過去のページ

 「道路特定財源の首都東京の道路整備への重点投資と首都圏の高速道路料金の引き下げに関する意見書」案に対する討論

二〇〇七年十月五日 松村友昭(練馬区選出)

 日本共産党都議団を代表して、「道路特定財源の首都東京の道路整備への重点投資と首都圏の高速道路料金の引き下げに関する意見書」案に反対する立場から討論をおこないます。
 そもそも都議会では、意見書案は各常任委員会にはかり、全会一致したものに限り、本会議に付議するということが、長年にわたり確認されてきました。都議会として意見書を提出するというのであれば、少数意見も尊重し、都議会の総意とすることがふさわしいからにほかなりません。
 しかるに、自民党、民主党、公明党は常任委員会で不調に終わった意見書案を本会議に提出し、多数の力で強引に採択しようとしています。議会人としての良識にもとづき、歴史的に築かれた都議会の誇るべき民主的ルールを守るようつよく求めるものです。

 提案された意見書案は第一に、ガソリン税を原資とする道路特定財源を、「東京の道路整備が著しく立ち遅れ」ているとして、三環状道路をはじめとする大型幹線道路などに集中的に投資することを求めるものです。
 今日、道路を中心とした公共事業は、そのあり方について世界的に見直しがおこなわれているものであり、わが国においても、公共事業の抑制方針にもとづいて毎年、若干ではあるものの予算の削減にとりくまれているものです。
 一方、東京の道路整備は、世界の主要都市と比べて遜色はありません。道路整備の立ちおくれというのは、戦後の時期につくられた都市計画道路の計画を基準にしているものですが、この計画自体、高度成長期の右肩上がりの経済成長を前提に計画されたもので、今日では、実態にあわない過大な計画となっています。
 くわえて、都民の健康や環境の破壊などの弊害も都民生活をおびやかすものとなっており、そのあり方の見直しが迫られていることも指摘しないわけにはいきません。

 第二に、首都圏の高速道路料金の引き下げについてですが、料金を適正なものに改善することは当然です。昨年、道路公団四社が民営化されましたが、その際に、その高コスト構造が問題となったところです。このため圏央道などでは、高額化が予想される料金を抑制するために、税金で道路を建設する新直轄事業方式が導入され、都財政に多大な負担をもたらしています。こうした採算を度外視した過大な投資などにメスを入れることなしに料金の引き下げをはかることは、あらたな都財政負担、すなわち都民の税金を投入する道を拡大し、都民施策にも重大な影響を及ぼすものとなる危険の強いものです。
 結局、意見書は、石原都政のオリンピック招致をテコにした、三環状道路をはじめとする八兆五千億円を超える投資を促進することを意図したものといわざるをえないものであり、反対するものです。

以上