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文書質問趣意書

バードアイランド三宅島の復興を

2007年6月25日
古館和憲 (板橋区選出)

一 バードアイランド三宅島の復興を

 三宅島は、富士箱根伊豆国立公園に指定され、全島が何らかの形で自然保護地区に指定されているなど、貴重な自然遺産となっています。しかも、三宅島は別名バードアイランドと呼ばれているように、鳥のさえずりがいたるところで聴こえ、アカコッコ館一帯では、ウグイスをはじめさまざまな鳥のさえずりがいっそう広がっている文字通りの鳥たちの聖地です。

 この6月13日、わが党都議団は三宅村が運営している「自然ふれあいセンター『アカコッコ館』」を訪ねて、専門のレンジャーの方々と懇談する機会を得ました。案内リーフでは「三宅島の特色ある自然を生かし、自然とのふれあいを深め、そして自然保護、環境教育の拠点とするために一九九三年に三宅村が三宅島野鳥公園の中心施設として整備されたもの」と記されています。この「アカコッコ館」では、「日本野鳥の会」の専門のレンジャーが常駐しており、その方々から直接お話をうかがうことができました。

 三宅島には250種の野鳥の生息が観測されており、火山災害を受けながらも人々の安らぎと生きる勇気を与えていることも確認することができました。とりわけ、三宅の象徴ともされている貴重な鳥として世界的にも知られているアカコッコは、伊豆諸島とトカラ列島でのみ繁殖する日本固有のツグミの仲間で、国の天然記念物であるとともに、絶滅危惧種の1B類と、もっとも絶滅の恐れが高いものとして指定され、その保護が喫緊の課題となっているのです。海外からも研究者をはじめ、多くの人々が三宅島を訪れ、5月、6月は来島者の8割から9割がバードウォッチングに来る方々だとのことです。

 その三宅島では、現在、公道レースは断念にいたったものの、石原知事のトップダウンでバイクイベントが計画されています。また、最近、発表された「三宅島バイク・フェスタ案」では、三宅島を「バイクアイランド」とすることがうたわれています。しかし、バイクアイランドということになれば、公道だけでなく農道や細い道路をモトクロスのようにバイクが走り回ることが容易に考えられ、野鳥の安息の場が失われ、深刻な自然破壊を引き起こすことにつながりかねません。

よって、以下、答弁を求めます。

Q1 島外からのオートバイの増加が、もたらす野島への影響や三宅島の自然破壊についてどう考えているのか。

Q2 公道レースはいかなる形でも実施しないことはもちろん。自然保護の観点から、「バイクアイランド」を目的としたバイクイベントの企画そのものについて抜本的に見直すことが必要と考えられるが、どうか。

Q3 アカコッコに象徴されるバードアイランド三宅島の広報・宣伝や、「アカコッコ館」を設置、運営している三宅村の自然保護の取組みに対する財政支援など、都として支援を強めること。

Q4 「野鳥の会」などの自然保護にとりくむ団体などへの支援を強めること。

Q5 都内の小・中・高校生たちが、火山とともにそこで共生している鳥たちとの自然に触れるとりくみなどを奨励するとともに、渡航費用の軽減などの支援をおこなうことなども、意義ある取組みと思うが、どうか。

古館和憲議員の文書質問に対する答弁書

回答1 オートバイ愛好者の来島が激増し、島の自然環境に影響を及ぼすおそれがあると考えられるような事態が生じた場合には、三宅村において、貴重な島の自然を守るために、適切な対応をとるものと考えます。

回答2 バイクイベントは、島の復興に向けた起爆剤となるよう、オートバイを核として島への関心を高め、年間を通じた来島者の増加を図るために開催するものです。
 現在、NPO法人と三宅村が中心となり、多くの人が楽しめる魅力あるものとなるよう、イベントの内容を検討しています。
都としても、このイベントの成功に向け全力で支援していきます。

回答3 アカコッコ館の再開及び運営をはじめ、三宅村の自然保護の取組に対しては、三宅島災害復旧・復興特別交付金の交付等により支援を行っています。

回答4 東京における自然の保護と回復を図るためには、行政、都民、企業等の様々な主体が協働して取り組んでいくことが重要です。
そこで、都は、自然保護に取り組む団体等の自主的・継続的な活動を促進するため、ホームページを活用してボランティア活動を希望する都民との仲介を行うとともに、求めに応じて指導者の紹介等を行っています。
 さらに、鳥獣保護の分野では、傷病を負った野生動物の保護や鳥獣保護の普及啓発などについて、「日本野鳥の会」などの自然保護団体等と連携して実施しており、今後も引き続き協働して取り組んでいきます。

回答5 三宅島の自然に触れる体験学習等の実施については、各学校等がそれぞれの教育方針に基づき、主体的に判断すべきものです。
都として、渡航費用の軽減措置等の支援は考えていません。

以上