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第四回定例会 代表質問 二〇〇七年一二月一一日
曽根はじめ(北区選出)
貧困と格差を放置し、オリンピックに税金投入
早くもゆがみ明らかな新銀行東京、認証保育所などで深刻な問題
所信表明で都民の苦しみに言及せず
庶民減税、抜本的な雇用対策や経済支援が必要
税収増を高齢者に還元すべき
ネットカフェ難民対策の拡充を
官製ワーキングプアの是正を
都政の最大の焦点・・オリンピック
メインスタジアムだけで四千七百億円
競技施設の維持・管理費で年間二百億円負担増
各局の予算をオリンピックに動員するな
オリンピック関連投資は九兆円に
緑の公園をつぶして競技施設建設
東京電力に利益誘導型の協力依頼
世論調査は公正、客観性が保証される方法で
新銀行の累積損失は九三六億円
民間から見放された新銀行
いさぎよく経営破たんを認めるべき
営利企業による認証保育所でルール違反
設置運営基準自体の強化、改善への支援を
認証保育所の三分の一で問題点の文書指摘が
問題の早期発見・早期解決にむけ、指導検査体制強化を
【再質問】
日本共産党都議団を代表して質問します。
二年前、私は都民の深刻な貧困と格差の是正を提起しましたが、知事は「東京にはさしたる貧困も格差もない」と開き直りました。
いま、貧困と格差があらゆる分野に拡大し、社会の歪みとなっていることが共通認識となりました。
これは、十年来の「構造改革路線」のもとで、雇用の破壊、中小企業の切りすて、庶民増税や医療・介護など負担増がもたらしたものです。
都の福祉保健基礎調査では、この九年間で年収三百万円未満の世帯が九六年の十五%から二七%へと倍近くに増え、別の調査では、勤労者の階層別賃金は、高額所得階層が六年間で平均十五%伸びた一方で、低所得層の平均賃金は逆に四割も減っています。貧困化が格差を激しくしているのです。
それに加えて、都民を直撃しているのが、原油高騰に端を発したガソリンや灯油、商工業者の原材料、食料品や生活必需品にまで及ぶ物価高騰の動きです。
灯油は三年前の十八g千円が現在、配達で千八百円。年明けには二千円を越すといわれ、低所得者のぎりぎりのくらしを脅かしています。北区に住む七八歳の男性は「昼間は外で過ごして石油ストーブは夕方だけ。どうしても寒いときはガスコンロで暖をとる」と話しています。穀物など輸入品も上昇し、ビール、食パン、即席めんなどの食料品、紙類など生活用品も上がり、ガス・電気も値上げが予告されています。
中小零細業者も、原材料が上がるなかで、値上げを価格に転嫁できず苦しんでいます。
知事は所信表明でこうした都民の苦しみに言及しませんでした。都民の貧困と格差の増大、そして物価高騰について、どう認識し、対処するのか、都民の前に明らかにすべきです。答弁を求めます。
私は、物価対策として、かつてオイルショックの際に物価Gメンを配置して洗剤などのため込みを摘発したように、必要な調査体制をとり、大企業の不当な便乗値上げを監視するとともに、原油価格の上昇により都民生活に影響を及ぼすことのないよう、国につよく要望すべきと思うが、所見を伺う。
また、国が灯油代補助を支援する方向であり、都としても区市町村と連携して所得の低い世帯に対する灯油代への助成などを実施することを提案します。いかがですか。
また、国にガソリン税の軽減などをつよくもとめるとともに、重油などを使う公衆浴場への燃料代やガスへの切りかえなど設備更新に思いきった助成をおこなうことなどが急がれていると思いますが、それぞれ、答弁を求めます。
貧困をなくし、格差を是正するために庶民減税はもとより、抜本的な雇用対策や経済支援が必要です。ところが、こともあろうに石原知事は、個人都民税の減税の公約を撤回したのです。しかもその代わりに「公約の進化」だといってもちだした施策はきわめて不十分です。
都が失業者の生活保障の経済給付を職業訓練期間に限定して盛り込んだことは、対象者が極めて限定されているとはいえ、わが党の主張の一部が実現したものです。しかし、都民税減税の対象者が八十万人で七十億円規模だったのにたいし、今回、経済給付の対象は三年間でも二万人程度、金額も二十億円程度に過ぎません。しかも施策のほとんどは貸付や相談窓口などで、きわめて不十分なものであり、高齢者などは対象にすらなっていません。
私は、都が以下のことを実施するよう提案します。
まず高齢者です。
老年者控除の廃止など高齢者への年金課税の強化によって、六十万人をこえる高齢者が増税となり、二十二万人の高齢者が新たに住民税課税となりました。高齢者は百億円近い増税になっています。この税収増を、くらしが大変な高齢者に還元すべきだと思いますが、どうですか。
また、住民税課税となった高齢者へのシルバーパスの負担軽減の継続が必要です。答え下さい。
後期高齢者医療制度について、知事は前定例会で「貧しい年寄りは早く死ねということになってはけっしてならない」と答弁しましたが、示された保険料は、平均十万二千九百円、加入者の九割以上が増額、二倍前後の負担増もでるというものです。
知事、国に後期高齢者医療制度の、四月実施中止を求めるべきではありませんか。あくまで国が実施する場合、広域連合が実施する健診などへの財政支援をおこなうべきです。お答えください。
保険料引き下げに向けた都の支援をつよく求めておきます。
次に、ワーキングプア対策です。
今回の都のワーキングプア対策は、「ネットカフェ難民」対策を除けば、相談窓口設置と貸付程度に限られています。
「ネットカフェ難民」対策も、対象や対策の内容が不十分である上、職業訓練を既存の訓練の枠内でおこなうため一般の受講者が締め出されかねません。対象を広げ別枠で希望者に応じて拡充すべきです。
貸付は、半年がたつと返済がはじまるなど失業者やネットカフェ難民には条件が厳しすぎます。返済免除も必要です。少なくとも据え置き期間を三年程度に設定すべきと思いますが、それぞれ答弁を求めます。
東京都の仕事をする労働者のなかにワーキングプアをつくり拡大させてきた、いわゆる「官製ワーキングプア」の是正をさけては通れません。
八年間の石原都政は、一万二千人の職員定数を削減し、非正規職員や安上がりの民間企業委託を増やしてきました。いま、正規職員十六万六千人に対し約二万三千人の非正規職員がおり、公社・監理団体にも三千七百人の非常勤や派遣職員が働いています。
臨時職員は、学校を除く都の事務系職場で年間延べ四千五百人近く働いていますが、交通費込みで時給七九四円です。民間のアルバイトよりも低い低賃金を強いられており、まさに官製ワーキングプアがつくられています。
財務局は交通費込みで時給七百九十四円という参考単価を各局に提示していますが、これでまともな生活ができると思うのですか。都の臨時職員の賃金を、少なくとも時給千円以上に改善するとともに、交通費は別支給にすること。さらに正規職員化をすすめるべきです。
消費生活センターの相談員やウイメンズプラザなどの専門職の非常勤職員は、都職員と同等の仕事に就きながら、月収は三分の一以下で、ベテランになればなるほど格差は開くばかりです。本来は、都の正規職員として位置づけることが必要です。少なくとも、都の職員と同等の待遇を保障すべきです。それぞれ答弁を求めます。
コスト第一の民間委託によって、例えば、都庁の清掃に従事する企業で働く人は、月十数万円程度で働かざるをえない人が多いのが実態です。こうした状況をどう認識しているのですか。ワーキングプアをつくりだしているとしか思えません。コスト削減第一の安易な委託は抜本的に見直すべきではないか、知事の答弁を求めます。
いま浪費に浪費を重ねるという点でも環境対策という点でも、オリンピックをどうするかが、都政をめぐる最大の焦点になっています。
先日、オリンピック招致委員会が、「開催基本計画」を発表し、IOCによる開催都市の選考にあたっての基本的な計画が明らかにされました。
この計画は競技施設を中心に変更がくわえられ、これまでの「開催概要計画書」以上に、財政規模が拡大され、環境破壊をもたらす危険のつよいものです。
まず、財政です。第一に競技施設建設にかかわる費用ですが、全体として都民の批判のつよいハコ物行政が復活したといわざるを得ません。なかでも、メインスタジアムは国立競技場とは別にわざわざ都立で建設することになりました。しかも建設される晴海地区が、地震の際に、液状化が必至と言われており、運河に架ける避難用の橋梁や、護岸改修が欠かせないなど、その経費は大きくふくらみます。くわえて交通アクセスのために、大江戸線勝どき駅の改修や動く歩道、暑さ対策としてのドライミストの設置、連結バスの導入などをおこないます。全体としてメインスタジアム関連だけで最低でも四千七百億円必要となります。
さらに十一の競技施設が変更され、なかでも屋内競技施設の新設を四つもおこなうことになったため経費が増大します。バレーボール会場は、既存の駒沢競技場を改修して活用することをやめて代々木公園のB地区に新設で建設されることになり、百億円が必要となります。また、中央防波堤の水路に決定したボート競技も、水門や護岸整備などであらたに百七十億円もかかります。
第二に、オリンピックが終わった後の競技施設の維持・管理費の問題です。これは長期の負担となるためオリンピックを開催した多くの都市で、赤字を増やす要因になっています。だからこそIOCも新規建設を抑制し、既存施設や仮設施設の活用をもとめているのです。ところがあらたに六つものハコ物をつくるため、その維持・管理費だけでも、わが党の推定では年間二百億円になると思われます。仮にPFIでやるにしても、後利用が見込めない限り、都の補助だのみになることは明らかです。
知事、施設の建設費、さらには維持・管理費にいくらかかるのか、どのくらいの利用を見こみ、財政収支をどう見こむのか、都民に明らかにすべきです。お答えください。
第三に、招致活動でも莫大なお金がつぎ込まれていることです。
招致経費のうち、都の負担分は十五億円とされてきましたが、来年度予算もふくめるとオリンピック招致本部の関係予算だけですでに五十一億円と、これをおおきく上回ります。これ以外にも、年度途中にもかかわらず、各局の経費の中でさまざまな形でオリンピックキャンペーンが実施されています。例えば、商店街から喜ばれ、予算が足りないといわれている「新元気を出せ商店街事業」では、当初の予算段階ではなかったオリンピックのフラッグ掲揚が事業として追加され、一億円以上が充てられています。「年末大売り出しの旗を出せないで困っている」「お金は年末のイベントなどにまわして欲しい」などの批判の声があげられています。
六千三百万円かけたみどりの基金のテレビスポットも、いつの間にかオリンピック宣伝になっています。交通局は地下鉄の駅のコンコースでオリンピックPRとスタンプラリーをおこなっています。
知事、このままでは、オリンピック経費はふくれあがる一方です。もっと抑えるべきではありませんか。大体、四十億円集めるとした企業の協賛金はいくら集まっているのですか。
各局の予算は本来の目的につかうべきであり、オリンピックに動員されるようなことがあってはならないと考えますが、知事、どうですか。
また、公社などの都の外郭団体に寄付金を要請したそうですが、これは税金の還流となるもので許されません。それぞれ知事の答弁を求めます。
一番金額がかさむのは、オリンピックをテコにしたインフラ整備です。
三環状道路をはじめ、オリンピックに間に合わせるためのインフラ整備は約七兆円、都の負担は三兆円にもなりかねません。知事、これだけの投資をこの十年間にやることはあまりに無謀です。
なかでも地元住民や自治体から批判や反対の声があげられている外環道は、国の新直轄方式でも三千三百七十五億円、新会社と折半では六千七百五十億円という莫大な持ち出しとなるもので、知事が、建設を急げば急ぐほど、東京都の負担が増え、場合によっては、一兆三五〇〇億円を東京都が丸抱えすることにもなりかねないのもです。これに六千億円の上部道路がくわわります。
少なくとも、外環道の早期建設を見合わせ、再検討すべきです。
また、知事が無責任に言及した羽田・築地間のトンネル道路や横田基地と都心を結ぶ高速道路「多摩新宿線」は建設しないと言明すべきです。それぞれ知事の答弁を求めます。
オリンピック関連投資は総額九兆円におよび、都の負担はその半分にも達するもので、オリンピック計画を白紙に戻すことこそ求められていることを、重ねて指摘しておくものです。
知事は、オリンピックに向け、「あらたに千ヘクタールのみどりをふやす」、「世界で最も環境負荷の少ない都市をつくる」などの目標を掲げています。わが党は、これが〃絵に描いた餅〃に過ぎないことをかねてからしてきしています。
今回の変更で、あらたに建設される競技施設のほとんどが、夢の島公園や代々木公園などの都立公園に建設が予定されており、恒久施設のところは、半永久的に緑が失われることになります。いずれも都民の憩いの場として多くの都民に利用されている所ばかりです。
また、知事は、中央防波堤内側に八十八ヘクタールの「海の森」をつくると宣伝していますが、この間に二千七百ヘクタールの緑が失われるのを放置してきただけでなく、あららたに稲城市の南山丘陵の開発計画をすすめることで六十三ヘクタールもの緑をつぶそうとしています。大体、二十三区の人口一人当たりの都市公園面積も二・九平方メートルと大都市平均の四割にも満たず最低をつづけているではありませんか。
知事、緑の公園をつぶして、どうして環境に配慮したオリンピックと言えるのですか、見解を伺います。
東京都がなりふりかまわずすすめているオリンピック招致活動にも、疑問と批判の声があげられています。
知事は署名が百万人集まったなどと胸を張っていますが、その実態は、町会や企業を通じて、なかば強制的に集めたという批判のつよいものです。町会の回覧板でまわされてきて、新聞の投書欄には、「拒否することに勇気が必要だった」「ただちにやめて欲しい」などという声が掲載されています。
わが党が入手した資料によれば、石原知事の要請をうけた東京電力で職場ぐるみ、利益誘導型の署名集めがおこなわれていたことが明らかになりました。本社総務部長から各部長、各所長などに協力依頼のメールが発信され、選手村でのヒートポンプ熱源や原子力発電など、オリンピックに協力することが東京電力のメリットになることが、都副知事のコメントとともに書き込まれています。露骨な利益誘導の協力依頼です。
また、小中学校の授業時間中にオリンピックイベントを開かせ、生徒を参加させるなど、招致活動に教育を巻きこむことも各地でおこなわれています。
知事、企業ぐるみの署名活動や強制に近い署名、さらには教育を巻きこむようなことは、あらためるべきですが、答弁を求めます。
東京都はこうした異常とも言えるキャンペーンを展開したうえで、今月上旬に実施した世論調査の結果を発表しました。賛成が六二%と、目標とした七十%には達しませんでした。しかも、今回の調査は、調査専門会社に登録されたモニターによるインターネット調査であり一般的な無差別調査と異なり、思考や興味、年齢などに偏りがあることから、意志決定のデータとしては「代表性の問題」から向いていないことを調査会社自体が明確にしているものです。都民を対象にした世論調査では、オリンピック招致の中止、再検討を求めるものが、「読売」で六七%、「朝日」六九%となっているのです。
世論調査というなら、オリンピックに関連していくらのお金を使うのか明らかにすべきです。また、無差別抽出による公正で、客観性が保証される方法で実施すべきです。知事の答弁を求めます。
つぎに、知事のトップダウン事業のなかでとりわけ破たんが深刻な新銀行東京についてただします。先月末、二〇〇八年の中間決算が発表されました。不良債権処理のための経費が計画の一・六倍の七一億円、累積損失がわずか二年半で都の出資金の一千億円の九四%にあたる九三六億円に達するなど、今年三月の決算からも、都が六月に策定した「新中期経営計画」からも、後退するという深刻なものでした。都民に衝撃をあたえ、マスコミも、「存続は重大な局面を迎えている」「まさに背水の陣」と厳しい評価をくだしています。
本業の融資による収益は十六億円にすぎず、人件費だけで終わってしまいます。不良債権を四六億円も償却したのに、個別引当金があらたに積み増しされるなど、融資業務は改善どころか、悪化の一途をたどっています。さらに深刻なことは、融資がゆきづまっているために、預金の五割が預金の利息より低い利息収入しかない国債の購入に充てられているため、莫大な損失がうみだされていることです。「企業として成り立っていない」のです。
なのにこの銀行を立ち上げた張本人である石原知事は、本議会の所信表明で一言もふれませんでした。ほんとうに無責任です。しかも、打開策は事態をさらに悪化させるものです。
第一に、元副知事にくわえ、都の港湾局長を代表執行役として派遣し、「都のポテンシャルを活用」するとしていることです。
知事は、民間でなければできないとくり返し表明してきたではありませんか。なぜ、いまになって、次つぎと銀行経営の素人である都職員を経営の中枢に送り込むのですか。大体、この人たちは、新銀行設立の当初からかかわり、失敗の原因となった経営計画を立案してきた当事者ではありませんか。この人たちを、経営陣のトップにすえざるを得ないこと自体、新銀行がもはや民間からも見放されたことを示すものにほかなりません。知事、見解を伺います。
また、「都のポテンシャルの活用」ということが、臨海副都心開発やオリンピックのための公共事業の資金調達や債券発行に新銀行を活用するということであれば、形をかえた税金による救済です。文字通り、東京都の丸がかえ銀行ともいうべきものになります。しかも、「中小企業」に役立つ銀行という設立目的を自ら否定することになり、存続の意味はまったくなくなります。知事の見解を求めます。
第二に、旧BNPパリバ信託銀行の業務を活用することで、経営立て直しをはかるとしていることです。信託業務の活用は金融商品などのハイリスクの投資を増やすことになり、銀行経営のリスクを大きくします。
大体、パリバ信託銀行自体が信託業務で失敗したからこそ、新銀行に身売りしたのです。しかも、それを金融や投資の経験もなく、官の世界から派遣された経営者にゆだねるというのでは、無謀としかいいようがありません。知事、どうですか。
知事、いさぎよく経営破たんを認めるべきではありませんか。今度こそ、部下に責任をとらせるのではなく、設立の責任者として自らが責任をとるべきです。ただちに、第三者委員会を設置して、破たん処理にふみだすべきですが、答弁を求めます。
第三に、知事は、追加出資について、いまはしないが、経営陣から「ニーズ」があれば考えるべきと表明しました。きっぱりと追加出資はしないと都民に約束すべきです。答弁を求めます。
最後に認証保育所の問題です。
わが党の調査で、石原知事が福祉施策の目玉としてきた営利企業による認証保育所制度の欠陥が、あきらかになりました。
第一に、ルール違反がはびこっていることです。
株式会社が設置運営しているじゃんぐる保育園の問題は、とりわけ重大です。
都の認証保育所事業実施要綱で専任の施設長をおくことが義務づけられているのに長期にわたり施設長がいない、開設申請書の職員名簿のうち五人は虚偽申請の疑いがあり、七人の保育士が必要なのに開設時は二人しかおらず、この十一月末まで七人そろったことがありませんでした。問題発覚後、じゃんぐる保育園は施設長について、実名をあげて長期欠勤状態だと説明した、代表・三谷氏名の十二月三日付の「お詫び」の文書を保護者に配布しました。しかし、東京都はこの方を施設長として受理していません。またしても虚偽の説明をくりかえしています。
そもそも、昨年六月の開設当初から数々の問題があったのに、都が立ち入り調査をしたのがことしの八月というのは遅すぎます。調査後の対応も不十分で、保護者や保育士がかねてから要望していた階段の子ども用手すりも設置されず、十月末には子どもの転落事故が起きています。調査後にきびんな対応をしていたら事故をふせげたはずです。
施設長が長期間いない問題や、職員の架空申請などの数々の不正疑惑、子どもの安全が確保されていない実態などについて、どう認識しているのですか。徹底調査をおこない、子どもや職員に不利益がおよばないよう万全の配慮をしつつ、厳正に対処すべきと考えますが、それぞれ、知事の答弁を求めます。
いまひとつは、認証保育所A型の設置運営基準があまりにも不十分であり、緊急に改善が必要なことです。
第一に、乳児の部屋と幼児の部屋をきちんと仕切ること。せめて、固定式の柵の設置を義務づけること。
第二に、火を常用する飲食店などの上の階への設置は認めないことや、子どもといっしょに避難できるような非常階段など安全面の基準を強化すること。
第三に、園庭に代わる施設を認める場合は、例えば、子どもの足で移動時間十分以内、幹線道路は横断しないなどの基準を明確にすること。
第四に、十三時間開所にふさわしい職員配置への改善や、職員の待遇改善をすすめ、経験年数がながい保育士を雇用することができるようにすること。
以上四点について、設置運営基準自体を強化するとともに、各園における改善にむけた努力を支援することが必要だと考えますが、それぞれ見解を伺います。
私が指摘したことは、保育の質の確保よりも、企業参入拡大を最優先にしてきた知事の政策の問題です。
わが党は、認証保育所に対する過去二年の指導検査結果を分析しましたが、おどろくべきことに、全施設の三分の一がさまざまな問題点を文書で指摘されています。認可保育所への文書指摘はせいぜい一割程度で、実務上の問題ですから、この面からも認証保育所に大きな問題があることが浮きぼりになっています。とりわけ営利企業によるものは業界大手もふくめ、職員数が足りないなど重大な問題が多く、改善されない傾向があきらかになりました。
二〇〇六年度では、営利企業の五十四施設に文書指摘がありました。「毎月の避難訓練・消火訓練を実施していない」二十一施設、「施設長が他の業務を兼務している」十六施設、「開所時間は二名以上の保育士を配置するルールを守っておらず、朝晩など一人体制になっている」が四施設。その他、「必要な職員数が足りない」、「保育士資格がある職員がいない」、「正規職員がいない」など事態は重大です。
前年度に指摘をされ「改善済み」と報告されているのに、翌年度また同じ指摘がくりかえされている場合もあります。
知事、認証保育所に対する都の指導検査の結果を、どう認識しているのですか。
二〇〇五年に日本女子大学大学院が、認証保育所の施設環境の現状を調査し、課題をとりまとめた研究成果を発表しています。それによれば、児童一人あたりの面積が認可保育所にくらべて狭い、園庭がない、遊戯室がない、採光が不十分などの課題をあげ、認証保育所に偏重することは、「認可保育所を含めた保育施設全体の水準をひきさげかねない」と結論づけています。すでに三年前に、こういう指摘がされ、その後、営利企業による認証保育所のさまざまな問題があきらかになっているのです。
企業参入推進について、保育の質の確保を最優先にする立場から再検討すること、待機児解消は認可保育所への支援を抜本的につよめ、その増設と拡充を基本にすえることを求めるものです。知事の見解を伺います。
また、問題の早期発見・早期解決にむけ、指導検査体制強化が必要だと思いますが、答弁を求め、再質問を留保し、質問を終わります。
何点か、知事に再質問いたします。
まず、認証保育所について、三点質問します。
第一は、じゃんぐる保育園の事態の認識についてです。
都はようやく文書指導しましたが、我が党の調査では、その指導内容は、要綱で定めた要件を有しない人が施設長とされている、職員数が足りない、労働者名簿が整備されていないなど、二十一項目に及ぶ重大なものです。
知事、これが保育園としてあってはならない深刻な問題だという認識があるのですか。職員の架空申請など、補助金不正受給の疑惑まで踏み込んで調べるのかどうか、答えてください。
第二は、設置基準の問題です。
じゃんぐる保育園の保育室は、乳児と幼児の部屋の仕切りがないワンルームです。こんな認可保育所はありません。せめて固定式のさくの設置が必要ではないのですか。
安全に配慮しているといわれましたが、階段に子ども用手すりの設置は必要ないのですか。
園庭の代替施設について、じゃんぐる保育園の場合、子どもの足で二十分かかることを、我が党は現地調査で確認しています。これでも問題ないのですか。それぞれ答えてください。
第三は、指導検査結果の問題です。
認可保育所も営利企業の認証保育所も違いないかのような答弁でしたが、ごまかさないでください。我が党は認可の結果も調べています。
認可保育所の場合、公立保育園はほとんど書面検査だけです。それで大きな問題はないからです。昨年度の文書指摘は、その多くが実務上の問題で、認証保育所のように、保育士資格を持つ職員がいないとか、正規職員がいないなどという施設はありません。違いますか。答弁を求めるものです。
それから、オリンピックの協賛金についてですが、オリンピック招致の経費は、五十五億円のうち四十億円が企業などの寄附や協賛金で賄うとされています。なぜ総額さえいえないのですか。恥ずかしくていえないほど集まっていないとしか思えませんが、いかがですか。私たちは知事に聞いていますので、知事がお答えください。
最後に、知事は、貧困と格差の問題を、部分的だとか、我が党のプロパガンダなどと述べましたが、とんでもありません。この問題はさきの参議院選挙で争点となり、有権者の厳しい審判が下された、国民の最大関心事です。
大体、知事は所信表明でも、きょう、福田首相に出した重要施策のリストでも、都民の暮らしをどう守るのか、全く触れていません。こんなことでは知事の資格がないといわざるを得ません。
以上、再質問といたします。
【答弁】
○知事(石原慎太郎君) 曽根はじめ議員の代表質問にお答えいたします。
まず、都民生活と都政運営についてでありますが、日本が戦後六十年を経て、世界第二位の経済規模を維持しながら公平で自由な社会を築いてきたことは、だれもが認める紛れもない事実であります。格差や貧困の存在は決して否定しませんが、日本全体にそれが充満しているかのような喧伝をするのは、一種のプロパガンダでしかないと思います。
日本がさらに発展を続けるためには、少子高齢化の進行や人口減少社会の到来を踏まえ、これまでの社会制度を点検し、次の時代に合ったものに再構築することが不可避であります。そうしないと、社会のダイナミズムを維持できず、都民生活の向上そのものが図れなくなります。こうした大局観を全く持たずに、何でもかんでも反対し、一部があたかも全部であるような主張をするのは、事の本質を見誤っているとしかいいようがないと思います。
また、第三回定例会で既に方針を示しておりますが、低所得の方々への支援策について、今後、着実に具体化してまいります。
原油価格の変動に伴う物価上昇についても、先般、国に対策を申し入れ、今後、都民生活への影響を最小限に抑えるべく、都として適切に対応していきます。
都民生活への認識を欠いているといわんばかりの、誤解に基づく主張をしておられますが、それは故意の誤解としかいいようを得ないと思います。
次いで、オリンピックに係る施設建設等の経費についてでありますが、先般発表した開催基本計画にあるように、恒久施設は二千四百六億円、仮設施設は八百四十三億円と見込んでおりまして、国からの補助金や民間資金を活用し、都民の負担をできる限り軽減してまいります。
このうち、オリンピックのレガシーとして、遺産として新たに建設する施設につきましては、大会終了後の都民のスポーツ需要等を勘案し、効率的な維持管理に努めるなど、適切な運営を行ってまいります。
次いで、環境に配慮したオリンピックについてでありますが、東京は、世界一コンパクトな会場配備や最先端技術の活用など、環境に十分配慮した大会を目指してまいります。
競技会場として緑豊かな公園を積極的に活用することは、アスリートたちに最高の力を発揮できる舞台を提供するものでありまして、ロンドンや北京の計画に見られるように、今や世界のオリンピックでは常識であります。東京においても、代々木公園や辰巳の森海浜公園などの都立公園を最大限活用しまして競技会場を整備してまいります。
さらに、海の森を初めとした地球環境への取り組みの成果も十分活用してまいりたいと思います。
このように、二〇一六年大会は、公園をつぶすなどというものではなく、公園の積極活用の考え方に立って行います。
次いで、新銀行東京の代表交代についてでありますが、前代表の健康上の理由による退任という不測の事態を受けまして、銀行は、代表を一日たりとも空席にできないとの判断から、都に適任者の推薦依頼をしてまいりました。
こうした事態を受けまして、都は、新銀行東京の開設に関与した津島前港湾局長を推薦いたしました。
新代表のリーダーシップのもとで、銀行が組織を挙げて経営改善にあらゆる努力を注いでいくことを期待しております。
次いで、新銀行東京への追加出資についてでありますが、追加出資のニーズがあるかないかは、銀行の経営陣がその時々の資本政策の中で判断するものでありまして、今は銀行が経営改善の取り組みを着実に進めていくことが重要であります。追加出資は考えておりません。
次いで、認証保育所についてでありますが、認証保育所は、大都市の多様な保育ニーズにこたえるため、都独自の制度として平成十三年度に創設して以来、認可保育所を上回るペースで整備が進んでおりまして、多くの都民の支持を得ております。
ご質問の認証保育所につきましては、都は既に立入検査や指導を行っておりまして、改善報告を求めております。引き続き必要な調査を行っております。
ご指摘を受けるまでもなく、認可保育所、認証保育所を問わず、不適正なところがあれば指導を行い、厳正に対処してまいります。
次いで、保育への企業の参入についてでありますが、認証保育所制度は、多様な事業主体の参入による競い合いの中で利用者本位の保育サービスの提供を目指すものであります。
認可保育所においても、規制緩和の観点から、平成十二年に民間企業の参入が認められました。
都としては、認証保育所、認可保育所ともに、多様な事業者の参入により整備を進め、待機児童を解消してまいります。
他の質問については関係局長から答弁いたします。
○生活文化スポーツ局長(渡辺日佐夫君) 二点の質問にお答えいたします。
まず、原油価格上昇に伴う不当な便乗値上げの監視と国への要望についてであります。
都においては、物価の異常な上昇や便乗値上げなどにより対策の必要性を生じた場合には、消費生活条例に基づき、商品を指定して特別調査を行い、監視を強化するとともに、不適正事業として認定した場合には是正勧告を行うこととしております。
一方、最近の物価動向を見てみますと、かつてのオイルショック時の狂乱物価と同じような状況になるとは思われませんが、原油価格の変動に伴い生じる都民生活への影響については、庁内関係八局から成る原油価格変動に伴う行政連絡会議を通じて注意深く見守っております。
また、生鮮食料品や石油製品など生活に密着した四十五品目については、国の小売物価統計調査報告に基づき、その価格動向を把握し、都民に情報提供しております。
なお、十二月五日には、原油を取り巻く国際情勢や市場価格の動向を監視し、便乗値上げ等が発生することがないよう、国に対して適時適切な対策を講じるよう緊急要望したところでございます。
次に、公衆浴場の設備更新等に対する助成についてでございますが、都内の公衆浴場業界では、国際的な原油価格の動向に左右されにくい都市ガス等への使用燃料の転換について、現在、具体化に向けて動き始めております。
都としても、比較的クリーンで環境にも優しく、価格が安定しているエネルギーへの転換を促進する必要があると考えており、業界の取り組みを支援する目的で、来年度の予算要求を、せっかくのご指摘ではございますが、既に行っております。
○福祉保健局長(安藤立美君) お答えいたします。
灯油代の補助についてでございますが、国は、原油価格の高騰に伴います国民生活等への対策として、寒冷地において、生活困窮者に対する灯油購入費助成など、地方自治体が行う原油価格高騰対策に要する経費につきまして特別交付税を措置する方針を決めたと聞いております。
詳細は承知をしておりませんが、これはあくまでも国の原油対策として、国の判断と責任によって実施されるものであると認識をしております。
次に、高齢者に対する課税についてでございますが、六十五歳以上の方に対する公的年金等控除の縮減や住民税非課税措置の廃止につきましては、少子高齢化が進む中、社会保障給付等に要する費用を、現役世代、高齢者世代がともに公平に分かち合うためのものと理解をしております。
ご提案の高齢者に対する税の還元策は、こうした改正の趣旨にふさわしくないことから、都として実施する考えはございません。
なお、都はこれまでも、所得の低い高齢者に対して、介護保険サービス利用者負担額軽減制度を独自に拡充するなど、きめ細かな支援に取り組んでおります。
次に、シルバーパスについてでありますが、お話の経過措置は、税制改正に伴う激変緩和措置として、今年度限りの対応策として講じたものでございます。
経過措置を継続することについては、先ほどお答えいたしましたとおり、適切に検討してまいります。
次に、後期高齢者医療制度についてでございますが、後期高齢者医療制度は、疾病リスクの高い高齢者を社会全体で支える仕組みであると認識をしておりまして、国に制度実施の中止を求める考えはございません。
また、先ほどお答えいたしましたとおり、都としては、広域連合が行う後期高齢者の健康診査事業に対する財政支援など、今後、制度の円滑な実施に向けて効果的な支援策を検討してまいります。
低所得者に対する新たな貸付制度についてでございますが、詳細については現在検討を行っているところであります。
この制度は、生活向上への意欲がある者に対し、生活資金等の貸し付けにより、安定した生活及び就労の促進を図るものでありまして、基本的に、返済の免除や三年にわたる長期の据置期間を設定する考えはございません。
次に、認証保育所の基準についてでありますが、認証保育所事業実施要綱において、大都市の実情を踏まえ、面積等を一部緩和しているほかは、基本的には認可保育所の基準と同水準に定めております。
お尋ねの四点についてでございますが、まず、部屋の仕切りについては、認可保育所では二歳未満児とその他の児童を分けているが、認証保育所ではさらにゼロ歳児の保育場所を区切るなど、より詳細な基準を定めており、安全が確保されております。
第二が、二階に設置する場合は、一階に設置する場合に比べて、建物の耐火性、避難路の確保、転落防止等について、より安全面に配慮した基準としております。
第三に、屋外遊戯場については、付近にある公園を屋外遊戯場とすることができることは認可保育所と同様でありまして、距離や移動の安全性等について実地に確認をしております。
第四に、職員配置につきましては、保育従事職員の配置基準を定め、開所時間の長さに応じ、必要な職員を加えることを義務づけております。
今後とも、この基準に基づきまして、各施設を適切に指導してまいります。
なお、職員の待遇改善については、各事業者が適切に対応すべきことと考えております。
次に、認証保育所に対します指導検査の結果についてでございますが、平成十八年度の実施状況は、認証保育所では、文書指摘を行った施設数が百十二カ所であり、指摘率は五〇%、改善率は九六%であります。
一方、認可保育所では、文書指摘を行った施設数が百五十六カ所、指摘率は五一%、改善率は八四%であります。
したがいまして、指摘率はほぼ同等でございますが、改善率では、認証保育所が認可保育所を上回っております。
なお、文書指摘を受けました百十二カ所の認証保育所のうち、株式会社及び有限会社を合わせて五〇%でありまして、その他の経営形態の認証保育所と特段の差はないと認識をしております。
次に、指導検査体制の強化についてでありますが、都はこれまでも、指導検査機能の集約化や福祉サービス専門員の活用などにより、指導検査体制を充実強化してまいりました。
中でも、悪質な法令等の違反に対しましては、機動班による緊急指導検査を実施するとともに、日常的に運営指導を行う区市町村とも連携した効果的な指導検査を進めてまいりました。
今後とも、こうした実効性ある指導検査体制により、適切に対応してまいります。
○主税局長(熊野順祥君) ガソリンに係る揮発油税等についてでございますが、ガソリンに対しましては、揮発油税及び地方道路税が課税されておりまして、揮発油税の一部及び地方道路税の全額は、地方に配分される貴重な道路財源でございます。
したがいまして、国に対し揮発油税及び地方道路税の軽減を求めることは考えておりません。
○産業労働局長(佐藤広君) 四点のご質問にお答えいたします。
まず、低所得者の方々への職業訓練についてでありますが、この訓練は、お話のネットカフェ等が生活の拠点となっている方も含め、額に汗して懸命に働きながらも低所得の状態から抜け出せない方々のうち、受講を希望する方を広く対象としております。
また、訓練の規模につきましては、従来の職業訓練の考え方と同様、適切な規模で実施してまいります。
次に、新銀行東京の存在意義についてでありますが、新銀行東京では、中小企業向け融資につきまして、小口の顧客に対する支援に重点を置いた取り組みを進める一方で、経費の削減など経営改善の取り組みを進めております。
ポテンシャルの活用など、都との連携は、こうした経営改善に資するものであって、中小企業に役立つ銀行という設立目的を否定するものではございません。
次に、新銀行東京の信託業務の活用についてでありますが、新銀行東京の経営改善に当たりましては、信託業務を初め、銀行の持てる力を最大限に活用することが重要であります。
新代表のリーダーシップのもとで、銀行が組織を挙げて経営改善にあらゆる努力を注いでいくことを期待しております。
最後に、新銀行東京の今後についてでありますが、新銀行東京は、最近の厳しい競争環境にさらされながらも、中小企業金融において役割を果たす一方で、現在、思い切った経営改善に取り組んでおります。
今後におきましても、新銀行東京が足元の状況をしっかり見据えて、デフォルトの抑制や営業経費の削減など、経営改善の取り組みを着実に進めていくことが重要であります。
○総務局長(押元洋君) 三点のご質問にお答えいたします。
まず、都の臨時職員の賃金等についてでございますが、都では、毎年度の予算見積もりに当たって、通勤費相当分を含む、適切に算定した賃金の参考単価を財務局が各局に通知をしております。
また、臨時職員は、一時的、臨時的な行政事務の増加に弾力的に対応することを目的として雇用するものでございまして、これに正規の職員を充てることは、事業の効率的な執行等の観点から適当ではないと考えております。
次に、非常勤職員の待遇等についてでございますが、非常勤職員は、常勤職員とは勤務時間や職責などに違いがあり、異なる制度として位置づけられております。
また、非常勤職員の報酬は、その職務の遂行に対する純粋な反対給付としての性格を持つものであり、生活給的な要素も含む常勤職員の給与とは基本的に異なるものであります。
以上のことから、都の常勤職員として位置づけることや、常勤職員と同等の待遇を保障すべきとの指摘は適当ではないと考えております。
最後に、都の事業委託のあり方についてでございますが、都の事業は、申すまでもなく都民の税金で賄われており、常に最少の経費で最大の効果を発揮することが強く求められております。
このため、都は全庁を挙げて、業務委託などさまざまな事業手法を積極的に導入し、都民サービスの質の向上と業務の効率的執行に努めてまいりました。
今後とも、こうした努力を積み重ね、効率的、効果的な事業執行を推進してまいります。
○東京オリンピック招致本部長(荒川満君) まず、オリンピックの招致経費と寄附等についてでございますが、招致経費につきましては、予算に基づきまして、適正かつ効率的に執行しており、今後ともそうした執行に努めてまいります。
また、東京オリンピック招致委員会に対する寄附と協賛金についてでありますが、オリンピック・パラリンピックの開催の意義や効果等を十分にご理解いただいた上で、多くの方々に資金協力をお願いしているところでございます。
企業からの寄附等の額につきましては、現在、企業、団体等と最終調整の過程にあり、資金調達に向けての戦略上、現時点ではこれを公表することを控えております。
外郭団体からの寄附金についてですが、招致活動に対しては、都民、国民からの広範な支持が必要であり、民間企業のみならず、多くの個人、団体に対しても協力要請を行っているところでございます。
こうした考え方から、このたび、監理団体等に対しましても協力をしていただくよう要請いたしましたが、収益から寄附するか否かは各団体の判断であり、税金の還流という指摘は当たらないというふうに考えます。
次に、署名活動についてですが、署名活動は、都議会の招致議員連盟にご協力をいただきながら、さまざまなチャンネルを通じて、オリンピック・パラリンピック東京招致に賛同する都内や全国の方々に、あくまでも任意で署名をお願いしているものでございます。
また、小学校などの場を活用したオリンピックイベントは、スポーツを通じて身体と精神を高めることを目指すオリンピズムの普及促進を目的としたものであり、大変盛況であったと聞いております。
今後とも、いろいろな機会をとらえて、オリンピック招致機運の盛り上げと、オリンピックムーブメントの展開に努め、多くの方々にオリンピズム並びにオリンピック・パラリンピック競技大会のすばらしさを伝えてまいります。
世論調査についてでありますが、今回、東京オリンピック招致委員会が二度にわたり実施した世論調査は、人口構成を反映した提携モニターからの無作為抽出により、二度の調査の合計で、都内二千人、全国六千人を対象に、インターネットを用いて、十二月初旬に行ったものでございます。
また、調査の際には、施設整備費が記載されている開催基本計画及び大会運営費等が記載されている開催概要計画書を見ることができるように、調査書の画面の中でリンクを張りまして、開催経費の内容がわかるようにいたしました。
このように、調査は公正で客観的に行われたものと認識しております。
○財務局長(村山寛司君) 各局予算の執行等についてのご質問でございますが、各局の予算は、改めて申し上げるまでもなく、当該局の事業目的を達成するために計上されているものでございまして、各局におきまして、その趣旨に基づき適切に執行されているものと考えております。
同時に、オリンピックの招致は、現下の都政の最重要課題の一つでございます。各局が事業を実施するに当たりまして、この課題に資するよう意を用いることは当然のことでございます。
○都市整備局長(只腰憲久君) まず、外環でございますが、外環は、首都圏の人と物の流れを円滑化するとともに、首都東京の国際競争力を高め、快適で利便性の高い都市を実現する上で必要不可欠な道路でございます。
今後とも、一日も早く事業に着手するよう、あらゆる機会をとらえまして、国に対して強く働きかけてまいります。
次に、羽田─築地間のトンネル道路でございます。
羽田空港アクセスの向上は重要な課題でございます。お尋ねの道路につきましては、研究してまいります。
また、多摩新宿線につきましては、これまでの調査におきまして、整備の必要性は高いものの、事業主体や採算性が課題とされており、引き続き長期的な視点で検討を進めてまいります。
【再質問答弁】
○福祉保健局長(安藤立美君) 追加の質問をいただきましたが、質問につきましては、先ほどの知事の答弁でお答えしておりますけれども、改めてご質問がありましたので、再度お答えをいたしますが、じゃんぐる保育園の項目につきましては、私どもは八月と十月に立ち入りをし、そして、その結果をもとに、この十二月六日に文書指摘をしたところであります。
なお、文書指摘と同時に、それの回答を一カ月後にいただくことになっておりますが、引き続き実態については調査をするということを、先ほど知事からご答弁を申し上げております。
また、認可基準につきましては、面積につきまして、大都市の特性を踏まえて若干緩和をしてございますが、基本的には認可と同水準のものであるということを先ほどご答弁申し上げました。
屋外遊戯場についてもご発言がございましたが、近所の公園でもいいというのは認可も同様でございます。その安全性については、先ほど、現地を訪れて確認したとご答弁申し上げております。
そして、認可の結果でございますが、私どもが行いました指導検査結果によれば、認可におきましても指摘事項が同様の率で出ているというのは事実でございます。
なおかつ、先ほどは、認証保育所はルール違反がはびこっているというようなことでございましたが、認証保育所につきましても、経営形態によって大きな差はない、こういうふうに申し上げたところでございますので、知事答弁並びに私の答弁をお聞きいただければ、十分ご理解できることではないかというふうに思っております。
○東京オリンピック招致本部長(荒川満君) 企業からの寄附金についてでございますけれども、既に、現在協力いただいているサポート企業については、新聞、プレス等で発表したところでございまして、その他の企業、団体等との最終調整を現在やっている過程でございます。
したがいまして、総額といえども、資金調達に向けての戦略上、現時点ではこれを公にすることは控えております。
以上