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第一回定例会 中途議決討論  二〇〇八年三月六日

   村松みえ子(日野市選出)

 日本共産党を代表して、第百二十四号議案「平成十九年度一般会計補正予算案」他、六議案に反対の立場から討論をおこないます。
 石原知事が提案した今年度補正予算案は、都税収入が一千九百億円増収となり、昨年度からの繰越金千五百億円をあわせて、四千億円近い補正規模になるにもかかわらず、これを都民のために使おうとせず、もっぱら基金にためこもうとするものであり、とうてい、都民の納得はえられるものではありません。

 第一に、いま、貧困が深刻化し、格差が拡大する中で、東京都がなすべきは何よりも、都民の暮らしを守るために全力をつくすことです。ところが、補正予算案は、大気汚染訴訟の和解金の積み立てや公園用地の買い取りなどに百六十七億円があてられていますが、それは、補正予算案のわずかに三%に過ぎません。知事が公約に掲げた低所得者のための減税はおろか、原油高騰に苦しむ都民のための灯油代補助や年度末を迎える中小業者のための緊急融資などの、緊急で切実な要望すら、まったく顧(かえり)みられていません。

 第二に、「行政水準を維持するため」といって、義務的経費を除いた予算の九割余りの二千百八十五億円を基金に積み立てていることは認められません。来年度予算で積み立てる四千百億円もくわえると、東京都の基金は、来年度末には過去最高の二兆九千億円に達します。しかも、投資型公共事業にはバブル前の二倍の一兆円規模の財源を投入しているのです。「行政水準を維持する」に必要な財源はあり余るほどあり、このような過剰な積立は必要ありません。大型開発優先からくらし・福祉優先の予算配分にあらためることこそおこなうべきです。
 一方で、知事は、法人事業税の国税化に反対する基金だとも言っていますが、福田首相との会談で、それまでの絶対反対の態度を豹変させた知事の姿勢こそ、厳しく問われなければなりません。

 第三に、二〇一六年のオリンピック招致の機運が盛り上がらないため、招致活動やムーブメント推進の活動をひろげ、税金投入をふくれあがらせていることも重大です。補正予算案のなかのオリンピック招致経費については、総務委員会でのわが党の質疑で、民間資金が集まっていないこと、予算案はその足りない分を補填するための補正予算であることが明らかになりました。オリンピックムーブメントでは、商店街へのフラッグの押しつけに、関係者の批判の声があげられています。このようなひたすら金にものをいわせて招致に狂奔するやり方はIOCの倫理規定に反する行為であることを指摘しておくものです。

 なお、中央環状品川線換気所や環状二号線地下トンネル工事などの契約案件が提案されていますが、巨額の税金投入をともなうものであるとともに、超高層ビルの乱立と一体となった大型道路建設は、自動車交通を増やし、環境破壊をもたらすものであり反対です。
 いま、東京都がおこなうべきことは、必要を超えた基金のため込みやオリンピックの名のもとに際限のない税金投入をおこなうことではなく、都税の増収を都民のために優先してつかうことであり、中学三年生までの医療費無料制度をはじめ、低所得者のための家賃補助、三十人学級、小中学校の耐震化、ECO商店街事業など、都民の福祉とくらしを守るための施策であることを、あらためて申し述べておきます。

 石原知事が、議会開会直前に突然、提案した新銀行東京への四百億円追加出資に関わって、一言申し述べます。
 新銀行東京について、日本共産党は設立当初からいっかんして反対し、そもそも自治体が銀行経営にのりだすべきではないこと、新銀行は中小企業に役立たないこと、さらには破たんし、都政のお荷物になることを指摘してきました。その後の経過は、わが党の指摘の通りにすすみ、一千億円の都民の税金がまるごと失われることになりました。マスコミもいっせいに「石原銀行は幕を閉じる時だ」「最早撤退するしかない」などと、新銀行の存続そのものに反対する社説をかかげるにいたっています。都民の怒りも広がっています。東京都に寄せられた都民の声は、「問題を先送りしても、悪い結果をもたらすだけ」などと厳しく、八五%が反対の意志を表明しています。
 日本共産党が先日、実施した新宿駅西口でのシール投票では、一時間の間に、四三三人が投票をおこない、うち、反対の意志を表明した方は九割を超えました。
 さらに、昨日、東京中小企業家同友会が発表した調査では、六割を超える中小企業が、新銀行東京は「中小企業のために役立っていない」と回答しているのです。「早急に整理すべきだ」と事業撤退を求める回答も六割近くにのぼっています。
 〃中小企業のために四百億円つぎ込んで存続させる〃という知事の弁明も、すでに通用しないのです。知事が自らのメンツにこだわり、新銀行を存続させようとする限り、都政は次つぎに税金投入をつづけるという、ドロ沼にはまることは明白です。
 知事、旧経営陣にあげて責任を押しつけることはやめて、自らの元凶(げんきよう)ともいうべ責任を認めるべきです。そして、いさぎよく、新銀行東京に対する追加出資の議案を取り下げることをつよく求めるものです。
 同時に、マスコミは、「ずさんな再建策を前提に都議会が追加出資案を通すなら、行政に対するチェック機能を放棄したと判断されるだろう」ときびしく指摘しています。その点で、日本共産党が提案した特別委員会が設置にいたらず、旧経営陣の参考人招致などが、与党会派の反対で実現していないことは、重大です。都民の圧倒的多数は、追加出資に反対です。わが党は、新銀行東京の設立及び出資に唯一、反対してきた政党として、新銀行東京への税金投入反対の声を広げに広げ、なんとしても都民の税金のムダ使いをやめさせるために全力をあげることを申し述べ、討論を終わります。

以上