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第一回定例会 予算特別委員会 しめくくり総括質疑 二〇〇九年三月二四日
吉田信夫(杉並区選出)
生活保護受給者入所の老人ホーム・・・八畳間に男女三人、まるで「姥捨て山」
新銀行救済に道ひらく金融支援条例・・・特定の金融機関のみと協議
小児救急等に大穴があくもとで小児病院廃止条例強行は許されない
〇吉田委員 日本共産党都議団を代表して、締めくくり総括質疑を行います。
質問に先立ち、小児病院廃止問題について述べます。
我が党は、東京医大八王子医療センターの小児病床の増床を含む新病棟建設が法人理事会で見送りになったことを本委員会で明らかにしました。ところが、その後、厚生委員会では調査中というだけで何一つ事実を明らかにしないまま、小児病院廃止条例の、委員会での可決を強行いたしました。
先ほどの答弁で、都はようやく法人理事会で見送りになった事実を認めました。延期されただけだといって事態を軽く見せようとしていますが、我が党の調査では、医療収益の悪化と、新宿本院の耐震工事を優先することが見送りの理由であり、八王子の新病棟建設は自己資金が十分に確保できてから着手すべきだとされているのです。来年度の理事会で通る保障はどこにもありません。
八王子小児病院を廃止した場合、東京医大八王子医療センターの小児病床を増設する必要があるといいながら、既存病床のやりくりで六床相当分を生み出す努力をするというだけで、それさえこれから検討する、暗中模索で可能性を探るという話なんです。
東海大病院に十二床ふやしてもらうという話がにわかに出てきましたが、それもこれから検討するというにすぎません。
NICUについても、多摩地域のNICU不足を打開する具体的計画も見通しもないことがこれまでの質疑で明らかになっています。
小児救急や入院ベッドにも、NICUにも大穴があくというこんな状況のもとで小児病院廃止条例を強行することは絶対に許されません。
医療人材が確保できないから小児病院存続はできないといいますが、都立看護学校を四校も廃止して看護師養成数を半減させたり、都立病院への財政支援を削減し、医師、看護師の待遇改善を怠ってきた石原知事の責任こそ、厳しく問われなければなりません。
三つの小児病院の存続を前提にして小児総合医療センターは必要最小限の規模や機能からスタートし、医師確保を進めながら段階的に拡大すればよいのです。それこそが最も現実的な道であることを申し上げておきます。
低所得高齢者の都外施設百十一カ所に五百十五人が入所・・都議団調査
さて、群馬県渋川市の高齢者施設の火災で十人の高齢者が命を奪われるという痛ましい事件が起きました。この施設には墨田区民で生活保護を受けている高齢者十五人が入所しており、火災で七名の都民の方が亡くなられました。心からご冥福をお祈りいたします。
二度とこうした悲劇を起こさないためにも、改めて一人で暮らすことが困難になった低所得高齢者の入所施設の現状を直視することが今求められていると思います。
伺います。都内の自治体から生活保護費を受給している要介護高齢者のうち、他県の有料老人ホームなどで暮らす人は、都の調査では約五百人といいますが、現時点で実態をどう把握しているのでしょうか。
〇安藤福祉保健局長 お話のように、昨年の都の調査では約五百人ということでございますが、現時点について申し上げますと、先月来、届け出、未届けを問わず、被保護者の方々が利用している施設の実態などについて、福祉事務所を通じて調査を進めているところでありまして、その結果も踏まえて、再び群馬県で起きたような事故に都民の方が巻き込まれることのないよう、区市町村等に対する指導を一層徹底していきたいと思います。
〇吉田委員 我が党は、二十三区に絞って、生活保護を受けている高齢者で、都外の住宅型有料老人ホームなどの入所者について、緊急調査を行いました。二十一区から回答が寄せられ、都外施設百十一カ所に五百十五人の方が入所しておりました。江戸川区百九名、大田区五十六名、葛飾区五十名、渋谷区三十七名などなどの実態が明らかになっており、墨田区だけでなく、都外施設に依存せざるを得ない状況が改めて浮き彫りになりました。
劣悪で安全さえ確保されない実態がある
見過ごせないことは、こうした施設が劣悪で安全さえ確保されない実態があることです。渋川の施設では常勤の職員は事務員と調理員だけ。職員は寝たきりの人に対し、食事を置くだけ。三カ月に一度もふろに入っていないという驚くべき訴えが今回の事件を通じて明らかになりました。しかも、認知症の入所者に対しては外から施錠していたという驚くべき実態も明らかになりました。
こうした事態は渋川市の施設だけではありません。大田区から千葉県の施設に入った男性は、八畳の部屋に男女三人が入れられ、入浴介護のサービスも受けられず、外部とも連絡がとれず、まるでうば捨て山だったと訴えています。港区の紹介で埼玉県の施設に入った女性は、余りのひどさに施設から逃げ出してきたという事態も改めて今回明らかになっております。
都外施設の中にはこうした入所者に対する劣悪な処遇や安全も確保されていないという実態があります。知事は、こうした入所高齢者が非人間的な生活を強いられる状況をどう認識していますか。また、そうした都外施設に依存をするという事態をどのように知事としてお考えなんでしょうか、お答え願います。
〇安藤福祉保健局長 都内施設であると都外施設であるとを問わず、保護の実施機関であります福祉事務所が被保護者の生活状況等を十分把握した上で適切な援助を行うために利用しているものと認識しております。入居する施設の実態についても福祉事務所が十分に把握しておく必要があると、こう思います。
このため、都は、既に区市に対しまして、身寄りのない高齢者の方々に未届けの有料老人ホームの利用を勧めることは好ましくないことや、やむを得ず利用を勧める場合は必ず事前に現地確認すること、入所中の生活実態を把握することなどを指導しているところであります。
都内にも劣悪な施設が少なからずある
〇吉田委員 勧めることは好ましくない。当然のことです。しかし、現実に既に多数の方々がこうした施設に入所をしているわけですよね。その現実にどう対応するのかということが同時に今問われていると思うんです。見過ごせないことは、こうした劣悪な施設が都外だけの問題ではないということです。
伺いますけれども、無届けの有料老人ホームは二〇〇七年九月の調査で都内に八十カ所と報告がされました。その後、実態をどう把握し、対応しているんですか、お答えください。
〇安藤福祉保健局長 東京都では、都内の未届け有料老人ホームについて、一昨年に一斉調査を実施いたしました。とともに、その後も引き続き区市町村と連携しながらその実態の把握に努めたところでありまして、その上で老人福祉法に基づいた届け出を行うよう指導を行っているところであります。
〇吉田委員 現時点で何カ所無届け施設があるか把握していないんでしょうか。
我が党は、都内の無届け有料老人ホームなどを訪問して直接調査をする、さらにケアマネジャーなど関係者から聞き取りを行い、その実態について調査を進めてまいりました。その結果、都内でも行き場のない低所得高齢者を対象にした劣悪な施設が少なからずあることが浮き彫りになりました。
私自身、先日、世田谷区内にある施設を調査をいたしました。マンションの旧個人宅を使ったもので、九人の方が入っていました。例えば、一つの部屋を四つに仕切って、ベニヤでそれも天井までではなく途中までなんです。一人当たりの部屋がどれだけかというと、ベッドのあと残りは一畳あるかないかです。しかも、四人分に仕切っていますけれども、照明は、その部屋、一つ電灯があるだけです。廊下側の方は電灯がついていても暗くて本も読めないという驚くべき事態を直接見て、入っている方からも話を聞きました。その二畳程度の部屋、ベニヤとカーテンですよ、仕切っているのは。ところが、家賃は幾らだと思いますか。月額六万ですよ。食事を含めて合わせて月額十四万円です。
また、大田区のケアマネジャーから次のような話を聞きました。同じように四LDKのマンションをベニヤで仕切って十人程度が入所をしています。この施設では住宅提供もケアプランもヘルパー派遣も訪問看護もすべて同じグループによって行われております。しかも、ヘルパーは一回でまとめてサービスを何人にも提供することができる。ここの施設の場合、食費と家賃で月額十五万円です。それも、さらに介護事業も同じグループで行っておりますから、一人当たり総事業費でいえば確実に毎月四十万から四十五万の事業を関係グループで展開をすることができるという事態なんですね。もちろんこれは氷山の一角だと思います。
それで、改めて、今度は知事、本当にぜひ答えていただきたいんですけれども、こういう低所得要介護高齢者がいわば行き場がないことにつけ入って、しかも、もう文句もいえないわけですよ。そういう高齢者を食い物にするような、今、貧困ビジネスという言葉がいわれていますけれども、そういうことが高齢者の分野で横行しているということについて、知事、どうお考えですか。ぜひ知事、お答えください。(石原知事「通告していない、通告」と呼ぶ)通告はしていますよ。
〇服部委員長 していない。(吉田委員「していますよ、知事」と呼ぶ)していません。(吉田委員「していますよ。知事、答えてくださいよ」と呼び、その他発言する者あり)
〇安藤福祉保健局長 今、るるお話をいただきましたけれども、先ほど答弁申し上げましたが、一昨年、私どもが一斉調査を実施いたしましたのも、今委員ご指摘のような事情を踏まえた上で、例えば虐待であるとか、あるいは同じ場所に住まわせたまま外づけの介護サービスを提供するというのが通常なんでしょうけれども、それを一体として行っている等の問題があったものですから、一昨年、一斉調査を実施いたしました。
ご指摘のような事情について私どもが把握したときには、必ず厳正に現地に立ち入り、処分をしているところであり、つい最近も同様な事例があったところについては、介護保険法上の処分をしたところであります。
こういう状況にありますが、今回、群馬県の未届け有料老人ホームにおける火災事故がございました。改めて都内の未届け施設に対して、防火等も含めて安全管理体制の調査を緊急に実施をしたいと思います。その結果を踏まえて、施設の安全管理体制の確保等についても早急に検討していきたいと思います。
〇吉田委員 もちろん個々の問題について適正な対応をすることは必要なんですよ。しかし、今、この間の国の責任も重大ですけれども、全体としてこういう状況になっているわけですよね。そこを改めて、私は今問われていると思うんです。
私は知事に聞きたかったんですよ。スプリンクラーなどの防災設備もない、未届けの施設が放置されて、満足な食事も提供されていない。一日三食で二百円程度ということも、既に一つのケースとしては明らかになっています。そうしたことを知事は知っているんですか。生活に困る高齢者が急増しているのに、低所得者が入る公的な施設が足らないんですよ。そこにつけ入るわけです、こういう貧困ビジネスが。
特養ホームの整備計画を二倍、三倍に引上げるなど、緊急に取り組むべき
高齢者は豊かになったといって、福祉や社会保障の切り下げ、そして負担がふえる。その一方、施設などの公的責任を後退させて民間に任せる。こういうやり方が、今所得の低い人が行き場がない状態をつくっているんじゃないですか。そこを私は改めてぜひ考えていただきたいんですよ。
知事は「十年後の東京」で、世界に先駆けて超高齢社会の都市モデルを創造するということを高らかに宣伝し、事あるごとにそうしたことをいってまいりました。そうであるならば、こうした貧困ビジネスがはびこるような事態をどう是正するのか。先ほどの答弁で、老いてもなお充実した人生を送れるようにしたいといわれたじゃないですか。こういう人たちを知事として放置するんですか。その基本的な知事としてのお考え、ぜひお答えください。
〇石原知事 高齢化社会というものが生み出すいろんな問題が、いろんな形であちこちにあると思います。しかし、これは単に行政の責任といいましょうか、その背景にもっと大きな素因があると思います。例えば家族制度の崩壊、これは一体何によってこういうふうな状態を来したかということを考え直す必要がありますし、それから、日本のような高福祉低負担の国ってありませんな。もう財政問題は限界まで来ています。こういった問題を私は基本的に考えて、社会全体の体質というものを変えていく必要があると思います。それがなければ、私はこの問題というのはなかなか本質的に解決に向かわないと思います。
〇安藤福祉保健局長 今般の群馬県の火災事故は大変不幸なことでありましたが、そのことと今先生がおっしゃっていることについて、いささか飛躍があるかなと思っています。といいますのは、今回の事件は、今回の件についていえば、生活保護の方々を群馬のところにご紹介いたしましたが、その施設自身についての、ここがきっちりと管理ができていないという問題があります。これについては、やはり福祉事務所等が現地を見、しかるべく安全性を確認した上でやるべきことであるということだと思います。
同時に、介護保険のことを申し上げれば、介護保険の場合には、都外に行くということは否定をしておりませんし、制度自体でいいますと他県利用も想定した制度になっております。しかし、私どもは他県に頼り切るということではなくて、各区市町村の定めた見込み量に基づいた施設整備を同時にやっているところでありまして(「足りない」と呼ぶ者あり)そうした見込み量について足りないという声が飛びましたけれども、計画はおおむね達成できる見込みでありますし、第四期の計画の中でも、見込み量に基づいてしっかり整備をしていきたいということでございます。
介護施設の整備こそ、最優先で財政投入を
〇吉田委員 知事は家族制度のあり方の問題までいわれましたけれども、現実に今、東京でも独居高齢者が、全国の中でも際立ってふえていることは現実なんですよ。それを家族制度に問題があるというだけでは解決できないわけですよね。そういう独居高齢者がふえる。しかも低所得者の方々がふえる。ところが、施設が足らない。入ろうとしても一定の収入がないから入れない。こういう事態がつくられてきているわけですよ。そこを改めて、個々の問題だけ解消しないで、今向けない限り、私は、本当にこうした悲惨な事態を解決することはできないと思うんです。
とりわけ特養ホームなどの整備を見ても、引き続き東京は全国から見ても極めて低い水準ですよ。ですから、例えば特養ホーム一つをとってみても、整備計画を二倍、三倍に引き上げる、そして整備のための支援をする、そして用地費助成を打ち切ろうとしていますけれども、これは継続をするということは、まず今緊急に取り組むべきじゃないですか。いかがですか。
〇安藤福祉保健局長 都では、既に今年度から、都内での特別養護老人ホームの整備促進と地域偏在を解消するために、高齢者人口に対して整備状況が十分でない地域への補助額を最大一・五倍とする促進係数を創設し、着実な整備に努めております。
なお、お話の特別養護老人ホームの用地取得費助成事業についてでありますが、これは約半数の区市町村で特別養護老人ホームが未整備であった昭和六十年度に開始したものであります。当時は、施設用地の自己所有が原則であり、また、用地取得費の資金調達が困難であったことなど、用地確保が大きな課題でありました。その後、国の規制緩和により民有地の貸し付けによる整備が明確に位置づけられ、現在は定期借地権制度を活用することによって、土地を取得することなく長期的に安定した用地確保が可能となっております。また、用地取得に対する融資制度の充実が図られるなど、状況は大きく変化しております。こうしたことから、用地取得費助成事業は今年度の着工をもって終了することとしておりまして、復活することは考えておりません。
〇吉田委員 そういう姿勢で、全国最低クラスの特養が整備が進むのかということなんですよ。もう状況が変わったというようなことで、用地費補助を打ち切ることを当然視するいい方をしていますが、例えば、来年度予算に向けての特別区長会要望、その中にはっきりと、用地費及び施設整備費についてさらに拡充してほしいと、あえて用地費助成について言及しているじゃないですか。区は、現場はニーズを持っているんですよ。それにこたえるべきなんですよね。
さらに、収入の少ない高齢者でも特養に入所できるという点では、負担が高くなるユニット型だけではなく、もちろんこれが基本でしょうけれども、やはり多床室なども整備補助の対象にするということが、同様に区市町村から要望されています。この点はいかがでしょうか。
〇安藤福祉保健局長 最初に、特別区や市町村から大変多くの予算要望をいただいておりますが、用地費助成については、先ほど答弁したとおりであります。
それで、ご質問のユニット型の件ですけれども、都では、利用者本位のケアを実現するため、ユニット型での整備を基本として補助を行っております。しかし、既存施設をユニット型に改築する場合に、物理的に対応が困難な場合もございます。こういうことがありますので、前に既に明らかにしたところでありますけれども、来年度から、区市町村などの意見を踏まえ、既存建物の増改築については、一定の条件のもと、ユニット型ではない施設についても補助の対象とすることを検討してまいりたいと思っています。
〇吉田委員 私は改めて、所得の少ない方々、さらに一定所得があったとしても今は待たなきゃならない現実があるわけですけれども、知事は、下水の垂れ流し問題の記者会見のときに、たしか兆単位のお金を使ってでもこの問題に対応すべきだという旨のご発言をされましたけれども、私は、特養ホームを初め介護施設の整備こそ、最優先で財政投入をして促進を図るべきだということを強く述べまして、次の質問に移ります。
金融支援条例の作成過程・・面談した金融機関を明らかにせよ
次に、金融支援条例についてです。
条例案について、予算特別委員会の総括質疑、経済港湾委員会でも質疑をしてきましたが、疑問が晴れるどころか、不透明さが増すばかりです。
まず、条例の検討過程についてです。我が党は、条例の意思決定にかかわるさまざまな会議録、資料、その出席者などの文書について開示請求を行いました。その結果、開示をされた文書は八文書出ました。しかし、五文書は一切出ませんでした。しかも、出た中で、ごらんになってくださればわかるとおり(資料を示す)もう本当に黒塗り、黒塗りなんですよ。例えば金融機関と五回にわたって面談、意見交換をしていますけれども、ここで書かれているのは日時と都側の出席者だけなんですよ。あとは一切真っ黒に塗りつぶされております。
このほか、金融機関との意見交換資料が五文書ありますけれども、これはそもそも全く開示がされませんでした。私は、条例の検討に当たって、こういう検討過程まで全く塗りつぶして隠してしまうということは、まかり通らない話だと思うんですね。
具体的に伺いますけれども、ここに非開示の理由があります。(パネルを示す)例えば、皆さんにもお配りしましたけれども、個人に関する情報が含まれ、個人の権利利益を侵害するおそれがあるというふうにしています。それだったら、個人情報だけを伏せればいいじゃありませんか。それで開示すべきではありませんか。どうですか。
〇佐藤産業労働局長 公開文書に関するご質問でありますけれども、今回の条例を提案させていただきました支援策につきましては、金融機関等からは、制度融資を通じた信頼関係に基づいて多くの貴重なご意見をいただいているわけであります。
ご承知のように、本制度は、その大枠を条例で定めまして、基本的な考え方を明らかにした上で、具体的な制度設計は金融機関等との協議を通じて決定することと、こういうふうにしているわけであります。その過程における金融機関等とのやりとり、これは請求されました文書が当たるわけでありますけれども、これは意思形成の検討協議の段階の未確定の情報であります。公開することによりまして、自由かつ率直な意見の交換が妨げられたり、また、未成熟な情報が確定した情報と誤解され、都民の間に混乱を生じさせるおそれがあるということが想定をされます。また、金融機関との信頼関係を損なって、今後の検討協議に支障を来す、そういうおそれもあるわけであります。こうしたことから、情報公開条例に基づきまして、具体的な意見交換の内容について非開示としているものであります。
なお、金融機関との協議は制度融資に関しても行っておりますけれども、都と金融機関では利害が異なる協議項目も当然存在するわけでありますね。そうした項目についても十分な協議の上で合意を得ておりますけれども、その協議過程を公開することは、制度融資の安定的な運営を困難にするおそれがあり、行っていない、そういうところもございます。本支援策も全くそういう意味では同様であるわけであります。
面談の相手の個人情報が、もし個人情報ということで非開示とするならば、そのほかを出せばというご質問でありますけれども、当然今申し上げましたような基本的なスタンスの中で、意見交換をした内容でありますとか、それから面談相手の名称でありますとか、資料そのものでありますとか、それらについては、説明しましたような事情から非開示とさせていただいたところでございます。
〇吉田委員 私は今の説明は通らないと思うんですよね。もう既に条例案と確定しているわけですよ。検討過程だったら誤解を招くといういい方は成り立つかもしれませんけれども、意見交換の結果、既に条例案として確定しているんですよ。それを誤認したり混乱を招くなどということはあり得ないじゃないですか。
また、この条例の作成検討過程の中で、どのような金融機関からどのような要望が出たのかということを明らかにすることが、法人の地位を損ねるとか、信頼関係を損なうとか、そんなことはあり得ないじゃないですか。少なくとも百歩譲って、意見交換をどの金融機関、あるいは協会と行ったのかということは明らかにすべきではありませんか。なぜそれができないんですか。
〇佐藤産業労働局長 基本的な考え方につきましては全く先ほど申し述べましたとおりであります。しかも、どの金融機関と意見交換をしたか、これにつきましては、金融機関、ご案内のとおり、制度融資でいえば都内で八十の機関があるわけですね。今回の条例で対象となる機関は、これから金融機関等との調整の中で決まっていくわけでありますけれども、そういう対象となる金融機関の一体どこと協議をしたということ自体が、東京都と各金融機関との信頼関係を崩すというようなことも大いに想定をされるわけでありまして、そういうふうな具体的な内容については口外すべきではないというふうに考えております。
〇吉田委員 ということは、特定の金融機関の話を聞いたということが明らかになると、他の金融機関との関係で東京都の立場がまずくなるということですか。そういうことでしょう。結局、よっぽど知られたくない金融機関、率直に伺いますけれども、新銀行東京とは意見交換をしたんですか。違うというならはっきりいってください。五回の意見交換、面談を行った金融機関名、改めて明らかにしてください。
〇佐藤産業労働局長 基本的には、金融機関に対しての協議の状況については、具体的な今の段階でのお話はできません。都は長年、制度融資の運営を通じて、信金、信組等地域の金融機関とはそういう意味で深い信頼関係を築いて、今まで金融行政を執行してきたわけでありまして、そういう意味では、常日ごろから意見交換を行っているわけであります。当然今回の支援策を企画立案するに当たりましても、そうした信金、信組を中心に、これまでも意見を伺っているところであります。
申し上げましたとおり、個別の金融機関の名前については、相手方との信頼関係、これを損なって、今後の検討協議に支障を来すおそれがあるために、申し上げることはできません。
これまで支援策につきましては、今議会を通じて、多くの質疑を通じて、明確に考え方を明らかにしたにもかかわらず、今のご質問にあるように、いまだに執拗に条例案を曲解して新銀行への云々ということを論じ続けること自体、理解に苦しみます。
〇吉田委員 答えられないからといって、ねじ曲げて発言をしないでくださいよ。
それでしたら具体的にお伺いいたします。城北信用金庫とは意見交換をしたんですか。
〇佐藤産業労働局長 先ほど申し上げたとおりでございます。
特定金融機関には基本スキームを示し、議会には示さず
〇吉田委員 私たちは調べました。ことし一月七日と二月二十日、城北信用金庫と意見交換をしましたね。この分は両方とも非開示になっていますけれども、しかも、この意見交換の場で、東京都は基本スキームを示していますね。ここでは保証会社をどうするかということも話し合われていますよね。私たちにはこの過程の基本スキームを示していません。しかし、個別の金融機関には、この基本スキームを示したわけですよね。なぜ個別の金融機関には示しながら、ここには示せないんですか。ここで明らかにした基本スキーム、示すべきではありませんか。
〇佐藤産業労働局長 我々は、この条例案、これはもうたびたびお答えしているので、改めていうのもちょっとあれなんですが、具体的な制度設計をするに当たりましては、当然その対象となる地域の金融機関と調整協議をした上で、実現可能性のある、また効果的な制度を構築していくということが必要なわけでありまして、そのために回を重ねて地域の金融機関との協議調整をしているわけであります。具体的な金融機関名につきましては、先ほど基本的な姿勢で申し上げましたとおり、明らかにすることはできません。
なお、その意思形成過程にあるさまざまな情報につきましても、冒頭でお答えしましたとおり、そのことが公開されることによりまして、情報が確定した情報と誤解されて誤解を生むということが大いに考えられますので、そういうことについても開示の対象としないということであります。
また、具体的なところにお聞きになったという話でありますけれども、我々は制度設計に当たりまして、非常に金融機関の内情にまで踏み込んだいろんな相談をしております。恐らく委員がお尋ねになったところでは、表面的なお話はあったかもしれませんけれども、我々が具体的に協議をしているようなつぶさなものについては、営業、事業運営上の問題もありますし、当然のごとく非開示となるものと思っております。
〇吉田委員 今、条例も含めて政策形成過程の透明化、公開というのは時代の流れではありませんか。これだけ極めて重要な条例を提案しておきながら、どういうところからどういう要望を受けて、そういう要望があるからこの制度が必要なんだというふうに説明できなきゃだめじゃないですか。しかも、個別の金融機関には基本スキームを示しておきながら、議会にはそのスキームを示すことができないということは、これは議会軽視ですよ。
信金、信組の協会、地銀協会などとは面談していない
しかも、十一日の本委員会で、曽根委員は、新銀行が行った信金の保証について、結果的に二千万円を、代位弁済を行ったということを紹介しましたが、実はその保証を行った金融機関は、この当該金庫なんですよ。このときに曽根委員は、金融支援条例が、新銀行が抱える不良債権の三分の一近くを占める保証の焦げつきを解消する手段に使われかねないではないかという指摘をいたしましたけれども、まさに今回の情報開示請求に対して、城北信用金庫との基本スキームを示していきながら、それを隠すということは、我々の懸念、指摘が当たっているといわざるを得ないと思うんです。
そもそもですよ、条例の制度設計などの意見を聞くならば、当然のこととして、協会、団体ですね。信組、信金の協会、地銀の協会、こういうところと面談をして意見を聞くのが当然だと思うんですが、こういう協会、団体とは面談、意見交換を行ったんですか。
〇佐藤産業労働局長 形成過程にある協議対象者については、先ほどから申し上げているとおり、開示することはいたしません。
なお、ご質問の前段でありましたけれども、個別の金融機関と金融機関同士の取引の内容についてこういう場で公にされるというのはいかがなものかというふうに思います。
それから、さきに曽根委員が示されたパネルの中の話でありまして、金融機関に対する結果としての損失補助になるだろうというようなお話でありましたけれども、その際、パネルで示された中身がございましたけれども、この前提は極めて−−私なりの解釈でさせていただければ、ああいうことが起こるというのは、非常に悪意を持った中小企業者がいたとして、これにまた非常に悪意を持った信用金庫の担当者がいたとして、この両者が相通じて東京都をだます意図を持って、既応の債務を返済するためにこの制度を活用しようとした場合、それにさらに仮定が一つつくんですけれども、当該信用金庫の審査部においてもこの担当者の悪意を見抜けなかった場合に、曽根委員がご指摘されたようなケースが可能性としてあると。
私がさきの答弁で、ないことはないと申し上げたのは、そういう意味で申し上げたのでありますけれども、先ほど委員からも先般の曽根委員の発言についてのご意見、ご質問がありましたので、追加的に答えさせていただきました。
条例の制定過程を公開するのが自治体行政のあり方
〇吉田委員 今局長も改めて前回の答弁を再度確認しましたけれども、曽根委員が具体的に指摘をした一つの可能性としてのフレームについて、それはないことはないのかもしれませんということで、あり得るという答弁をしたわけですよね。そういうことがあるから、我々は改めてただしているわけです。
しかも、個別の金融機関とは面談、協議を行う。しかし、私たちの調査では、信金、信組の協会、地銀協会など業界団体とは面談、懇談をしていないんじゃないですか。私たちは、産業労働局、都が示した条例案について、私たち自身検討するために、各団体に聞き取り調査を行いました。私自身、例えば三月三日、信組の協会に行って専務理事と面談いたしましたが、そのときに伺ったら、特に都からの条例案についての案内はない、こちらからどうなっているのか問い合わせをしましたという説明でした。
地銀協会は、三月一日ですけれども、特に話は聞いていない。さらに東京銀行協会は、内容を把握していないので、条例などを送ってほしいというお話でした。これは三月二日です。さらに、信用金庫協会にも問い合わせを行いました。そうしたら、制度融資の関係で日常的に都とは連絡はあるが、これまで正式な相談をいただいていないという回答でありました。
このように、本来、都議会に提案するからには、何よりも協会、団体の意見を聞いて、したがってこういう制度にしましたというのが当然ではないでしょうか。そういうことをしないで、恣意的に個別の金融機関、しかしそれも、いまだに明らかにしようとしておりませんけれども、我々が指摘したもの以外。こういうやり方自身が極めて不透明だと。
こういうことで私たちにぜひ認めてほしいといっても、それはもう認めることはできないと思うんです。しかも、ここに開示、非開示通知文書がありますが、知事、これ、知事名で出ているんですよ、知事名で。
先ほども述べましたけれども、今、政策、そして条例などの制定過程を公開する、案を出して広くパブリックコメントをもらって、それに基づいてさらに必要な見直しを進めていくというのが今日の自治体行政のあり方ではありませんか。
そもそも、最近の安全・安心条例、これ、中身は極めて重大な問題がありますけれども、こういうやり方をこれでもとっているわけですよ。知事、こういう極めて重大な条例案がどういう団体からどういう要望を受けてこういうことになったのか、それについても全く黒塗りで説明できないということについて、どう思っていますか、知事として。
〇佐藤産業労働局長 そもそも、もう何度もお答えしておりますけれども、この条例は、今回の支援策の大枠をまず決める条例であります。ここには、基本的な考え方、やるべき内容、これらについては基本的事項を全部盛り込んであります。その盛り込んである考え方についても、るるこの質疑を通してご説明をしてあります。
その前段として、我々がどういう政策意思を持ってこれを提案しているかというのは、よくおわかりになっていらっしゃらないかもしれませんけれども(発言する者あり)現下の厳しい経済環境を踏まえると、資金繰りに苦しむ……
〇服部委員長 今発言中です。お静かに願います。
〇佐藤産業労働局長 中小零細企業への金融支援は待ったなしの状態であるというのが我々の認識であります。
ちなみにいえば、都内の倒産件数というのは昨年で二千九百件あるわけですね。それは前年度の一五%もふえているわけです。しかも、秋口以降、その倒産件数もまたふえております。ことしの一月、二月には、前年比でもって二〇%近いまた倒産件数ふえているんですね。毎月、その倒産した企業に勤めておられる従業員の方というのは四千人から五千人の方がいらっしゃるんです。そういうような緊急事態の中で(発言する者あり)従来の制度融資でもなかなか……
〇服部委員長 答弁中は静かにしてください。
〇佐藤産業労働局長 回り切らない、そういう資金調達をいかに円滑にやるか、これはもう待ったなしの状態でやらざるを得ない、こういうのがまず政策判断にあるわけですね。基本的な中身を条例でもって提示しました。それに基づく具体的な詳細については、今、関係の地域金融機関等々とも相談をしながら、いかに効果的な制度がつくれるかどうかを今検討している最中であります。
そういう中で、それが決まり次第、規則をもって明らかにさせていただきますし、具体的にはなるべく早く実施して−−なるべく早く実施したいけれども、夏ぐらいまではどうしてもかかるだろうと。これも昨年の十一月から現下の状況を見た中で、どうしても必要だというところで予算の追加もお願いしたし、条例についての提案依頼もしたわけであります。
そういう中で、引き続き今も検討途上にあるわけで、検討途上にある情報を出すことが今回の制度をつくる上では非常に混乱を招くので、そういう意味で開示をしていないというのが我々の今の対応の仕方であります。
以上