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第三回定例会 代表質問  二〇〇八年九月二五日

   村松みえ子(日野市選出)

深刻な都民のくらしと中小業者の実態に心を寄せ、支援を図ることを都政の最優先課題と位置づけよ
オリンピックへの溜め込みやめ、新銀行からの撤退、汚染された豊洲予定地市場移転断念を

「新銀行への融資口利き」は重大、全容を明らかにせよ
中小企業支援とは無縁な金融機関、撤退せよ
7割が苦しくなった・・共産党が都内住民アンケート実施
市場原理主義の都政への持ち込みを改めよ
都の巨額な財源を都民のためにつかうべき
減税と低所得者への支援を
高齢者、子育て家庭への支援を
最低賃金の引き上げなど雇用支援を
中小企業支援を
オリンピックへのばらまきこそやめよ
インフラ整備の浪費にメスを
ゲリラ豪雨対策を
豊洲新市場予定地・・環境基準をこえる汚染は三六%の地点、延べ二千二百件余
現在地再整備に立ち返るべき
【再質問】

「新銀行への融資口利き」は重大、全容を明らかにせよ

 日本共産党都議団を代表して質問します。
 初めに、新銀行東京について伺います。
 最近、与党各党議員や知事の特別秘書などの新銀行への融資口きき問題がマスコミで繰り返し報道され、我が党にも情報が寄せられています。都が追加出資を決めた三月以降も都議の口ききが続いていたこと、紹介した企業や経営者から献金を受け取ったことも明らかになっています。本当に重大です。
 我が党は、第二回定例会で、都議会与党の意向を受けて都が不正融資を押しつけようとしている、そのやりとりを記録したCDを示しましたが、最近の報道はまさにこれを裏づけるものです。識者からも、口ききの仲介は銀行への圧力と見ることもできる、行政の公平性や中立性から問題があるなどの声が次々に出されています。
 知事は、議員の口ききについて、当たり前じゃないか、あとは銀行の判断の問題などと無責任な発言をしました。とんでもないことです。知事、新銀行は民間企業と違って、都が最大株主となった自治体設立銀行です。都の幹部や都議会議員が口ききをするということは、それ自体大きな圧力となり、無理な融資に応じる原因となるのです。知事、そんなこともわからなかったんですか。お答えください。
 知事は、経営破綻の原因をすべて旧経営陣に押しつけていますが、知事が欠陥計画を押しつけたことに加え、口ききによる無理な融資が、金融ブローカーの暗躍と相まって損失を膨らませてきたことは容易に推察できるものです。知事、いかがですか。
 知事は、みずからの特別秘書や議員などの口ききにかかわる融資の実態、さらには新銀行を食い物にしてきた金融ブローカーの実態などについて調査し、全容を明らかにすべきです。答えてください。

中小企業支援とは無縁な金融機関、撤退せよ

 新銀行東京の今年度第一・四半期の決算によると、中小企業への融資、保証は百六十四億円も減っています。実際の貸し出しでも、新銀行の融資を受け順調に返済していた業者が再び融資を申し込んだが断られ、他の金融機関から借りたなどということが続出しています。
 新銀行を継続する理由は、中小企業の支援のためだといってきたのではなかったんですか。しかし、実際は、ますます中小企業支援とは無縁な金融機関になっているのです。知事、一体これで新銀行の存在の意義があるというんですか。しかも、知事は他の銀行との連携などを示唆していますが、四百億円を手土産に外資系ファンドなどに売却してしまうというのが本音ではないのですか。これでは都民は踏んだりけったりではありませんか。それぞれ答弁を求めます。
 都民の暮らしはそっちのけで、自治体が手を出すべきでない銀行業にしがみつくことは許せません。速やかにつぎ込んだ税金を取り戻し、撤退すべきことを申し述べておくものです。

7割が苦しくなった・・共産党が都内住民アンケート実施

 さて、今、日本共産党は都内で住民アンケートに取り組んでおり、回答数は、十の区市の途中集計だけで約一万五千人に及びます。
 生活状況を問う質問に対して、一万一千九百三十六人のうち八千七百六人、七二・九%は苦しくなったと答えています。おかずを減らし、水道、電気、ガス代を節約、この夏の暑さでもクーラーをつけない、寒い冬は来ないでほしいというお年寄りなど、本当に追い詰められているんです。私の事務所に届いた三十代の男性の回答は、年収百五十万円以下の派遣で働き、生活も何もいっぱいいっぱいで、社会から死ねといわれているようだ、それでも自殺しないで精いっぱい生きていると書いており、胸が痛くなりました。
 苦しくなった原因については、足立区でも杉並区でも物価高騰が八割以上と圧倒的ですが、その次には社会保険の負担増や増税という回答が続いています。小泉内閣以来の構造改革路線、すなわち、アメリカ型の市場原理に基づき官から民への流れを加速させ、増税や社会保険負担増、雇用破壊を進めた痛みに加え、この間の物価高騰が国民、都民の生活に追い打ちをかけていることは明らかです。
 国民の怒りが沸騰する中で、首相が二年連続で無責任な政権投げ出しを行い、昨日、麻生内閣が誕生しました。しかし、麻生首相は、国民を苦しめている構造改革路線に対する反省の弁すら口にしませんでした。そして、実行するという緊急総合対策も、定額減税や高速道路料金引き下げは一年限り、原油、資材高騰の元凶である投機マネーにメスを入れる気もなく、農漁業者や中小零細業者に対しても制度融資の上乗せ程度、小手先の手直しだけです。
 知事、あなたは現在の都民の暮らしの現状について、そして痛みの原因と責任についてどのように認識していますか、お答えください。

市場原理主義の都政への持ち込みを改めよ

 知事は、最近の記者会見で、アメリカの資本主義は間違っている、市場原理主義というのは違うなどと市場原理主義を批判しました。しかし、知事は、都市再生の名による都心の再開発に、破綻したリーマン・ブラザーズなどが大株主となった外資系ファンドを引き入れるなど、みずからがアメリカ資本主義と市場原理主義のお先棒を担いできたではありませんか。知事の発言が本意なら、このことを反省し、政策を改めるべきではないですか。
 しかも、知事自身が市場原理主義を都政に持ち込み、福祉、医療などの事業や施設を次々廃止、縮小したり民営化してきました。この点についても改めるのが当然ではないですか、それぞれお答えください。

都の巨額な財源を都民のためにつかうべき

 今、住民の福祉の増進を責務とするすべての自治体が何をおいても取り組まなければならない仕事は、住民の暮らしの苦しみを取り除くことです。まして、東京都は巨額な財源を持っており、相当なことができるはずです。実際、東京都自身、来年度予算編成にかかわる副知事依命通達で、都財政は長らく続いた財政の危機的状況を脱したと、財政が健全化したことを認めているんです。今年度を見ても、都税収入は史上最高の五兆五千億円とされ、取り崩し可能な基金が一兆六千億円もあります。不要不急の浪費的支出を抑制し、これらの財源を都民のために積極的に計画的に使うべきです。
 ところが、都は、景気の減速傾向が加速とか、法人事業税の暫定措置による減収が現実のものになるなどといって、都民の暮らしを守る本格的な対策を進めようとしないばかりか、さらなる都民施策の抑制さえしようとしています。とんでもありません。都税収入が落ちるといっても、ことしの税収は、石原知事が初めて予算編成した二〇〇〇年度の都税収入に比べて一・四倍の一兆六千四百億円もふえているんです。多少の税収減になったとしても、都民のために使える財源は十分にあります。仮に将来都税が大きく後退したら、それこそ国税化された三千億円を取り戻せばいいのではありませんか。
 都の依命通達も、都民は、物価高騰や食への信頼の低下などにより、経済面や安全面において不安を抱いており、都政がこれにどうこたえるかも問われているとしています。巨額の財源は、浪費型オリンピックや大型開発、また、そのためのため込みに使うのではなく、今こそ都民の暮らし、福祉に使うべきです。知事の答弁を求めます。
 本議会に提案された補正予算案には、学校耐震や中小企業融資など、我が党が提案してきたものが不十分ですが含まれています。しかし、こうした予算は四割にすぎません。しかも、補正予算案の原資となる昨年度の繰越金、すなわち余剰金九百五十六億円のほとんどは、福祉や教育、中小企業対策などの予算を使い残すことによって生み出されたものです。基金についても、石原知事就任以来、都民に犠牲を押しつけ、この七年間に福祉や教育、中小企業などの施策を約三千五百億円、人件費などを二千八百億円も切り捨てて、ため込んできたものです。これらをなぜ都民のために使わないのですか。予算を組むというのなら、この立場で提案すべきです。

減税と低所得者への支援を

 私は、以上の立場から、緊急課題に絞って質問します。
 第一は、減税と低所得者への支援です。
 知事は、昨年の都知事選の公約として、個人都民税の減税を打ち出しました。しかし、その後、知事は、ばらまきにつながると強弁して公約を撤回しました。今、物価高騰によって都民生活はさらに深刻になっています。だからこそ、自公政権も、国民の批判をかわすため、一年限りとはいえ、定額減税を打ち出さざるを得なかったのではないでしょうか。知事はこれをばらまきというんですか。改めて東京都が一定所得以下の方に対する都民税の減税を行うことを求めます。知事、それぞれ答えてください。
 さらに、二十三区においては小規模住宅用地、都市計画税減税の三分の二への拡大、小規模非住宅地の固定資産税の減額を二割から三割に拡大すること、また、市町村でも同様の手だてが可能となるよう、都として財政措置を行うべきと思います。いかがですか。
 減税の対象とならない低所得者への支援も求められています。第二回定例会では、都も、物価高騰による所得の低い人たちへの影響が懸念されるとの見解を示しましたが、その後も、生活に欠かせない電気、ガス代、食料品などの高騰は続き、節約も限界という声が上がっています。この時点に立って、都としてどう対策をとるお考えですか。生活保護基準程度の低所得世帯に対する緊急生活応援手当の支給を提案するものです。それぞれお答えください。

高齢者、子育て家庭への支援を

 第二は、高齢者、子育て世帯への支援です。
 高齢者分野では、後期高齢者医療制度への怒りの声はさらに広がり、七月の保険料通知に対し、都内の区市町村には、なぜ国保料と比べてこんなに上がるのかなど、十七万五千件もの問い合わせや苦情が殺到しました。来月には、年金からの天引きがほぼ全区市町村で実施されることになり、怒りが広がることは明らかです。自民党と公明党も見直しをいい始めましたが、制度の根本に手をつけるものではありません。この際、国に対し、後期高齢者医療制度をきっぱり廃止する、このことを求めるべきと考えますが、お答えください。
 また、物価高騰から高齢者が外出を控え、家に閉じこもる状況が危惧されるだけに、高齢者の外出、社会参加を促進する上でシルバーパスの役割は重要だと考えますが、どうお考えですか。また、多摩都市モノレールなどへの対象拡大を求めます。答弁を求めます。
 子育て家庭への支援では、多摩地域にとって中学三年生までの医療費無料化は急務です。第二回定例会において、都は市町村と協議すると答弁しましたが、協議にどのように臨むのですか。私は、来年度には必ず実施するため、都が建設的提案を行うべきと考えますが、いかがですか。市町村が新たな負担なく中学三年生までの無料化を実施できるよう、都が財政支援を行うよう強く要望しておきます。
 物価高騰の影響は、授業料や塾代など教育費の負担が重い子育て世帯にとっても深刻です。公立小中学生には就学援助があり、四人に一人の生徒が受けていますが、高校生にはありません。そのために、学費が払えず学校をやめたり、修学旅行にも参加できないなどの事態も起きています。高校生に対する新たな支援策が必要ではありませんか。
 食材費の高騰によって学校給食費の値上げが起きており、父母の負担軽減のために公費で支援する自治体がふえ、二十九区市に広がろうとしています。都としても、都立学校での負担軽減とともに、区市町村への支援が求められております。

最低賃金の引き上げなど雇用支援を

 第三に、雇用についてです。
 小林多喜二の「蟹工船」が若者に共感を持って読まれていますが、今、日雇い派遣の異常な実態を告発した我が党の国会質疑が契機となって、大企業での派遣労働の廃止や派遣労働法の見直しなど、新たな動きが始まっているのです。都としても、都内の大企業に対し正規雇用拡大に努力するよう働きかけること、同時に、都が率先して臨時職員や派遣職員を拡大するやり方を改め、正規雇用拡大に努めることが求められています。
 都は、最低賃金が生活保護以下という実態をどう考えますか。国に対し時給千円以上に引き上げるよう要求すべきです。また、改定されたとはいえ、時給八百円程度と低過ぎる都の臨時職員の時給を直ちに引き上げることは当然と考えますが、それぞれお答えください。

中小企業支援を

 第四に、景気悪化と原油、物価高騰が直撃している中小企業支援です。
 補正予算で百六十五億円の預託原資の増額などを提案していますが、この程度では不十分です。融資対策では、預託原資の大幅増額、本人負担利率一%以下、三年以上元本据え置き、長期返済緊急融資の実施、さらに、京都府のように既存融資に対する返済期間延長を求めます。
 都の公共事業については、建設業の場合、もはや単品スライドでは資材全般の高騰に追いつかないだけでなく、手続が煩雑で使えないという悲鳴が上がっています。手続の簡素化や、単品でなく工事費総額の上昇分を補償する制度に改善すること、さらに、最低制限価格の引き上げなどが求められています。いかがですか。
 都民が消費する農産物、魚介類を供給する東京の農業、漁業の支援も重要です。燃料などの高騰から東京の農漁業を守るために、都としてどう対策をとるのですか。原油高騰対策として、燃料への直接助成、融資の利息補助を求めるものです。また、価格補償を検討すべきと考えますが、それぞれご答弁ください。
 以上の提案は、千四百億円程度で実現できます。オリンピック招致を理由にした年間一千億円のため込み、新銀行失敗処理のための五百四十億円を回すだけでもおつりが来ます。問題は、知事が、深刻な都民の暮らしと中小業者の実態に心を寄せ、支援を図ることを都政の最優先課題と位置づけるかどうかの問題なんです。

オリンピックへのばらまきこそやめよ

 そのためにも、オリンピック東京招致を理由とした巨額な浪費にメスを入れることがどうしても必要です。それは、石原知事が無理やりにオリンピックの招致を盛り上げようと、都民の税金を振りまき、競技施設やインフラ整備へのなりふり構わない投資を行おうとしているからです。
 まず、都民の税金百億円も使う招致活動です。立候補四都市中、東京のように住民の負担が大きいところはありません。シカゴは、招致活動経費のすべてを民間資金で賄うとしています。マドリードも、市の負担は一〇%です。東京以外はどの都市も極力立候補都市の住民負担を抑えようとしているんです。
 使い方もひど過ぎます。北京でのジャパンハウスでの招致活動には、石原知事夫妻などの旅費五百三十五万円、開会式の知事の通訳代九十五万円、宣伝用DVD、冊子などに一億六千六百万円など、四億二千九百万円も都民の税金が使われたのです。そのほか、商店街へのオリンピックフラッグは一億二千五百万円、テレビのコマーシャル放映料三億円など、挙げれば切りがありません。
 こんなお金のばらまきをやって、しかも、北京オリンピックで盛り上がったというのに、最近の二つの世論調査では、東京への五輪支持は四六%にすぎず、東京招致が成功しないが七一%だったのです。知事、お金の力でオリンピック招致をかち取る、こんな招致活動はオリンピック精神に反すると思いませんか。こんなばらまきこそやめるべきだと思いますが、知事、それぞれお答えください。

インフラ整備の浪費にメスを

 競技施設経費も、候補都市の中で東京は最も巨額な負担を行い、費用がさらにふえることは必至です。このまま進めていいはずがありません。そして、何よりも実に九兆円にも達するインフラ整備の浪費にメスを入れるべきです。中でも、石原知事が都政の最優先課題とする外環道路は二〇〇九年度着手をうたっていますが、事業費は、地下方式に加え外環その二の上部道路を合わせて二兆二千億円、さらに、必要なネットワーク路線として国が検討を始めた東名以南は一兆九千億円、合わせて四兆一千億円です。しかも、今行われているどの地域のPIでも、会議を進めるほど批判や反対の声が広がっています。
 オリンピック招致をてこに外環計画を強行することはやめ、外環ノ2の都市計画は直ちに廃止すべきです。答弁を求めます。
 インフラ整備というのなら、今やるべきは、高速道路優先から防災対策優先に切りかえることです。

ゲリラ豪雨対策を

 私は、ここで水害対策を取り上げます。
 ことしの夏のゲリラ豪雨は、東京にも大きな被害をもたらしました。東京の雨量は、この十年間で、一時間一〇〇ミリを超えたのが十三回、その前の二十年間が二回だったのですから、大激増です。こうした異常気象が地球温暖化とヒートアイランド現象によるものであることは明らかで、その抜本対策に今こそ全力を挙げなければなりません。そのためには、ヒートアイランド現象やCO2の発生を激増させている要因となっている東京集中政策を改めることです。今日の時点に立って、この間の都市づくりのあり方を総括し、今こそ都市の成長管理を行い、持続可能な都市づくりに転換を図るべきです。
 緑地の保全と拡大にも全力を挙げる必要があります。稲城市の南山開発を中止し、町田市北部丘陵を保全するなど、多摩の緑地開発を規制し、里山の保全を図ることを求めます。また、都市計画公園や地域の公園を倍加する計画を早急につくるべきです。水害を引き起こしやすい都市構造の改善に向け、がけ地の開発の規制、雨水浸透施設や水害発生場所での小型の貯留施設の敷設計画を都の責任でつくり推進することを求めます。
 また、ゲリラ豪雨対策として重要なのは、的確な豪雨情報、雷雨情報を都民に提供するシステムを確立することが必要です。都の考えをそれぞれお答えください。

豊洲新市場予定地・・環境基準をこえる汚染は三六%の地点、延べ二千二百件余

 今、食の安全・安心が大きな社会問題になっており、国民は不安にさらされています。そんなときに石原知事は、食の安全が最優先されるべき卸売市場を、あえて高濃度汚染されている豊洲地区に強行移転しようとしています。一体何を考えているのかという声が上がるのは当然です。
 石原知事は、第二回定例会で、豊洲における約四千百カ所の調査で、四万三千倍のベンゼンが一カ所しか検出されなかったことを挙げて、敷地全体が高濃度の物質で汚染されているわけではなく、その範囲は極めて限られていると答えました。しかし、環境基準を超える汚染は三六%の地点で、延べ二千二百件余り検出されたのです。しかも、高濃度汚染は三つの街区のすべてにわたり、いずれからも満遍なく検出されているのです。知事は報告書をちゃんと読んだんですか、ごまかさないで答えてください。
 百平方メートル当たり一カ所、土壌は旧地盤面の下一カ所、地下水は有楽町層と旧地盤面の間一カ所、有楽町層以下は未調査という、手抜きといわれても仕方がない調査でさえ、これだけの汚染が検出されていたのです。知事は、それでも汚染は極めて限られているといい張るんですか、見解を伺います。

現在地再整備に立ち返るべき

 今、都は技術会議で、低価格で、しかも短期間で実施できる新技術、工法なるものを選定しています。しかし、現在このような新技術は実用化されていないのです。だからこそ、環境学会からは、安かろう悪かろうになりかねないと批判が出され、専門家会議の報告書を実際につくったコンサル会社の人でさえも、実際にできるかどうかわからないといっているのです。知事、最も安全であるべき市場を、このような未確立の技術の巨大な実験場にしようというのですか。都民は断じて許しません。答弁を求めます。
 知事は、現在地再整備は不可能だといいます。しかし、都は一九八六年に現地再整備の方針を打ち出し、九一年に工事に踏み切ったのです。種地もあります。アスベストも安全に除去できます。一方、豊洲移転計画は、大手量販店、流通業者を参入させるための大型計画であり、中小零細業者を排除するものです。競り売りを基本とした現築地市場の機能を前提にすれば、豊洲のような大規模な敷地は不要であり、現地再整備は可能です。費用も、今ある積立金や土地などで賄えるものです。どうですか。違うというのなら根拠を示すべきです。見解を伺います。
 現在地再整備の方が現実的です。市場の関係者もそれを望んでいます。知事、都民の不安がますます大きくなっていく中で、汚染された豊洲予定地への移転は断念し、市場関係者とよく話し合って、現在地再整備に立ち返るべきです。知事の所見を伺い、再質問を留保し、質問を終わります。

【再質問】

 再質問します。
 まず、新銀行東京です。
 知事は、新銀行東京がすべての申し込みについて厳正な審査を行ったと答弁されました。だとしたら、なぜ融資関係だけで四百六十億円もの損失が生まれたのですか。厳正な審査を行ったのであれば、旧経営陣に経営破綻の責任はないことを認めたことになるんです。それでいいんですか。それとも、「週刊朝日」などの報道はうそだというんですか。知事、しっかり答えてください。
 産業労働局長は、約一万一千社の中小企業に融資、保証を行っているから、中小企業金融の役割を果たしていると答弁しました。今貸している一千億円について、制度融資を拡充すればいいのであって、新銀行存続の理由にはなりません。問題は、中小企業への貸し付けが、三月期決算から既に二千社も減少していることです。しかも、新規の契約はほとんどないんです。貸しはがし、貸し渋りの銀行に存在意義はありません。ごまかさないで答えてください。

 豊洲問題です。
 知事は、現地再整備ができない理由として、種地が確保できないことを挙げました。かつて都がつくった現地再整備計画で種地が検討されたことがあり、そのときの候補地でまだ未利用の土地があるのです。地元中央区でも、種地はあるといっているんです。ごまかすのはいいかげんにすべきです。知事、もう一度お答えください。
 市場長の答弁を聞いて本当に驚きました。これで食にかかわる市場の責任者の発言なのか、疑わざるを得ません。汚染物質は二千二百カ所余りも検出されているのですよ。それをあたかも、千倍以上の汚染は限られているといって、安全であるかのようにいい張っています。だったら、千倍以下の汚染は安全だというんですか。法律に、どこにそんなことが書いてあるのか。あったら示してください。

 次に、市場原理主義の問題です。
 知事は、自分が市場原理主義を都政に持ち込んだことは認めず、反省がありません。しかし、知事は、就任初の一九九九年の都議会定例会の所信表明で、福祉に市場原理を活用すると明言したんです。それでも、知事が都政に市場原理を持ち込んだことは認めないんですか。答えてください。
 最後に、知事は、市場原理主義について、殊さら過激な投機マネーの暴走だけが問題であるかのようにゆがめ、私の発言が的を射ないものであるといいました。とんでもありません。知事は、かつて著書で、アメリカの投機マネーを引き込むことについて、それで日本人が得られるのはアメリカに対する降伏だとまでいって批判したんです。知事、この論理でいけば、都市再生に投機マネーを参加させることもアメリカへの降伏になるのではありませんか。
 その時々でくるくる変わる知事の発言は、ご都合主義そのものといえます。信用できません。違いますか。答えてください。
 以上六点、再質問をいたします。ぜひ答えてください。

【答弁】

〇知事 村松みえ子議員の代表質問にお答えいたします。
 まず、新銀行東京の融資についてでありますが、新銀行東京では、紹介の有無にかかわらず、すべての申し込みについて厳正な審査を行い、融資の可否を判断しております。銀行への紹介が無理な融資につながるという認識には誤りがあると思います。
 新銀行東京の今後についてでありますが、新銀行東京への四百億円の追加出資は、資金繰りに苦しむ中小企業を継続的に支援するために行ったものであります。この四百億円を手土産に、新銀行を外資系ファンドに売却するということは全く考えておりません。この銀行を都民の皆様のお役に立つ銀行として立て直すために、あらゆる努力を今後もしてまいります。
 次いで、物価高騰と都民生活についてでありますが、世界の全GDPを上回る金融資本が出回るという過剰流動性に乗った巨額な投機マネーの原油、穀物市場への集中が価格高騰を招き、今、世界経済は景気後退とインフレの危機にさらされております。食の安全・安心を脅かす負の連鎖もとまりません。これらは、本来政府が責任を持って取り組むべき課題でありますが、国政は迷走を続け、政治の覚悟が問われていながら、この国の未来図を示せない状況にあります。
 都は、都民、国民に広がる不安を解消するためにも、首都東京から国を先導する緊急対策を展開いたします。共産党も、今回の補正予算にはぜひとも賛成をしていただきたいと思います。
 都市再生と市場原理主義についてでありますが、世界経済がグローバル化する中で、多様な民間の資金を活用して都市再生に取り組む場合には、外資が参加することは当然のことであります。国の牽引役である東京の活力をさらに高める都市再生の取り組みと、市場原理主義による過激な投機マネーの暴走という比較にならないものを殊さら同列に論ずることは、経済の道理を全く無視し、事の本質を見誤って、的を射ないものであります。政策を改める必要はないと信じております。
 財政運営についてでありますが、ご指摘を受けるまでもなく、私はこの間、福祉、教育、中小企業対策はもとより、環境や治安、インフラ整備など、都民が直面する諸課題、東京の未来を切り開く施策、これらにしかるべく財源を投入し財政運営を行ってまいりました。
 なお、お話を伺っておりますと、税収や基金がふえればどんどん使ってしまえとの主張のようですが、そうした安易な財政運営というのは、私の考え方とは全く相入れないものであります。
 次いで、国の定額減税についてでありますが、今回、国の緊急総合対策の一項目として定額減税が掲げられました。規模や実施方式は今後の検討を待たねばならないにせよ、国民の不安を解消するため、厳しい財政状況の中にあって、財界の規律を堅持しつつ、打つべき手を打つのは政治として当然のことであると思います。後先を考えずに、何につけてもばらまきを主張する共産党とは次元が異なる問題であると思います。
 次いで、オリンピック招致についてでありますが、北京大会には、世界各国のIOC委員やスポーツ関係者が集まりますので、この機会を生かして積極的に招致活動を行うことは極めて効率的、効果的でありまして、当然のことであります、どの国もやっております。
 招致活動は、IOCの定めたルールや議決をいただいた予算の範囲内で行っておりますので、オリンピック精神に反するとか、ばらまきという指摘はいずれも当たらないと思います。
 築地市場の現在地再整備についてでありますが、豊洲地区への移転は、長い長い年月をかけて関係者間で再整備を含めてさまざまな案を検討し、議論を尽くして決定したものであります。
 現在地再整備は、種地がなく、営業を続けながらの工事が困難なことや、市場に求められる新たなニーズに対応できないことなどから、不可能であると思います。このことは、本年五月に出された業界団体の大多数からの要望書においても明確に述べられております。
 現在、専門家会議からの提言を踏まえ、技術会議において、新しい技術の検討も含め、確実でコスト面でもすぐれた土壌汚染対策を検討しておりまして、この結果に基づき、都として早期に土壌汚染対策計画を取りまとめ、都民や市場関係者が安心できる万全な対策を講じてまいります。
 他の質問については、教育長及び関係局長から答弁いたします。

〇教育長 学校給食費への公費による支援についてでございますが、学校給食法等によりますと、学校給食は、学校の設置者が実施をし、給食費は児童または生徒の保護者が負担することとされておりますが、学校設置者の判断により、保護者の負担軽減策を実施することも可能でございます。
 都立学校では、特別支援学校の児童生徒については就学奨励費により、また、夜間定時制高校の就業している生徒については夜食費補助により、保護者の負担軽減を図っております。
 小中学校における給食費は、学校設置者である区市町村が、地域の実情や特性を踏まえた上でそれぞれが決定をしているものでありまして、給食費の改定や保護者負担の軽減策についても、その判断により行われているものでございます。

〇産業労働局長 八点のご質問にお答えします。
 まず、新銀行東京の経営悪化の原因についてでありますが、新銀行東京が、その経営の失敗により多額の損失を発生させたことについて、旧経営陣の責任は免れるものではありません。
 現在、経営悪化の原因については、新銀行東京が外部の弁護士に委託して、さらに詳細な調査を進めているところであります。調査結果は、年内を目途に取りまとめられると聞いており、お話の、紹介による無理な融資等が損失を膨らませてきたなど、推察により論じることは適当ではないと考えます。
 次に、新銀行東京における融資実態の調査についてでありますが、新銀行東京では、どこからの紹介であっても、通常の融資申し込みと同様の手続を経て厳正な審査を行っております。仮に融資の申し込みに関連して違法な行為があった場合には、監督官庁など権限を有する機関が厳正に対処すべき問題でありまして、都として調査する考えはございません。
 次に、新銀行東京の存在意義についてでございます。新銀行東京は、資金繰りに窮する中小企業を支援するために設立したものであり、平成二十年六月末現在で約一万一千社の中小企業に対して融資、保証を行い、その残高は一千億円を超えております。このように、東京の中小企業金融において役割を果たしており、中小企業支援とは無縁な金融機関であるというご指摘は当たりません。
 次に、正規雇用拡大に関する大企業への働きかけについてでありますが、企業には、労働者派遣法やパートタイム労働法の規定に従い、非正規雇用から正規雇用への転換に向けての取り組みが求められております。都はこれまでも、既にセミナーの開催や資料の配布等を通じて法令の周知徹底を図ってきたところでありまして、今後とも、こうした企業への働きかけを行ってまいります。
 次に、最低賃金についてでございます。本年七月から施行されました改正最低賃金法では、地域別最低賃金は、労働者の生計費や類似の労働者の賃金に加えまして、生活保護との整合性にも配慮するものとされております。都内の最低賃金は、国の東京地方最低賃金審議会の審議を経て国が決定するものでありまして、引き続き国の動向を見守ってまいります。
 次に、中小企業に対する融資対策についてでございます。今回の補正予算案では、最優遇金利を適用しております経営支援融資の融資目標額を三百億円拡大しております。これは本年度の融資実績を踏まえ、中小企業者の資金需要に緊急に対応するために必要な金額を計上したものでございます。また、あわせまして、小規模企業者に対する信用保証料の補助率の大幅な引き上げを実施することとしております。
 なお、既存融資の返済期間延長につきましては、返済負担の軽減を図る借りかえ融資を既に実施をしております。
 次に、燃料高騰に対する農漁業への対策についてでありますが、原油高騰は全国的な課題でありまして、まず国において総合的な対策が講じられるべきものであります。現在、国は、原油価格高騰対策として、補助金、税制、融資にわたるさまざまな施策を打ち出しております。都としては、その動向を注視しているところでございます。
 最後に、原油高騰対策としての、お話の、燃料への直接助成、融資への利息補助、また価格補償についてのお尋ねですが、都におきましては、既に省エネに向けた技術指導や情報提供を行うとともに、省エネ施設導入資金や経営に必要な運転資金に対する融資制度を用意し、農漁業者の資金需要にもこたえております。
 また、国においてもさまざまな施策が打ち出されておりまして、お話の対策について実施する考えはございません。

〇総務局長 二点の質問にお答えします。
 まず、都の民間開放についてでございますが、都はこれまで、都民の安全・安心を確保しつつ、真に行政が担うものは何かという視点から、民間など多様な主体による質の高いサービスの提供を図るとともに、政策対応力の一層の強化に向けまして改革に取り組み、認証保育所の設置を初め、都民が実感できる成果を上げてまいりました。
 このように、都民サービスの質的向上を図る観点から行財政改革の一環として進めてきましたのが都の民間開放でございまして、今後とも、不断の改革を推進し、都民が真に必要とする施策を展開し得る強固な行財政基盤を構築してまいります。
 次に、都の正規雇用拡大についてでございますが、都の事業は、いうまでもなく都民の税金で賄われており、常に最少の経費で最大の効果を発揮することが強く求められております。
 このため、都では、個々の職務内容や業務量等を十分に勘案した上で、常勤職員に加えまして、非常勤職員、臨時職員、人材派遣などを活用し、最適な組み合わせによる効率的かつ機能的な執行体制を構築しているところでございます。

〇主税局長 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、個人都民税の減税についてでございますが、都といたしましては、低所得者の方々に対しましては、税による一律の軽減よりも、きめ細かな施策として手当てする方が公平で効果的と判断し、生活安定化総合対策事業を実施しているところでございます。したがいまして、都民税の軽減措置を行うことは考えておりません。
 次に、固定資産税等の軽減措置の拡大でございますが、現在、住民の定住確保や中小企業支援のために、土地への課税の軽減措置及び減免措置を実施しております。しかしながら、税負担の公平性等の観点から、これらの措置をさらに拡大する考えはございません。
 なお、市町村でも同様の手だてが可能となるような都としての措置につきましても、考えてございません。

〇福祉保健局長 五点についてお答えいたします。
 まず、低所得世帯に対する対策及び手当の支給についてでありますが、物価上昇への対策を含めて、低所得者に対する所得保障は、基本的に国の判断と責任によって実施されるべきものと認識しており、都として独自に実施する考えはございません。
 次に、長寿医療制度についてでありますが、この制度は、国民皆保険制度を堅持する観点から、社会全体で高齢者を支える仕組みとして構築されたものであると認識をしております。現在、国においてさまざまな議論がなされており、これを見守ってまいります。
 次に、シルバーパスの役割についてでありますが、シルバーパスは、高齢者の社会参加を助長し、もって高齢者の福祉の向上を図ることを目的としております。現在、多くの高齢者がシルバーパスの発行を受け、社会参加と生きがいの活動に活用されております。
 次に、シルバーパスの対象拡大についてでありますが、シルバーパスは、高齢者の社会参加活動を促進するために、利用を希望する方に対して社団法人東京バス協会がパスを発行し、都が補助を行っている事業であります。東京都シルバーパス条例により、シルバーパスの利用対象は都営交通及び路線バスとなっており、新たな利用対象交通機関の拡大は考えておりません。
 最後に、中学三年生までの医療費助成についてでありますけれども、これは先ほどご質問にお答えしたとおりでありますけれども、この制度のあり方については、少子化対策を一層推進するとともに、適切な医療を提供できる体制を確保するという観点から検討することが重要であります。
 都としては、このような考えのもとに、また、現行の所得制限を前提に助成内容の拡大を図る方向で検討しており、十月早々には具体案を取りまとめてまいります。
 助成内容の拡大に当たりましては、小児医療現場の厳しい状況や医療保険制度の相互扶助の理念にも十分に配慮する必要があると考えております。

〇生活文化スポーツ局長 高校生に対する就学支援についてでございますが、都では、勉学意欲がありながら経済的理由により就学が困難な高校生に対しまして育英資金を貸与しているところでございます。
 また、私立高校につきましては、各学校の運営費に対する補助や、一定所得以下の保護者を対象に特別奨学金補助を実施し、保護者の経済的負担の軽減を図っている状況にございます。
 こうしたことから、お話の新たな支援策につきましては考えておりません。

〇財務局長 二点のご質問にお答えいたします。
 まず、臨時職員の賃金についてでございますが、都の臨時職員は、一時的、臨時的な行政事務の増加に弾力的に対応することを目的に各局で雇用されるものでございまして、毎年度の予算見積もりに当たって、適切に算定した賃金の参考単価を各局に通知しております。
 次に、都の公共事業についてでございますが、今回の措置は、特定の資材価格が短期間で急激に高騰した状況に対応するために実施したものであり、単品スライド条項の適用が最も適切でございます。
 なお、単品スライド条項の手続や最低制限価格については、都独自の方針や改善策を既に公表しております。

〇都市整備局長 四点のご質問にお答えいたします。
 まず、外環についてでございますが、外環は、首都圏の人と物の流れを円滑化するとともに、快適で利便性の高い都市を実現する上で必要不可欠な道路でございます。今後も国に対し、平成二十一年度に事業着手するよう、あらゆる機会をとらえて強く働きかけてまいります。
 また、外環の地上部街路である外環ノ2につきましては、関係区市等から出されました要望を踏まえ、この道路の必要性やあり方などにつきまして、広く都民の意見を聞きながら検討を進めてまいります。
 次に、持続可能な都市づくりについてでございますが、東京が環境と調和した国際競争力を有する都市であり続けるためには、三環状道路を初めとする都市施設の計画的な整備や、都市活動が集中する都心部の更新が不可欠であります。今後も、都市活動に伴う環境負荷の低減を図りつつ、高度な都市機能を備えた東京の実現を推進してまいります。
 次に、公園を倍増させる計画とのご指摘でございますが、計画的、効率的に公園等の整備を促進するため、平成十八年三月に、都区市町共同で都市計画公園・緑地の整備方針を策定し、今後重点的に取り組むべき公園、緑地を明らかにいたしました。現在、この方針に基づき、都と区市町は、事業の優先度や財源の状況を勘案し、鋭意整備に取り組んでおります。
 最後に、がけ地の開発の規制でございますが、がけ地等での開発行為の許可に当たりましては、がけの崩壊に対する安全を確保するなど、関係法令等に基づき適切に対応しております。
 また、雨水の浸透、貯留の推進でございますが、昨年八月に、都は、局所的な集中豪雨に対応するため、東京都豪雨対策基本方針を策定いたしました。現在、この方針に基づき、流域の特性や土地利用の状況などを踏まえて、貯留施設や浸透施設の設置などを重点的に進めております。

〇環境局長 緑地の保全についてでございますが、緑地等の自然地の開発に際しては、自然保護条例に基づく開発許可制度により、自然環境の保全に配慮した計画とするよう事業者を指導するなど、適切に対応しております。また、都はこれまでも、地元自治体等と連携し、里山などの保全に努めており、今後とも緑の保全に取り組んでまいります。

〇建設局長 豪雨情報などの提供についてのご質問にお答えいたします。
 都は、既に平成十四年度から、水防災総合情報システムや東京アメッシュで、降雨や河川水位の情報をインターネットにより都民に提供してまいりました。
 これらの情報システムについては、広報誌などで都民に周知を図っており、平成十九年度の実績として、携帯電話などから一千三百万件を超えるアクセスがあり、多くの都民に利用されております。
 今後とも、都民の安全・安心を確保するため、引き続き情報提供に努めてまいります。

〇中央卸売市場長 築地市場の移転に関する四点の質問にお答えいたします。
 まず、新市場予定地の土壌汚染の状況についてでございますが、敷地全域にわたる四千百二十二カ所の詳細調査の結果、環境基準を超過した割合は三六%でございますが、千倍という倍率で見ましても、これを超える物質が検出されたのは、土壌で二カ所、地下水で十三カ所でございます。
 さらに、詳細調査で一定の汚染物質が検出された四百四十一カ所において、深さ方向に土壌ボーリング調査を行いました。この絞り込み調査の結果、三千百三十四検体のうち、二二%が環境基準を超過しましたが、千倍以上の物質が検出されたのは、七カ所、七検体でございます。
 なお、街区別では、千倍以上の物質が検出されたのは、五街区で三カ所、六街区で十六カ所、七街区では検出されてございません。
 次に、新市場予定地の土壌汚染の範囲についてでございますが、調査結果を平面方向で見ますと、高濃度の汚染物質が検出された箇所は、六街区の東京ガス株式会社操業時の旧空き地区域に集中しており、敷地全域に高濃度の汚染が広がっているわけではなく、汚染の範囲は限定的でございます。深さ方向について見ますと、詳細調査で汚染物質が検出された箇所においても、操業時の地盤面から不透水層上端まで全体が汚染されているわけではなく、部分的に点在している状況にございます。
 次に、技術会議についてでございますが、技術会議は、専門家会議の提言を踏まえ、土壌汚染対策を具体化するために設置したものでございます。現在、新技術や新工法を広く民間事業者等から公募しており、今後、提案された内容を土木、環境分野などの専門家委員により評価、検証した上で、科学的根拠に基づいた具体的内容で、確実に効果が得られ、工期や経費などでもすぐれた対策を選定することとしております。
 最後に、現在地再整備の可能性についてでございます。
 豊洲新市場は、中小の小売店、飲食店から量販店まで、あらゆる顧客のニーズにこたえていくこととしております。このため、新市場の施設の検討に当たりましては、これからの市場に求められる新たな機能を盛り込むとともに、卸、仲卸、小売等の市場業界団体と協議を重ね、その要望を取り入れた上で施設内容を取りまとめてきました。
 現在地で再整備を行った場合には、敷地が狭隘なため、こうした業界団体の要望や新たな機能を盛り込むことができないことに加え、種地が確保できず、営業を継続しながらの工事が困難なことから、再整備は不可能でございます。
 また、財政面においても、中央卸売市場の保有する資金では再整備に要する事業費を賄えず、跡地の売却収入も見込めないことから、実現性のある再整備の計画を策定することができない状況にあります。

【再質問答弁】

〇産業労働局長 再質問にお答えをいたします。
 すべての案件について厳正な審査を行っているということと不良債権化とを結びつけたお話でありますけれども、厳正な審査とお答えをいたしましたのは、申込者によって恣意的な審査をすることはないという意味で申し上げているわけで、そのことで不良債権化したことと結びつけてのお話は意味がない話だというふうに思います。
 それからもう一点の、新銀行東京の存在意義の私の答弁についてでございますけれども、ご質問で存在意義がないというような、いわば新銀行の存立の根幹についての評価をするのであれば、単に直近の貸し出しのフローについて論ずるべきではなくて、ストックとして現にどれだけの貸し出しが今行われているかという、そういう側面も同時に評価すべきであると、当然のことを申し上げたまででございます。

〇中央卸売市場長 まず、種地についてでございますが、現在の築地市場、約九四%の敷地が建物、通路、荷さばき場等で使用されておりまして、六%ほどしか余裕がございません。この六%も、散在をしている状況でございまして、再整備に当たっての種地というものは確保できる状況にないというふうに考えております。
 次に、汚染の範囲でございますが、高濃度の汚染は極めて限られた範囲でございまして、専門家会議も、対策は十分に可能であるというふうな見解を表明しております。

〇総務局長 市場原理の導入の件についてお答えさせていただきます。
 先ほどお答えしましたように、都はこれまで、都民の安全・安心を確保しつつ、真に行政が担うものは何かという観点から、民間など多様な主体による質の高いサービスの提供を図ってまいりました。認証保育所の設置を初め都市再生、こういったものを含めまして、都民が実感できる成果を上げてまいりました。
 このように、都民サービスの質的向上を図る観点から進めてまいりましたのが、都の民間開放でございます。

〇知事本局長 市場原理主義についての再質問についてでございますが、先ほど知事が答弁したとおり、世界経済がグローバル化する中で、多様な民間の資金を活用して都市再生に取り組む場合に外資が参加することは当然でございます。
 また、都が進めてきた都市再生の取り組みと市場原理主義による過激な投機マネーの暴走という、比較にならないものを同列に論じること自体、意味のないものと考えております。
 したがって、これをもって知事の責任とする指摘は全く当たりません。
 いずれにいたしましても、今後とも適正に対処してまいります。