な「交際費の支出規準」違反です。接遇費用は返還すべきです。知事、お答え下さい。
そのなかでも問題なのは、二〇〇一年、三月十三日、知事の長男や渡辺喜美衆議院議員など四名の議員との飲食への十九万円の公費支出です。この席上で知事は「君たちヨンキの会をつくれよ」と自民党若手グループの結成を促したことが、参加者によって明らかにされています。渡辺氏側は「都知事招待の会合で税金が使われたとは思わなかった」と説明しています。
都政と関わりのない私的な政治グループの結成などが話し合われた懇談に、知事はなぜ都民の税金を使ったのですか。「税金の私物化」と言われても、言い訳できないのではありませんか。知事の答弁を求めます。
知事と側近による公費飲食の多くは、老舗料亭や高級レストランなどでひんぱんに行われ、一回で五十万円、六十万円もの費用がかけられ、食事だけで一人二万円、お酒は一本三万円もするワインや日本酒まで注文し、まさに飲み放題という状況です。こうした実態が「支出規準」が定めた「適切な場所」でもなく、支出額が「社会通念上妥当」で「かつ必要最小限」とは言えず、納税者、都民の理解を得られないことは明らかです。すでに都民から「今度は官官接待か、生活が困窮している中で払っている都民の税金を何だと思っているのか」など怒りの声が都庁に寄せられています。
知事は、鈴木、青島知事時代とくらべて交際費の支出が減っていると弁解しています。しかし官官接待への社会的な批判をうけて、官官接待を原則禁止し、交際費の支出規準も改定して、公務員への接遇の禁止、場所や費用の見直しをおこない支出を減らすレールをしいたのは青島知事です。知事が自慢できることではありません。
問題なのは、石原都政になって、局長など他の幹部は、飲食は私費負担に切りかえているのに、知事と側近だけが公費による飲食をつづけていることです。知事は、税金で飲み食いをくり返す理由について、「酒を飲まないと本音が出てこない」と言っていますが、こんなことは通用しません。
大体、他の多くの知事は、公費による飲食そのものを禁止しています。埼玉県では「交際費には知事の飲食代は含まれず、自分で出している」、千葉県も「交際費のなかで飲食の支出は認めておらず、飲食による接待の実績はない」というのが実態です。他県ではすでにこうした改善が進められているのです。
知事が、自分だけは官官接待の廃止も「支出規準」もおかまいなしというなら、あまりにも傲慢です。また、いまだに酒席の場でなければ都政の重要問題を論議できないというなら、時代遅れの宴会政治の復活という指摘はまぬがれません。
知事が都民の批判をうけ知事のホームページでの公開を打ち出しましたが、遅すぎます。すでに三十以上の道府県が公開しているのです。しかも重大なことは、知事が公費での飲食接待自体については、廃止・縮小する意思を示していないことです。
知事は、就任当初、交際費の公開を言明していたではありませんか。にもかかわらず、これまでたな上げしてきた自らの政治家としての責任をどう考えているのですか。。事務方に責任を押しつけていますが、なんでもかんでも事務方のせいにするのはいい加減にやめたらいかがですか。
税金を使って高級料亭や高額な飲食を伴う会合を開かなくても、他県がやっているように都庁の会議室でも可能ではありませんか。公費での飲食・接待は一掃すべきです。それぞれ知事の答弁を求めます。
都民の税金をつかって飲食をくりかえすという状況は、知事のトップダウンで始まり、四男とその知人によってすすめられてきたワンダーサイト事業でも、横行しています。わたしたちは、これまで開示されたワンダーサイト事業にかかる領収書を調べました。その結果、行事のたびごとに、交流会、レセプションなどがおこなわれ、このなかでコース料理から、ワイン、ビールまで公費による飲食への支出がくり返されている実態が浮きぼりになりました。今村館長のおこなう様々な打ち合わせでも、飲み食いがくり返されています。
さらに行事と無関係に「事務局用の消耗品購入の支払い」としてドラ焼きやワイン、お弁当まで公費が使われているのにはあきれました。そのなかには「今村館長お食事代」「家村様お食事代」、どら焼き二〇〇円などの記載もあります。こうした飲食費の総額は、いまわかっているだけでも、五年間で総額三百二十万円にもなります。二〇〇五年一年だけで、実に、一六〇万円もの税金が飲み食いに使われているのです。
知事が自らの四男を「余人をもってかえがたい」とまで言って重用し、四男の友人グループにワンダーサイト事業を運営させ、事実上、「聖域化」してきたことが、常識を逸脱した公私混同の公費による飲食になっているのではありませんか。
ワンダーサイトでは館長などの私的な食事やおやつ、飲み物としか思えないようなものまで、公費を支出してきた疑いがあります。こうした支出の実質的な権限をもつ今村氏、家村氏の責任が問われています。知事どうですか。
さらに重大な問題があります。昨年六月九日、ワンダーサイトは知事の四男延啓氏の名刺の印刷を発注しました。名刺の肩書きはトーキョーワンダーサイトのアドバイザリーボード、キュレーティングアーティストです。延啓氏がアドバイザリーボード委員だったのは、二〇〇二年三月一日から三十一日です。キュレーティングアーティストだったのは二〇〇三年六月十日から二〇〇四年三月三十一日です。昨年、延啓氏は、何の肩書きもなかったはずです。肩書詐称ではありませんか。この発注の決定権者は、当時副館長だった家村氏です。ワンダーサイトによる組織ぐるみの肩書詐称がおこなわれたといわざるをえません。知事、この問題について全ぼうを明らかにしてください。また、この問題をどう考え、対処するのですか。明確に答えてください。
こうした乱脈きわまりない運営や、問題を起こしているワンダーサイトについて、知事の責任は重大です。知事、責任をどう考えているのか答えてください。
このように知事のトップダウン事業のほとんどは問題をかかえています。たとえば新銀行東京です。
ひとつは、中小企業に役立つ銀行という公約とはウラハラに、中小企業への貸し出しが全体の五一%にとどまっているのです。貸出金利は、他の銀行の金利の二倍から三倍の九から十%となっており、毎日の資金繰りに苦しんでいる業者は相手にされていないからです。また、返済が滞れば決算期ごとに処理する仕組みになっています。これで、どうして中小企業のための銀行と言えるのでしょうか。
ふたつは、開業二年もたたないのに経営破たんの色合いを濃くしていることです。今年三月期中間決算では、営業損失が一五四億円も発生し、このままでは年度末までに昨年の二〇九億円を上まわることが予想されています。これはマスタープランの想定をはるかに超えるもので、二年あわせて五〇〇億円もの累積損失ということになれば、東京都が投資した一〇〇〇億円の半分が消えてしまうことになりかねません。
知事は、経営不振の原因について、開業一年目の融資に不良債権がおおく、今後は改善されるといっていますが、こんな甘い見通しは通りません。専門家は、新銀行は苦しまぎれに無差別に融資攻勢をかけているが、ますますあぶない融資をつかむことになったり、またリスクの高い商品に手を出しかねない、と疑問をなげかけています。
そもそも、新銀行は他の銀行より高い預金金利を支払っていますし、銀行規模が信用金庫中堅クラスでしかないのに大企業や大手銀行があつまる大手町の一等地に事務所をかまえるなど、高コスト構造になっています。しかも、預金金利が高いのに、資金運用は、本来の収益源であるべき融資が六割にとどまり、のこりの資金は低い利回りの国債の購入などでの運用をおこなっているのです。これでは、コストを回収できるわけがありません。こんなことは、初めから想定できたことではありませんか。知事の見解を伺います。
知事、今月五日から、日本銀行の考査がおこなわれています。日銀の考査や金融庁の検査は、二信組事件のときにもおこなわれたように、通常の考査や検査以外に、金融機関に問題があるときにおこなわれてきました。今回の考査も、新銀行東京の経営、運営に問題があるからおこなわれたものと推察できます。
なぜ、日本銀行がこの時期に考査をおこなうのか、その理由、目的、考査対象が何であるのか、明らかにしてください。また、ある雑誌には、金融庁が昨年末、新銀行東京に文書を出したと報道しています。その内容を示してください。
新銀行への民間出資はいまだ一八五億円にとどまっており、市場の信任が得られていないのが現状です。また、開業して二年も経たないのに設立時の執行役七人のうちの五人までが辞職するなど異常事態です。
知事、地方自治体が手を出すべきでない銀行業にのりだしたことの誤りは明らかです。新銀行東京の破たんを認め、日本銀行の考査に協力するとともに、金融庁の指導をあおぎ、処理をすすめるなど問題の解決をいそぐべきではありませんか。答弁を求めます。
第二に、石原都政八年間の都政運営そのものも、きわめて重大な問題があります。知事は、この間、二次にわたる財政再建推進プランを策定し、あらゆる都民施策の聖域なしの見直しをすすめましたが、なかでも最大の問題が、福祉のきりさげです。
貧困と格差拡大、少子高齢化への対応など福祉の拡充が必要な時に、石原知事は就任直後、「何が贅沢かといえば、まず福祉」だと公言し、福祉と保健関係費を四百五十億円も減らしました。これは知事が就任した九九年度と二〇〇五年度の決算による数字です。
寝たきり高齢者の老人福祉手当を廃止、シルバーパス全面有料化、障害者医療費助成や重度障害者手当の削減など、高齢者や障害者の命綱の経済的支援事業が、まっさきに標的にされました。
特別養護老人ホームの待機者は九九年度の一万人から四万人に急増しているのに、整備費補助は、わずか三割にまで激減しています。老人保健施設や認知症高齢者グループホームの整備率は、全国最低のままです。
小児医療・産科医療の危機が社会的問題になっている時に、小児科・産科の母子保健院を廃止。さらに清瀬、八王子小児病院、梅ヶ丘病院の廃止計画を強引にすすめています。
公立・私立の認可保育園にたいする補助も、削減や改悪の連続で、園長、職員、保護者から、きびしい批判の声があがっています。
こんな福祉きりさげをした人は、歴代都知事の中に誰一人いません。全国の道府県のなかでも、こんなに福祉関係費を減らしたのは石原都政くらいです。
福祉につめたい石原都政との批判は、私たちだけが言っているのではありません。全国紙がおこなった都民世論調査で、石原知事の支持率が急落していますが、評価できない政策分野は「福祉」だという回答が一位です。都政専門紙が都の職員におこなったアンケート調査でも、石原都政は「不合格だ」とする回答が大幅に増え、評価できない政策分野は「福祉・医療」で、群をぬいて一位です。
知事、石原都政の福祉政策は評価できないという、都民のこの声を真摯に受けとめる必要があると思いますが、認識を伺います。
一回で五十万、六十万円もの飲食の接待を節約するだけで、盲導犬のエサ代補助や、見えない・聞こえないという二重の障害がある盲ろう者の通訳介助者養成への補助の再開など、切実な都民要望が実現できるのです。これらの事業を直ちに再開すべきです。答弁を求めます。
知事は、こうした福祉きりさげを財政がきびしいことを理由にすすめてきました。しかし、この間の都税収入は知事がきりさげの根拠とした「財政再建推進プラン」の見込みより七年間で三兆三千億円、毎年平均五千億円も多かったのです。福祉きりさげの理由が成り立たなかったことは明らかです。
知事は、「隠れ借金」を解消した、財政再建をしたと言いますが、都税収入の大幅増に救われただけでのことではありませんか。しかも、「隠れ借金」のうちの借金返済のための減債基金が六千億円不足しているという問題について言えば、そもそも、知事が大型開発を抑制して、都債の発行をバブル崩壊前の九二年の水準におさえていれば、不足が発生することはなかった、つまり、自らつくった借金を穴埋めしたにすぎないのです。
福祉切り下げと対照的に、知事は国と一緒に、「都市再生」の名による超高層ビルのための再開発や、三環状を中心とした大型幹線道路の整備を、都政の最重点課題にしてきました。経常経費として計上されている首都高への貸付金などもいれると投資型経費に毎年一兆円規模の財政投入がされてきました。
また、石原都政のもとで、都民の税金で負担する必要のない羽田空港拡張工事や、都が直接工事する必要のない首都高速道路品川線などに一千億円単位でつぎつぎ税金が投入されることになりました。
全国に例のない福祉切り下げの一方、ひたすら大型開発推進という最悪の逆立ち政治、それが石原都政の八年からうかびあがる実像にほかなりません。
それでは、これからの石原都政はどうでしょうか。
来年度予算案では、福祉はのばした、「福祉と保健」の予算は過去最高だと言いますが、とうてい、自慢できるものではありません。高齢者人口がこの八年間に三割もふえ、少子化対策も急がれているのですから、ふえて当たり前です。しかも、実は都税収入に占める比率は十八・八%から、実質十五・八%へと逆に減らしてしまったではありませんか。
中身をみても、都独自の老人医療費助成マル福は完全廃止、シルバーパスの負担について税制改悪により課税になった人は千円にすえおく特別措置はうちきり、都独自の手話通訳派遣事業も廃止、百年の歴史をもつ板橋老人ホーム廃止など、重大なきりさげがうちだされています。五千億円の増収の大半は、大型開発や、オリンピック基金一千億円、石原知事が新たに増やした借金の返済などのための基金に消えてしまうのです。
知事は、二〇一六年のオリンピック招致にむけて、長期計画「十年後の東京」を発表しました。一番の問題は、オリンピックにむけた三環状道路を中心としたインフラ整備に主眼がおかれ、福祉やくらし、教育などの施策に見るべきものがないことです。
福祉の目玉は介護ロボットの研究で、特別養護老人ホームやリハビリテーションの充実、介護保険の負担軽減など、都民要望にこたえる中身がありません。教育でも三〇人学級など、ゆきとどいた教育のための条件整備は見あたらず、中小企業対策でかかげられている「多摩シリコンバレー」は三環状道路のひとつである圏央道促進の理由づけと言われて仕方のないものです。切実な課題となっている商店街事業にひと言も言及がないことは、驚くべきことです。
知事、これで「十年後の東京」は、都民生活が豊かになり、高齢者も若者も障害者も安心して生活できる都市になっていると言えるのですか。答弁を求めます。
結局、石原都政の過去、現在、未来を通じた最大の問題は、都民の痛みを軽減するためのお金は出し惜しむ一方、大型開発にはおしげもなく大金を使う逆立ち政治にあることは明白です。以下、緊急課題について提案します。
まず高齢者福祉です。
国の年金課税強化により、住民税増税と、それに連動した国民健康保険料や介護保険料の値上げなど、高齢者に雪だるま式の重い負担がおしよせています。前年にくらべて年間十万円、二十万円もの負担増になった人が少なくありません。しかも負担増は、今後もつづきます。来年四月からは、七十歳から七十五歳未満の高齢者の医療費負担は一割から二割にはねあがります。
知事、住民税増税に連動する負担増を緩和する措置を検討すべきと考えますが、見解を伺います。
町田市に住む七十四歳の女性は、月十三万円の厚生年金ですが、公団の家賃と公共料金で八万円かかります。そのため週三回パートで働いて月五万円の収入で家計を補っています。ところが昨年から住民税課税となり、介護保険料などの負担をあわせて年四万五千円だったのが六万五千円にはねあがりました。これが、来年は九万二千円になると見込まれます。いまでも年金の振り込みがない月末にはお財布に三千円ぐらいしか残らないと言います。頸腕症候群で医療費もかかります。限界かとも思うけど、働かないとくらしていけないと懸命にがんばっています。
知事、この方は公団ですから家賃減免はありません。年金十三万円で生活保護も受けられません。七十四歳で、首や肩や腕の痛みをかばいながら働くのも、限界に近づいています。そこへ二万円、三万円と負担が増える。どうやってくらしていけばよいのですか。こういう人に手をさしのべることは、地方自治体の大事な役割だと思いますが、そう思いませんか。
税制改悪により住民税課税になった人のシルバーパスを千円にすえおく特別措置をうち切る道理はありません。この方もふくめ、およそ九万人が、十月の更新で千円から二万五一〇円にはねあがることになります。特別措置は継続すべきです。
また、所得に応じた三千円パスなどの導入を提案するものです。それぞれ、答弁を求めます。
医療費の負担増は命の問題に直結します。負担増は受診抑制、ひいては病気の重症化につながり、結果として社会的な医療費の負担はいっそう大きくなります。早期発見・早期治療の推進こそ、高齢社会に対応するために必要なことだと思いますがどうですか。
六月末のマル福廃止は中止し、高齢者の医療費の負担軽減にとりくむことが必要です。
つぎにワーキングプア、はたらく貧困層への支援です。
働いても働いても生活保護水準以下の生活しかできない人が、全国では四百万をこえるいると言われています。東京でもパートや派遣労働者が二百十五万人をこえ、労働者の三割以上をしめることから事態は深刻です。
家賃を払えず住まいをもてず、一時間百円のネットカフェを毎日転々と渡り歩き、布団で寝ることもできない。やっと見つけた日雇い派遣の日当は、やっとその日が過ごせるだけ。三百円の海苔弁当を夕食に買い、半分だけ食べて、残りは翌日の朝食する。そんな若者が東京にはたくさんいるのです。本人の責任だけですませることはできません。ある日突然解雇されたなど、多くの場合、さまざまな事情をかかえているのです。
知事、未来があり意欲もある若者を、貧困の悪循環から救いだすため、都として雇用対策室を設置し、緊急に、ワーキングプアや偽装請負などの実態調査を実施することを提案するものです。また、時給七百十九円という低すぎる最低賃金をひきあげるため、「最低賃金の東京都基準」をつくり企業にはたらきかけることがいそがれていると思いますが、いかがですか。
さらに、都として教員や消防士などの雇用をひろげ住民サービスの向上につとめること、若者を雇用した中小企業への助成などの実施をもとめるものです。それぞれ答弁を求めます。
貧困と格差是正のためには、住まいの確保と家賃の負担軽減が重要です。
ところが石原知事は、就任以来、新規の都営住宅建設をやめてしまいました。その結果、都営住宅の倍率は平均五十五倍という事態です。
住宅に困っている高齢者、障害者、働く貧困層、子育て世帯、ひとり親家庭などが入居できるよう、都営住宅をはじめとした低家賃住宅を思い切って増やすことが必要です。また、所得が低く、重い家賃に苦しんでいる人に対する家賃助成を創設すべきです。答弁を求めます。
東京大学出版会から刊行された「日本の所得分配」に関する研究によると、日本の所得分配は先進諸国のなかで不平等であり、低所得者がとり残されていること。日本では低所得者にたいする給付が手薄であり、低所得者に対する税の還元をはじめとした再配分を強化することにより、所得格差は大幅に是正されること、貧困率をさげる政策の必要性が明らかにされています。
そこで、私は緊急対策のひとつとして、ワーキングプアや年金の少ない高齢者で、生活保護だけでは救いきれない世帯に対する「生活応援手当」の創設を提案するものです。知事の所見を伺います。
最後に、オリンピックをテコとした三環状道路建設などへの莫大な投資の問題です。
なかでも、練馬区の関越道から世田谷区の東名高速までをつなぐ外郭環状道路は、二〇一六年のオリンピックに間に合わせるとして、来月一六日の都市計画審議会で大深度地下と道幅四〇メートルの上部道路をあわせた変更計画を決定しようとするなど問答無用で進めようとするため、矛盾が吹きだしています。
知事は渋滞解消のために必要だといっていますが、外環道は三環状道路のなかでも、もっとも必要性が立証できないものです。ここに知事がつくった「一〇年後の東京」がありますが、このなかではオリンピックが開催される二〇一六年には、圏央道と首都高速中央環状線が完成し、東京区部では、「毎日が正月かお盆並み」「スイスイ快適ドライブが実現」すると書いてあるのですよ。このこと自体、机上のプランとも言うべきですが、その中で問題の外環道は、「二〇一六年以降供用」と書かれており、外環道が完成していなくても、都心の渋滞は解消しているというわけですから、建設の必要性がないことをあなた自身が認めているのではありませんか。
しかも、外環道は、武蔵野の閑静な住宅地を分断、五〇〇〇戸と言われる立ち退きや、自動車公害、地下水脈や大泉ジャンクション近くの湧水の破壊など環境破壊とともに、全体で二兆円と言われる建設費の重圧をどうするのか、未解決です。
本来、外環道は国の道路計画を決める国幹会議の方針にもとづき、旧日本道路公団の資金によって建設するとされていたものですが、公団の民営化、株式会社化にともない、不採算路線については建設するかどうかは会社の判断とされることになりました。したがって、巨額な建設費が必要とされ、赤字になることが必至と言われる外環道を新会社に押しつけることは無理となりました。このため、昨年二月の国幹会議でも、外環道は予定路線にもあげられなかったのです。会社レベルでも国レベルでも建設のゴーサインは出されていないのです。
ところが石原知事は、圏央道や外環道を整備するために、「都が貸付という形で資金を出してもいい。建設費もある時点で考えなければならない」とまで言っていますが、事実ですか。知事答えてください。
また、外環道は、国の道路で、有料道路として計画されたものです。東京都が財政支援する必要はまったくありません。知事は、福祉にだすお金はわずかなものであっても出し渋っているではありませんか。それなのに大型開発となると、国の事業であっても都民の税金を湯水のようにつぎこんで痛痒も感じない。まさに地方自治体の魂を投げすてたとしか、いいようがありません。知事、どうですか。それぞれ、答弁を求めます。
都民の合意なしに、建設に走っていることも許されません。都は、「地元と三八〇回以上話しあい、沿線区長、市長と意見交換を行ってきた」としていますが、住民からは「上部道路はなくなったと聞いていたのに、だまされた」と反対の声があがり、住民との協議の場であるPI協議会も結論を出せずにいます。昨年一〇月には沿線区市長による、「現状での十分な検討と地元住民からの理解を得ることが不可欠」という異例の共同声明が出され、上部道路については武蔵野市議会が、全面廃止をくわえた協議を求める内容の意見書を全会派一致で採択しています。三鷹市では、市長が「現段階では事業着手まで容認できない」とし、外環道の是非を問う住民投票の請求運動が、成立に必要な数を大幅に超える署名を集めました。
知事、来月の都市計画審議会への提案は、取り下げることを求めるものです。答弁を求め、再質問を留保し、質問を終わります。
まず、知事の4男の肩書詐称の問題です。こうしたメチャクチャなやり方がまかり通るのは、ワンダーサイトが知事のトップダウンではじめられ、4男・延啓を重用してきた結果起きている問題です。
知事は延啓氏の肩書詐称問題について答える責任があります。問題があると考えないのですか。自身で答えてください。また、いま、その名刺の作成は、今村館長の判断で作成されたことが明らかにされました。
今村館長は、知事が登用した人物ではありませんか。知事自身、今村氏のとった態度についてどう思うのか、答える責任があります。答弁してください。
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【答弁】
○知事(石原慎太郎君) 大山とも子議員の代表質問にお答えいたします。
交際費という税金の使い方についてでありますが、従来、原則的には、その妥当性、非妥当性については、基準を踏まえた事務局に任せておりました。しかし、いろいろ誤解が生じているようですから、その改良をするつもりはあると思いますけれども、いずれにしろ、都の政策を形成、実現するために必要な人物と会い、専門的な知見を得たり、情報収集をする、あるいは事の依頼をすることは、当然のことと考えております。
相手によって、内容によっては、胸襟を開いて話し合うにふさわしい時間と場所があります。その必要性については、判決でも認められております。
肝心なことは、こうした会合を含めた取り組みが後々実を結び、都政に生かされているかどうか、つまり、費用対効果の問題だと思います。この点については、この八年間の実績を見ていただければ、都民の皆様にはご理解いただけるものと思っております。
次いで、税金の私物化という指摘がありますけれども、ご指摘の懇談があたかも私的な政治グループの結成のためだけに行われたかのようにいわれるのは、これは全く事実無根も甚だしいと思います。この懇談や、あるいは各省の高官OBを集めたアドバイザリーボードとの会合などは、相手方との信頼関係もありますし、政策形成に支障が生じるためにも、場合によっては、氏名や内容を明らかにできない場合がございます。
こうしたさまざまな意見交換などが引き金となって、横田の基地の軍民共用化や羽田の空港の国際化など進んできたわけでして、この四人の若い代議士たちも党内の論客でありますから、私としては、国際的な航空アクセスというものは国力の維持のためにいかに大事かという文明工学的な認識を持ってもらうために、そういう会合を持ちました。税金の私物化などといわれることは全くないと思います。
次いで、トーキョーワンダーサイトについてでありますが、トーキョーワンダーサイトは私の発案で始めたものでありまして、ちょっと急いだために、立ち上がり時期の組織的な混乱がございました。それは認めまして、その改修に努めておりますが、その整備もいたしました。
いずれにしろ、現代美術というものは世界の最先端を行く芸術の一つでありまして、アジアや欧米の多くの都市が、既に若手芸術家の育成や交流事業を実に積極的に進めております。
しかし、この分野は非常に間口が狭く、限られた芸術家たちが切磋琢磨して作品を競い合っておりまして、発表や交流の場所の提供など、その活動を支援することが必要であると思っております。
国の文化政策でも、箱はつくりますけれども、人を育てるというものは、芸術の行政というのは見られません。これが非常におくれていることが日本にとっても大きなハンディキャップになると思いましたので、都の遊休施設を使って始めたものでありまして、交流会の開催なども若手作家たちへの支援の一環であります。
その結果、ワンダーサイトは国際的にも注目される活動拠点になりまして、ようやく日本のワンダーサイトが現代美術の世界のサーキットの中に入っていくことになりました。
ことしに入り、組織、人材も強化するとともに、昨年開設した青山の施設も活用して、海外のアーチストも呼び込んで交流を促進するなど、トーキョーワンダーサイトを東京の文化発信の先鋒として、積極的に事業展開をしていくつもりでございます。
新銀行東京についてでありますが、新銀行東京は、他の金融機関との厳しい競争にさらされながらも、資金繰りに苦しむ中小企業に対して積極的に融資を行ってまいりました。具体的には、融資・保証の九割以上は中小企業に対するものでありまして、その三割が赤字または債務超過の企業を対象としております。
予想を超える不良債権が発生しましたが、これは中小企業金融においても重要な役割を果たしていることに変わりはないと思いますが、ただ、例えば東京がやっておりますCLO、CBOのような、ああいうマーケットが証明したように、東京には非常に技術的な可能性の高い中小企業がたくさんございまして、それが結果として、既に五十五社も上場にこぎつけたわけですから、それを範として、大手の銀行が今まで手を出さなかった中小企業に融資をするようになりました。これはちょっと私たちの誤算でありまして、こういう環境の変化にやや適応し切れなかったといううらみがございます。
これは、今後とも、新銀行が経営に腐心して収益面の改善を図りつつ、中小企業支援を一層充実していくよう、必要な働きかけを都からも行っていくつもりであります。
次いで、福祉政策についてでありますが、福祉予算は、東京の予算は過去最高の総額になりました。その運営の仕方に共産党は異議があるようですけれども、いずれにしろ額は過去最高のものになったと思います。
お話の世論調査などの内容や前提についてはつまびらかにしておりませんが、その割に東京の福祉が非常に恵まれているというので、他県から引っ越してくる人が随分多いように聞いておりますけれども、私は、これまでの八年間、我が国の硬直した旧来のシステムを打ち破り、真に必要とする人への効率的、効果的なサービスが行き渡るよう、東京から日本を変えるという理念のもとに、認証保育所制度や東京ERの創設など、福祉改革、医療改革に取り組み、都民の負託にこたえてきたつもりでございます。
昨年末策定した「十年後の東京」では、これまでの取り組みを発展させ、お年寄りも子どもも、だれもが生き生き暮らせる、世界に先駆けた超高齢化社会の都市モデルを創造していこうと思っております。
そのため、見直すべきものは見直し、将来に対する布石として創設した福祉・健康安心基金も活用しながら、都民が真に必要とする政策に財源を集中投入することにより、大都市東京の持つポテンシャルを存分に引き出していきたいと思っております。
十年後の東京における都民生活の充実についてでありますが、「十年後の東京」は、東京を舞台に活躍し、生活する人たちが将来展望を持てるよう、都市インフラはもとより、生活、環境、産業などさまざまな分野で、東京の具体的な近未来図を明らかにしたものであります。
例えば福祉政策では、これまで取り組んできた施設整備や地域における支援体制の構築にとどまることなく、超高齢化社会をにらみ、自立した生活や在宅介護を援助する生活支援ロボットの開発促進など、そのほか三万人の障害者雇用の創出や待機児童五千人の解消など、具体的な目標を掲げて、将来の東京を描いております。
また、だれもがまちを自由に行動できるユニバーサルデザインのまちづくりや、一人一人の意欲や能力が発揮できるよう複線的な人材育成ルートを構築していくなど、東京に集う多種多様な人材が生き生きと安心してできる都市を目指しております。
したがって、共産党の指摘は全く当たりません。
他の質問については、関係局長から答弁いたします。
○産業労働局長(島田健一君) 七件の質問についてお答えをいたします。
まず、秋葉原ITセンターの事業者選定についてであります。
都は、秋葉原地区にIT関連産業の世界拠点を形成することを目指し、ITセンターに導入すべき機能の調査を行い、これを踏まえ、機能概要を盛り込んだ募集要項を作成し、事業計画等を公募いたしました。
提案された計画等について、学識経験者を含めた審査委員会を設置し、整備計画、周辺地域との連携等の項目について十分な審査を行うなど、適正な手続を経て、事業者を決定したところであります。
次に、新銀行東京についてであります。
新銀行東京は、資金繰りに苦しむ中小企業に対し、一万件以上の融資・保証を実施しており、中小企業金融において重要な役割を果たしております。
都は、出資者として、今後とも新銀行東京が、収入の確保や不良債権の抑制など、経営面の改善を進めつつ、中小企業に役立つ銀行として発展していくよう、必要な働きかけを行ってまいります。
次に、新銀行東京に対する日銀考査についてであります。
新銀行東京からは、二月下旬までの予定で、日本銀行法第四十四条に基づき、開業後初めてとなる日本銀行の考査が実施されていると聞いております。
考査は、日本銀行が、みずからの業務を適切に行うために、取引先金融機関等の業務や財産状況を調査するものであり、定例的なものと考えております。
次に、新銀行東京に対する金融庁からの文書についてであります。
金融庁は、銀行法に基づき、銀行の業務の健全かつ適切な運営を確保するため、必要に応じて、金融機関に対して報告を求めたり、検査等を行っております。
その内容については、金融庁、各金融機関ともに明らかにしておらず、新銀行東京においても同様であります。したがいまして、都としては、文書についても、内容についても存じません。
次に、雇用対策室の設置及び働く人々の実態調査についてであります。
都は、現在、雇用対策を専管する雇用就業部を設置し、総合的な取り組みを実施しており、改めて雇用対策室を設置する考えはございません。
また、実態調査については、就業構造基本調査に加え、毎月勤労統計調査や労働力調査等を実施し、都内で働く人々の就業実態の把握を行い、その結果を公表しております。
次に、最低賃金についてであります。
東京都内の最低賃金は、法に基づき、労働者の生計費、類似の労働者の賃金等を考慮し、国において、東京地方最低賃金審議会の審議を経て決定しておりまして、都として独自の基準をつくる考えはございません。
なお、現在、国において、最低賃金制度のあり方が検討されており、その動向を見守ってまいります。
最後に、若者を雇用した中小企業への助成などについてであります。
若年者の雇用就業促進について、都はこれまで、しごとセンターにおいて、本人に対する個別カウンセリングや各種セミナー等を実施してまいりました。
また、企業に対しては、若年者雇用に関する理解を得るため、企業向けセミナーを実施しておりますが、若者を雇用した中小企業への助成などについては考えておりません。
○知事本局長(山口一久君) 知事交際費に関するご質問にお答えいたします。
まず、唐津氏との懇談についてでございますが、知事が行う懇談は、都の政策を形成、実現するために必要なノウハウやサジェスチョンを得るために、各分野の専門家や有識者などに参加していただいているものでございますが、その内容については、相手方との信頼関係もあり、お答えできません。
次に、懇談と都政運営に関するご指摘についてでございますが、知事が行う懇談は、都の政策を形成、実現する上で必要と判断して行っているものであり、こうした会合で得られた有益な意見や情報などを生かし、都庁内部での検討や都議会でのご審議を得て、後々、具体的な施策として結実しているものと考えております。
次に、国会議員などとの懇談についてでございますが、都の政策を形成、実現する上で、大所高所からの知見や最新の国の動向などの情報収集が必要となる場合がございます。
これらの懇談は、当時、都の政策実現のために必要と判断した上で行われ、その費用は適正に支出されたものでございます。
今回の判決でも、相手が単に公務員であるというだけで、直ちに支出基準に抵触するという解釈はしておらず、相手がどのような立場であるかを考慮して判断すべきとしております。
次に、交際費の公開についてでございますが、これまでも交際費に関する公文書は、開示請求があればすべて開示してきており、棚上げしてきたとのご指摘は当たりません。
今後、より一層の透明性の向上を図るため、公文書の記載方法を改めるとともに、相手方の氏名を含め、ホームページでの全面公開を実施するものとしたものでございます。
最後に、懇談に対する公費支出についてでございますが、都の政策を形成、実現する上で必要であれば、その目的、内容、相手方などに応じて公費による懇談を行うことができるものと考えてございます。
また、懇談場所、時間についても、相手方のプライバシーへの配慮や双方の日程の都合により、庁舎外での夕刻以降となることも多くなります。庁舎外での夕刻以降の懇談も含めまして、その公費支出については、判決でも必要性が認められております。
○生活文化局長(渡辺日佐夫君) トーキョーワンダーサイトに関するご質問にお答えいたします。
まず、トーキョーワンダーサイトの運営についてでございます。
トーキョーワンダーサイトは、作品の展示だけではなく、美術や音楽など、いろいろな分野の新進若手芸術家が集い、議論し、切磋琢磨し合うことを目的に開設されたものでございます。
展覧会のオープニング等の際には、他の美術館等と同様に、レセプションや交流会を開催し、招待客や来館者に簡単な料理や飲み物を供しております。
また、アーチストや美術関係者などが相互交流、情報交換をしやすい環境を整えておくことも必要であり、飲食の提供もその一環でございます。
これらに要した経費につきましては、必要な範囲で支出されたものと認識しております。
次に、トーキョーワンダーサイトにおける、どら焼きなど飲食代の支出についてでございます。
トーキョーワンダーサイトでは、先ほど答弁したとおり、アーチスト相互の交流等に要した経費のほか、展覧会等のイベントの準備や事前打ち合わせなどに伴う費用も支出されており、これらを含め、ワンダーサイトの運営上、必要であったものと認識しております。
次に、石原延啓氏の名刺についてでございます。
石原延啓氏は、平成十五年三月はトーキョーワンダーサイトのアドバイザリーボード委員、また、平成十五年六月十日から翌年の三月末までの間はキュレーティングアーチストに位置づけられ、ボランティアとして活動をしておりました。その後も、同氏は、引き続き、ワンダーサイトをサポートするボランティアとして活動していたものでございます。
名刺は、これらの経緯から、トーキョーワンダーサイトの館長の判断で印刷したものと聞いております。
なお、名刺の作成、印刷経費につきましては、トーキョーワンダーサイトでは負担をしておりません。
○福祉保健局長(山内隆夫君) 八点の質問にお答えいたします。
まず、盲導犬のえさ代補助等についてでございます。
盲導犬の飼育費は、補装具や日常生活用具の維持経費に相当するものでございまして、従前から、それらの経費が自己負担であること、それとの整合性を図る必要があること、また、盲ろう者通訳介助者養成については、関係団体が平成十三年度から自主事業として行っていることなどから、いずれも事業終了したものでございまして、両事業とも再開することは考えておりません。
なお、都でも、盲導犬等の育成給付事業及び盲ろう者通訳介助者派遣事業のため、来年度予算案においても合わせて約六千万円を計上しております。
次に、住民税増税に連動する負担についてでございますが、我が国の社会保障制度は大きな転換点にあり、将来にわたり制度を安定的に維持していくためには、年齢にかかわらず、社会全体で支えることが不可欠でございます。
高齢者の中にも、現役世代並み、またはそれ以上の所得を得ている方もおり、高齢者は一律に弱者という先入観を排し、能力のある方に相応の負担を求めることは必要でございます。
平成十六年度の税制改正に伴う国民健康保険料、介護保険料などの負担については、激変緩和の仕組みが既に設けられており、都が独自に実施する考えはございません。
次に、低所得者層への対応についてでございますが、所得保障は、社会経済状況全体を踏まえ、基本的に国の責任で対応すべきものでございまして、各種年金や手当、さらに最後のセーフティーネットとしての生活保護などの諸制度が十分に整備されていると考えております。
また、低所得の人に対しては、老人保健制度や医療保険制度、介護保険制度の中で、各種のきめ細かな本人負担の軽減措置が設けられております。
これらの諸制度を、国と地方との役割分担のもと、公正かつ適切に実施していくことが、自治体の責務であると考えております。
次に、シルバーパス事業の経過措置についてでございますが、平成十八年度の経過措置は、税制改正に伴う一年間の激変緩和措置として実施したものでございます。
経過措置を十九年度も継続することについては、既に重ねて答弁申し上げているとおり、適切に対応してまいります。
次に、シルバーパスの利用者負担についてでございますが、シルバーパス事業は、若年世代との間に負担の不公平があるなどの課題があったことから、平成十二年に、都民の理解を得て見直しを行い、所得に応じて、区市町村民税非課税の方は千円、課税の方は二万五百十円の利用者負担をいただく仕組みとなっております。
ご提案の内容が、区市町村民税課税の方の二万五百十円の利用者負担を引き下げるという趣旨であれば、そうした措置を実施する考えはございません。
次に、医療制度についてでございますが、今回の医療制度の改正は、国民皆保険制度を堅持し、将来にわたり持続可能なものとしていくとともに、公平性の観点から、低所得者層に配慮した負担上限額を設定した上で、給付の適正化を図ったものであり、受診抑制というご指摘は当たらないと考えております。
疾病の予防についても、検診、保健指導の重点化、効率化を図るとともに、医療保険者に対し、四十歳以上の被保険者への検診や保健指導を義務づけるなど、早期発見、早期治療への取り組みを強化したものでございます。
次に、老人医療費助成制度についてでございますが、本制度など一連の経済給付的事業の見直しは、制度間の整合性や世代間の負担の公平性などの観点に立って、利用者本位の新しい福祉の実現を目指す福祉改革の一環として実施したものでございます。
また、本制度は、平成十二年の都議会における議論を経た上で、七年間にわたる経過措置を設けて、平成十九年六月末をもって廃止することが既に決定されております。
したがって、本制度の廃止を見直すつもりはございません。
最後に、年金の少ない高齢者等に対する手当の創設についてでございますが、生活保護の対象とならない低所得者層に対して、基本的に自治体が担うべき役割は、経済給付を行うことではなく、個々人のより自立した生活の実現に向けて、具体的なサービスの充実を図ることでございます。
こうした考えのもと、都においては、これまでも関係機関と連携した生活福祉資金等の貸し付けを行うほか、各種就労支援施策を実施しております。
また、住民に身近な区市町村においても、各種生活相談を実施するなど、サービスがきめ細かく提供されていると考えております。
今後とも、こうした施策を着実に進めていくことが重要であり、お話の手当を創設する考えはございません。
○総務局長(大原正行君) 都としての教員や消防士などの雇用拡大についてでございますが、都の職員採用は、事業執行に必要な人員の確保、職員の退職動向などを総合的に勘案して行っております。
現在、都では、行財政改革実行プログラムに基づき、平成十九年度からの三年間で、四千人程度の職員定数の削減に取り組んでいるところでございます。
今後とも、こうした内部努力を継続しつつ、事業動向などにも十分留意しながら、適切に職員採用を行ってまいります。
○都市整備局長(柿堺至君) 四点のご質問にお答え申し上げます。
まず、低家賃住宅の増設等についてでございますが、都内の住宅の数は世帯数を一割以上上回っており、さらに、将来的には人口減少社会の到来が見込まれております。こうした状況などを踏まえ、都営住宅については新規の建設を行わず、ストックを活用して、公平かつ的確に供給することとしており、低家賃の住宅を増設する考えはございません。
また、家賃助成については、生活保護制度との関係や財政負担のあり方など多くの課題があることから、都として創設することは考えておりません。
次に、外環に関する新聞報道についてでございますが、平成十九年一月六日付の日本経済新聞に、ご指摘のほかに、知事は外環道や圏央道の整備でも、都の資金支援が選択肢の一つになるとの見解を示したという記事が掲載されております。
次に、外環整備の財源についてでございますが、外環は、首都圏の交通渋滞の緩和や環境改善はもとより、都市再生に不可欠な路線でございます。
また、外環は、全国的な高速自動車交通網を新たに形成する国土開発幹線自動車道の予定路線に位置づけられており、国がその責任において整備すべき路線でございます。
最後に、都市計画審議会への付議についてでございますが、沿線の区長、市長からは、地下方式を採用した都市計画変更案に対して、同意または了承などの回答を得ております。
その上で、都市計画変更後の事業化に当たり、ジャンクション部の整備計画や周辺環境との調和などについて、具体的な対策を講じるよう要望されております。
都といたしましては、法に定める要件が整っていることから、速やかに三月の都市計画審議会の議を経て都市計画を定め、早期事業化が図られるよう、積極的に取り組んでまいります。
【再質問答弁】
○知事(石原慎太郎君) その件については、先ほど局長が答えたとおりでございます。
以上