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第一回定例会 代表質問 二〇〇九年二月二四日

植木こうじ(中野区選出)

都政が最重点にとりくむべきは、オリンピック招致ではなく、都民のくらし、雇用をまもること
新銀行東京への税金投入が可能な「地域の金融機関と連携した融資」条例は撤回を

総合相談支援窓口、街頭労働相談を
住宅を失った失業者に都営住宅の提供を
都職員の増員など雇用創出を
中小企業支援の強化も都政の最重要課題
年度末をひかえて資金繰りは焦眉の課題
新!元気を出せ商店街事業の改善を
製品・技術開拓事業を創設し開発資金を
高齢者は、福祉切捨ての深刻な犠牲者
高齢者に福祉と医療、介護を守るための手だてを
国民健康保険料の負担軽減を
小児病院・・子どもの病気は急変しやすくは身近な地域に必要
都立小児病院の存続、拡充を
財政運営のあり方の転換で都民要求実現は可能
IOCに提出された立候補ファイルも、ごまかしに満ちたもの
外環道計画は、白紙に戻し、建設強行をやめよ
新銀行東京への税金投入に道を開く条例案
調査報告書は真相解明にフタ
専門家会議の土壌調査は欠陥調査
工費をきりつめ、食の安全は二の次の技術会議の対策

 

総合相談支援窓口、街頭労働相談を

 日本共産党を代表して質問します。
 アメリカ発の金融危機による景気悪化を理由にした大企業の派遣切り・リストラ、内定取り消しなどが広がっています。この中で自公政権による「構造改革」によって苦しめられてきた都民のくらしや中小企業の危機もさらに深刻になっています。まさに今、都民のくらし、雇用、福祉を守ることこそ、都政の最重点課題といわなければなりません。私はこの立場から知事の所見を質します。
 まず、ふえ続ける大企業の派遣切りなど雇用破壊に対して、緊急支援策を抜本的に強化する問題です。
 「年越し派遣村」に衣食住を求めて五百人もの人たちが集まり、その後も次々と路頭に迷う事態が続いています。
 日本共産党都議団が池袋東口と新宿駅東口で行った「街頭労働相談」にきた三十四人の相談者の過半数が、十一月以降に首を切られ路頭に迷っている人達でした。
 年越し派遣村や日本共産党都議団に相談にきた相談者の多くは、「所持金はわずか一一〇円」、「三日間食事を取っていない」「拾った毛布にくるまって路上で寝ている」「保険証が無いので病気の治療もできない」など本当に悲惨な状態です。このため、相談は雇用、だけでなく生活全般にわたる対応が必要です。
 いま何よりもまず、雇用、生活、住まい、医療などの相談をおこない、土日にも対応できる総合的な相談・支援窓口が求められていますが、いかがですか。
 街頭での労働相談は、本来は行政が率先して行うべきものです。主要駅で実施するよう提案します。それぞれお答えください。

住宅を失った失業者に都営住宅の提供を

 第二に、仕事や住まいを失った人が、路上生活になるのを予防するため生活保護の適用を促進するよう区市町村に要請した昨年十二月の都の通達は、極めて重要です。ところが、私たちが相談者と福祉事務所に保護を求めたときに、住所が無いことや働ける年齢層であることを理由に申請を受け付けようとしないこともありました。
 国会でのわが党の志位委員長の質問にたいし、麻生首相も「住居のない方もふくめ適切に支援する」と答えているのです。この答弁も伝え、申請権を侵害するような対応は厳に慎む、働ける能力があることのみをもって保護を要しないと判断しないなどを明確にした都の通知にそった対応が、すべての福祉事務所で徹底されることが重要です。見解を伺います。
 第三に、再就職にも不可欠な住居を確保することです。生活保護法にもとづく宿所提供施設は都内に六か所、四百九十人分しかありません。緊急一時保護センターも満杯です。大幅に増設することが必要です。どうですか。
 派遣切りにあって住まいを失った人に対し、公営住宅を提供してよいとの国交省の都道府県知事宛通知にもとづいて、大阪府では府営住宅を七五〇戸提供するなどほとんどの県で公営住宅を活用しています。
 私が住宅を失った人に都営住宅を提供するよう要請した時、知事は「検討します」と答えました。一刻も早く実現すべきです。一万戸も空いている都営住宅を離職者対策としてすみやかに提供すべきです。お答え下さい。
 さらに、都として民間賃貸住宅などを借り上げて、離職者支援のための緊急の住まい確保に活用することも求められています。お答え下さい。

都職員の増員など雇用創出を

 第四に、大企業ではこれまでの派遣切りに加えて、正規労働者を根こそぎ減らすリストラにも手をつけようとしています。たとえば、沖電気では半導体部門を丸ごと別の会社に売却し、買収した企業は八王子工場で働く一五〇〇人の労働者のうち約八割を宮崎県か宮城県の工場に転勤するよう迫り、断れば退職に追い込むという雇用破壊をすすめています。
 いま、手を打たなければ取り返しのつかない大量雇用破壊がおこることは明らかです。知事を先頭に大企業に乗り込んででも違法、不当な派遣や正規労働者の首切り、内定取り消しをやめさせ、大企業に社会的責任を果たすよう申し入れるべきです。
 また、企業に雇用を増やすようもとめるとともに、新卒者に限らない広い規模の合同就職面接会の開催、失業者を雇用する中小企業への助成の規模と内容をさらに拡充することが必要ですが、見解を伺います。
雇用創出のためには、公共事業などを活用した一時的雇用だけでは不十分であることはいうまでもありません。全国の自治体で臨時職員の募集がすすめられていますが、派遣切りを経験した失業者からは、「採用期間が短く、また仕事探しをしなければならない」、「もう不安定雇用は卒業したい」の声があげられ、応募に逡巡する失業者が少なくないのです。
 東京都こそ、雇用確保の先頭に立って、福祉・医療、環境などの職員や教職員、消防職員、都営交通職員の増員など幅広く雇用の増大にふみきるべきです。
 また、林業や漁業の振興とあわせた雇用確保も重要です。長野県では「林業担い手養成事業」を実施したところ、四〇人の定員に対して一四三人も応募、応募者の八割が働きざかりの三〇代だったということです。
 林業や島の漁業振興と合わせた働き手の育成などを通じて雇用確保をおこなうことも重要です。それぞれお答え下さい。

中小企業支援の強化も都政の最重要課題

 いま、経済危機と大企業の下請け切りすてのなかで、耐えがたい苦しみのもとにおかれている中小企業支援の強化も都政の最重要課題の一つです。
 私の地元でも、業者のみなさんから、「資金繰りも大変だが、とにかく仕事が欲しい」「銀行に融資を断られた」など、本当に切実な声が寄せられます。なかには「大手自動車メーカーの下請けだったがいきなり仕事を切られて倒産を覚悟している」、「仕事がなく、奥さんが朝夕、清掃や皿洗いの仕事に出てしのいでいる」などの業者の方もいます。商店街でも、「ここにきてさらに売上げが減った」、「廃業で会員がドンドン減っている」など深刻です。円高不況、九十年代不況をくぐり抜けてきた業者ですら倒産の危機に瀕しているのです。
 まず建設業ですが、今回の不況は、国内でもたちまち不動産不況をもたらし、「この三月までは仕事があるが、その先は真っ暗」、「元請けが倒産し、工事代金が回収できない」など中小建設業の経営は深刻な打撃をうけています。
 こうしたときに、都がやるべきは、中小建設業者が受注できる生活密着型の公共事業を大幅に増やすことです。これこそ福祉など都民サービスの向上に直結し、中小建設業者の仕事確保にもつながる一石二鳥の政策です。
 都営住宅の新規建設にふみだすとともに、保育所や特別養護老人ホームなど、生活密着型の施設整備への支援を抜本的に強化することを求めます。
 工事契約については可能な限り都内中小企業に優先発注することをはじめ、大規模なものについても分離分割発注を拡大し、中小企業に仕事が回るようにすること。
 まち場の仕事を増やすうえでは、都営住宅の窓枠、浴槽などの計画修繕の前倒しや傷んだ畳の修繕などの仕事発注拡大などが有効ですがどうですか。

年度末をひかえて資金繰りは焦眉の課題

 年度末をひかえて資金繰りは焦眉の課題です。この問題で、業者の強い要望は、国のセーフティネット保証が認定されても金融機関が貸してくれないことや保証の枠を使い切ってあらたな融資が認められないことなどの改善です。
 都として「貸し渋り・貸しはがし相談窓口」をつくり、実態を掌握するとともに不当な貸し渋りについて是正につとめるべきです。
 また、制度融資について、保証枠を使い切った業者や、返済計画が立ちゆかなくなっている業者には、あらたな返済計画をたててもらい、それまでの融資を一本化し、長期据置、低利の融資に借り換えられるようにすることが必要です。それぞれ答弁を求めます。

新!元気を出せ商店街事業の改善を

 商店の経営者にとって、少しでも売上を増やすために消費税の撤廃は強い要望です。また、消費税をとれなかったり、自分で負担している業者も少なくありません。「定額給付金やる余裕があるんだったら、消費税をやめてほしい」これが商店のみなさんの本音です。
 消費の足かせになっている消費税について、石原知事が増税を要求していることはもってのほかです。知事、少なくとも食料品非課税を国に求めるべきです。また、都として、消費税ゼロデーなどにとりくんでいる商店街に対して、支援をおこなうようを求めるものです。見解を伺います。
 新!元気を出せ商店街事業について、年度をまたがっての利用や要望のつよい街路灯の維持費を対象にするなど、使い勝手の良いものに改善することが急がれています。
 また、これ以上シャッター通りや空き店舗を増さないために区市町村がとりくんでいる商店街対策への支援を行うことを求めるものです。それぞれ答弁を求めます。

製品・技術開拓事業を創設し開発資金を

 経済危機から東京が誇る優秀なものづくりの技術を守り抜くことは、何よりも重要です。
 製造業を大企業の横暴から守るために、大企業の発注止めの実態を調査し、都として是正を申し入れること。
 赤字の中小零細企業については、固定資産税、都市計画税のさらなる減免を実施することが必要です。
 不況のなかでも、自社ブランドの製品や商品の開拓に挑戦する業者が生まれています。こうした業者を支援するため都が製品・技術開拓事業を創設し、例えば一社五百万円程度の開発資金を提供することも応援になると思います。それぞれ見解を伺います。
 この問題の最後に、都として、雇用とくらしをまもるために、知事を本部長とした全庁規模の緊急経済・雇用対策本部を立ち上げることを求めるものです。知事の見解を伺います。

高齢者は、福祉切捨ての深刻な犠牲者

次に都民のくらしを守るための課題について提案します。
 まず高齢者福祉の拡充です。
 国の増税と負担増、石原都政の福祉切捨てのもっとも深刻な犠牲を強いられたのが高齢者です。ささやかな年金にも課税が強化され、介護保険料につづいて後期高齢者医療及び国保の保険料まで年金からの天引きがはじまりました。石原都政は医療費助成も老人福祉手当もシルバーパスの無料制度も高齢者からとりあげました。
 中野区に住んでいる八五歳の女性は、年金と恩給で月一〇万円ちょっとの収入ですが、介護保険料四八〇〇円と入浴と家事介護などの利用料で一五〇〇〇円、後期高齢者保険料で一八〇〇円、持病の医療費で約一九〇〇〇円など、合計すると三万六三〇〇円。収入の三分の一が消えてしまいます。これに光熱費や家賃で蓄えも底をつき、楽しいことは何もない生活だといいます。
 知事、「年金が減っているのに、負担ばかり増え、どこを削れというのか」「あまりにも高齢者いじめじゃないか」など怨嗟の声がひろがっていることを、どう認識していますか。

高齢者に福祉と医療、介護を守るための手だてを

 石原都政は、高齢者への福祉切捨ての口実として「医療・年金制度が充実した」と強調しましたが、いまや崩壊の危機に直面しているではありませんか。また高齢者が「経済的にも豊か」になったと強調しましたが、年金削減と課税強化によって収入は大幅に減少しているのです。福祉切りすてが間違いだったことは明白ではありませんか。お答えください。
 いま、かつて知事が廃止した都の福祉手当や医療費助成があったら、介護と医療の負担はどれほど助かるでしょうか。都政に求められていることは、あらためて高齢者に光をあて、福祉と医療、介護を守るための手だてをとることです。
 とりわけ医療費が払えないために受診や治療を我慢せざるをえない状況は一刻も放置できません。せめて七十五歳以上は、医療費窓口負担は一割の半分を軽減すること。六十五歳以上はせめて一割を助成し二割負担とすることを提案します。お答えください。
 さらに七十五歳以上の後期高齢者医療制度は、苦情が五十八万件も殺到し、高齢者の人権無視の欠陥制度であることが明白になっています。国ですら見直しを言わざるをえない状況のなかで、知事はいつまで「社会全体で支える仕組み」だと擁護しつづけるのですか。きっぱりと廃止を求めるべきです。知事の答弁を求めます。
 当面、保険料の引下げをはかるために都として広域連合への財政支援を拡大すべきです。それぞれお答えください。
 今年四月から介護保険の保険料が改定されます。現時点で十四区市町村が値上げを計画し、六自治体は標準額が月四千五百円をこえます。そもそも介護保険料は所得の少ない人ほど負担割合が重くなっており根本的にあらためるべきであり、値下げが求められています。すくなくとも値上げを抑えるために、都としての財政支援が必要です。

国民健康保険料の負担軽減を

 毎年上がる国民健康保険料の負担軽減も切実です。とくに国保の加入者は高齢者や零細事業者、そして非正規の若者などが多数であり、急激な景気悪化のもとで国保料の支払い困難が広がっており、「国保料を下げてほしい」、「減免制度をつかいたい」という声があがっています。
 区市町村がこうした要望にこたえるためには、都の財政支援が不可欠です。東京都市長会からも、国と都の補助金見直しによって、「国保財政は破綻寸前の状態にある」として都にたいし「市町村国保への積極的な支援と関与」を求めています。都民は、オリンピック招致キャンペーンのために各区市町村に一千万円ばら撒くより、国保の負担を軽くしてもらいたいと言っています。
 国保料の引下げ、減免制度の利用拡大がはかられるよう、区市町村や国保組合への財政支援をおこなうべきではありませんか。
 東京でくらす若者にとっての悩みは高い家賃です。単身の若者の半数近くが賃貸アパート住まいですが、多くをしめる非正規雇用の場合、月収十万円程度であり、その半分以上を家賃にあてざるをえない状況です。
 ヨーロッパでは、イギリスでもフランスでも二割から三割の若者が住宅手当をうけてくらしています。生活保護とは別に一定の収入以下の若者が利用しやすい家賃助成が必要なのです。民間賃貸住宅に住む若者への家賃助成を提案します。お答えください。

小児病院・・子どもの病気は急変しやすくは身近な地域に必要

 次に、未来を担う子どもたちを守る緊急課題です。
 今議会に知事が、都立清瀬、八王子小児病院、梅ヶ丘病院の廃止条例を提出したことに、「子どもたちの命を守る小児病院をなくさないで」と、都民からつよい怒りの声があがっています。東京都は、府中病院敷地内に建設中の小児総合医療センターに機能集約するので充実するのだとか、医師などの限られた医療資源を有効活用するための統合だと言いますが、そんな話は成り立ちません。墨東病院への機能集約だと言って築地産院を廃止した結果をみても、こういうやり方では縮小再生産にしかなりません。
 未熟児のためのNICUについて、清瀬、八王子にある十五床をなくすけれど、府中に二十四床つくるから九床増えると言いますが、そもそも多摩地域のNICUは大幅に不足しており、三十床から五十床増やす必要があるのです。なぜ清瀬、八王子を残さないのですか。そうすれば二十四床まるまる増えるではありませんか。見解を伺います。
 しかも子どもの病気は急変しやすく、小児病院は身近な地域に必要です。清瀬と八王子小児病院のまわりには、いざという時、文字どおり一分一秒をあらそう重度の障害児も、たくさんくらしています。清瀬、八王子小児病院がなくなると、ただでさえ病院が少ない多摩地域に、小児医療、周産期医療の広大な空白地域がうまれます。公社病院の多摩北部医療センターや、八王子市の二つの大学病院で対応すると言いますが、清瀬、八王子小児病院の機能のかわりにはなりえません。

都立小児病院の存続、拡充を

 「都立小児病院に、何度も救われた」「いつでも診てもらえる小児病院があったからこそ、子どもは生きてこられた」という声がよせられています。二歳になる障害児のお母さんは、「ダウン症の子は、すぐに急変します。小児病院は身近にあってこそ命が助かるのです」「八王子から府中のセンターまで、高速道路に出れば二十分と言うけれど、高速に出るまでが一時間かかるのです」と訴えています。こうした声を、どう受け止めますか。
 もともと都立小児病院の統廃合計画は、財政問題からもちだされたものです。小児医療や周産期医療がこれほど深刻な危機にあるときに、財政を理由にいまある大事な病院をなくすことは許されません。オリンピック基金に四千億円もためこむお金があるなら、子どもの命を守る都立小児病院を存続、拡充してほしい、これが多くの都民の声です。かけがえのない清瀬、八王子小児病院、梅ヶ丘病院を存続したうえで、新しい病院をつくるのが道理ではありませんか。知事の答弁を求めます。
 都立病院の医師の確保をすすめるため、全国の自治体病院の中で低い水準にある給与などの思い切った待遇改善や、来年度から始まる奨学金をはじめとした医師確保・養成対策の抜本的拡充が必要です。答弁を求めます。

財政運営のあり方の転換で都民要求実現は可能

 以上、都民のくらしに関わって提案しましたが、これらは来年度予算の中で、財政運営のあり方を転換することによって、実現は十分可能です。
 この点で知事の予算案は、公的雇用や直接雇用の拡大、制度融資の拡充、小中学生の医療費助成の拡充、医師確保、周産期医療の充実、認可保育園整備など、わが党が求めてきた施策の前進もありますが、全体としてはきわめて不十分です。
 その一方で、首都高速道路品川線をはじめ、投資的経費が五年連続増額され、経常経費にふくまれる投資予算とあわせて一兆円をこえています。オリンピック基金は、都民の苦しみをよそに、来年度も一千億円積み立て、四千億円になろうとしています。
 いま都政が最重点にとりくむべきは、オリンピック招致ではなく、都民のくらし、雇用をまもることではありませんか。九兆円ものお金をつぎこむようなオリンピックは、絶対にやるべきではありません。
 知事は、東京招致のために経費を三倍近い百五十億円にまで膨らませ、支持をひろげようと必死になっていますが、都民のオリンピック招致への支持が高まらないのは当然です。
 フラッグを掲げさせた商店街はかきいれどきでも人影がまばらなのをご存知ですか。みんな買い物をひかえ、食事は家で食べるようになり、商店はもちろん、不況に強い外食産業さえ客足が激減しています。
 知事、たくさんの方が、食費を削り、つめに灯をともすような生活をよぎなくされているのです。その日のくらしをどうにかしてもらいたいという都民の声が、聞こえているのですか。知事、オリンピックの名による浪費とためこみの財政運営をきっぱり転換させ、本来、自治体として取組むべき、都民のくらしと福祉、雇用をまもる事業に、全力をつくすことこそ必要ではありませんか。答弁を求めます。
 来年度、都税収入が大幅に減るといいますが、それでも、石原知事就任当時の二割増しの税収が見込まれています。また、都民のために使える基金のためこみだけでも一兆六千億円もあります。ムダ遣いをやめ、ためこんでいるお金を適切につかえば、都民のために使える財源はあるのです。
 とりわけオリンピック基金の積み立て分、一千億円を活用するだけで、七十五歳以上の医療費半額助成、のべ百万人の緊急雇用対策、都営住宅の一千戸建設、高校生への給付型奨学金、中小企業制度融資の大幅拡充、三〇人学級などが計画的にすすめられます。これこそ都民のための使い道と考えますが、どうですか。

IOCに提出された立候補ファイルも、ごまかしに満ちたもの

 先日、IOCに提出された立候補ファイルも、ごまかしに満ちたもので「コンパクト」とはあべこべに、浪費をいっそうすすめるものです。
 浪費のごまかしの第一は、必要な競技施設整備費をもりこんでいないことです。
 メインスタジアムや選手村は、都有地に計画されているといっても、臨海会計などから土地を購入すれば五千億円近い費用がかかるはずです。なぜ立候補ファイルに計上しないのですか。不要だというなら根拠を示してください。
 メインスタジアム周辺の液状化対策費や耐震護岸整備費、スタジアムから十万人を誘導する対策費なども、まともに検討していないではありませんか。こうした安全対策をおこなわずオリンピックをやろうというのですか。見解を伺います。
 これらを加えれば、競技施設だけで立候補ファイルの二千四百億円の四倍の、一兆一千億円になると試算されます。

外環道計画は、白紙に戻し、建設強行をやめよ

 浪費のごまかしのきわめつけは、オリンピックのためのインフラ整備計画です。わずか一年前の申請ファイル時点より、二〇一四億円も増大し、一兆二千億円以上に膨らみました。
 立候補ファイルでは、あらたな輸送インフラ整備に「該当なし」と記載されています。ところが、知事は「オリンピックまでに間に合わせて見せます」と言って一メートル一億円、大泉・東名間だけでも一兆六千億円もかかる外かん道路計画を、急ピッチで推し進めようとしています。とんでもないごまかしです。
 実際、石原知事は、今月、外かん道路の〇九年度事業着手を国土交通相に要請し、施政方針では、八〇回話し合ったというだけで、「機は熟している」として、国幹会議の開始、事業着手の決断を求め、建設が強行される危険が強まっています。
 しかも都は、まだ都市計画さえない東名高速道路より南の十九キロについてもすすめようとしており、これをふくめると、総額四兆円を超えてしまいます。
 今回の立候補ファイルはIOCに対する、重大なごまかし報告ではありませんか。こんなことは許されません。どうですか。
 外環道計画は、住民と地元自治体の声をもとに、白紙に戻し、建設強行をやめるべきです。それぞれ知事の答弁を求めます。

新銀行東京への税金投入に道を開く条例案

 先月、新銀行東京の二〇〇八年十二月期決算が公表されました。その内容は再建計画より改善されるどころか、中小企業への貸出はさらに減少、不良債権も三百五十四億円に増えているだけでなく、破たん債権を処理していないため、「破産更正債権とこれに準じる債権」が昨年三月期決算より六一億円も多い、一六三億円にもふくれあがっているのです。これをどう処理するかが、新銀行東京がかかえる最大の問題になっているのです。
 そしてこの破産更生債権の増大にあわせるかのように今定例会に突然、提出されたのが、「地域の金融機関と連携した融資」の条例です。
 条例案で「地域の金融機関」のトップに銀行をあげ、明白に新銀行東京も対象としています。しかも乱脈経営でうみだされた不良債権についても税金で救済できる規定となっています。
 すなわち、第三条で支援対象に「当該金融機関と一定期間取引を継続して」としているだけで、危険で不良なものであっても支援することが可能となります。第四条では、「融資が円滑におこなわれるようにする」という規定と、「損失の補助」がもりこまれることによって、乱脈融資への追い貸しだけでなく、乱脈経営で破たんした金融機関の経営そのものをも支援する仕組み、すなわち新銀行東京への税金投入が可能となります。
 実際知事は、記者会見で、この制度が新銀行東京への「公的資金の投入」となりうることを認めています。違うというのなら新銀行東京にいかなる形での税金投入もおこなわないと明言すべきです。知事、どうですか。
 知事は昨年の第一回定例会で「更なる追加出資」は認められないとした付帯決議を尊重すると表明したのではありませんか。この約束を破るのですか。第三の税金投入をおこなうことは断じて認められません。新銀行東京への税金投入に道をひらく条例案は撤回すべきです。知事の答弁を求めます。
 また、その他の金融機関についても乱脈経営で生みだされた不良債権まで税金で救済すべきではありません。見解を伺います。
 そのうえで、中小零細企業にとって必要であるというのであれば、信金・信組を通じたまともな中小零細企業支援となる条例案を提出し直すべきではありませんか。答弁を求めます。

調査報告書は真相解明にフタ

 新銀行東京が調査報告書を発表しましたが、その最大の問題は、乱脈融資と経営破たんの原因となった、東京都による過大な融資計画やコンピュータによる「三営業日以内」の融資判定などの押しつけについて、一言も触れず、最初から東京都の責任を除外して、旧経営陣に責任を押しつけることのみを課題としていることです。
 このことは、報告書が都の介入で一〇〇〇億円もの損失が出ることが明らかになった二〇〇六年八月以降に、旧経営陣が必要な手だてを取らなかったことだけを問題にして損害賠償を要求するとしていることに露骨にあらわれています。これでは新銀行東京の破たんの真相解明にフタをしようとするものといわれても当然です。知事、違いますか。
 金融庁が業務改善命令で「新銀行は過大な事業計画のもと中小企業の財務データから融資の可否をコンピューターに依存し、融資を拡大し、累積赤字を計上した」と明確に指摘したように、破たんの主な原因が過大なマスタープランをおしつけた東京都にあるは明白です。
 知事、金融庁の改善命令の指摘をどう受けとめているのですか。
 知事及び関係幹部職員の責任を明らかにし、損害賠償の責任を果たすべきだと思いますが、それぞれ知事の答弁を求めます。
 乱脈融資の告発については、第一次の調査報告書の際に遡上にあげられた案件の一部を問題にしているだけで、マスコミなどで報道された口利き融資リストなどを調査することを避けたことも破たんの真相にフタをするものです。
 わが党は、ただちに新銀行東京から撤退すること、今定例会の審議に当たって、旧経営陣及び新銀行東京の設立にかかわった大塚氏、津島氏の参考人招致をもとめ、徹底審議をつくすよう求めるものです。 

専門家会議の土壌調査は欠陥調査

 知事は、施政方針演説で、築地市場の移転予定地、豊洲の土壌汚染対策を検討した技術会議の報告について、「世界に誇る日本の先端技術を複合的に活用した土壌汚染対策」と高く評価するとともに、移転を強行する姿勢を重ねて明らかにしました。
 しかし、この技術会議の報告書に対しては、環境学会をはじめ科学者からさまざまな疑問と批判があげられており、額面通りに受けとることはできません。
 第一に、前提となる専門家会議の土壌調査が欠陥調査であり、対策もその調査を前提にしたもので、食の安全を守れる保証はないということです。
 まず、調査では十bメッシュでの検査は深度方向の調査はきわめて不十分であること、都が「水を通さない地層」だから安全としている「有楽町層」以下の地層について、調査をしないこと、検査が二か月という短期間で、しかも複数の業者をつかっておこなわれたことなどにきびしい批判が寄せられています。これらの指摘に真摯に答えることぬきに調査の科学性は裏付けられませんが、どうですか。
 さらに、専門家会議の調査報告が、高濃度の発がん性物質ベンゾ(a)ピレンの存在が盛りこまれていないことや、「有楽町層」に断絶があることを隠していたことが明らかになりました。この点だけでも、専門家会議の調査が信頼性に欠けるものであることは明らかではありませんか。答弁を求めます。
 くわえて対策は、汚染物質をすべてとり除くのではなく、汚染物質を封じ込めるという方法が採用されました。このため高濃度の汚染物質が検出された場所以外の土壌対策は旧地盤面二bまでですまされています。しかし、豊洲が液状化の危険の高い地域で、しかも汚染が揮発性のあるベンゼンなどであることを考えれば、こうした対策で安全が保証できないことは明らかです。
 また、「有楽町層」が水を通さない「不透水層」でなく、「水を通しにくい層」であることを認めたにもかかわらず、「有楽町層」以下の地層の対策はまったくほどこされないことも重大です。
 「有楽町層」以下の調査と対策なしに、豊洲の安全を宣言することはできないと考えますが、見解を伺います。

工費をきりつめ、食の安全は二の次の技術会議の対策

 第二に、今回の技術会議の対策は、安全は二の次にして、専門家会議の対策をさらに手抜きするなど、工費をいかに削減するかを前提に策定されたものであります。
 バイオ処理など「あらたな技術・工法」の採用ですが、現場での実証実験によって、安全が確認されたものではありません。工事費を大幅に縮減できたと宣伝していますが、専門家会議が必要としていた矢板工事の全周工事をやめることにしたことなどで可能になったのです。
 液状化対策も全面固化方式とされていたものを格子状の方法に変更しました。これでどうして安全が確保できるといえるのですか。答弁を求めます。
 知事、提案されている対策は工費をきりつめることが第一で、食の安全は二の次という恐るべき対策であり、到底、都民が受け入れることのできないものです。専門家会議報告や技術会議報告について、第三者委員会を設置し、都民参加で安全性の検証をおこなうことを求めるものです。
 また、環境学会や科学者会議などの専門家は専門家会議、技術会議の委員との公開討論会を求めています。これに応えることは最低限のつとめではありませんか。それぞれ、知事の答弁を求めます。
 最後に、市場の大型化・広域化のために豊洲移転にこだわることは中止し、築地での現在地再整備に立ちかえることを求め、再質問を留保し、質問を終わります。

以上