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第四回定例会 本会議討論 二〇〇七年一二月一九日
河野百合恵(江戸川区選出)
貧困化と格差の拡大に加え原油高騰などが影響・・・都民のくらしと営業を守れ
政調費の領収書の添付・・・これ以上先送りせず、条例改正案の可決を
日本共産党都議団を代表して、第二百十一号議案・東京港臨海道路U期工事に関わる請負契約に関する議案ほか5議案に反対、第二百号議案・大気汚染に係る医療費助成に関する議案ほか二十九議案に賛成、議員提出議案第三号・政務調査費の交付に関する条例の一部を改正する条例に賛成の立場から討論します。
東京港臨海道路U期工事は、いったんは建設が凍結されていたものを、都が事業費の三分の一を負担する国直轄事業として復活させたものです。臨海副都心地域は現在でも大量の自動車流入による排気ガスが増大しており、この道路建設により大気汚染がいっそう拡大することが指摘されているものです。
一方、東京大気汚染訴訟の和解を受けて提出された医療費助成条例は、自動車排ガスに苦しめられてきた公害病患者の方々の、命をかけた運動によって切りひらかれた貴重な成果です。東京都が引きつづき、原告団および公害病患者と家族の訴えに耳をかたむけ、さらなる要望実現に力をつくすことを求めておきます。
今議会でわが党は、貧困と格差の拡大にくわえ、原油・物価高騰などによって、厳しさを増す都民生活への認識を石原知事に質しましたが、知事は、日本は公正な社会であるなどと強弁し、格差や貧困はたいしたことがないとの認識を示しました。
いまどき、こういう時代錯誤の認識を示すのは知事ぐらいです。
年収二百万円に満たない勤労者が一千万人をはるかに超え、就業人口の五分の一を占めるという日本の事態は、もはや貧困一般ではなく、人間の生存に必要な限界水準の底が抜けた、絶対的貧困の出現だとさえいわれています。
知事自身、知事選前には、所得格差是正といい、都民税減税まで公約したはずです。ところが、選挙が終わると手のひらを返したように減税公約を撤回し、「公約の進化」などといって出された低所得者対策は、貸付事業が中心で全く不十分。そのうえ、貧困と格差がたいしたことでないように居直る、本当に情けない話です。
原油高騰対策も、国でさえ緊急実施する灯油代助成などの支援も、知事はやろうとしません。
その一方で、石原知事が、オリンピック招致にはなりふりかまわぬ大盤振る舞いをエスカレートさせていることが、今議会でも浮きぼりになりました。わが党は、オリンピックの関連投資の合計が九兆円にも達し、都の負担がその半分にもおよぶとの試算を明らかにし、オリンピックの施設整備や維持管理費、後利用、インフラ整備などについてきちんと見通しを示すよう求めました。
ところが知事は、計画の全容を明らかにしないまま開催基本計画による過小な数字をくり返すだけで、まともに答えようとしませんでした。
また、知事が「世界一環境負荷の少ない都市をめざす」といいながら、競技施設建設で代々木や夢の島など都立公園のみどりをこわすことになるのをただしたのに対して、知事は、公園をつぶすのではなく「積極的に活用する」のだと強弁しました。しかし、すでに都民のいこいの場である都立公園を、施設を建ててふさいでしまう都のやり方は、近年のオリンピック開催都市が、それまでみどりのなかった地域をみどりのオリンピック公園として整備し、その中に競技施設を配置するというやり方をとっているのと正反対です。
圏央道や稲城市の南山開発などで、広大なみどりの破壊をすすめているのも知事です。みどり破壊のオリンピックは通用しないことを指摘しておくものです。
先日、石原知事は、福田首相との会談で、地方自治体の自主財源である地方税を国税化し、三千億円を国に吸い上げるという、地方分権に逆行する提案を容認しました。直前まで「裁判も辞さず国とたたかう」と発言していたのに態度を一転させたこと自体、許されません。しかも、引き換えに要求した施策は、もっぱらオリンピックやインフラ整備への支援であり、くらしや福祉、医療など切実な都民の願いはそっちのけです。
まして知事が、抜本的税制改革として、最悪の庶民増税である消費税増税を声高に主張していることは、都民のくらしや営業がどれほど痛めつけられているかなど、まったく意に介さないことを明確に示すものです。
石原知事のトップダウンの都政運営が、次つぎと破たんをきたしています。なかでも創業からわずか二年半で、九百三十六億円もの累積損失を発生させた新銀行東京は、速やかに破たん処理すべきことは明らかです。にもかかわらず、経営陣に都の幹部職員を送り込み、「都のポテンシャルを使う」などといって、民間も見放した銀行の経営を、事実上、都が丸がかえして再建するやり方は、断じて許されません。
知事は、追加出資についても「経営陣がその時々に判断する」として、完全否定しませんでした。無責任な態度をやめ、直ちに第三者委員会設置と破たん処理にふみ出すべきことを重ねて指摘しておきます。
知事が福祉の最大の目玉として推進してきた認証保育所の中に、職員の架空申請疑惑や、保育内容、施設設備があまりに不十分なことなど、深刻な問題が生じている事実を、わが党は明らかにしました。しかもこれが決して例外ではなく、企業立の認証保育所の多くが重要な問題について、文書指摘されていることも判明しました。
保育への営利企業参入を再検討するとともに、認証保育A型の設置運営基準を改善、強化することをあらためて求めておくものです。
最後に、議員提出議案第三号「東京都政務調査費の交付に関する条例の一部を改正する条例」について申し上げます。
政調費は税金であり、その使途を明らかにすることは、都議会の都民に対する責務であります。実際すでに政調費が制度化されている都内のすべての区市町村議会で領収書添付にふみだし、全国の県議会でもその動きが広がっています。
ところが、前回の都議選で当選した六割の議員が領収書の添付を公約した都議会においては、自民党、民主党、公明党三会派は非公式の協議を理由に、二年余にわたって領収書添付を先送りしてきました。
ようやく検討委員会を設置したとはいえ、使途基準等の見直し・検討を理由に、政調費の領収書の添付をこれ以上先送りすることは、断じて許されません。現行の使途基準に基づき、全国最高額の年間九億円を超える政調費が現に使われているのです。
政調費の交付に関する条例施行規程第四条では、各会派の経理責任者は、経理帳簿、領収書等を整理、保管し、適正な執行に努めるものとされています。ただちに領収書の公開にふみ切ることに、なんの障害もないではありませんか。現にわが党は自主的に公開しています。それができないというなら、その理由を都民に説明すべきであります。にもかかわらず、議会運営委委員会で条例改正案に反対した会派は、公開しない理由を説明できていないのです。都民が納得できるわけがありません。
東京で都議会だけが検討委員会での協議を理由に、現在使っている税金の使途の公開をこれ以上先送りすることは、都民の厳しい批判をまぬがれえないものです。
都議会が、条例改正案を可決、成立させ、今年度から領収書の添付にふみ出すことを重ねて訴えるものです。
日本共産党都議団は、切実な都民要望の実現とともに、都民にひらかれた都政の実現にむけて、力を尽くすことを表明し討論を終わります。
以上