過去のページ

第二回定例会 代表質問 二〇〇八年六月一七日

小竹ひろ子(文京区選出)

オリンピック、豊洲新市場、新銀行東京・・知事のトップダウン事業はことごとく行き詰まり
物価高騰、後期高齢者医療制度など、くらし、営業に深刻な影響・・総合的な物価対策の推進を

オリンピック・・他都市に比べても巨額な計画
競技施設整備費の全容公開を
IOC副会長の猪谷千春さん氏の警告
築地市場移転予定地・・地面におが屑を敷きタールを流す
ボーリング工事等で「不透水層」にも三十カ所近くの穴
現在地再整備に立ち返るべき
出資金のほとんどを失った知事責任・・謝罪せよ
ブリーフィングメモの録音テープで都の計画押しつけは明らか
都は監督責任を果たしてこなかった
四百億円のき損は避けられない
後期高齢者医療制度への苦情・・四月末時点で二十万四千件
生活保護世帯など所得の低い人たちへ物価高騰対策を
物価高騰・・・福祉施設の8割に影響
総合的な物価対策の推進を
中学三年生までの医療費無料化を
【再質問】

オリンピック・・他都市に比べても巨額な計画

 日本共産党都議団を代表して、石原知事に質問します。
 相次ぐ社会保障の改悪や増税、そして、物価高騰の中で都民の暮らしと営業がかつてない危機的な状況に置かれています。ところが、石原知事は、都民の暮らしはそっちのけで、みずからのトップダウン事業に熱中し、浪費に浪費を重ねています。これをやめれば、暮らし、福祉を充実させることはできます。私は、この立場から、都政をゆがめる三つの問題についてただします。
 まず初めに、オリンピック問題です。
 六月四日、二〇一六年オリンピック開催候補地の一つとして東京都が選出されました。しかし、その第一次選考は、申請ファイルに基づく書類審査で評価されたものにすぎません。しかも、東京の申請ファイルには財政計画を過少に見積もるというごまかしを差し引いても、東京の計画が他都市の計画に比べて巨額な費用をかけるものであることが明らかになったのです。

 第一は、インフラ整備費です。
 申請ファイルでインフラ整備費が一兆五百八十億円かかると初めて明らかにしました。他都市では、マドリード九千九百八十五億円、シカゴ三千百二十七億円、リオデジャネイロ三千二十六億円ですから、東京はこれらの都市に比べて二倍から三倍です。これだけでも膨大な投資なのですが、実際はもっとかかります。申請ファイルでは、「十年後の東京」の計画達成によって輸送インフラは十分な規模が見込まれ、追加のインフラ整備はないとしています。だったら、「十年後の東京」で事業中もしくは計画中のものを全部入れなければなりません。ところが、申請ファイルは外環道路など二兆六千七十五億円の事業費を入れていないのです。
 知事、オリンピックをてこに短期間にこのような投資を行うことに対する都民の厳しい批判をどう受けとめているのですか。
 また、石原知事が固執している高速道路多摩新宿線、羽田―築地トンネル、東名以南の外環道も追加建設するとなれば、五兆円を加える必要があります。こんな浪費的投資は行うべきではありません。知事、それぞれ明確に答えてください。

競技施設整備費の全容公開を

 第二は、競技施設整備です。
 申請ファイルでは二千四百六十一億円としていますが、他の都市はマドリード千六百三十八億円、シカゴ八百三十三億円、リオデジャネイロ三百五十一億円ですから、東京はお金をかけ過ぎです。しかも、オリンピックスタジアムやメディアセンター、選手村の主要三施設の用地費は少なくとも約七千億円と見込まれなければならないのに、入れていません。それに恒久施設の維持管理費もかかる上、さらに大問題になっている築地市場の豊洲移転を強行し、築地にメディアセンターをつくるといい張るのなら、豊洲の汚染対策費と土地購入費も加わってしまうのです。こんなことになれば、競技施設整備に二兆円近いお金がかかります。競技施設やメディアセンターなどについても用地費や汚染対策費、液状化対策費など、どれだけかかるのか、その全容を明らかにすべきです。

IOC副会長の猪谷千春さん氏が警告

 申請ファイルでは招致経費を五十五億円と記載しながら、実際は三倍の百五十億円もの招致活動をやろうとしていることや、東京が他都市と比べて世論の支持が最も低かったことも大きな特徴です。世論の支持が高まらないのは、オリンピックよりほかにやることはあるという都民生活の実態があるからです。
 マスコミも、世論の後押しがないと指摘しています。今後、都民がとんでもない税金を浪費するオリンピックの実態を知れば、都民の支持は高まるどころか、ますます低くなることは必至です。
 知事のオリンピックに対する考え方もひど過ぎます。すなわち、知事は、オリンピックの意義について、国威発揚のためという発言を行ったのを初め、スポーツ振興計画でメダル十個の獲得目標を掲げさせていることなどは、オリンピック精神を大きくゆがめるものです。
 IOC副会長の猪谷千春さんは、オリンピック競技大会は、スポーツを通して心身の調和のとれた人間を育成し、相互理解と国際親善を通して平和な社会の実現に寄与するものと述べ、さらにこのような思想を十分理解してムーブメントを展開する必要がある、さもないとオリンピックヒーローやメダルしか関心のないオリンピック愛好家を育てることになりますと発言しています。
 知事、この警告をどう受けとめるのですか。答えてください。

築地市場移転予定地・・地面におが屑を敷きタールを流す

 知事は、所信表明で、都民の批判が渦巻いている新銀行にも、築地市場の豊洲移転にも一切触れませんでした。みずからのトップダウンによる破綻が明瞭になると、ほおかむりして、都民の怒りをかわそうという態度にはあきれます。豊洲移転についていえば、そもそも東洋一のガス工場が三十年間も石炭や原油を燃やし続け、土壌と地下水が汚れ切った土地に生鮮市場移転を決めること自体無謀きわまりないことです。知事は、みずからの判断の誤りを認めるべきです。どうですか。
 移転を決めてからのやり方もひどいものです。まず、知事は、東京ガスの不十分な調査で済ませようとしました。しかし、市場関係者と都民の世論に押されて設置した専門家会議の調査では、調査のたびに高濃度の汚染が見つかったのです。発がん性物質のベンゼンが土壌から四万三千倍、地下水から一万倍、あってはならない猛毒シアンが八百六十倍、水銀、砒素なども深刻な汚染です。
 四万三千倍のベンゼンで汚染されている場所について、東京ガスは仮置き中のタールがドラム缶の腐食で漏れ出たものといっていますが、事実は違います。我が党は、現場で働いていた複数の労働者から、地面の上に直接おがくずを敷き、タールを流し込んで、まぜる作業が長年続けられたことによって、相当な面積の地面にタールがさんざんしみ込んでいるとの証言を得ています。都はこの事実をどう把握していますか。知事の責任で事実を調べ、都民に明らかにしてください。どうですか。

ボーリング工事等で「不透水層」にも三十カ所近くの穴

 さらに重大なことは、知事や知事が委託した専門家が地下の軟弱な粘土層を不透水層と断定し、その下は汚染ゼロと見なしていることです。この地層は、水を通さない不透水層ではありませんし、「ゆりかもめ」の橋脚や水道管布設のためのボーリングなど、三十カ所近くも穴があけられ、汚染が広がっているのです。
 環境学会の畑会長は、地下水が汚れている以上、上部の土だけ何度かえても、下から地下水で再汚染されると厳しく指摘し、全部入れかえるには四、五千億円かかるかもしれないと述べています。また、多くの専門家は、震災時の液状化現象が避けられない軟弱地盤の豊洲では、汚染の心配なく市場が運営できるなどとは、到底いえないと指摘しているのです。
 知事、こうした畑会長を初め地質や土木の専門家の意見に耳を傾けるべきです。どうですか。少なくとも直ちにこれら専門家を含めた委員会を立ち上げ、粘土層の下も含めて、都民が納得できる調査、分析を行うべきです。お答えください。

現在地再整備に立ち返るべき

 築地で働く業者の方々や労働者、買い出しに来る業者、場外市場を含めた地元区民が求めているのは、築地での現地再整備です。知事は、アスベストの存在や種地がないなどの理由をつけて、再整備は不可能と決めつけていますが、ためにする議論でしかありません。
 築地市場にあるアスベストは飛散しないものであり、法に基づいて密閉されています。建築家は、市場の建物を幾つかに分けて取り壊しながら再整備を進める場合でも、取り壊す部分を営業しているところから完全に隔離すれば、安全に撤去できるといっています。こんなことは建物が密集した東京では日常的に行われているのです。知事はそんなことも知らずに不安をあおっているのですか。答弁を求めます。
 現地再整備のための仮移転用の種地の問題も、中央区の担当者は、区は現在でも再整備をお願いし、築地川東支川など埋立地を種地として都に提案しており、十分対応できると述べています。二〇〇三年には、市場関係者から、都の過大な再整備案より築地市場の現状に見合ったコンパクトな計画案が出されており、関係者の合意のもと、知恵を集めれば、新たな再整備案を練り上げることは十分可能です。今こそ知事は築地市場の現在地再整備に立ち返るべきです。答弁を求めます。

出資金のほとんどを失った知事の責任・・謝罪せよ

 新銀行東京の二〇〇七年度決算によれば、累積損失が一千十六億円に膨らみ、六月の株主総会で行われる減資によって、都の出資金である一千億円の大部分が毀損することになります。累積損失の半分近くは不良債権処理に伴う損失が原因であり、ATMなどの物件費や人件費が高いことによって生まれた累積赤字も三百八十二億円に上ります。
 我が党は、これまで知事と側近が押しつけたマスタープランによって高金利で預金を集め、無謀な融資に走ったことにより、不良債権が大量に発生した上、高コスト構造による赤字がふえたことを指摘してきました。本決算は、まさに我が党の指摘を裏づけるものです。
 我が党が入手した二〇〇四年十一月の事業計画書には、マスタープラン策定時と比べて景況が回復し、競争が激化していると、金融機関の変化を明確に述べていたのです。それにもかかわらず、新銀行を設立し、無謀な路線を突き進ませた知事の責任は本当に重大です。
 ところが、知事は、減資によって都の出資金のほとんどが失われることの責任を問われて、ぜい肉を落として身軽になる、どこでもやっていることだなどと、無責任な発言を行いました。
 知事、八百億円を超える貴重な税金を失う事態になったことへの責任は感じないのですか。なぜ都民に謝罪しないのですか。お答えください。

ブリーフィングメモの録音テープで都の計画押しつけは明らか

 我が党は、第一回定例会で、都幹部が新銀行経営陣にマスタープランを押しつけたことこそが経営破綻の最大の原因だということを、ブリーフィングメモによって明らかにしました。この指摘の正しさが、その後ますます浮き彫りになっています。
 すなわち、先日の「サンデープロジェクト」で、ブリーフィングに出席し記録していた元行員がこの事実を証言しました。さらに、我が党が開示請求で入手した旅行命令簿によって、メモの日付どおりの日に、津島本部長以下多数の幹部が事業計画ブリーフィングとして新銀行に出張し、会議を実施していたことが確認されました。
 我が党は、このブリーフィングのやりとりの録音テープ、すなわち証拠物件も入手しているのです。
 知事は、ブリーフィングメモについて、どんなメモで、だれが書いたのか、出してもらいたいなどと無責任なことをいっていますが、いいかげんに事実を隠ぺいするのはやめるべきです。なぜみずから調べないのですか。公費でブリーフィングに参加したのに、公的、私的を問わず、会議録やメモがないわけがありません。みずからの責任で、すべての記録、事実を明らかにすべきです。答弁を求めます。

都は監督責任を果たしてこなかった

 さらに、経営の監視についても、旅行命令簿の記録によると、津島本部長らは一年間で四十回以上、新銀行東京に出張し、打ち合わせを行っています。開設以降も、担当参事は一年間に四十六回出張していたことが明らかになりました。月一回開催していた株主連絡会の記録を見ても、毎月毎月、預金、融資実績を初めほとんどの情報について詳細に報告を受けていたではありませんか。
 ブリーフィングのときには、執行役一人当たり二時間もかけて詳細な説明を受けています。設立後も、出張記録を見れば、一日数時間の打ち合わせをしているのです。都が経営の実態をつかめなかったわけがありません。どこから見ても、都が監督責任を果たしてこなかったことは明白ではありませんか。知事、どうなのですか。
 新銀行に対して都が何を点検し、どういってきたのか、そのすべてを明らかにすべきです。答えてください。

四百億円のき損は避けられない

 次に、再建計画ですが、とりわけ四百億円の追加出資の問題です。そのうち二百八十億円については、リスクが高いベンチャーへの融資やファンドへの投資を預金でなく資本金で直接賄うということ、つまり、損失が出たら、追加出資金が自動的に取り崩されることは明らかです。都議会の付帯決議は、四百億円を毀損させないこととしていますが、もともと再建計画はこれを守れないものなのです。どうですか。そして、知事は、毀損したらどう責任をとるのか、逃げないで、それぞれ明確に答えてください。
 さらに、再建計画は、自治体としてやってはならない都による利益供与という問題があります。株主総会の二〇〇八年四月二日の議事録を見ても、公社への営業拠点について、都としても優先的に取り組んでいきたい、環境や福祉など個別案件に力を入れることも検討したい、公共工事関連など、差別化メニューをどれだけ立ち上げることができるかなどと、都側が強調しているのです。
 実際、都は、新銀行東京に対する公共工事代金債権信託や都及び関連施設を利用した融資相談コーナーの設置、中小企業振興公社との連携などを進めているではありませんか。行政財産などに特権的に窓口をつくり、特定の銀行、それも都が大株主である銀行にのみ融資や信託を誘導していくなどは、利益供与にほかならず、許されません。違いますか。専門家からも独占禁止法違反に当たるとの指摘もあります。それぞれ明確な答弁を求めます。
 最後に、知事が悪あがきをやめ、新銀行東京から直ちに撤退し、四百億円は都民のために使うべきことを申し述べ、次の質問に移ります。

後期高齢者医療制度への苦情・・四月末時点で二十万四千件

 まず、後期高齢者医療制度の問題です。
 四月に始まって以降、怒りと怨嗟、そして、廃止を求める声は高まるばかりです。
 我が党は、都内の区役所、市役所に寄せられた苦情や問い合わせについて調査しましたが、寄せられた件数は四月末時点で二十万四千件に及び、断りもなく年金から天引きするのはおかしい、年寄りは早く死ねという制度ではないかなどの声が寄せられています。また、全国でも、都内でも、医師会から廃止、中止を求める意見が上がっています。
 怒りの高まりの前に、政府・与党は見直しを打ち出しましたが、制度の根本には手をつけず、保険料の一部軽減で批判をかわそうとするものにすぎず、軽減される対象は全体の三割以下にとどまっています。しかも、例えば二十三区の年収三百六十九万円の年金暮らしの高齢者夫妻で、昨年、国保料七万四千六百円が、今回、十七万九千四百円と十万円も負担増になるというケースでも、今回の見直しでは解決されないのです。二年ごとに際限なく保険料を値上げしていく仕組みも温存されています。
 知事は、昨年九月、結果として貧しい年寄りは早く死ねということになっては決してならないと述べました。政府・与党の見直しでも、多くの都民が負担増になる上、将来にわたってさらなる負担増を高齢者に強いることになる事態は変わりません。知事はこれでいいと思うのですか。
 知事、閣僚経験者からも、銭勘定だけで人間としての尊厳を認めていない、もとに戻して、新しくもう一度考え直すべきとの声が上がっていることをどう考えますか。
 高齢者の怒りは、負担増の問題だけでなく、七十五歳という年齢で人間を差別し、医療に格差を設け、高齢者の医療抑制を図ろうとする高齢者いじめの制度の根幹にあります。現代版うば捨て山ともいわれるこの制度を、一部見直しで継続することは許されません。
 知事、高齢者差別の仕組みそのものを廃止し、根本的に再検討するよう国に働きかけることを求めるものです。それぞれ、知事の答弁を求めます。

生活保護世帯など所得の低い人たちへ物価高騰対策を

 今、ガソリンから小麦粉を初め食材料、加工食品など生活必需品の急激な値上げが都民の暮らしと営業を直撃しています。都の調査でも、暮らし向きが厳しくなったという声が七九%に及び、東京商工会議所は、東京の中小・小規模企業はまさに正念場を迎えていると訴えています。しかも、七月には電気、ガス料金もまたまた大幅値上げされます。物価高騰が、庶民の暮らしを圧迫するだけでなく、消費不況を加速させ、日本経済に深刻な影響を及ぼしつつあります。知事は、この事態をどのように認識していますか。また、国に物価安定と原油などに対する投機の規制を求めるべきと考えますが、答弁を求めます。
 今の事態がとりわけ深刻なのは、以前と違い、庶民の所得が下がっているもとで、生活必需品の物価が上がっていることです。所得の低い世帯や非正規雇用の青年、年金収入だけで暮らす高齢者などにとりわけ深刻な影響を及ぼしています。所得の低い人たちへの物価高騰の影響についてどのように認識していますか。所得の低い世帯に対し、緊急生活応援手当の創設、生活福祉資金の拡充、国保料や保育料の負担軽減のための支援など、手だてをとることを提案しますが、どうですか。

 また、都立高校の授業料の引き下げや減免対象の拡充、所得の低い世帯に対する奨学金の返済免除などを提案するものです。お答えください。
 都民、とりわけおふろのないアパートなどに住む方々にとって、生活に欠かせないおふろ代の値上げがされることも重大です。都が現在行っている生活保護世帯への年六十枚の入浴券支給の枚数をふやすとともに、生活保護と同程度の所得の低い世帯にも対象を広げてはどうですか。
 入浴料は統制価格であり、経営者からは今回五十円の値上げが必要だと要望されたものを、都が二十円の値上げに抑えたわけですから、差額の三十円は都が支援すべきではありませんか。見解を伺います。

物価高騰・・・福祉施設の8割に影響

 福祉施設に対する支援も急務です。
 我が党は、特別養護老人ホームと障害者通所施設への緊急調査を実施し、百二十二施設から回答が寄せられました。八割の施設が、物価高騰で影響が出ていると回答しました。具体的には、送迎車のガソリン代や食費、さらにはクッキーやパンなど授産事業のための材料の高騰が深刻な影響を及ぼしています。その結果、通所者の工賃が払えないや、職員給与減額に踏み出さざるを得ないという悲痛な声も寄せられました。
 福祉施設では、物価が上がり支出がふえても料金に転嫁できず、施設運営にしわ寄せが集中します。物価高騰による福祉施設への深刻な影響をどのように認識していますか。
 障害者施設では、物価高騰対策の事業費補助がこれからますます必要になるのに、打ち切られました。当然継続が必要だと思いますが、どうですか。
 さらに、特養もあわせて、物価高騰に見合った運営費が確保できるよう国に働きかけるとともに、都としてもガソリン代の補助などを行うことが必要です。それぞれお答えください。

総合的な物価対策の推進を

 中小企業支援のため、融資制度の充実は急務です。都は、原油高騰対策の融資制度を設けましたが、これまでの信用保証の枠内で、金利も二%と高く、使いにくいとの声が上がっています。一方、兵庫県では金利一・三五%、品川区では〇・三%など、低利融資を実施しています。
 原油・物価高騰対策の融資制度について、金利をさらに引き下げること、別枠の保証とすること、借りかえ一本化を認めることなど、抜本的に拡充することを提案します。見解を伺います。
 知事、全庁的な知恵と力を集めて総合的な物価対策を推進するため、今設置されている行政連絡会を発展させて、知事を本部長とした物価高騰対策本部を設置するときではありませんか。答弁を求めるものです。

中学三年生までの医療費無料化を

 次に、知事の公約である中学三年生までの医療費無料化の問題です。
 四月から二十三区では全区で無料化が実現しましたが、多摩二十六市では一割助成、二割負担にとどまっています。それだけに、区部から多摩地域に転居したお母さんたちから、これまでは無料だった子どもの医療費が、同じ東京なのに、転居したら二割負担になって、すごく困る、多摩でも中学生まで無料にしてほしいという声が高まっています。
 多摩の多くの市町村が無料化に踏み出せない理由が、区部との大きな財政力格差にあることは明白です。我が党の調査にも、二十五市が、中学三年生までの医療費無料化は、これ以上の市の財政負担なしに実施してほしいと要望しています。
 知事は、中学三年生までの医療費無料化を公約したにもかかわらず、いまだに市町村との協議すら行っていません。公約をなし崩しにすることは絶対に許されません。いつから実施するのですか。今度こそ都民が納得できる明快な答弁をみずからの言葉で示してください。知事の公約なのですから、市町村の新たな負担なしで無料化が実現できるようにすることが当然だと思いますが、あわせてお答えください。
 再質問を留保し、質問を終わります。

【再質問】

 再質問します。
 新銀行と東京都のブリーフィングについてです。
 会議録は保有していないとの答弁をしましたが、ごまかすのはいいかげんにしてください。資料がないということはあり得ません。関係者からの聞き取りも含めて、なぜ真実を明らかにしないのですか。
 ここに、二〇〇五年一月二十日のブリーフィングを録音した記録があります。(実物を示す)この中には、東京都が、社長が自己破産したときは七年たたないと融資しないということなどを挙げ、それが短縮できないかと新銀行に無理な融資を迫ったことなど、都が介入している様子が生々しく録音されています。知事、このCDをお渡ししますので、聞いてください。そして、その結果を速やかに報告するとの約束を、ご自身で答えてください。
 以上です。

【答弁】

〇知事(石原慎太郎君) 小竹ひろ子議員の代表質問にお答えいたします。
 オリンピックとインフラ投資についての、都民ならぬ共産党の厳しい批判についてでございますが、道路などの都市インフラは、円滑な都市生活を支える上で重要な施設でありまして、オリンピックの有無にかかわらず、東京の機能を向上させ、国際都市間の競争に勝つために必要な将来への投資であります。
 今後も、「十年後の東京」に基づいて都市インフラの整備を一層促進し、都市問題の解決を目指してまいります。
 オリンピックの意義についてでありますが、いうまでもなくオリンピックは、人種や国境の壁を取り払い、世界を一つに結ぶ地球最大の平和のイベントであります。肉体の限界に挑戦し、競い合うアスリートの姿は、観客にも感動を与え、一人の人間としての輝きを見せる。こうした熱い戦いの姿は、新しい人間同士の連帯を生むと思います。
 オリンピックを舞台に世界のアスリートが競い合い、メダルを目指すのは当然のことであります。
 新銀行東京の減資と私の責任についてでありますが、新銀行東京を再建し、都民の役に立つ銀行とすることが私の最大の責任であると思っております。
 今回の減資は、過去の負の遺産である繰越損失を一掃することにより、新銀行東京の財務体質の改善を図るものでありまして、銀行から提案があれば、前向きに受けとめてまいります。
 四百億円を毀損した場合の責任についてでありますが、追加出資をしたばかりでありまして、まずは新銀行東京の再建に向けあらゆる努力をしていくことが、当面、私の責任と任じております。
 長寿医療制度についてでありますが、この制度は、あくまで国民皆保険を堅持する観点から、社会全体で高齢者を支える仕組みとして構築されたものだと認識しております。ただ、その機能に、構造に欠陥が露呈してきました。ゆえにも、現在国において、国会において、保険料の軽減などの改善策が検討されているわけでありまして、都は、国の責任として必要な策を講じるように働きかけます。ゆえにも、国に対して制度自体の廃止を求める考えはございません。
 原油や穀物などの価格上昇についてでありますが、自由競争の中で、物の価格は需給と供給のバランスで決まるものでありまして、今日では、サブプライムローン問題をきっかけに、投機筋のマネーが原油や穀物市場に集中し、途上国の経済成長に伴って一次産品の需給が逼迫するなどして、従来と異なる価格の動きがあることも事実であります。
 こうした動きは、日本経済のみならず、世界経済にとっても重大な問題でありまして、各国政府が責任を持って取り組むべきであると思います。ゆえにも、先般の関東知事会で東京から提唱しまして、来るべき八月のサミットには、環境問題に限らず、こういった金融状況、いわば金融市場原理主義というものを踏まえた投機の行き過ぎというものを抑制し、ある種の統制というものをすべきではないかという建言もいたしました。
 次いで、中学三年生までの医療費助成についてでありますが、これまでもお答えしたとおり、実現に向けて準備を進めておりまして、今後、事業の主体である区市町村と協議を行ってまいります。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。(「答弁漏れ」と呼び、その他発言する者あり)
一つ抜けました。失礼しました。
 豊洲の移転についてでありますが、この判断は、現在の築地市場は、老朽化、狭隘化が限界に来ているだけではなくて、衛生面での課題やアスベストにも問題がありまして、一刻も早い対応が必要であります。
 築地市場の移転は、長い長い年月をかけてさまざまな案を検討し、結果、関係者間で議論を尽くして決定したものであります。ただ、再調査の結果、あそこにああいった汚染というのがかなり深刻に進んでいるということは、後に判明したことでありますが、しかし、その代案も含めて検討してまいりましたけど、当面、つまり、豊洲の移転というものを想定して、そのための対処というものを考えていくつもりでございます。

〇教育長(中村正彦君) 都立高校授業料に関するご質問にお答えします。
 都立高校の授業料は、国基準に基づくとともに、受益者負担を考慮したものでありまして、全国的に見て適正な水準にあります。
 授業料の減免制度の認定に当たりましては、国が定める生活保護基準をもとに、都教育委員会の基準による加算を行っておりまして、これを見直すことは考えておりません。
 今後とも、減免制度の周知を図るとともに、保護者負担の適正化に努めてまいります。

〇都市整備局長(只腰憲久君) オリンピック招致とインフラ整備の関連でございますが、お話の三つの道路につきましては、「十年後の東京」におきましても、具体的な整備時期等を示してはございません。
 今後とも、東京の活力と魅力を高め、安全で利便性の高い都市の実現を図っていく観点から、必要な道路につきましては調査検討を進めてまいります。

〇東京オリンピック招致本部長(荒川満君) 競技施設の整備費についてでありますが、昨年十一月の開催基本計画で示したように、恒久と仮設を合わせ、三千二百四十九億円でございます。この中には、オリンピックスタジアムなどに必要な液状化対策の費用は既に見込んでおります。また、新規の競技施設の建設用地は都有地であることから、用地取得費については見込んでございません。さらに、競技施設ではありませんが、築地市場跡地に予定しているメディアセンター及び有明北地区に予定している選手村についても、都有地に建設するものであり、新たに土地を取得する必要はございません。
 なお、築地市場の移転にかかわる費用は、オリンピックの経費として計上するものではないと考えます。

〇中央卸売市場長(比留間英人君) 築地市場の移転に関する四点の質問にお答えいたします。
 まずタールの処理についてでございますが、東京ガス株式会社に照会したところ、同社が当時の従業員に実施した調査では、ガス製造過程で発生したタールスラッジを地面の上で直接木くずとまぜる作業をしたという話は聞いていないとの回答がございました。
 次に、新たな委員会の設置と粘土層下の調査についてでございます。
 豊洲地区の土壌汚染対策を検討している専門家会議は、有害物質、水質、土質、環境保健の各分野で日本有数の知識と経験を有する学識経験者から構成されてございます。
 また、関東地方の地層や土質に詳しい委員から、豊洲地区の不透水層を形成している粘土層は水を通しにくく、汚染の可能性は低いことから、ボーリングにより粘土層を打ち抜き、下部に汚染を拡大させるべきではないとの意見をいただいております。
 したがいまして、新たな委員会の設置及び粘土層の下を調査する考えはございません。
 次に、築地市場のアスベストについてでございます。
 築地市場の解体工事の際、アスベストが確認された施設はすべて飛散防止対策工事を行っていかなければなりません。現在地再整備の場合には、営業しながらの工事になり、また、生鮮食料品を扱う市場という特殊性から、より安全な工事が求められるため、工事区域を通常の工事より広く設定することとなります。また、その結果、工事期間も通常のローリング工事よりもさらに長期になるため、市場業者の営業に一層深刻な影響を与えることとなります。
 次に、築地市場の現在地再整備についてでございます。
 本年五月、築地市場の大多数の団体の連名で、築地での再整備は不可能といわざるを得ず、土壌汚染対策に万全を期し、豊洲移転を早期に進めてほしいという要望書が出されました。
 築地市場の再整備につきましては、種地が確保できないことに加え、敷地が狭隘なため、品質管理の高度化や、新たな顧客ニーズに対応する各種施設を整備する余地がないこと、営業しながらの長期間で困難な工事となり、市場業者の経営に深刻な影響を与えることなど多くの課題があることから、現在地再整備は不可能でございます。

〇産業労働局長(佐藤広君) 六点のご質問にお答えいたします。
 まず新銀行東京との会議記録の開示についてですが、都はこれまでも、新銀行東京との間で必要な会議や打ち合わせを行ってまいりました。新銀行東京の開業以前に行われた、ご指摘のブリーフィングに関する会議録などにつきましては、都として保有しておりません。
 株主連絡会に関する議事録など、都として保有する文書については適正に開示を行っております。
 次に、新銀行東京に対する経営監視についてですが、都はこれまで、必要な情報の入手に努め、意見表明を行うなど、経営の大枠を監視してまいりましたが、銀行法により会計帳簿の閲覧が制限されるなどの制約もあり、結果として監視が十分であったとはいえないことは、さきの第一回定例会においても申し上げたとおりであります。
 本年四月、付帯決議の趣旨を踏まえ、産業労働局内に金融監理室を設置するとともに、新銀行東京の経営再建が着実に達せられるよう、経営監視のあり方を見直しをいたしました。
 次に、新銀行東京に対する経営監視の内容についてですが、都はこれまで、新銀行東京が、中小企業支援など、この銀行が担う役割を適切に果たしているかという観点から、事業の進捗状況や決算内容等の報告を受け、それをもとに、中小企業支援の一層の充実、収益面に配慮した業務運営、経営改善や経営計画の見直しなど、株主としての意見を新銀行東京に申し入れをしてまいりました。
 次に、新銀行東京の再建計画についてですが、ベンチャーへの融資やファンドへの投資は、損失が出たら追加出資金が自動的に取り崩され、再建計画が守れないというようなご主張でありました。
 仮にベンチャーへの融資やファンドへの投資により損失が生じた場合におきましても、銀行の収支全体の中で処理をされるものでありまして、自動的に資本から取り崩されるという性格のものではございません。ご指摘は当たりません。
 次に、新銀行東京との連携についてですが、新銀行東京は、都が中小企業支援という政策目的のために設立したものであり、その理念は、中小企業者への安定的な資金供給を目的としております。
 公共工事代金債権信託については、中小企業者に対して新たな資金調達の道を開くことで円滑な資金繰りを実現していくという中小企業支援策の一環として試行実施されている仕組みであります。仮に新銀行東京以外の金融機関から提案があった場合には、中小企業支援の趣旨から内容を検討し、判断されることとなるものであります。
 また、中小企業振興公社内での融資相談コーナーの設置につきましても、中小企業支援に資するものであり、東京都公有財産規則に基づき、適正な条件、適正な手続で行政財産の使用許可を行っております。
 いずれも、利益供与、独占禁止法違反とのご指摘は当たりません。
 最後に、原油・原材料高対策特別融資についてでありますが、原油や原材料価格の高騰の影響を受け経営が悪化している都内中小企業者を対象として、本年四月から特別融資を実施しております。本融資におきましては、制度融資の最優遇金利を適用するとともに、特に小規模企業者の利用に配慮いたしまして、保証料補助を行っております。
 なお、既存融資の一本化につきましては、返済負担の軽減を図る借りかえ融資を既に実施しております。

〇福祉保健局長(安藤立美君) 七点についてお答えいたします。
 まず、長寿医療制度の保険料についてでありますが、東京では、広域連合が独自の負担軽減策を実施し、平均的な厚生年金受給者で比較しますと、全国で一番安い保険料を実現しております。
 現在、国において保険料の軽減などの改善策を検討しており、国の試算によると、これによりまして、被保険者の約七割が保険料の減少する世帯に属することとなります。
 都としても、運営の実態を踏まえた必要な改善を講じるよう国に求めてまいります。
 次に、制度をもとに戻すべきとのご意見についてでありますが、長寿医療制度は、疾病リスクの高い高齢者について、医療給付費等の五割に公費を投入し、現役世代も支援金として四割を負担することにより、高齢者の医療費を社会全体で支える仕組みであります。制度の構築に当たりましては、高齢社会を踏まえ、将来にわたり国民皆保険制度を維持する観点から多くの関係者が議論を重ねたものと認識しており、制度の根幹は維持した上で必要な改善を講じていくべきものと考えております。
 次に、低所得者世帯に対する対策についてでありますが、物価上昇などへの対応も含めて、低所得者に対する生活保障は基本的に国の判断と責任によって実施されるものと認識しておりまして、都として独自に実施する考えはございません。
 物価上昇の福祉施設への影響でありますが、物価の上昇は施設運営にも一定の影響を与えるものと考えておりまして、都は、物価の動向を注意深く見守るとともに、必要に応じ、国への提案要求を行っております。
 次に、障害者施設に対する物価対策についてであります。
 国は、障害者自立支援法の円滑な定着を図るための特別対策等で、物価高騰によるコスト増についても、平成十八年度、十九年度に特別助成を行いました。都は、この事業を今年度も引き続き実施するよう、既に国に要望しております。
 次に、特別養護老人ホームの運営費に関する国への働きかけ等についてでありますが、都は既に、特別養護老人ホームが安定的に運営できるよう、介護報酬に物価水準や賃金等を適切に反映することを国に求めております。
 こうしたことから、都が単独でガソリン代などの補助を実施する考えはございません。
 次に、中学三年生までの医療費助成におけます市町村の負担についてでありますが、都が助成制度を開始したことにより、昨年十月から都内すべての区市町村で医療費助成事業がスタートいたしました。
 今後、事業の実績等を踏まえ、実施方法や実施時期などについて区市町村と協議し、具体的な内容について検討を進めてまいります。

〇生活文化スポーツ局長(渡辺日佐夫君) 六点の質問にお答えいたします。
 まず、国に対して物価安定等を求めるべきとのことでありますが、昨年、第四回定例会の際にもお答えいたしましたが、昨年十二月に、原油を取り巻く国際情勢や市場価格の動向を監視し、便乗値上げ等が発生することがないよう、国に対し、適時適切な対策を講じるよう緊急要望いたしたところでございます。また、関東知事会でも、原油高への対策について国に要望することとしております。
 次に、所得の低い人たちへの物価高騰の影響についての認識でありますが、この先も原油や穀物などの価格の高騰が続けば、家計の負担が重くなり、所得の低い人たちへの影響が懸念されるところでございます。
 次に、奨学金の返済免除についてでありますが、東京都育英資金事業では、条例、規則に基づき、本人が死亡または心身の障害により労働能力を喪失した場合などには、返還金の全部または一部を免除しております。また、経済上の事由や災害、長期の疾病により五年以上返還を猶予し、なお将来にわたって返還の見込みがない場合などにも、返還金の全部または一部を免除しております。
 今後とも、奨学金制度の適切な運用に努めてまいります。
 次に、公衆浴場入浴券についてでありますが、各区市においては、住民に身近な基礎的自治体として、生活保護世帯や高齢者世帯、身障者やひとり親世帯などに対し入浴券を配布するなど、地域の特性に応じたきめ細かい対策を講じております。
 今後とも、区市と緊密に連携しながら、適切に対応してまいります。
 次に、公衆浴場入浴料金についてでありますが、都内公衆浴場入浴料金の統制額は、毎年、知事の諮問機関である東京都公衆浴場対策協議会からの報告を受け、知事が指定しております。
 平成二十年の入浴料金の統制額につきましては、同協議会が採用する総括原価方式に基づき、公認会計士など学識経験者委員が試算したところ、五十円の引き上げが必要となったものでございます。しかしながら、同協議会において、所得が伸び悩む利用者の家計にも十分配慮が必要と判断し、利用者側と事業者側の双方から意見を聴取するなど、慎重に検討を重ねた結果、二十円の引き上げにとどめるべきとの結論に至ったものでございます。
 最後に、知事を本部長とする物価高騰対策本部の設置についてでありますが、平成十七年十一月に、総務局、産業労働局など関係八局から成る原油価格変動に伴う行政連絡会議を設置し、各種データや関係局の取り組みについて継続的に情報交換を行っております。去る五月二十八日にも同会議の幹事会を開催し、最新の情報や取り組みについて共有したところでございます。
 今後とも、同会議を通して動向を見守るとともに、状況を注視してまいります。

【再質問答弁】

〇産業労働局長(佐藤広君) 資料につきましては、先ほどもご答弁したとおりでありますが、ただいま渡されました資料につきましても、原典について私ども存じておりません。
  改めて申し上げますが、都はこれまでも、新銀行東京との間で必要な会議や打ち合わせを行ってきましたが、ご指摘の文書につきましては、都としては保有しておりません。
 〔「知事、答えなさいよ」と呼び、その他発言する者あり〕