過去のページ
第一回定例会 予算特別委員会 総括代表質疑 二〇〇八年三月一一日
吉田信夫(杉並区選出)
新銀行東京の経営破綻の元凶は石原知事、四百億円の追資をやめ金融庁に指導をあおげ
都民の声は、追加出資反対
〇吉田委員 日本共産党都議団を代表いたしまして、新銀行東京への四百億円追加投入の問題を中心に質問をいたします。
石原知事が新銀行東京に都民の税金一千億円を投入し、その大半を失いつつある上に、再建だと称して、さらに四百億円もの税金を投入することに、大多数の都民から、都民が納めた税金を軽く考えないでほしい、これ以上税金を投入することは反対ですなどの声が上がっており、東京都に寄せられた声の中でも、追加出資反対は八割を超えています。
マスコミも、六つの全国紙すべてが社説で取り上げ、石原銀行は幕を閉じるときだ、もはや撤退するしかないなど、新銀行東京の存続そのものに反対を表明するに至っております。
我が党は、先日、新宿駅でシール投票を行い、新聞各紙でも紹介をされましたが、投票した四百三十三人中、四百億円投入反対は三百九十八人、九二%に及びました。
そして、商店会の集まりに顔を出しても、追加出資に賛成の声は聞こえてきません。中小企業家同友会のアンケート調査では、新銀行東京は中小企業に役立っていないという回答は六二%、早期に整理を求める回答は六〇%近くに及んでいます。
まさに都内町じゅうで、知事が一千億円を捨ててしまう事態をつくったこと、その上、さらに四百億円を投入することに厳しい怒りの声が広がっています。
私は、この都民の声にこたえることこそ議会も求められているし、知事も求められていると思うんです。そういう立場から質問をいたします。
破綻の元凶は知事
まず、一千億円を投げ捨てた知事の責任についてただしたいと思います。
今年度九月期の決算では、累積赤字は九百三十六億円、この三月期末時点では累積では一千十六億に達すると推計されています。ついに東京都が出資をした一千億円の都民の税金が、丸ごと借金の穴埋めにのみ込まれつつある、一千億円が失われつつある段階です。なぜこのような深刻な事態になったのか、その原因と責任を全面的に明らかにすることが、この問題の議論の出発点だと思います。
この点で、知事はどういう態度をとっているのでしょうか。原因を明らかにするどころか、ひたすら旧経営陣に責任をなすりつける、元凶ともいうべき知事みずからの責任追及から逃れる、実に見苦しい態度です。しかも、真実をゆがめても、旧経営陣の乱脈ぶりを示そうというものでした。
知事は報告書の全文を見たのか
知事に伺いますが、例えばきょうもお話がありました。知事は盛んにいっていたことの一つとして、旧経営陣が、六カ月つぶれない会社だったらどんどん貸せと指示したかの発言をしてきました。そして、そうした会社の数が多い人間には、二百万円報奨金を出した。こんな事例はほかにない。代表事例として繰り返し紹介しましたね。
私は、これは事実をゆがめたものだと思うんです。知事、どういう根拠でこういう発言を繰り返してきたんですか。まずお答えください。
〇石原知事 銀行当局が長くかかってやっていました調査が、ぎりぎりでございましたけれども、予算委員会が開かれる前に公表されたと思います。あれをごらんになれば、そこにもあるじゃないですか、ちゃんと。
〇吉田委員 きのうの銀行側の記者会見、知事、ごらんになっていませんか。例えば記者会見で、六カ月云々の発言について銀行側がどう答えたか。経営の方から直接そういう言葉は確認されていませんと答えたんですよ、銀行側が記者会見で。記者会見で銀行側が説明したことを、そんなことないと、あなたがいえるわけないじゃないですか。
報奨金は他行でもある
さらにもう一つ、報奨金の問題についてです。私も、当時銀行にいた方から抗議の声を受けました。あれは契約社員に支給していたものなんだ。正社員には支給されておりません。しかも、ほかにないということはありません。
例えば、ここにみずほビジネス金融センター株式会社が公表している募集内容を持ってまいりましたけれども、(資料を示す)これを見ても、例えば契約社員の場合ですけれども、固定給は年四百二十万、成果報酬は賞与として最高で二百八十万上乗せして払っているんですよ、契約社員に対して。ほかにないなんてことは事実に反するじゃないですか。
知事、あなたのいったことは根拠がなかっただけではなく、明らかに偽りなんですよ。訂正してください。
〔吉田委員「だめだよ、知事に聞いているんだから」と呼ぶ〕
〇佐藤産業労働局長 昨日発表されました新銀行東京調査委員会調査報告書、これにつきましては、我々も見ております。この中でも記載されておりますが、営業担当契約社員、知事は本日の答弁で営業担当にというふうな話をしたと思いますが、契約社員ということになりますが、融資実行実績に応じた成果手当を支給する一方で、デフォルトを不問としたという、こういう記載が書かれております。それで最大年間二百万円と、こういう制度の仕組みを持っているということは、全くの事実であります。
加えまして、他の行との差をご質問がありましたけれども、(吉田委員「質問していないよ、私は知事に聞いているんだから」と呼ぶ)十八年一月から、融資実行後六カ月以内にデフォルトが発生した場合には成果手当から控除したが、六カ月を超えた場合には満額支給としたということで、六カ月を超えてデフォルトが起こったときにも満額支給をしているという一般銀行の例は、私どもは余り把握をしておりません。
旧経営陣に責任をなすりつけるな
〇吉田委員 私は、知事が旧経営陣のずさんな代表例として二つ挙げていることについて、事実とも違うし、きのうの記者会見とも違うじゃないかと、知事にただしているんですよ。知事、あなた自身の発言が問われているんですから、なぜ局長の答弁でごまかすんですか。知事、ちゃんと答えてくださいよ。素直に、間違いだったらそういえばいいじゃないですか。
〇石原知事 私が受け取って見ました、皆さんにも配布された銀行の報告書の中に、書いてあるじゃないですか。私は、それを書いた銀行が、記者会見でそれを否定した発言があったかどうか知りませんけれども、私は少なくとも銀行から正式に届いた報告書を読んで確認したわけですよ。あなた、それを信じないんですか。銀行の報告書を信じないんですか。せっかく配布したものを。
〇吉田委員 それは、私が知事に聞きたいことですよ。記者会見で銀行側は、経営の方から直接そういう言葉は確認されていないといっているんですよ。ですから、もしそうだとすれば、あなたの認識が間違っているんですよ。あるいは、知事が見た報告書なるものがどういうものかということが、改めて問われているんです。
二つ目に、契約社員の問題についても、ほかにはないんだとあなたはいったけれども、ほかにあるじゃありませんか。そうしたことを、違った事実に基づいて旧経営陣に責任をなすりつける。そういう態度があってはならないということを、事例として挙げているんですよ。(発言する者あり)
調査報告書・・議会に提出を
次に、じゃ、続いていいますけれども、また調査報告書は、代表執行役が貸倒引当金をしっかりと使い込むということについて、繰り返し問題だと指摘をしております。しかし、そもそも当初の設計は、ここに資料がありますけれども、個別貸倒引当金はゼロ、引き当て率ゼロという想定なんですよ。こういう想定では、このようにおのずと貸倒引当金をしっかり使い込むということになってしまうんです。そうしたことを抜きにして、その言葉だけをもって追及するということも、適切なことではないんです。
もちろん、そこでぜひお伺いしたいんですけれども、昨日、知事が新銀行東京に送り込んだ津島元新銀行設立本部長、現代表執行役などによってまとめられた調査報告書、今知事がいいましたね。我々が受け取ったのはA4九枚の概要にすぎません。本報告書は、議会にも、またマスコミにも公開されていないというふうに聞いております。これでは、正確な事実は確認できないわけですよ。
改めて聞きますが、知事は、概要ではなく本文の本体ですね、調査報告書、読まれたんですか。
〇石原知事 非常に分厚い資料をもとにしたものらしくて、それを読む必要はありませんということで、私は抄訳しか読んでおりません。しかし、あれを読めば大体の、つまり、経営の運営の方法そのものについてもわかってくると思います。
あなた、それを信じないんですか。せっかく、要するに何カ月もかかってやった報告書を。
〇吉田委員 私は、先ほど調査報告書に知事が書いてあったというふうに明言をされましたけれども、我々は概要しか見ていないわけですよ。あなたは分厚いから部分的に読まれたというふうにいいましたけれども、それで果たして責任を持った、たとえ厚いものであろうとなかろうと、責任ある答弁というのは私はできないと思うんですね。
そこで、ぜひ私は、概要ではなくて、全文を議会に提出をするように、マスコミにもオープンにするように、株主としても、知事としても、当然いうべきではありませんか。明らかにしなさいと、本文を。どうですか。
〇佐藤産業労働局長 報告書の最後のまとめの項にもございますけれども、この間のこの損害の額をどう評価するか、また、これを経営責任との因果関係とどのように結びつけるかについては、さらに専門家の意見を踏まえ十分に検討する必要があるということで、この調査結果に基づきました今後の対応につきましては、法的な専門家等の意見を踏まえて、適切な対応がされる。そういうベースになる報告ということになりますので、これは会社の判断として、オープンにしないということだというふうに認識をしております。
全貌を明らかにすることは議論の大前提
〇吉田委員 やはり概要ではなくて、正確な、客観的な事実をきちんと確かめることなしにこの問題に当たることは、私はできないと思うんですよ。知事だって、当然読んでしかるべきですよ、どんな厚いものであろうと。
しかも、もし守秘義務があるというならば、きちんとこの議会においても、この委員会においても守秘義務ということを確認して、提出を求めるべきじゃありませんか。私は、この点について、ぜひ理事会で検討していただきたいということで要望しておきます。
トップを含む旧経営陣の少なくない部分に、極めて見過ごすことができない問題のあったことは、もちろん事実です。私たちも、さまざまな方から、その結果、身体的にも厳しい状況になった方々がいらっしゃることも含めて、訴えを聞いたことがあります。徹底的に調査をして、法的な対応も含めて検討すべきことなんです。しかし、だからといって、知事の責任が免れるものではないと思うんです。
しかも、今、都議会に明らかにすべきは、不良債権だけではなく、なぜ累積で一千億円を超える事態になったのかという全貌を、私は、示すことが求められていると思うんですね。不良債権だけではないんですよ。
例えば、銀行が明らかにした焦げつきは、不良債権の中に占めるものを見れば、焦げつきが二百八十五億円、三分の一ですね。そのほかに外国債や金融商品などの損失、預金金利より低い金利の国債の購入による損失とか、さまざまな、あるいはソフトを繰り返し更新したというようなこともあるんです。そうしたことも含めて、私は、この場に示すことが、当然議論の大前提だということを強調しておきたいと思います。
全国銀行協会が自己資本の毀損を警告
具体的な知事の責任に関して、幾つかの角度から質問をいたします。
第一は、出発時の知事の責任についてです。
新銀行は知事が選挙で公約し、トップダウンで都政に持ち込んだものです。我が党は、政党として唯一、設立にも、一千億円の出資にも反対いたしました。それは中小企業に真に役立たないだけでなく、銀行という経験、専門性が求められ、かつ、事態によっては高いリスクをこうむりかねない事業に、全く経験も知識もない自治体である東京都が乗り出すべきではない、そう判断をしたからです。
今日の事態は、我が党の指摘どおり、まさに自治体が銀行の設立経営に乗り出したこと自体の失敗が、浮き彫りになったのではありませんか。この本質的な総括と反省なしに、旧経営陣に責任をなすりつけることは、知事の責任回避だと思います。
知事は、新銀行の必要について、大手銀行の貸し渋り、貸しはがしを挙げていましたが、設立準備の過程で経済状況が違っていたことは、各方面から指摘をされたとおりです。
ここにパネルをお示しいたしましたが、設立、二〇〇五年四月ですよね。しかし、もうそのときには底をついて、全国銀行、都市銀行からの貸し出しは上昇で進んでいます。その一方、資金繰りに苦しいというふうに訴える方々は、確実に低下をしている。その中で設置をしたわけです。
当時、新銀行設立を批判していたのは、我が党だけではありません。例えば全国銀行協会は、二〇〇四年二月に意見書を提出し、新銀行の計画がいかにリスクが高く、自己資本を失いかねないかを警鐘していました。
引用いたします。新銀行が民間ではとれない融資リスクをとる等、民間補完に徹しようとすればするほど収益が悪化し、東京都(納税者)が出資した分も含め、自己資本が毀損する懸念がある。税金を投入する以上、政策コストや最終的にどの程度納税者の負担にはね返る可能性があるのか、きちんと説明する必要がある。こうした点は明らかになっていないと、こう指摘をしているんです。
知事、当時、こうした警告が発せられていたということを知っていましたか。こうした批判、意見について、どのように検討したんでしょうか。全国銀行協会ですよ。どうですか、知事、知らなかったんですか。
〇佐藤産業労働局長 まず、ただいまお配りいただきました資料について申し上げさせていただきます。
この時期の資金繰りの苦しい割合ということですけれども、産業労働局が調査をいたしました東京都中小企業の景況によりますと、新銀行東京が開業いたしました平成十七年第一・四半期におきます中小企業の資金繰りが、楽なものから苦しいものを差し引いた資金繰りDI、これはこのあれにもございますけれども、全体こそマイナス二五・〇ということで、一年前より四・四ポイント改善しているということでありますが、(吉田委員「局長、私は質問していないよ」と呼ぶ)その内訳を見ると、資金繰りが楽な中小企業はわずか九・七%にすぎず、三四・七%の中小企業は苦しいというふうにしております。
それから、国内銀行における中小企業向け融資残高を見ますと、平成十三年に二百二十九兆円を記録した、平成十七年六月の百七十二兆円までほぼ一貫して減少し、その後も百八十兆円前後と、ほぼ横ばいで推移しているというのが、当時の景況だったというふうに思います。
新銀行設立に当たりましては、経済専門家等々も交えた十分な検討の中でマスタープランをつくり、設立に向けて検討がされたというふうに認識をしております。
〇吉田委員 知事、銀行協会の意見書をあなたは知っていたんですか。知っていなかったんですか。じゃ、それだけお答えください。
〇石原知事 銀行協会なるものが、どういうクラスの銀行で構成されているかよく存じませんが、私たちが銀行のことをいい出したときに、業界からいろんな反論がありました、あるいは意見もありました。それを踏まえて、要するに、私たちが委嘱した専門家がマスタープランをつくり、発足したわけでありまして、例えば制度融資でも受け付けない相手、あるいは無担保で、果たしてそういうところの銀行が小零細業、お金貸したんでしょうか。それを精査して、私たちは助けようということで、現に、その条件の中で助かった会社がたくさんあるじゃないですか。九千社もあるじゃないですか。しかも、同じ条件で今お金を貸している相手が一万三千社もあるんですよ。こんなこと、ほかの銀行はやっていませんよ、どこも。
旧経営陣に責任を押しつける・・あるまじき態度
〇吉田委員 当時、既に大手銀行も同様の無担保融資に踏み出していたんですよ。しかも、あなた、今、知事いいましたけれども、そういうことをもって、一千億を失いつつあることの責任、逃れることができますか。
あなたは、銀行協会のこういう指摘、結果的にそのとおりになったじゃないですか。一千億円を投入するからには、それも都民の税金ですよ。あなたのポケットマネーじゃないんですよ。当然情勢の変転がある。これで間違いないのか、慎重に慎重を期して検討すべきことが本来の姿ではありませんかというのが、私がいいたい点なんですよ。
ところが当時、知事、あなたはどういうことをいっていたか。記者会見の記録を見ると、余りにも不見識です。二〇〇三年五月の会見で、記者が、例えば追加出資の可能性、危険性がないのかということを質問いたしました。そのときに知事はどう答えましたか。そういう発想というのは非常に幼稚だね、粗雑だね、つまり週刊誌的な発想だと、口汚く、質問した人を批判いたしました。そして、追加出資はしませんということを明言いたしました。今日の事態を見れば、そんなことは想定できないんだと、幼稚だと、発想自身が。私は、いった方が幼稚だといわざるを得ないと思うんですよ。
しかも私たちは、こうした意味から警告は何度も行ってきました。知事は、我が党の追及に対して、一千億円は将来、数兆円の値になると議会で答弁しましたね。また、議会の答弁の中で、上場を視野に入れて、この新銀行東京が上場されれば株価が上がって、それが東京都の財政再建に貢献するんだとまでいいましたね。全くあべこべのことが今起きているんですよ。
そういう意味では、情勢をとらえるという点でも、この計画でいいのか、大丈夫かと、慎重には慎重を期す、そういう態度が欠けていたことは明らかです。なぜ出発する直前でそういうことを考えなかったのか、改めていかがですか。
〇石原知事 それは、我々が期待し委嘱した経営陣の問題じゃないんでしょうか。もし、ああいうずさんな乱暴な経営さえしなければ、私はこういう事態にならなかったと思いますよ。
〇吉田委員 このやりとりを聞いている都民の方は、本当あきれ果てるんじゃないでしょうか。何をいってもすべて旧経営陣に責任をなすりつけるという態度は、知事として私はあるまじきことではないと思いますね。
マスタープランは都が策定
二つ目に、設計、マスタープランをつくった責任についてただしたいと思います。
知事は、本会議の我が党の代表質問への答弁で、今と同じことですよ、当時の経営陣がスコアリングモデルに過度に依存した融資を実施し、多額の不良債権を招いたというふうに旧経営陣に責任を押しつけました。
しかし、知事の責任で策定したマスタープランそのものが、統計手法を用いた自動審査システム、スコアリングモデルですね、これを活用してスピーディーな融資をするというのが基本的な路線、レール、それをあなたが引いたんじゃないですか。しかも預金口座数、百万口座ですよ、三年間で掲げたのが。ATM二百台、融資保証残高九千三百億円、三年で黒字と、その達成を経営陣に求めたし、経営陣は求められたわけです。
私は旧経営陣の方々の話を聞きましたけれども、また、職員の方の話を聞きましたけれども、知事が引いたレールの上を走らなければならなかった、無理をせざるを得なかったんだということが共通していわれておりますし、マスコミの報道でも指摘をされているとおりです。
知事は、マスタープランづくりの責任を逃れようとして、マスタープランは都がつくったものではなく、専門家がつくったなどということを、最近にわかに強調しています。
知事、専門家の協力を受けたかもしれませんが、マスタープランは、都が都の責任で最終的に策定し、発表したんじゃありませんか。いかがですか。
〇石原知事 マスタープランに関して申しますと、確かに銀行を発案したのは私でありますが、その指針となるマスタープランを認めたのも私であります。しかし、これは私がつくったわけじゃありません。多くの専門家に、経営陣も含めて専門家の知恵をかりて、多くの専門家の方々がこれをつくられたわけです。そして、それを踏まえて、銀行が発足し、今日の事態になった。先ほど申しましたけど、マスタープランを運転するのは運転手ですよ。その運転手の才覚というものが、自動車をあちこちにぶつけて、こういうていたらく、傷だらけになっちゃったんじゃないですか。
よく私の責任をいわれるんですが、私にも責任があります。私が、今一番果たすべき責任は、この墜落寸前の銀行を何とか立ち直らせて上昇させることですよ。これがもし墜落したら、一体どれだけの被害が都民に及ぶかということをさんざん話してきたじゃないですか。とにかく、一万三千社の人たちが見殺しにされ、その従業員や、あるいはとにかくその関係者も全部被害を受けるわけです。私はやっぱりそれを救うために追資をお願いして、とにかくこれを上昇させようと思っているわけです。それをすることが私の責任だと思っています。
〇吉田委員 中小企業対策という点でいえば、制度融資を拡充して、多くの方々に、その零細企業も含めて救済をするという道はあったんですよ。私は、あなたがいろいろいうけれども、一千億円を丸々、都民の税金を失いかねない責任をただしているんですよ。それに正面から答えるべきだ。ましてや(石原知事「答えているじゃないか」と呼ぶ)ましてや(石原知事「答えているじゃないか、今」と呼ぶ)ましてや、マスタープラン、一ページ目持ってきましたけれども、知事の署名入りで発表しているんですよ。最終責任はあなたにあることは明らかじゃありませんか。それは、作成過程に専門家がかかわったことは事実でしょう。しかし、発表責任、この責任はあなたにあるんですよ。書いてあるじゃないですか、石原知事の署名で。
三年後も赤字を、都幹部が修正
さらに私はただしたいんです。私は、マスタープランづくりに参加した方からも聞きました。例えば原案の作成では、三年後は引き続き赤字になるというのが、専門家の方々が計算したものなんですよ。それを津島氏と大塚氏が黒字に改めた。最終的な数字の手直しは東京都側の幹部が行ったんじゃないんですか。知事、そういうことは聞いていませんか。
〇佐藤産業労働局長 今お話しの件については、我々は全く存じ上げません。
それから、先ほどのお話で、ちょっと追加で説明させていただきたいんですけれども、マスタープランで知事が署名をしているという中のお話で、もう一点、スコアリングモデルだけでやっているという問題がマスタープランの中にあって、それがこういう結果を招いているというような趣旨のお話がございましたけれども、そういうことではなくて、マスタープランの中の一八ページにもありますが(吉田委員「私はそういうこと質問してないでしょう」と呼ぶ)一番、現在……(吉田委員「ひどいよ、あなた。知事に聞いているんだよ、知事に」と呼び、その他発言する者多し)不良債権が出ると、デフォルトが一番多い中身はポートフォリオ型融資なわけですけれども、このポートフォリオ型融資の中に記載されております商品概要、その中に、商品性については、融資案件の積み上がり状況やデフォルトの発生状況を見きわめ、あらかじめ設定したポートフォリオの予想貸倒損失率に見合うように、機動的に適用金利や融資実行の基準などの融資条件を見直すというようなことも記載をされております。
〇吉田委員 知事は答弁逃げましたけれども、私は改めて、本委員会でこの経過についてきちんと調査をして報告することを要望いたしますが、知事、調査はどうですか。要望いたします、経過について、マスタープランの。
〇石原知事 調査をする必要があるならなさったらいいじゃないですか。調査をする必要があるならなさったらいいし、結構でございます、それは。しかし、あなたが、要するに今指摘された、一種の内部告発になるので、当人はだれなんですか。その人の名前、明かされるんですか。
〇吉田委員 東京都は当事者ですから、調査をすることができるでしょう。そのことをいっているんですよ。私は、ぜひこの問題は委員長に改めて要望しておきたいと思います。(「いいかげんなことをいったらだめだ」「いいかげんじゃないよ」と呼び、その他発言する者多し)そもそもですね……
〇三宅委員長 ご静粛に願います。ご静粛に願います。
〇吉田委員 大体、マスタープランは、都庁の中に準備室を置き、知事が税務協会に委託をし、知事と当時の大塚出納長など、少数の人間で密室作業で検討してつくったものではありませんか。しかも、仁司代表執行役はこのマスタープランづくりにはほとんど参加をしていなかったということを聞いております。(発言する者あり)改めてマスタープランをつくった責任というのは極めて重大だということをぜひ指摘をしておきたいと思う。
〇三宅委員長 ご静粛に願います。
仁司氏を代表執行役にしたのは知事
〇吉田委員 第三に、人事、任命責任についてです。
知事は、責任を専ら仁司氏を含めた旧経営陣に押しつけていますけれども、仁司氏を含めた旧経営陣は、事前に知事と東京都が選定した人物です。仁司氏を代表執行役に決めた取締役会は二〇〇四年六月二十八日。しかし、その半年前、二〇〇三年、平成十五年十一月二十八日に、知事は記者会見で何といったか。取締役会の半年前ですよ。あなたは会見で、代表執行役には、既にこれは情報として伝わっているかもしれませんけど、トヨタから仁司泰正さんをお迎えしていると紹介しているんです、取締役会の半年前に。そういう意味では、まさに知事が決めたということは明確な事実ですよ。
しかも、知事は、仁司氏を代表執行役に選んだ理由として、民間企業の幹部こそ−−すなわちこれは銀行の幹部ではないという意味です−−こそ複合的、重層的にとらえる経営感覚があるんだといって、既存の銀行幹部ではだめだという旨の批判を会見であなたはいいましたよね。
ところが、今は何をいっているのかということが問われるんですよ。昨年の第一回定例会、知事はこういいました。最大の責任は、ふなれな仕事をふなれな人にさせたという嫌いはございます。特に自動車のセールスのような、物を売ればいいというような業務じゃありませんし、そこら辺のことを勘違いがあったと議会で答弁しましたね。まさに自分が選んだ人、銀行幹部ではなく、車のセールス、それがこういう事態を招いたということをみずから認めざるを得ない発言をあなたはやったじゃないですか。
ここで、私は改めて銀行法第七条二項について確かめてみたいと思うんです。この銀行法七条二項では、銀行の常務に従事する取締役、委員会設置会社にあっては、執行役は、銀行の経営管理を的確、公正かつ効率的に遂行することができる知識及び経験を有し、かつ、十分な社会的信用を有する者でなければならないとしているんです。
知事、あなたは、この七条二項、承知の上であえて経験のない人を選んだんですか。
〔吉田委員「知事に聞いている。知事、答えてくださいよ」と呼ぶ〕
〇三宅委員長 吉田委員、着席してください。
〇石原知事 いきさつについては私存じませんから、精通している局長から答弁いたします。
〇佐藤産業労働局長 お話のとおり、銀行法の七条二項には、今ご説明のあったような規定がございます。
当然のことながら、銀行としては、代表執行役の就任に当たりましては、金融庁にそのお話を申し上げ、了解を得た上で就任をしているところでございます。
〇吉田委員 今度は金融庁に責任をなすりつけるんですか。あえて知事が銀行経営者ではない人を選ぶんだということが、あなた自身が認めたように、金融と物を売ると違う場でありながらそういう人を選んでしまったと、自分自身、昨年の第一回定例会で答弁しているじゃありませんか。
自己破産者を役員候補に
任命責任を問われるのは、代表執行役仁司氏の問題だけではありません。元職員から私は聞きましたけれども、率直にいって、都はなぜあんな役員を選んだのか、銀行経営としてはいま一歩だった、無責任な人が多かったという声が寄せられました。
知事、例えば、開設時から役員候補として採用され、当初審議役で代表執行役補佐、その後執行役になった人ですけれども、この人は、採用直前に自分が経営する会社が立ち行かなくなり、自己破産をする、直前ですよ。これはあえて、こういう場ですから、個人名は差し控えますけれども、そのことを記載した官報です。官報です。元執行役ですよ。これはちょっと驚くべき事実だと思うんですが、こうしたことは調べないで、候補者あるいは審議役として採用されたんですか。
〇佐藤産業労働局長 審議役に採用する権限を持っておりますのは、銀行側の代表執行役並びに取締役会−−取締役会ではなく執行役の方でございます。そういう意味では、執行役が、その方の経験等々を踏まえて、当然そういう状態にあった方ですから、いきなり執行役には着任はできませんけれども、そういう意味で審議役に、当時の執行部の権限として採用したというふうに考えております。
〇吉田委員 この方は、開設時以前から内定ということで予定されていたんじゃないんですか。東京都自身が複数の幹部候補として準備をされた方の中に入っているんじゃないんですか。そういう意味で私は、一例として紹介いたしましたけれども、本当に仁司元代表執行役だけではなく、人選において極めて選定がずさんだったのではないかということを指摘しているわけです。
先ほどお配りした銀行法の中で、銀行法第七条二項二号では、破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者又は外国の法令上これと同様に取り扱われている者は、銀行の取締役、執行役又は監査役となることができないと規定しています。たとえ審議役であったとしても、私は同等の審査というものが当然入ってくるべきものだと思います。
銀行法の規定に反し、未経験な人物や、本来選んではならないような人を選択した知事の責任ですね。そのみずからの任命責任を一切棚上げしてほおかむりをするということは、都民だれが考えても納得をすることはできないと思うんです。任命責任であるみずからの責任を何一つ感じないんですか、知事。
〇石原知事 あなたは銀行法を盾にとっていろいろおっしゃいますけど、要するに銀行は銀行なりに確かに法律がございます。それにのっとって、取締役会なるものが、その権限で代表執行役なり執行役を選んだわけでして、仁司さんの名前は事前に私、聞いておりました。ああ、こういう人が来るのかもしらぬな、なるほど、トヨタという代表的な会社の幹部だった人、それも悪くないんじゃないかと。それに対する疑義をいう人がいましたが、私はともかく、この決裁というのは取締役会にあるわけですから、それに一任した上で、私は私の所信を感想として述べただけであります。これを決めたのは(発言する者あり)人のせいじゃないですよ。法規にのっとってですね、正式に取締役会が人事を決めたんです。
〇佐藤産業労働局長 先ほど(吉田委員「質問してないでしょう」と呼ぶ)先ほど、破産宣告を受けた方が、銀行法の七条の二、二項に当たって、適任ではないというお話、それがあたかも東京都が推薦をしたというふうなご発言があったかに思いますが、東京都は、その方について一切推薦をしておりません。
〇吉田委員 知事は責任を棚上げする態度をとっていますが、例えば、ここにもいらっしゃいますが、都議会で、仁司氏だけではなくて(発言する者あり)仁司氏だけではなくて、役員候補ですよ、役員候補についてどのように選んだのかということが問われて、当時の産業労働局長、今別の局の局長としてここにいますけれども、何と答えたか。役員候補は、最終的に知事の了承を受けております、こういっているんですよ。仁司氏だけではなく、他の役員候補の方も、最終的に東京都が選んで、知事がそれを最終的に了承するという手続をもって、それを銀行の役員会などで受けとめるという仕組みになっていたんですよ、そもそも。(石原知事「逆じゃないですか、それは。逆ですよ、それは」と呼ぶ)いずれにしても、知事、改めて、あなたは任命責任というものを一かけらも感じないんですか。もう一度答えてください。
〇石原知事 あなたのおっしゃっていることは、ちょっと逆じゃないですか。私は、こういうことに決まりましたという報告をもって了承はしましたが、私が、この人間とこの人間、この人間を並べて、これがよろしいという権限もありませんし、そういう立場でも全くありません。
〇吉田委員 知事、議事録を読めば確認できるんですけれども、役員候補はというふうに局長はいっているんですよ。会社としての手続以前の、候補者としてこういう人を推薦をしたいということについて、最終的に知事の了承を受けておりますというふうにいっているんですよ。ですから、あなたがもしそういう認識だとしたら、あなたの認識こそ逆立ちですよ。いずれにしても、これだけ具体的な事実を示しながら、その任命責任をすべて棚上げをするという態度は、私は本当に見苦しい限りだと思います。
二重三重に東京都や知事の親しい人が役員に
四つ目に、乱脈経営を監視する体制を確立できなかった体制について問いたいと思います。責任について問いたいと思います。
新銀行の調査報告書は、代表執行役への権限の集中と、その独善的運営や事実の隠ぺいを強調しています。しかし、東京都は初めからそうした事態も予測をし、権限の集中、弊害を起こさないためのチェック機構として社外取締役委員会をつくり、さらに監査委員会を初め三つの委員会をつくり、その各監査委員会などの三つの委員会の半数のメンバーは社外取締役で構成すると。いわば三つの委員会の半分に社外取締役が入ってチェックをする、そしてさらに全体の取締役会でチェックをするということで権限の集中や弊害を正すんだということを強調してきたわけですよ。ところが、今の事態というのは、結果的にそれが機能しなかった。あるいは非現実的だったということを示していると思うんですね。
しかも、機構だけではありません。パネルで紹介いたしますけれども、いいですか、しかも、東京都関係者及び都知事の関係者は幾重にも派遣をされているんです。知事は、風通しが悪かったというふうにいっていますが、知事がその気になれば幾らでも風通しをよくすることができたんじゃありませんか。
そもそも、都のOBが取締役会に派遣されていましたね。細渕氏、そして鹿島氏。元局長、金融担当部長。さらに、知事の親しい知人の方が社外取締役に派遣されていましたね。鳥海氏、そして梶原徳二氏。さらに三つ目に、東京都の幹部職員が、スタート時ですけれども、総合企画部参事役として派遣されていました。この方は、戻ってから担当部長として、産業労働局で直接当たる幹部として仕事をしてきたわけです。これだけの体制をつくっただけではなく、二重三重に東京都や知事の親しい人がいわば派遣されているという仕組みがとられております。
鳥海氏は、昨年も私、紹介いたしましたけれども、一橋で知事と親しいということはもう有名な話です。
「石原慎太郎の会」に百万円の政治献金者が役員
また、もう一人、知事の親しい方として、梶原徳二氏を今挙げました。この人は、平成十五年の石原慎太郎の会政治資金報告書で、百万円の献金者として官報に記載をされております、官報にね。
しかもマスタープランでは、監視のために、都は、株主としての権利を行使し、社外取締役として都の関係者を就任させるというところまで明記をされています。しかもそれだけではなく、知事と親しい方をわざわざ社外取締役にさせてきたわけです。一体この人たちは何をしていたのか。そのことが改めて知事に問われているわけです。議会で知事はたしか一つか二つぐらい話を聞いたみたいなことをいいましたけれども、一体どうなっていたんですか、知事。
〇石原知事 この細渕さん、鹿島さんというのは確かに都の元幹部でありましたけど、転出して民間の企業の責任者になった。モノレールですか、細渕さんなどは、そこの社長をやられた。それで、この森さんという人はよくわかりませんね。これは事務的なことで行ったんでしょう。鳥海君は、これはやっぱり丸紅の社長、会長を務めて、丸紅の二度目の中興の祖ですよ。そして、国際フォーラムを任せたら立派な黒字の体質にしてくれた。梶原さんは、これは東商の中の中小企業担当の幹部です。この方も、その経験を見越して私はこの銀行に座ってほしいと(「何の役にも立たなかったじゃないか」と呼ぶ者あり)うるさいな、黙って聞けよ。その経験を生かしてもらうべく私が招聘して、社外重役に座ってもらいました。この梶原さんからも愚痴を聞きましたが、自分の意見をいっても余り聞いておらぬと、どうも上へ通らないということを何度も聞きました。そういう体質だったんですね、やっぱり執行部は。
〇吉田委員 知事は、あなたが招聘し派遣したということを梶原さんについても認めましたけれども、それだけの体制をとっておきながら、愚痴を聞いたという、非常によくわからない話でしたけれども、そういう体制をとっていれば、もっと早い段階で事態を把握していて当然じゃありませんか。その責任が私は問われなきゃならないと思うんですよ。
それだけではありません。大塚氏や津島氏の責任も私は問われると思うんです。このお二人は、知事以上に把握できる立場にあったんじゃありませんか。一体どういうふうに状況を把握し、知事に報告をしていたのか、その責任も問われるべきだと思うんです。
ある元幹部は、津島氏に対しては深刻な事態を報告をしてきたと述べました。また、退職時に大塚氏に会ったときに、深刻な事態を報告し、何点かと聞かれたので、点数はつけられない状況だと説明いたしましたと。大塚氏はそのとき、自分の想像を超える事態だったのか、えっと驚いていたということを聞きました。
知事、大塚氏や津島氏から、一体どのような報告が上がっていたんですか。しかも、数字的な報告は毎月東京都に上がっていたはずですよ。どうですか。どういうふうに聞いていたんですか、大塚、津島氏から。
〇佐藤産業労働局長 東京都のほうに入っております銀行の情報、月例報告がありますけれども、これは融資残高等と、極めて大まかなところの数字でございまして、そういう意味では経営の実態というものをつぶさに知るというような形にはなっておりません。
これは何度もお答えしておりますけれども、銀行法上の制約のもとでの大枠の監視という、そういうことしか東京都は株主としての立場がございませんので、結果としてはそういうふうになってしまったということであります。
〇吉田委員 知事は、大塚、津島氏からどういう報告が来ていたのかということについては全く口をつぐんでしまいましたけれども、私は、やはりこうした方々の責任も大きいし、そういう報告に対して知事がどういう態度をとったのかということも、改めて問われることだと思います。
知事・・株主総会に一度も参加してない
さらに、監視体制にかかわって、次の事例について聞かせていただきたいと思います。
都は、株主総会に出席して発言をすることは、もちろんできます。決算などへの、その決算を認めるか認めないかの賛否を示すことができますし、問われておりました。必要に応じて取締役会に申し入れなどができます。
知事は、二〇〇六年十二月の会見で、有効な手をどう打つかという話も株主総会でしたいと思っていますというふうに発言をされました。
そこでお伺いしますが、一体その後、知事は株主総会に出席してどのような発言をされたんですか。
〔吉田委員「知事ですよ」と呼ぶ〕
〇佐藤産業労働局長 東京都から新銀行東京への株主総会への出席につきましては、担当の部長が出席をしております。既に本委員会の資料としてお配りをしてありますその中に発言内容等も記載されております。
〇吉田委員 じゃ、知事に改めてお聞きしますが、株主総会、定期はたしか四回されていると思うんですが、一回でも株主総会に責任者として出席をしたことはあるんですか。
〇石原知事 これですね、株主総会というのは、執行部、経営者側のいい分を聞いて帰ってくる、そういうものです。それではらちが明きませんから、私は、もっと重い責任を持っている大塚さんなり津島さんに、もっと大事な本質的な問題について精査するように命じました。
それで、去年の夏前ごろから、これ、やっぱり相当きな臭いぞということで人事も交代させましたし、さらに、その新しい、津島さんの前の前任者が報告しに来ましたが、自分が受けている報告も非常に粉飾されていると、非常に青ざめた表情で、一体、中がどうなっているかよくわからぬ、そういうていたらくだという報告も聞きました。
ゆえもって、ますますの危機感で、私は、これはよっぽど相当思い切った手直しをしなくちゃいかぬということを申しまして、私もいろいろヒアリングを外でしました。いろんな工夫もしました。
そして、結果として、二番目の森田さんでしたかな、この方は病気ということで引退されまして、津島さんを送り込んでとにかく、今日ここまで至ったんですけれども、これから先のことは申しませんが、やはり人材としても、これからは、経験もありませんし、陣容を立て直して、墜落寸前のこの銀行というものを低空飛行から上昇に持っていきたい。そのためには、私もいろいろ知恵を尽くします、力も尽くしますし、それを行うことが、成功させることが私の責任だと思っております。
〇吉田委員 いろいろいわれましたけれども、結局、株主総会には知事は一度も参加をしてないわけですよね。(石原知事「出る必要がないんです」と呼ぶ)会見のときには、わざわざ発言をされているんですよ。
しかも、本委員会の資料にも出されておりますが、株主総会で東京都がどのような発言をしたのか、また、取締役会に東京都がどのような申し入れをしたのか。驚くべきことですよ。
「私が社長だったら、もっともっと大きな銀行に」(石原知事)
例えば調査報告では、二〇〇五年、平成十七年下期に大量のデフォルト発生を指摘をしています。しかし、その直後の二〇〇五年十二月十六日に取締役会が開かれましたが、東京都は何とその場で申し入れているでしょうか。平成十七年度の目標である二千五百八十億円の達成のためには、なお一段の努力を要する状況であるとハッパをかけただけじゃないですか。資料に書かれていますよ、きょう配られている中に。それが実態なんですよ、しかも。いろいろいいましたけれども。
知事は、いろいろ手を打ったかのようなことを今、強調いたしました。しかし、このパネルを見ていただければわかるとおり、(パネルを示す)累積の赤字が一千億を超えるような事態に一気になったわけじゃないんですよ。三年間の間に急増していくんですね。
したがって、その時点で立ちどまって撤退をすることによって、赤字をこれ以上つくらない、傷口を広げない、そういう判断をあなたはすべきだったんですよ。いや、いろいろ人を送りました、私も心配しましたと。しかし、何をやりましたか。
例えば、八百四十九億円の累積赤字が出たときに、知事は何と、どういう対応をとったか。乾坤一てき、前に出る以外にないんだと、まるで−−しかも、何といいましたか、少なくとも二年後には単年度黒字を出すといったんですよ。
人を送って手直しをしますといって、もうそれが示したものが実現できないどころか、先ほどの説明では、この二年後に当たるときは、単年度黒字どころか、自己資本比率を四%を切るというところまで行っているんでしょう。
結局、そのときそのときの知事の判断と対応が、これだけ累積赤字を広げてきたという責任は明白だと思うんです。そういう意味では、一千億を丸々失いかねない事態まで進んできた、その元凶としての知事の責任、私はいい逃れをすることは許されないと思います。
知事は、私財をなげうって責任をとるべきという声に対して、心情的にはわかりますが、法律の体系の中で、会社法なら損害賠償があるでしょうと。しかし、自分は法的に損害賠償の責任がないんだといういい逃れをいたしました。
しかし、あなたが会社の社長だったら、これだけの一千億の大穴をつくれば、即辞任、そして損害賠償の責任が問われるんですよ。会社法で規定されてないから、おれの責任はないんだ、こういうことは、笑ってますけれどもね、都民的には納得できないと思うんですよ。改めて、一千億円を失う事態をつくった知事としての責任、どうお考えですか。
〇石原知事 あなたは、経営者と株主の立場を……(「都民の税金だよ」と呼ぶ者あり)もちろんそうですよ。そんなことはわかり切っていますよ。しかしですね、経営者と株主の立場というのがこんがらがっている。
まあ端的に申しますと、最初から私が社長だったら、もっともっと大きな銀行にしてました。
知事は、真摯に都民に謝るべきだ
〇吉田委員 もう驚くべき無責任な態度ですね。知事、知事というのは都民の財産を守る責任があるでしょう。一千億円を投資したら、それを守る責任があるじゃありませんか。それを管理するというのは知事としての責任ですよ。その点では会社の社長と同じですよ。
したがって、出資金一千億円を失うということ自体、住民監査請求の対象であり、住民訴訟によって損害賠償の対象になり得ることじゃありませんか。
あなたは大体、うまくいけば自分の手柄、うまくいかなければすべて他人の責任、もう本当にこういう態度を続けてきたといわざるを得ません。
私は改めて、一千億円を失う事態をつくったことについて、真摯に都民に謝るべきだと思います。それが知事としての責任じゃありませんか。どうですか。
〇石原知事 ですから、都民から預かっている大事な大事な税金を失い切る前に、私の責任としては、これを立て直す必要があると。もしここで皆さんに四百億の追資を認めていただかなかったら、この会社はつぶれますよ。つぶれたら、もっともっと大きな損害で、もっと犠牲者が出るんですよ。一万人を超す、要するに、一万社を超す会社とその従業員、家族、それから、その関係筋、全部被害を受けるわけです。
ですから、私はこれを立て直すためにこの動議を出しているわけで、あなた、やっぱり先のことを考えなきゃね、もうちょっと。
〇吉田委員 新銀行の事態を、我々の警告を無視して続けたことによって一千億の赤字をつくった人間にね、そんなことをいわれる筋合いないですよ。あなたはいかに先の見通しがなかったということじゃないですか。ふざけたことをいうんじゃないですよ。許されないですよ、本当に。
しかも、一千億を取り返すことができない事態になっているんですよ。再建計画というのは、一千億を取り戻すことができない計画になっているじゃないですか。(「それを防ぐためにやるんだよ」と呼ぶ者あり)何をいっているんですか。
表紙を入れて七頁の「再建計画」
再建計画四百億の投入問題についても、次にただしたいと思います。
知事が出資をした一千億円は失われました。ところが、手を引くどころか、知事は、四百億円を出せば再建できる、黒字になる、こういうふうに強調しています。しかし、率直にいわせていただければ、もう都民をだますのもいいかげんにしてくださいというのが、少なくない都民の思いだと思います。
そもそも、これまで知事が新銀行に関していってきたこと、提案をしたこと、約束した年度の黒字、全部実現しなかったじゃないですか。実現してないじゃないですか、あなた方の。まさに、すべて絵にかいたもちにすぎなかったんです。新中期計画、明らかでしょう、二年後黒字というのは。
しかも、二つ目に強調すれば、民間に出資を求めて、ことごとく断られたんでしょう。再建計画なるものは、民間が見放したんですよ。幾らあなた方が堅実で黒字になるといっても、民間が黒字に判断すれば、増資も、新たな資本参加もするでしょう。しかし、民間の目で見て、これは参加できないという判断が、一社だけではなく、広くもう既に認定されているんですよ。それを、そもそも民間外の人たちがもう一度これをつくって信用せよといっても、それは信用できないのが当然のことじゃありませんか。
しかも、二年後黒字というふうにいっていた来年度末、黒字どころか、先ほどのお話では、自己資本比率は何と四%を切ると。自己資本比率。そして、私たちが聞き取った話では、三・七%だという説明を受けています。なぜこのような事態になるまで、その状況を明らかにしなかったのかということが、改めて現時点で私は問われていると思うんです。
金融関係者に再建計画を私たちも見せて、意見を聞きました。異口同音にいったことは、再建計画、表紙を入れても七ページですよね。たったこれだけなんですかと、再建計画は。これが金融関係者の共通した声ですよ。都民の税金を入れるということは、いわば国でいえば公的資金の導入と本質的には同じことだと思うんです。
新銀行の実態と原因の全過程を明らかにせよ
もし国において金融庁の指導で公的資金を入れる、あるいは早期是正措置、一番軽い段階が発動されたとしても、どういうことになるか。もちろん健全化計画を提出しなければなりません。その健全化計画なるものは、七ページどころの話ではありません。
これは中央三井トラスト・ホールディングス株式会社の経営の健全化のための計画です。七六ページですよ。少なくとも再建計画ということになれば、そういう詳細な計画を出して、初めて都議会の場で議論が成り立つんですよ。わずか表紙含めて七ページの再建計画で、これで認めてくださいということは、判こだけを求めるという態度じゃありませんか、議会に対して。それで判こをする人がいるとしたら、私は本当、信じがたいですよ。
私は、今何よりも求められているのは、新銀行東京の実態と、その原因の全過程を全面的に都民と都議会の前に明らかにすると。それも明らかにしないで四百億円の追加出資など認めろということ自身が、到底通用する話ではありません。いかがですか。
〇佐藤産業労働局長 今回の予算特別委員会で、過去の経過、現在の経営状況、それから答弁も含めまして、今回とり得るべき策、この中での比較検討、それから、これから銀行が実施をしてまいります新しい再建計画、膨大な資料をこの委員会にお示しをしてご議論をいただいているところでございます。
〇吉田委員 全く詳細な計画や資料、出されていないですよ。これで議論をせよという態度、あるいは、東京都自身がどのような再建計画を把握して検討したのか、そうしたことも私は問われていると思うんです。
何故に三月期決算を待たないのか
もう一つ、専門家の方々が共通して不思議に思っていることがあります。それは公認会計士の方がいわれたことなんですけれども、追加出資は、三月末までの今年度中ではなくて、来年度の執行で提案されていますね。それならば、平成二十年三月期決算が近く明らかにされます。その決算の状況が明らかになり、しかも決算書ですから、第三者の監査法人による分析、評価が行われるわけですよ。来年度執行ということならば、なぜこの三月期決算、そこに示された監査法人の評価や意見を受けて四百億投入の適否を検討するということがされないんですか。それが当然のことじゃありませんか。あとわずかで三月期決算が出るんでしょう。
知事、そう思いませんか、素朴に考えて。知事、三月期決算が出るんですよ。この執行は来年度ですよ。なぜそれを待たないんですか。なぜそれを待たないんですか。おかしいじゃないですか。
〇佐藤産業労働局長 何回かお話を申し上げておりますけれども、新銀行東京の今年度末の決算の見込みでは、純資産額が百五十億円程度になるというふうに見込んでいるところでございます。仮に今回追加出資をしなかった場合には、平成二十年度末には、銀行業務を継続する上で最低限必要となる自己資本比率が四%を下回るという見込みでございます。この場合に、新年度の業務に入るということが、金融庁からの改善命令が出ます。
そういう意味では、この時点で資本の増強をしないと、新年度の業務が遂行できない。遂行できないということは、既存融資先等々に多大な迷惑がかかるということで、今回の追加出資について、一刻も早く新銀行が新たなビジネスモデル、これを軌道に乗せて財務体質の強化を図ることが必要である、こういう判断をしまして、銀行からの追加出資の要請に応じて、今定例会に補正予算を提案をしたところでございます。
〇吉田委員 来年度執行なんですからね。あとわずかで、三月期決算と、そこに監査の意見が付随するわけですよ。それをきちんと見て議論しない限り、真に新銀行東京の実態というものを我々は把握することができないじゃありませんか。あなた方だって、正確に把握することはできないじゃありませんか。それがわかっていながら、あえてその前に一気に四百を通そうというやり方自身が、極めてこそくだといわざるを得ません。
あまりにリスクの高い再建計画・・金融庁の指導をあおげ
しかも、再建計画そのものを見た専門家は、共通して、余りにもリスクが高いと。例えば新型保証は、他の金融機関から危ない顧客を紹介され、損失を出すことになり得ないかということだとか、ファンド、これもリスクが高い。しかも、そういうところになぜ東京都が進出しなければいけないのかとか、ファンドによるリスクは、もうかれば高いかもしれませんけれども、極めて危険性をはらんでいるということは、金融界では常識だと思うんです。したがって、そのために、リスクウエートのために重いお金を投入しなきゃならない、こういう仕組みになっているんでしょう。
さらに、先ほどから、中小企業一千三百社を守らなければならないということが声高に強調されました。(「一万三千だよ」と呼ぶ者あり)一万三千社ね。しかし、この再建計画に盛られているのは、収益が確実に見込める分野に重点化するということですよ。そして、今までの無担保路線を転換し、担保も保証も求めると。それだったら、民間の都市銀行と何も変わらないじゃありませんか。
しかも、今、貸出金額の残高は二千億を超えてあるんですよ。再建計画は、来年度それを、七百億に貸し出しを下げる。最後の四年後は、四百億まで貸出残高は下げるんですよ。一万三千社、これを最後は面倒見ないということじゃありませんか。一万三千社を救済するためだなどということは、再建計画から全く見てとることはできないんです。
しかも、ペイオフ、清算、追加出資、三つしかないということをいいました。しかし、例えば預金保険機構を活用する場合でも、資金援助型で救済バンクあるいはブリッジバンクを通じて、基本的に今の新銀行をそのまま引き継いでもらうというやり方だってあるではありませんか。
また、それに入る前であったとしても、先ほどの答弁でもそうですけれども、約四千億の預金に対して支払うだけの資産は十分にありますというふうにいっているではありませんか。段階的にこうしたことを管理をする企業をつくることによって、やることができるんです。もう金融庁に指導を仰ぐべきだと。いつまでも失敗を繰り返した人たちがこういう計画を進めるのではなく、そのことを強く求めて、私の質問を終わります。(拍手)
以上