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2007年第1回定例会 文書質問趣意書

希望するすべての子どもたちに高校進学を保障することについて

2007年3月7日 清水ひで子(八王子市選出)

 今定例会本会議でわが党の松村議員は、99年度には96校あった夜間定時制高校が、統廃合により、この4月に向け生徒を募集したのは39校で、しかも今年度は一度に18校も募集停止になったため、2次試験でも多くの不合格者を生むのではと懸念されていることを指摘し、「夜間定時制高校は統廃合計画は見直し、募集再開を含め、生徒の実情にあった配置に改善するよう」求めました。
 中村教育長は「都立高校改革推進計画」に基づき、周辺の夜間定時制課程を統合しながら、昼夜間定時制独立校の整備をしており、今後も着実に計画を推進」と、今後も計画どおり統廃合を進めていく旨の答弁をしました。統廃合により生徒たちがどんな事態に陥り、どれだけ生徒たちの気持ちを傷つけているか、まったく理解していない答弁だといわざるをえません。
 私の地元の八王子市では、石原知事のもとで2002年に発表された都立高校改革推進計画、新たな実施計画により、市内の南多摩高校、富士森高校、第二商業高校、八王子工業高校の4校の夜間定時制高校が、昼夜間定時制の八王子拓真高校に統廃合されることとなり、今回の入試から4校とも募集停止となりました。
 かねてから八王子地域では、この統廃合と募集停止により、残った高校に応募が殺到し、2次募集でも合格できずに、卒業式まで進路の決まらない生徒が生まれるのではないかと懸念されていました。そして1次募集の合格発表が終わった今、その懸念が現実のものとなりつつあります。
 これまで都立高校の受験生たちは、もし失敗しても、定時制高校の2次募集に十分な枠があり、そこで受け入れてもらうことができました。しかし今年度は、これまであった4校がすべて募集停止、統合された八王子拓真高校は、1次募集から応募倍率が4倍となり、拓真高校だけで373人も不合格となったのです。市内の全日制の不合格者も合わせて398人にもなりました。それに対し市内の二次募集は、拓真高校の分割後期募集145人のみという、狭き門になってしまっているのです。
 受験した子どもたちの思いはどうだったでしょうか。3月1日に合格発表がありました。八王子市内のある中学校では、15人が八王子拓真高校を受けましたが、1人の男子しか合格しませんでした。その隣の中学校では、1人も合格しなかったといわれています。心を痛めた女子中学生が3月2日に書いた文章です。
 「私の意見がすこしでも参考になればうれしいです。私の学校では拓真高校をうけた子が15人です。その中でも私立を受けていない子がほとんどでした。みんなだめかもと言いながらテスト受けて、いっぱい面接の練習をしたりして、すごくがんばった子ばかりでした。しかし結果は男子1人しかうかりませんでした。落ちた子は働くって言ってる子ばかりで・・。がんばったけど勉強についていけず、内申が上がらなかった子もたくさんいました。高校に行きたい、でも受かる高校がない、でも私立をうけることはできない、だから拓真を受けたって子もいました。口では働くっていってるけど、やっぱり、高校に行きたいって思っているはずだから、少しでも募集してもらえるようになるとうれしいです。一人でも多く・・・お願いします。」
 また、ある男子生徒は、インターネットの日記に次のように綴っています。
 「高校落ちた。/あっけなかった。合格発表の紙見た瞬間、足の力が抜けて倒れた。/先生ごめん。/合格できなかった。/いろいろな事やってくれたのに。/期待に応えられなくて。親父ごめん。/絶対合格するっていったのに・・・。/ 中略 /またがんばるからさ。/応援してください。」

Q1,このような生徒たちの気持ちをどう思いますか。

 全日制の受験生のなかには、不合格なら私立高校に行く生徒もいるかもしれません。しかし、都立高校の授業料免除者は、石原都政7年間で、全日制と定時制あわせて6,739人(99年度)から16,135人と2.4倍にもなっていることからも明らかなように、経済の格差の拡大が教育の分野にも大きな影響を与え、都立高校でないと進学できないという生徒は増えているのです。
 都立がだめなら高校進学はあきらめるという生徒が多くなっているとき、都の対応がこれでいいのか、本当に疑問です。

Q2、高校で学びたいと考える子どもたち全員に学びの場を保障するのが、東京都教育委員会の重要な役割であり責任であると考えますが、どうですか。

 都教育委員会は、昼夜間定時制の独立校を開校するに際して、統合する対象校の生徒数に対応する定員を確保するという計画で、八王子地区でも必要な募集定員は確保している、高校進学を希望する生徒が通学可能な範囲の学校に入学できないということはない、と言います。
 しかし、これまでの例でも昼夜間定時制担った学校は、1次募集で倍率は2倍にも3倍にもなり、定員は埋まってしまいます。夜間定時制の代わりの役割は果たせないのです。
 数年前江東区で、周辺の夜間定時制が大江戸高校に統廃合されたときは、大江戸高校だけでなく、両国高校など残った夜間定時制の2次募集に応募が殺到し、夜間定時制を不合格になった生徒が64人も出てしまいました。
 他の昼夜間定時制高校やチャレンジスクールへの統廃合でも、多かれ少なかれ同じような状況が生まれ、都民やから批判されてきたのではないですか。

Q3、これまでの経験から、今年の入試で八王子地域でも同じことが起こると予測しなかったのですか。

 また都教委はこの間の都議会文教委員会で、八王子で不足しても、国立、府中、調布などの夜間定時制高校があるから、そこで受け入れることができると答弁しています。しかし、ある保護者は、「八王子の恩方中学校から八王子駅までの通学定期代は月22,320円、高尾駅までは19,440円です。これだけでも大きな額ですが、さらにJRや京王線の定期が必要となると大変な額となり、大きな負担です。比較的通いやすかった都立高陵高校、館高校が募集停止となり、数年後今度は、第二商業、八王子工業の募集停止と、通いやすい高校が次々なくなり、不安な気持ちでずっときました。夜間定時制4校の統廃合も、第2商業が昼夜間定時制の八王子拓真高校に変わることも、私たち保護者の誰1人望んだことではありません。中学校での説明を、驚きと不安で聞かされてきただけなのです」と述べています。
 国立がある、調布があるというのは、生徒や保護者の実態や気持ちとかけ離れた話です。

 その親御さんはまた、「親の感覚では、定時制が希望する生徒を受け入れないとは、まず理解できなかった」と言い、八王子拓真高校についても、お子さんが、「(午前、午後、夜間の)3部もあるのだから(入れるのではないか)」という親の言葉に「お母さんはなにもわかっていない」と泣いて訴えていた意味がわかり、愕然としたそうです。
 4倍という異常な倍率となり、発表のあった3月1日、「落ちちゃった」「だめだったよ」とお子さんのところに友人から次々と連絡が入ったそうです。「まだ14歳、15歳の子どもが学費だけでなく、定期代までも心配し、親に負担をかけまいと学校を選択し、がんばってきたことを、東京都の方に知ってほしい」と訴えています。
 保護者だけではありません。ある中学校の副校長先生も今回の事態を憂え、校長会でも緊急に対応を申し入れることを検討したり、いろいろと努力しているとのことです。現場を知る教職員をはじめとする多くの関係者が、生徒たちの現状から、このまま放っておくことは出来ないと考えているのです。

Q4、校長会をはじめ、教育関係者、都民などからどんな要望かあがっていますか。お示しください。またそれらの要望を重く受け止め、対応すべきと考えますが、どうですか。

 3月6日、2次募集の応募倍率が発表されました。八王子拓真高校は344人、2.37倍の応募で、およそ200人も不合格になってしまいます。この200人の子どもたちの未来をくじくようなことがあってはなりません。
 どう考えても募集定員が足りません。神奈川県では2003年春に、統廃合により定時制高校に応募が殺到するという事態になり、3次募集までおこない枠を増やしました。このように、1度計画したことでも、その結果起こったことを謙虚に受け止め、募集枠、募集人員を急遽増やし対応しているところもあるのです。

Q5、都教委として、今年の受験生の高校進学を保障できるよう、緊急に、八王子の南多摩高校など今回募集停止となった定時制高校の募集を再開する、八王子拓真高校の募集を増やすなど、今からでも対策をとることを求めます。

Q6、来年は、十分な定時制の枠が確保できるよう、今年の事態をきちんと分析し、生徒の希望や通学事情などの実態に即して必要な定員枠を確保できるよう、本格的に夜間定時制の募集を再開する措置をとることを求めます。

Q7、経済格差の拡大の中で、交通費負担の少ないところでなくては通えない、都立でなくては行けない生徒が増えています。そうした状況の変化がある中で「都立高校改革推進計画」を遮二無二すすめるのでなく、いったん立ち止まり、生徒の実情にあった内容に、見直し・改善をすべきだと思いますが、見解を伺います。

以上