条例案の提案理由の説明
2008年12月15日 厚生委員会
かち佳代子(大田区選出)
高齢者医療費助成条例の新設、および心身障害者医療費助成条例の一部改正について、提案理由の説明をおこないます。
ことし4月から始まった後期高齢者医療制度にたいし、きびしい批判や怒りの声がわきあがっています。政府は制度開始早々に、見直しを表明せざるをえなくなりました。しかし、見直しの具体的内容ははっきりしません。
高齢者の多くは、きわめて不十分な年金制度をたよりに生活しています。年をとれば誰でも病気で故障がでてくるのは当然であり、医療費がかさみます。しかも、治りにくい慢性疾患が多く、長期にわたる医療費の負担が、家計を圧迫しています。
そういう中で、75歳以上の人は「後期高齢者」だと言って他の世代と切り離し、保険料などの負担増、年金からの天引き、しかも健康診断の内容まで差別する、こういうやり方に怒りがひろがったのです。
一方、日の出町は、高齢者のご苦労に報いるとともに、地域社会の一員として活躍され、暮らしていただくことを目的にかかげた「お年寄りにやさしい福祉基本条例」を、この12月に制定しました。そして、この条例に基づいて75歳以上の医療費無料化にふみだしました。住民の福祉の増進を使命とする地方自治体として、注目すべき貴重な努力です。
いま東京都にも政府にも求められていることは、敬老の精神をとりもどし、だれもが安心できる老後の保障をつくりあげることです。高齢者医療費助成条例の新設案、および心身障害者医療費助成条例の一部改正案は、こうした立場から提案したものです。
高齢者医療費助成条例は、65歳以上のすべての年齢層を対象にしています。
75歳以上の方は、医療費の本人負担が1割のところ、0.5割分を助成します。
70歳から74歳の方は、国民健康保険法等の改悪で、本人負担がすでに2割となっていますが、国民の批判にあわてた政府が、予算措置で1割にすえおいています。これが法の規定どおり2割負担になったばあい、1割分を助成します。
65歳から69歳の方は、かつての東京都老人医療費助成条例、いわゆる「マル福」の制度が、ことし6月末で廃止され、3割負担となっています。このうち1割分を助成します。
入院食事代は、他の医療費助成制度との整合性に配慮し、助成対象外としています。
また、70歳以上の方で、いわゆる「現役なみ所得」の医療費3割負担の人は、対象外とします。65歳から69歳の方についても、この所得基準を準用します。
対象者数および所要額は、75歳以上が、100万人で400億円。65歳から69歳が60万人で200億円で、あわせて160万人、600億円です。
70歳から74歳が2割負担になったばあいの対象者は50万人、所要額250億円です。 いずれも平年度ベースです。
実施主体は東京都で、助成費は全額都負担です。区市町村が本条例に独自に上乗せして、75歳以上の無料化などを実施することは可能です。
心身障害者医療費助成条例の一部改正は、2000年度の条例改定で、65歳以上の高齢者の新規申請が停止されたのを再開するものです。
65歳以上で障害者になった人は医療費助成の申請を申請を認めないという現行制度は道理のない年齢差別であり、適切ではありません。
対象者は年間5千人、所要額約3億円です。
これら2つの条例制定により、都民の切実な要望にこたえるとともに、高齢者の医療費負担軽減の流れを首都東京から全国に発信することができます。ぜひ、ご審議のうえ、賛同いただきますよう、お願いし、提案理由の説明とします。
以上
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