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第二回定例会 討論  二〇〇八年六月二五日

たぞえ民夫(世田谷区選出)

 日本共産党都議団を代表して、第百五十二号議案、首都高速・中央環状品川線大井地区トンネル工事請負契約外四議案に反対、議員提出議案、東京都子どもの医療費の助成に関する条例、及び公立の小学校及び中学校の耐震化促進のための助成に関する条例に賛成する立場から討論します。

 石原知事が推進するオリンピック招致は、自己申告とも言うべき書類審査で、東京都が開催候補地に選定されたものの、一番重視されるべき世論調査は、選考された都市の中で最低の五九%にとどまっています。それは、多くの都民が原油・物価の高騰や後期高齢者医療制度をはじめとする社会保障の改悪、さらには若者を苦しめるワーキングプアなど、毎日の生活を生き抜くのに精一杯の時に、都民要望に背を向けて、オリンピックで莫大な投資をすすめていることへの疑問と批判のあらわれにほかなりません。

 提案されている中央環状品川線請負工事も、「一〇年後の東京」の目玉事業であり、オリンピックをテコにした三環状道路の一つとして、最優先で推進されているものです。しかも、本来、国と首都高が責任をおうべき事業にもかかわらず、都が千二百五十億円も負担して建設することは認められません。

 わが党は、都がいま、最優先になすべきことは、オリンピックやそれをテコとした大型開発に九兆円も投資することではなく、物価高騰から都民の生活を守ることであり、高齢者や子育て世代、中小企業への支援であることなどを示して、知事に対応を強く求めました。知事は、物価高騰については「重大な問題」との認識を示したものの、都としてみるべき対策をとろうとしませんでした。

 高齢者から怒りと怨嗟の声があげられている後期高齢者医療制度について、政府与党の見直しでは負担軽減は一部に限られ、将来の保険料値上げや差別医療が残されることを指摘し、国に制度の廃止を求めるよう質したのにたいし、石原知事がこれを拒否したことは、都民の願いに背を向けたものです。

 わが党が今議会で提案した二つの条例案は、いずれも切実な都民要望をとりあげたものです。
 まず、学校耐震化促進条例ですが、国は先の中国四川大地震をうけ、あらたな義務教育学校施設の耐震化の補助制度を導入することを決めましたが、東京で対象となるのは四分の一にすぎません。一方、とりわけ市町村にとって最大の障害は財政問題です。そこでわが党の提案した条例は、これらの自治体を、都が国に準じて財政支援することで、学校の耐震化を促進しようとするものです。
 もう一つは中学生までの医療費無料化条例です。これは石原知事が昨年の知事選で医療費無料化を公約したにもかかわらず、いまだ具体化していないため、賛同する会派と共同して提案したものです。
 この二つの問題について、わが党の条例提案の中で、都がそれぞれ、「都独自の支援策を早急に講じる」こと、「今後、事業の主体である区市町村と協議を行う」と答弁したことは一歩前進です。同時に、都民と多摩の自治体の願いは、一日も早く実現して欲しいというものであり、私たちの提案は、この要望に応え、都の責任で一刻も早くすすめるものです。議員各位の賛同を求めるものです。

 今定例会に提出された環境確保条例の改正案は、わが党がかねてから提案してきた、大規模事業所の二酸化炭素の削減義務化をはじめ、再生可能エネルギーなどが盛りこまれたもので一歩前進です。同時に、改正案は、事業所の義務化について実効性に乏しいこと、「環境審議会・答申」で指摘されていた自動車、及び火力発電の規制が先送りされていることなど、不十分なものです。
 このため日本共産党が提案した修正案は、都市の成長を管理し、総量を規制すること、火力発電所を削減義務対象とすること、排出削減量の検証や認定について意見を聞く第三者機関の設置などを盛りこんだものです。修正案は、自民、民主、公明、生活者ネットの反対で上程にいたりませんでしたが、この修正案の方向こそ地球温暖化を防ぐうえで実効性のあるものであることを確信するものです。

 今定例会で焦点になったのが、築地市場の豊洲移転と新銀行東京の問題です。
 まず、豊洲移転です。今議会でのわが党の調査にもとづく追及によって、東京都の言い分、すなわち汚染は深刻でなく、土壌汚染対策を講じれば安全という論拠がことごとく覆(くつがえ)されました。
 第一に、汚染の広がりについて知事の、「四万三千倍のベンゼンが一カ所」、「高濃度の汚染の範囲は極めて限られている」という言い分を、わが党はベンゼン以外にも、八百六十倍のシアン化合物など環境基準を上まわる汚染が千四百七十五カ所も検出されており、予定地全域に及んでいることや、高濃度の汚染の原因がタールを地面の上で直接処理したことにあることを、元労働者の証言で明らかにするなど打ちくだきました。
 「有楽町層」の下は安全というのもごまかしです。わが党の調査によって、この地層が水を通すこと、建設予定地には、水道管敷設のためのボーリングやゆりかもめの橋脚の杭などが三百本以上も地中深く打ち込まれ、「有楽町層」がずたずたにされていることが判明しました。
 第二に、現在地再整備が「不可能」だというごまかしも明らかになりました。アスベストが安全に処理できることは、市場長自身が、〃工事期間が長く〃なるなどというだけで否定できなかったことで明らかです。種地がないという言い分にについても、中央区が現実的な提案をおこなっているにもかかわらず、まともな検討も協議もおこなっていないことこそ重大です。ただちに協議をおこなうべきです。
 東京都の論拠がことごとく崩れるもとで、あらたに持ちだしてきたのが、現在地再整備の方がお金がかかるというものです。しかし、これも豊洲の土壌対策費を既定の予算の範囲内、すなわち六百七十億円で済ませ、築地現在地整備については規模を過大に見積もるなど、ごまかしに満ちたものです。
 わが党が提案した築地市場の豊洲移転計画の再検討を求める決議は、議会で再検討を求める声が多数を占めつつある現状をふまえ、提出したものです。ところが自民党はもとより、豊洲移転白紙撤回を口にした民主、公明党両党までが反対したことは、都民のきびしい批判をうけるものです。

 新銀行東京についても、経営破たんの責任が、知事にあることがますます鮮明になりました。
 わが党は、都が新銀行東京に無理な融資をおこなうよう執拗に求めていた事実を、新銀行の元職員から提供を受けたブリーフィングの録音を渡して質しました。質疑を通じて、都側がこの録音について「内部機密に類するもの」、「出て行くこと自体が問題」などと言ったことで、記録が事実であることを自ら認めた結果になりました。
 さらに、「議会審議を受けた事業計画にそうよう、都が主張するのは当然」と答弁したことで、都がマスタープランを押しつけてきたことこそ、経営破たんの原因というわが党の指摘が裏づけられました。知事は責任をもって関係者からの聞き取りをおこない、全容を明らかにすべきです。
 中小企業をつぶすわけにいかない」という追加出資の理屈も、わが党の調査で、新銀行が、まじめに返済して、経営も上向いている業者の融資の延長を拒否するなど、貸し渋り、貸しはがしをしていることが判明し、成り立たないことが明らかになっています。
 さらに、再建計画のでたらめさも明らかになりました。それは追加資本金の二百八十億円でおこなうとしていることは、ファンド投資やベンチャー融資であり、損失が出れば資本金の毀損につながることを否定できなかったことで証明されています。新銀行東京がもはや預金を集めず資本金を直接、使って営業するということは、銀行業法による銀行業ではないという指摘に対しても、都はまともに答えられませんでした。これは、銀行としての新銀行東京に出資した予算の目的外使用にあたるという疑いがあるものです。
 新銀行東京からただちに撤退し、出資金を保全することを求めて、討論を終わります。

以上