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第二回定例会 代表質問 二〇〇九年六月二日
河野百合恵(江戸川区選出)
補正予算案・・都民のくらし、福祉に直接かかわる予算は全体の一五%
大型開発中心の逆立ちをただし、都民の福祉・くらしをまもる緊急対策を
日本共産党都議団を代表して質問します。
深刻な景気悪化、雇用破壊、社会保障の改悪で都民が苦しんでいます。「住民の福祉とくらしを守る」べき都政の役割を、いまこそ発揮すべきときです。しかし提案された補正予算案は、商店街の街路灯整備などいくつかの前進はありますが、都民のくらし、福祉に直接かかわる予算は全体の一五%にすぎず、きわめて不十分です。しかも、その一方、オリンピック招致を看板にして外環道建設をはじめ、不要不急の公共事業には大盤振る舞いするという、大型開発中心の逆立ちしたものとなっています。私はこのような逆立ちをただし、都民の福祉・くらしをまもる緊急対策を最大限にすすめる立場から質問します。
東京都の歳出総額にしめる老人福祉費の割合は全国最下位
第一に、高齢者福祉です。
石原都政はこの十年間に、空前の福祉切りすてをすすめてきました。
ねたきり高齢者の福祉手当も、マル福も廃止されました。特別養護老人ホームの人件費補助も、整備に欠かせない用地費補助も廃止されました。
東京都の歳出総額にしめる老人福祉費の割合は、九九年度は全国二位だったのが、最近は全国四十七位、最下位に転落しています。
知事は、「困った人には生活保護制度がある」といって、福祉切りすてをすすめました。しかし、群馬県の無届け施設の火災で犠牲になった高齢者のうち六人は、生活保護をうけている都民でした。生活に困窮する東京の高齢者が入れる公的施設が少ないために、貧困ビジネスというべき劣悪な施設にたよらざるをえないのです。まさに政治の責任ではありませんか。
知事は三月の予算特別委員会で、「日本ほど高福祉・低負担の国はない」と答弁しました。生活保護をうけている東京の高齢者の約八百人が、都内、都外の劣悪な施設に頼らざるをえない現状のどこが「高福祉」ですか。発言を撤回すべきです。知事の答弁を求めます。
区長会は、石原知事に低所得の要介護高齢者のための施設整備促進にむけた財政支援などを求める緊急要望を提出しました。ただちに具体化する必要があると思いますが、どうですか。
東京都は特別養護老人ホームを三年間で五千人分ふやす計画ですが、用地費補助を廃止して本当にふやせると思っているのですか。しかも入所待機者は三万八千人をこえており、都の目標では間に合いません。用地費助成を再開するとともに、少なくとも三年間で一万人分を緊急整備することを求めるものですが、それぞれ見解を伺います。
七十五歳の年齢で高齢者を差別する後期高齢者医療制度にたいし、きびしい批判がわきおこっています。
年金収入の少ない高齢者にとって、医療費はとりわけ重い負担です。イギリス、フランスなど世界の主要な国では医療費無料が大きな流れです。子どもの医療費は、都独自に無料化を実施し拡大しているのです。せめて七十五歳以上の高齢者の医療費無料化にふみだすよう提案します。知事の答弁を求めます。
認可保育所・・・三年間で一万五千人分増を
第二に、子育て環境の整備です。
まず保育所の待機児解消です。日本共産党の調査で、ことし四月、認可保育所への入園を申し込んで入れなかった児童は一万数千人におよぶと見られます。「保育園に入れず働きたくても働けない」という事態の打開は急務です。
待機児をなくすために、一番要望が集中している認可保育所を三年間で一万五千人分は増やすことが必要だと考えますが、どうですか。そのためにも用地費補助や、公立保育園整備への補助が緊急に求められていますが、それぞれ答弁を求めます。
小児医療や周産期医療の危機が深刻なときに、石原知事と自民党、公明党が三つの小児病院廃止条例を強行したことに、都民の怒りがひろがっています。日本共産党は、存続のため全力をつくすものです。
都立墨東病院の医療体制の建て直しも切実な要求です。同病院の患者の四分の一は江戸川区民ですが、産科の医師はまだ三人も不足したままです。地域医療を支援すべき都立病院が、逆に地域医療機関から支援をうけないと立ちゆかない事態がつづいているのです。
一体いつまでに墨東病院の医師不足を打開するのですか。お答え下さい。
都立墨東病院と清瀬小児病院が、労働基準監督署から、医師の残業代などの問題について是正勧告をうけたことがわかりました。勧告の内容を明らかにするとともに、勧告にそい、ただちに是正すべきですが、どうですか。
江戸川区では、東京臨海病院が休日夜間の小児救急を休止しており、区南部の住民にとって深刻な問題になっています。都はこの事態をどう認識しているのですか。また、どう解決にとりくむのですか。答弁を求めます。
外環道建設・・・ゼネコンの自作自演
さて、今回の補正予算案ではじめて整備費が計上された外環道です。地上部道路もあわせれば一b一億円もかかる巨大道路で、東京都の負担は最大八〇〇〇億円にもなることが予想されます。東名以南をふくめれば東京での道路建設では過去最高額の三兆五〇〇〇億円となります。
外環道促進の旗振りをしてきたのは、ゼネコンや鉄鋼、セメントメーカーです。しかも、わが党の笠井亮衆議院議員の国会質問によって、大深度トンネル工法の実現性を検討してきた「先端建設技術センター」が、技術開発を選定する側の国交省の天下りOBと、選定されるゼネコン側によって構成されており、自作自演によるものであることが明らかになりました。知事、このことをどう考えますか。大体、こうした巨大道路はすべて大手ゼネコンに発注されるものです。外環道建設は、一部のゼネコンなどをうるおすだけではありませんか。
外環道の整備費は国直轄事業負担金とされています。これは、本来、地方自治体が負担する必要のないものであり、全国知事会はその廃止を求めています。知事はこの当たり前の立場を、なぜとらないのですか。それぞれ、知事自身の答弁を求めます。
中小建設業の仕事確保を
経済対策というのなら、このような巨大道路の建設計画は中止し、都民のふところをあたため、中小業者の営業に役立つ支援こそ優先すべきです。
まず中小建設業の仕事確保です。
都内には四万三千の建設業者があり、四五万人が建設業に従事しています。しかし、建設不況のもとで、「仕事が無く、従業員をコンビニで働かせている」などの声があふれ、雇用保険にも入れず、生活費に事欠く職人さんもすくなくありません。
私は、都民の住宅改善の支援や生活密着型公共事業の拡充を緊急におこなうことによって、都民の生活環境を改善し、あわせて中小建設業の仕事の確保を大幅に増やすことを提案するものです。日本共産党は生活密着型公共事業の雇用創出効果を試算しました。都営住宅三千戸、認可保育所百五十カ所、特養ホーム百カ所の建設、歩道や路面補修の予算を今年度の二・五倍にするなどによって、合計のべ二百四十八万人の建設労働者の仕事を確保することが可能なのです。
建設業を東京の重要な産業の柱に位置づけ、都内中小建設業支援のための緊急三ヵ年プロジェクト計画をたて、生活密着型公共事業を拡充すること、また、中小建設業の仕事となる木造個人住宅の耐震化工事への助成について、基準を緩和し、助成額も現在の二十一万円から五十万円に引きあげることを提案します。
「元気を出せ!ものづくり支援事業」を
製造業支援では、緊急に都内すべての業者の実態調査を実施すること、優れた技術と事業継続の意志をもちながらも、受注の確保が困難で経営が厳しい中小企業にたいして、新製品や新技術を開発するための一件五百万円から千万円程度の委託研究制度を創設し、経営の継続と技術の継承をはかれるようにすること、区市町村や業者の提案にもとづく「元気を出せ!ものづくり支援事業」を立ち上げることを提案します。
消費不況の直撃を受けている商店街対策として、国に対して消費税増税の中止と食料品非課税、免税点の三千万円への引き上げを求めるべきです。また、全都いっせい消費税ゼロデーの開催と支援、プレミアム付商品券への助成などを都として実施することを提案します。それぞれ答弁を求めます。
商店街の街路灯のLED化にとどまらず、個々の店舗でのLED導入、省エネ化への助成をおこなうなど総合的なエコ商店街事業を立ちあげること、また、街路灯の維持費の助成をおこなうことを求めます。お答え下さい。
中小零細企業の資金繰りは深刻です。都として、超低利、三年据置、返済一〇年の融資制度をつくるとともに、無利子や長期返済などの区市町村の融資のとりくみを支援することを求めます。
新銀行東京・・・4年連続百億円を超える赤字。ただちに破綻処理を
新銀行東京の決算が発表されました。東京都の全面的支援もかかわらず、融資のこげつきの増大による「破産更生債権及びこれらに準ずる債権」が昨年同期よりも五十六億円も増大し、営業収支は四年連続、百億円を超える赤字という極めて深刻なものです。
都は再建計画より改善されているといいますが、不良債権の処理を先送りして、延命させているだけではありませんか。
設立の目的である中小企業への融資は三割に過ぎず、新銀行東京を継続させる意義はまったくありません。知事、問題を先送りし、損失を拡大するのではなく、ただちに破たん処理にふみだすべきです。
再質問を留保し、質問を終わります。
以上