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第一回定例会 予算特別委員会 総括質疑 二〇〇八年三月一二日

大山とも子(新宿区選出)

新銀行東京・・無責任な知事をもつ都民は本当に不幸
認証保育所で補助金不正請求、食材費が一日三六円(子ども一人当り)

マスタープラン・・赤字から黒字に書き換えたのは事実

〇大山委員 まず、新銀行東京の問題について質問します。
 昨日の我が党吉田委員への知事の答弁に、都民の怒りの声が沸騰しています。フジテレビの都民への緊急電話調査では、千二百六人中、新銀行への四百億円の追加出資に反対する人が八七・七%に達しています。私のところにも、たくさんの都民の方から、ぜひもっと知事を追及してもらいたいと怒りの声が寄せられています。
 昨日、吉田委員が新銀行のマスタープランづくりに参加した方の証言として、原案では開業後三年目も赤字という分析だったのに、大塚出納長らが黒字に改める改造を行ったという問題を取り上げ、調査を要求しました。新銀行を進めるのか、それともやめるのかにかかわった重大問題です。
 ところが、知事は、事もあろうに、調査する必要があるなら、なさったらよいではないか。本当に無責任なことをいい、事実を調査する意思さえ示しませんでした。無責任です。
 また、きょうになって産業労働局長は、東京都側の幹部によって赤字を黒字にした事実はないと答えました。しかし、赤字という分析があり、それが最終的に黒字に変えられたという証言そのものは否定できませんでした。事は新銀行東京の設立にかかわる重大問題です。知事が事実を調べもしないという態度は許されません。
 知事は設立の責任者として、すべての関係書類を公開すべきです。すべての関係者を調べるべきです。やるのかやらないのか答えてください、知事。
〔大山委員「知事でしょう、知事が答えてるんだから」と呼ぶ〕

〇佐藤産業労働局長 本日の別の審議の際にもお答えを申し上げますけれども、東京都側の幹部によって赤字が黒字に改められたという事実はございません。

〇大山委員 さっきもそれはいいました。赤字という分析があって、それを最終的に黒字に変えられたという証言そのものは今も否定できないじゃないですか。設立にかかわった部下が中心になって、私たちに都合のよい数字に変えたという(発言する者多し)自分たちに都合のよい数字に変えたという大問題なのに、それを調べようともしない。都民はそんなことでは納得しません。
 私たちだけがいっているのではありません。ここに、この問題をけさ報道した新聞がありますが、私たちの調査と同様、三年後の目標は原案では十億円から二十億円の赤字とするデータを提示したのに、都側は、これからかけ離れた五十四億円という大幅な黒字に改めて発表した、そういう証言を報道しているんです。
 知事、自分に都合のよい数字だけでなく、すべてのシミュレーションを公表すべきです。そうじゃないんですか。

〇石原知事 これはそれを改ざんした大塚さん並びに他のスタッフの名誉にかかわることでございますから、それを証言した人の名前を明かしていただきたい。それでなければ正確な調査はできません。

〇大山委員 そんなひきょうなことはいわないでください。(発言する者多し)ちゃんと自分で認めて、都議会に認めてくれといっているわけでしょう。それを認めてくれといっておいて、資料も出さない。それでいいんですか。どういうことですか。部下の報告をうのみにするだけで、事の本質を調べようともしない。そんなことだから、一千億円をどぶに捨てるようなことになるんです。

預金も中小企業も守る方策はある

 知事は、二言目には、中小企業が困るんだ、そういいます。しかし、四百億円を追加出資するのではなくて、きちんとした貸し付けについては、中小企業に借りかえの低利の特別融資をすればいいじゃないですか。都もかつて都市博を中止したとき、中小企業を救済するために直接融資を行いました。この融資は今でも続いています。そんな、いいなさいというんだったら、自分で調べればいいでしょう。調べもしないで何ですか。(発言する者多し)質問しているんです。

〇三宅委員長 ご静粛に願います。

〇大山委員 中小企業に借りかえの低利の特別融資をする。詐欺的な行為で借りた企業は別として、まじめに働き、地域に役立っている中小企業に対してはそういう救済を自治体としてやったらどうですか。設立者としての知事の責任ではないんですか。答えてください。知事が答えてください。(発言する者多し)うるさいから聞こえないんでしょう。
   〔発言する者多し〕

〇三宅委員長 大山委員、着席してください。

〇佐藤産業労働局長 制度融資等の別の措置でもって中小企業を救ったらどうかというようなお話がございましたけれども、制度融資にかからないような企業、いわゆるるる説明をしておりますけれども、赤字や債務超過、そういう企業が非常に多い債務者であるというのが新銀行東京の特徴でございます。
 制度融資でかつて特別な制度をつくってやった部分があります。例えば安定化の関係がございますけれども、こういうときは、ちゃんと保険制度の中でやれたものでございます。そういう意味では、それがないときに新銀行が清算をするような形のケースを想定されているんだと思いますけれども、その最終的な負担はどのような形になるかというのは、今までもお話をしてきたとおりでございます。

〇大山委員 かつて都市博のときに東京都自身もやったじゃないですか。今も続いているじゃないですか。だから、特別に低利の融資をつくってやればいいんですよ。それは責任でしょう。と同時に、四百億円追加出資するよりも、借りている人だってずっと喜びますよ。都としても安上がりなのに、やらないなんというのは本当におかしいと思います。
 預金者保護についても、銀行関係者や金融の専門家の話では、今なら間に合います。都の説明でも、預金四千億円に対して、有価証券など、すぐに現金化できる資産が三千億円あります。問題は不足する一千億円ですが、これに対応する資産、貸付金は二千億円ありますから、これを二、三年かけて回収すればよいだけの話です。預金も定期預金が大半ですから、すべての預金が満期を迎えるのは三年後です。
 それとも、貸付金が回収できないとでもいうんでしょうか。そうであれば、都の再建計画自体成り立たないではありませんか。預金者と融資を受けたまじめな中小企業を守るために、知事はメンツを捨てて事に当たるべきです。知事、金融庁や民間金融機関に頭を下げてでも協力を頼むべきです。

自らの責任を回避して旧経営陣に責任をおしつけ

 知事は、プランは間違っていなかったが、経営がまずかった。そういって、みずからの責任を回避して、旧経営陣に挙げて責任を押しつけています。
 昨日は、自分が社長だったら、銀行はもっともっと大きくなっていた。こういう大言壮語ともいうべき発言を行いました。私はこの発言について、中小企業の方々の声を聞きました。もうみんなあきれ果てています。冗談じゃない、やめてくれ、素人が社長になったら傷が深くなるばかりだ。そんな銀行はだれも相手にしないという声が圧倒的です。中には、だったらすぐに社長になればいい。税金をつぎ込まないで黒字にしてみせてもらいたい、そういう声もありました。
 知事、この都民の声をどう受けとめるんですか。
   〔佐藤産業労働局長発言を求む〕
〔大山委員「知事ですよ。知事にどう受けとめるんですかと聞いているんです」と呼ぶ〕

〇佐藤産業労働局長 先ほどもお話がございましたけれども、一千億円の流動性補完をした場合に、それが最終的には返ってくるだろうと。今の債務が全部戻らないというふうなことなのかというお話でございましたけれども、今議会で説明申し上げましたとおり、新銀行の資産もあります。ですから、短期的に一千億円の流動性の確保ということで資金が必要になる。
 ただし、破綻処理、それから清算といういずれの方法をとっても、実質的には破綻処理に近い形の処理の仕方をせざるを得ない。そういう中では、受け皿銀行がない中で清算もできませんし、仮に受け皿銀行というようなことを想定したとしても、そのときに債権が毀損する割合というのは、過去の破綻処理の例を見ましても、同規模の資産を持つ銀行の平均的な毀損率が五〇%を超えているということからしますと、新銀行の場合に当てはめた場合には、一千億円以上の債権が毀損をしていく。これが過去の実態でございます。
 そういう意味でいけば、流動性の補完をするために出した一千億円そのものが、そのまま返ってこないということが、過去の平均的な数値から見ればそれが実態でございます。そこをご理解いただきたいと思います。

〇大山委員 いろいろいいますけれども、みんなに見放されちゃったということですよね。そして私が聞いたのは、知事に、この都民の声をどう受けとめるのかって聞いたんです。これぐらいいってくださいよ。

〇石原知事 一部の都民の声は真摯に承ります。

〇大山委員 本当にきちんと受けとめなきゃだめなんですよ。私、直接お話を聞かせてもらった方もいます。(発言する者あり)じゃ、真摯に受けとめてください。
 私自身、旅館で失敗したけれどもという方からもお話を伺いました。自分自身、旅館で失敗したが、下り坂になった商売というのは、見切りをつけるタイミングが重要だ。今がそのタイミングではないか。このタイミングを逃すと、傷はもっと深くなる、そうおっしゃっていました。こういう声にきちんと謙虚に耳を傾けるべきじゃないでしょうか。
 本当に耳を傾けるというんだったら、きちんと全部資料も出して、きちんと出すものを出してやらなきゃいけない。そして耳を傾けるんだったら、しっかりと傾けて、反省して、そして撤回しなきゃいけないと思います。
 責任はすべて旧経営陣になすりつけて、自分は責任をとろうとしないとか、重要な告発があっても、事実の有無も調べようとしない。私は、こういう無責任な知事を持つ都民は本当に不幸だということを厳しく指摘しておきたいと思います。

子どもの転落事故が起きているのに放置してきた都の責任は重大

 それでは、次に認証保育所について質問します。
 昨年来、私たちは、株式会社日本保育支援協会の認証保育所、じゃんぐる保育園について、職員の架空申請などの不正疑惑や保育条件整備に重大な問題があることを明らかにしてきました。
 じゃんぐる保育園は二階にあります。登園するときも、散歩に行くときも階段を使います。その階段の段差が高くて危険だということが、保護者や職員から何度も指摘されていました。ところが、事業者も都も対応しないまま、昨年十月の末には、二歳の子どもが階段から落ちてけがをしてしまいました。その後も子ども用の手すりさえも設置されていません。
 認証保育所には、建築バリアフリー法及び東京都の条例が適用されます。東京都認証保育所実施要綱にもバリアフリー条例に従う、そう書いてあります。
 建築バリアフリー条例第六条は、保育所等の階段について、け上げ、つまり一段の高さですね、段差の寸法は十八センチ以下とし、踏み面の寸法は二十六センチメートル以上とすると、きちんと何センチというところまで書いてあるんです。
 私たちはじゃんぐる保育園について実地調査をしましたが、階段の段差は二十一センチです。条例の規定よりも三センチも高い。一方、踏み面は二十五・五センチで、条例の基準違反は明らかです。これはメジャーでちゃんとはかってきました。
 知事、建物バリアフリー条例違反の認証保育所が認証されていることをどう思いますか。

〇安藤福祉保健局長 バリアフリー条例の基準は、私どもも認証保育所の基準として設けてございます。今おっしゃった数値のとおりでございます。こういうものを、認証保育所の認定の申請がある場合には、その部分も含めて確かにそうなっていたというような確認をした上で認証をすることになっております。
 今回、そういうことがあったということで今お話がありましたが、本件について申し上げますと、じゃんぐる保育園のことについていいますと、昨日も高橋委員からのご質問にお答えいたしましたが、この保育園につきましては、実地調査等の資料を分析し、現在でございますが、さらに関係者等の事情を聴取して、違反等があれば厳正に対処する、こう申し上げているところでございますので、個々の事例についてはお答えを差し控えさせていただきます。

〇大山委員 その部分も含めてきちんと調べて認証するといっているにもかかわらず、明らかに条例違反だって今局長さんも認めましたけれども、条例違反のものが認証されていたということなんですよね。
 手すりについても、バリアフリー条例のパンフレットでは、階段の両側に設置して二段式になるようになっていますけれども、じゃんぐる保育園は片側にしか、しかも一段にしかありません。バリアフリー条例違反の認証保育所を認証した上に、子どもの転落事故が起きているのに放置してきた東京都の責任は極めて重大ですよ。

じゃんぐる保育園が補助金不正請求・・審査会で厳正な審査を

 そればかりじゃありません。私たちは、じゃんぐる保育園の株式会社日本保育支援協会の三谷代表が、さいたま市で個人経営しているらいおん保育園で不正を働いていたことも明らかにしました。これはじゃんぐる保育園の職員二人が、さいたま市のらいおん保育園の職員として二重申請され、運営費や職員の健康診断費用など、市の補助金を不正に取得していたことですね。
 先ほど厳正な対応、対処するといいますけれども、じゃんぐる保育園については、認証の取り消しも含めて厳正な対処を直ちに行う必要があると思います。それにはもちろん保護者や子どもたちに不利益が及ばない万全の対応をしつつです、ということですね。
 それで、厳正なということですけれども、いつまでに結論を出すんでしょう。

〇安藤福祉保健局長 本件につきましては、現在、関係者の事情を聴取する等行っておるところでございまして、しかるべき時期にしかるべく処分を−−処分といいましょうか、厳正な対応をしていくということでございます。
 なお、バリアフリー条例の関係で申し上げますと、バリアフリー条例では一定の基準がございますけれども、区部におきましては、小規模な建築物については、区長の判断により適用しないことができるということになってございます。
 また、認証保育所の開設の申請に当たりましては、必ず区市町村からの推薦を受けることとしておりまして、今回も、地元区からは推薦の書類をいただいているということでございます。
 なお、書類等について不備があるようであれば、これまたしっかり精査をして、関係部署ともどもしかるべき対応をしていく、こういうことだと思います。

〇大山委員 まだそんなことをいっているのかという感じですけれども、しかも今、本当にひどいと思うのは、条例違反を全く認めておきながら、条例違反を、規制緩和、規制緩和、緩和、緩和でどんどん緩めちゃうということじゃないですか。条例違反を東京都みずからが認めているということじゃないですか。子どものことなんか二の次、三の次だということじゃないですか。とんでもありませんよ。

 一般論で聞きますけれども、仮に認証の取り消し処分をする場合、認証保育所審査会で審査をするんでしょうか。都の決定と事業者への通告などはどういう段取りで進むんでしょうか。

〇安藤福祉保健局長 認証保育所の認証取り消しの手続でございますけれども、事業の実施要綱に規定をいたします取り消し事由に該当した場合には、認証保育所審査会の審査を経て知事が決定するということになっております。
 なお、しつこいようですが、バリアフリーについて申し上げるならば、区部では、小規模な建築物については、条例の運用は区の所管とされておりまして、既存建築物など、その状況等によりやむを得ない場合は、区長の判断でこれらの基準を適用しないことができるとされております。

〇大山委員 小規模だから子どもたちのことは考えなくていいということと同じじゃないですか。だから、保育内容だって限られてしまう。そして、子どもたちに本当に安全さえも保障できない、こんな認証保育所をつくらざるを得ないということじゃないですか。それを認証してきた責任ですよ。
 今月末にその審査会を経て決定するということですけれども、今月末に予定されている審査会で厳正な審査を行うよう求めておきます。

子ども一人当たり一日分の食材費が約三十六円

 次に、保育園の給食について伺います。
 保育園における給食は、子どもたちの成長にとって重要な役割を果たしていると思いますが、認識はいかがですか。

〇安藤福祉保健局長 保育所は乳幼児が一日の生活時間の大半を過ごすところでありまして、子どもたちの健やかな成長にとって、保育所における給食は重要であると考えております。
 認証保育所におきましても、この考え方に基づきまして、指導監督基準に給食の状況についての項目を設けて適切に指導をしているところでございます。

〇大山委員 認証保育所についても、本当に給食は重要なんだという認識ですね。
 それでは、各認可保育所及び認証保育所における子ども一人一日当たりの給食食材費はどうなっていますか。

〇安藤福祉保健局長 給食に関しましては、認可保育所、認証保育所、いずれも材料費の金額で指導する仕組みとなっておりません。
 給食につきましては、両者とも同様の考え方に立ちまして、それぞれ入所児童の健全な発育に必要な栄養量を有するものでなければならないとされております。この考え方に基づきまして、給食の内容は、栄養許容量を満たした上で、変化に富み、季節感がある献立とされているかなどについて、指導監督基準に沿って指導しているところでございます。

〇大山委員 認可保育所も認証保育所も給食、重要で、入所児童の健全な発育に必要な栄養量を有するものでならなければならない。そして、検査で、きちんとそれが満たされているか検査しているんですよ、そういうことですね。認証も認可も同じですよという考え方ですね。
 ところが、その給食が非常にないがしろにされている企業立の認証保育所があるんです。定員が二十八人の認証保育所A型で、株式会社が経営しています。勤めている人が余りにもおかしいと思って食費の一覧表をコピーしていただいています。
 これは二〇〇五年十月ですけれども、(資料を示す)一カ月の食材費の合計が二万二千三百円です。この月は日曜祭日を除きますと二十五日間で、子どもはそのとき二十五人程度でした。ですから、子ども一人当たり一日分の食材費は何と約三十六円なんです。こんな食材費で給食をつくろうとするとどうなるのかということなんです。

知事が「問題がある」と答弁

 例えばこの認証保育所の食費一覧を見ますと、卵、Lサイズで十個入りの一パックを九十八円で買っています。東京都が発行している東京の物価で同じ時期を見ますと、十個入りLサイズ、約二百円です。
 ブロッコリーは冷凍で九十四円。食費一覧表の備考欄には買ったお店がメモしてあります。ほとんどが激安を売り物にしたスーパーです。私も行ってみました。これは冷凍ブロッコリー五百グラム入り、九十七円です。(実物を示す)原産地、中国です。
 元職員の方からお手紙をいただきましたが、一つ一つの食材にも不安を感じていました、百グラム十円の鳥肉、十円のもやし、見切り品の野菜。魚などほとんど食材に入っていませんでした、激安スーパーでの買い物がほとんどでしたと驚くべき実態を訴えています。
 手紙はさらに続きます。食費を少なくするために、子どもたちに対して量も考えていませんでした、午前のおやつも乾パン、タマゴボーロ三から五粒、牛乳は五〇cc弱、ヨーグルトも大さじ一杯、余りにも食事がお粗末な上、年齢の大きい子にはおかわりすらありませんでしたというのです。
 知事、子ども一人一日三十六円の食材費というのは余りにも少な過ぎると思いませんか。初めてこういう話を聞いたと思いますが、どう思いましたか。率直な感想で結構ですから、知事、いかがですか。

〇安藤福祉保健局長 一日三十六円というのは甚だ極端な例だというふうに思いますけれども、そういう例は私どもは把握をしておりませんが、認証保育所では、給食について、先ほどと同様でございますけれども、事業者の創意工夫ということも、それにより提供されていることもございますし、入所児童の年齢構成によって食材費が異なることもございます。
 ですから、一概に金額の多寡だけで論じることはできないものと考えますが、ただいまの一食三十六円という例については後ほど教えていただきたいというふうに思います。

〇大山委員 事業者の創意工夫による柔軟な仕組み、そんなことをいいますけれども、柔軟なやり方だといって、こんなやり方が許されるんでしょうか。たとえ一部であっても事実なんですよ。好ましいことだと思いますか、知事。知事、知事、好ましいことだと思いますか。

〇石原知事 世の中には安かろう、悪かろうということもございますし、ほかの物価と相対して非常に低過ぎるということはいささか問題があるかもしれません。特に原産地が中国ということになりますと、これは大変だと思いますな。

食材費を削れば削るほど利益が上がる企業立の認証保育所

〇大山委員 三十六円でどういう状況なのか、本当にきちんと聞いていてくださいよ。(石原知事「聞いているから答えたんじゃないか」と呼ぶ)
 しかも、私、福祉保健局のホームページの福祉ナビにこの認証保育所のサービス内容が載っています。ここにあります。(資料を示す)何と書いてあるか。食事の欄には、季節に応じた食材を選定し、食生活を通し健全な発育及び健康の増進に努めるよう計画的に調理献立を行っております、アレルギー食にも対応します、実態と全く違うことを書いているんです。福祉局のホームページですよ。
 その上、元職員の方は、保護者に見せる毎日の給食のサンプルは見ばえよくつくらせる、そうやって話しています。認証保育所を利用しているのは乳幼児なんです。きょうはどんな給食だったのか、何をどれぐらい食べたのか、保護者にきちんと話すことはできません。どんなひどい給食でも訴えることはできないんです。それだけに私は本当に許せないと思います。知事、そう思いませんか。
 実は、食材費が低いのはここだけの問題ではないんです。この表を見てください。今、表を配りますから、この表を見てください。(パネルを示す)新宿区内の企業立の認証保育所と認可保育所で食材費がどうなっているか比較してみました。
 認証保育所は実績報告書で園から出されている数字を使い、認可は決算値を使いました。認証保育所A園は、昼食とおやつを合わせて、子ども一人一日当たり百六十七円です。認証保育所B園は食材費は百九円です。一方、認可保育園C園は昼食のみで三百五円。認可保育所D園は二百八十四円です。ほかの自治体の認可園も調べましたが、ほとんど三百円前後です、認可園はね。差があることは明らかです。
 こうなるのは理由があるんです。この本は子育て支援ビジネスの入門書です。認証保育所の事業収支計画のモデルを掲載しています。夕食代は一食三百円を徴収しますが、食材費の支出は百円で、一食当たり二百円ものもうけなんです。

 知事、食材費を削れば削るほど利益が上がる、企業立の認証保育所の一部でこういうやり方がされていることをどう考えますか。
 実態調査をして、子どもたちの成長、発達を最優先にするよう改善する必要があると思いますけれども、知事、どうですか。知事、知事が進めているんでしょう。

〇安藤福祉保健局長 手元にございますけれども、この二つを見ると、上の認証保育所のBというのは二カ月分と書いてありますから、まだスタートして二カ月という意味であるならば、もう少し様子を見てから数字というのは固まっていくのかなと、こう思います。
 それと、認証保育所では、給食についても事業者の創意工夫と先ほど申し上げましたけれども、例えば大手さんが数園にわたる分を一括購入することなどもその工夫の中に入ってくるわけでありますし、入所児童の年齢構成によって食材費が異なりますので、金額の多寡だけで論じることはできないというふうに考えております。
 それから、先ほど三十六円の例でございますけれども、献立表の開示、あるいは施設内における毎日の給食の展示というものを保育園の方に求めておりますので、利用者には毎日の食事内容が明らかになる、こういうふうな仕組みにしております。利用者のチェックを日々受ける仕組みとなっております。
 これが指導基準でございますので、仮にそういうものに反することがあれば、私どもは指導をしていく、こういうことだというふうに思います。

「厳重に調査して指導すべき」(知事)

〇大山委員 さっきもいったように乳幼児なんですよ。だから、お母さんたちに、お迎えに来たときに何を食べましたというのがわかるように、どれぐらい食べましたというのがわかるように見本を出すんじゃないんですか。その見本を、実際子どもたちが食べているのとは違うものを出しているということですよ。きちんと実態調査をしてほしいですよ。
 しかも、子どものことをそっちのけにした企業努力が許されるのかということですよ。子どもたちにとってこんな大事な問題について、実態調査もしない、改善も必要ないということなんでしょうか。
 そんなことでは行政を預かる資格が問われますけれども、知事、どうですか。実態調査するべきじゃないですか。

〇石原知事 預かっている幼児に出している食事と保護者に見せる食事のサンプルが違っているというのは、これは論外だと思います。これはやっぱり厳重に調査して指導すべきだと思っております。

認可保育園の増設で量、質の確保を

〇大山委員 じゃ、きちんと調査をして、そして対応してください。
 本来、もうけが出るような分野ではない保育でもうけようとして参入してくるから、人件費や食材費を削ることになるんですよ。そういうやり方は認めないという都の対応を厳しく求めておきます。そして、実態調査、きちんとやってください。
 都に求められているのは、認可保育園の増設で量も質も確保することです。認可保育園の待機児は今年度の四月時点で四千六百人、十月でも八千人です。ネットでは、保育園難民な母子の行く末はいかにとまでいわれています。認可保育所の増設に向けて、都有地の活用など抜本的な支援が必要ではないんでしょうか。

〇安藤福祉保健局長 認証保育所では定期的な指導検査を行っているほか、問題のある施設に対しましては毎年検査を実施しておりますので、苦情、通報があった場合は特に迅速かつ機動的に対応しておりますので、そういう例があれば、私どもでは必要な調査に入りたいというふうに思っています。
 それから、保育所待機児童解消のためには、都有地活用による認可保育所の増設も有効な方策の一つでありますので、都は、昨年十二月に発表いたしました実行プログラム及び子育て応援都市東京・重点戦略におきまして、都有地の活用による認可保育所の設置促進を図る方針を明らかにいたしたところでございます。
 なお、給食費について申し上げますと、私どもも保育の情報を収集している中で、食費についても数例だが、把握しております。認可について見たところ、食費は、先生お出しの資料ベースとはいささか割り込む数字がちょっと違いますけれども、大体百五十円から三百円という幅の中に分布しておる、これも実態としてございますので、一概にこの一人当たりの材料費の多寡だけでもって認証保育所がよくないかのような印象は、大変都民に誤解を与えるものだというふうに思っております。

以上