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本会議 中途議決討論  二〇〇七年二月二一日

小竹ひろ子(文京区選出)

 日本共産党都議会議員団を代表して、第百十八号議案、「平成一八年度」東京都一般会計補正予算外、三議案に反対する立場から討論をおこないます。
 いま、多くの都民は、自民党政権のもとでの増税と社会保障の負担増、貧困と格差の拡大に苦しめられており、最終補正予算は、こうした都民のくらしと福祉を応援する立場で編制することがつよく求められているものです。
 ところが、知事が提案した一般会計補正予算は、都税収入が四千四百億円も増収となり、予算規模で鳥取県や高知県の年間予算を上まわる四千六百四十九億円も確保されながら、福祉や教育、中小企業対策などの都民施策にはふり向けられようとしていません。
 事業費としては、環状二号線の用地買収や豊洲の防潮護岸整備費などに二百五十億円も計上され、あいかわらず大型開発を優先するものとなっています。しかも、投資的経費のなかには、予算は計上したものの、今年度中に執行できる見通しがなく、最初から繰越明拠とされているものなど、来年度予算で対応すればよいものも含まれています。当初予算の投資的経費をすくなく見せ、補正予算で上乗せするという不正常なやり方はあらためるべきです。

 また、今回の補正予算では、障害者自立支援法の対応として百十四億円が組まれていますが、これは全額、国の財源で、国の緊急対策に対応するだけのものです。都独自の財政支出も対策も盛り込まれていません。
国の緊急対策は、自立支援法による障害者のあまりに重い負担増や、施設の減収への怒りがひろがり、異例の対応に踏み切らざるを得なかったものです。しかし、最大の問題である、応益負担はそのままとされており、これでは不十分です。
 都はホームヘルプサービスについては、三%負担に軽減する措置を実施していますが、さらに拡充することが必要です。都内の区市町村でも、荒川区をはじめ、都制度を上まわる独自軽減に次つぎふみだしています。横浜市では、すべての在宅サービスを対象に、住民税非課税世帯は自己負担なしの無料制度を継続しており、来年度予算案にも四億円余りを計上しています。都でも二十億円あれば、同様の無料制度を実施することができます。都として補正予算を組み、今年度分についてさかのぼって負担軽減を実施すべきです。
 都が「隠れ借金」としている減債基金の積み立て不足を充当するため三千二百五十一億円を計上していますが、来年度で六兆七千六百億円となる都債残高の半分は、石原知事のもとで借り入れたものです。石原知事が、投資的経費を抑制し、都債の発行額をバブル崩壊前の一九九二年度水準に抑えていれば、減債基金の不足は発生しなかったのです。

 知事、いま、東京都の予算に求められているのは、税金の使い方をあらためて、都民のくらし・福祉を応援する緊急の対策に優先的に予算を配分することです。調べてみると、新潟県は十二月補正予算で、難病患者の支援拠点整備費を予算化しています。神奈川県は、九月補正で県立学校体育施設耐震事業費などを計上しており、全国の自治体が、きびしい財政にもかかわらず、住民の要望や必要に応じてさまざまな分野で補正予算を組んでいることが見てとれます。これが当たり前の自治体の姿ではないでしょうか。
 東京は、とりわけ貧困と格差の拡大が深刻となっています。ワーキングプアや年金の少ない高齢者など所得格差を是正するための手当てやニートやフリーターなどの雇用創出、不足している介護施設の緊急整備補助、都立高校や看護学校などの授業料引き下げ、中小企業予算の増額など、都民の願いに応える活用の道はたくさんあるはずです。 
 わが党は、知事がオリンピックをテコとした大型開発優先の姿勢をあらため、大幅税収増を切実な都民要望の実現にふりむけるようつよくもとめて、討論を終わります。

以上