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二〇一一年都議会第三回定例会 代表質問 九月二八日
大山とも子(新宿区選出)
一、放射能から子どもを守る対策について
二、被災者・避難者への支援
三、エネルギー対策の転換について
四、防災対策の強化について
五、都政の重要課題とオリンピック招致について
六、国民健康保険について
七、築地市場移転について
【答弁】
〇知事
〇教育長
〇東京都技監
〇環境局長
〇福祉保健局長
〇総務局長
〇都市整備局長
〇産業労働局長
〇水道局長
〇下水道局長
〇財務局長
〇スポーツ振興局長
〇中央卸売市場長
【再質問】
〇総務局長
〇中央卸売市場長
〇スポーツ振興局長
日本共産党都議団を代表して質問します。
東日本大震災から半年がたちました。いま都政に求められていることは、被災者・被災地支援とともに、放射能被害から都民の命と健康を守り、安全・安心の防災・福祉の東京をつくるために全力をつくすことです。
まず、放射能の問題です。福島第一原発から放出された放射性物質は、ウラン換算で広島型原爆二十個分という膨大な量です。この問題で重要なことは、低い放射線量でも呼吸や食べ物を通じて体内に入ると、内部被ばくによる晩発性障害をひきおこす危険があることを直視することです。そして、放射線の影響をうけやすい子どもや妊婦の命と健康を守り抜く立場に、東京都がしっかり立つことだと思いますが、知事、いかがですか。
第一に、空間放射線への対策を強化することです。
原子力災害対策本部の「除染に関する緊急実施基本方針」によれば、年間被ばく線量がおおむね1ミリシーベルト以下の地域についても、側溝や雨樋など局所的に高線量を示す箇所の除染に必要な支援を行うとしています。都はこの方針を受け、どう対応するのですか。
日本共産党都議団は専門家と協力して、都内の空間放射線量測定を行ってきました。その結果、保育園などの側溝、遊具下、雨水がたまりやすい場所など、明確に「ミニホットスポット」というべき箇所が確認できました。ある保育園の外階段を降りたところでは、子どもたちが触れやすい地表面で毎時1・35マイクロシーベルト、他の園でも1・08マイクロシーベルトなど、年間換算すると1ミリシーベルトをかなり上回る「ミニホットスポット」が多数あったのです。この事実をどう受け止めますか。
都立学校、都立公園はもちろん、区市町村と協力して、保育園、幼稚園、小中学校などのきめ細かい調査・測定をただちに実施し、必要な除染を行うべきです。見解を伺います。
第二に、食品による内部被ばくを最小限にすることです。
食品に関する日本の暫定基準値への不安もひろがっています。測定数も少なすぎます。お米も十五ヘクタールで一カ所の調査にすぎません。予備調査では500ベクレルの放射線量が検出されたのですから、都民の不安がつのるのは当然です。都は、食品の放射能汚染対策の現状を、どう認識していますか。
大消費地東京にふさわしく、流通する食品について最大限の放射能測定をする体制を都として構築すべきです。
学校給食の食材の放射能測定のため、都として測定機器を購入することをふくめ、区市町村の取り組みへの支援を求めますが、いかがですか。
東日本大震災により都内に避難している被災者は八千人を超え、そのうち八割以上が原発事故による放射能災害からの避難者です。子どもへの影響を避けるなどのため自主的に避難してきた方々もいます。
避難生活が長期化し、将来の展望も見えず、多くの方が心身ともに疲れ果てています。都営住宅等に入居したものの、個人情報の壁もあり、同じ住宅でも、どこにだれが住んでいるのかわからない場合も少なくありません。ドアを閉めれば、簡単に孤立してしまいます。夜、ひとりでいると涙が出てとまらなくなるという若いお母さんもいます。ひきこもりや認知症になる高齢者もいます。避難している方々が、安心して、健康で文化的な生活ができるようにすることが必要です。都として、区市町村と協力し、必要な情報を提供するとともに、避難している方々のコミュニティーづくり、孤立させない対策を進めることを求めますが、いかがですか。
避難された方々は、都営住宅等の入居期限を来年七月末と区切られていますが、帰れる見通しもなく不安に思っています。少なくとも、災害救助法による仮設住宅設置期間である二年間は提供することはもちろん、その後についても転居をせまるようなことはしないと明確に伝えるべきです。
避難生活の長期化で、経済的な苦しさも深刻です。なかでも医療費は大きな負担です。都と区市町村が協力し、乳幼児や小中学生の医療費は償還払いでなく、窓口負担をしなくてすむようにすべきです。
福島原発事故は、原子力発電所で炉心溶融などの大事故が起これば、時間的にも空間的にも放射能汚染の被害を食い止められない事態になることを、改めて知らしめました。いま、再生可能エネルギーへの転換を求める声が広がっています。都内では先日、「さよなら原発」集会が6万人の参加で開かれました。
しかし石原知事は、脱原発の動きを批判し、所信表明でも「あらゆるエネルギーの組み合わせを追及」すると述べるなど、あくまでも原発を存続する立場です。
原発による発電の過程で生み出される「死の灰」を閉じ込めることや、「核のゴミ」を安全に処理する技術を、人類はもっていません。前定例会で、この事実に対する認識を質したのに対し、知事は根拠も示さず否定しました。知事、根拠を示してください。
知事は原発から撤退したら、エネルギー不足で日本は国際競争から脱落するかのような発言もしていますが、これも事実と異なります。今年の夏は原発が八割停止しましたが、企業も家庭も節電を実施し、夏のピーク時の需要は政府予測を二千三百万キロワット下回りました。来年全原発が停止して、供給力がさらに一千万キロワット低下したとしても、省エネ機器に切り替えることなどによって、無理な節電をしなくても乗り越えられることを示しています。知事、どうですか。
いま都がやるべきことは、地産地消で地域経済の活性化にもつながる、再生可能エネルギーの開発・普及の取り組みを加速化することです。
都は一度廃止した太陽光発電への助成を、今回の事態をうけて六月から復活しましたが、実績は三カ月で二千件にとどまっています。初期投資の負担の重さに見合った助成になっていないからです。
長野県飯田市や群馬県太田市では、市民基金の活用や、設備のリース方式による初期投資をゼロにする取り組みで成果を上げています。都としても初期投資の負担をおさえることで、太陽光発電の大量普及をはかることを求めます。
また、都立の文化・スポーツ施設、都立学校への設置を促進するとともに、保育園や福祉施設への設置支援を行うこと、幼稚園、小中学校への設置支援を拡充することも必要です。
地中熱を利用した冷暖房空調システムの普及も重要ですが、見解を伺います。
都内の中小企業の中には、太陽の動きにあわせて発電できる装置を開発したり、水の流れさえあれば発電できる小水力発電を実用化するなど、高い技術があります。再生可能エネルギーを安定的に供給するためには、蓄電システムが重要であり、企業による開発も進んでいます。問題は市場化に苦労していることです。都は、再生可能エネルギーを新しい産業振興の柱として位置づけて、企業のさらなる技術開発や市場化への強力な後押しをすべきと思いますが、いかがですか。
次に防災対策です。東日本大震災の教訓から何を学び、都の防災対策をどう見直すのかが問われています。
都は「防災対応指針」の策定にむけた「東日本大震災における東京都の対応と教訓」を発表しましたが、見過ごせない問題があります。それは、知事の所信表明に端的に示されています。すなわち、「行政による公助の限界」と「自らの身を守り近隣で助けあう」という、自助・共助がことさら強調されていることです。地域や住民の自主的な努力は重要なことです。しかし私は、行政の責任者たる者は、それを言う前に、地震や津波が起こっても被害を最小限におさえるための予防対策をおしすすめるのだという確固とした立場をこそ明らかにすべきだと思います。今回の大震災では、地形や地質、危険要因にみあった予防対策が、大きな力を発揮しました。岩手県普代村では防潮堤と水門が命を守り、仙台市などの宅地造成地では地滑り対策の本格的実施が被害を軽減したのです。つまり、都が防災対策に生かすべき最大の教訓は、行政が主体となった予防対策こそがカナメだということではありませんか。知事の認識を伺います。
私はこの立場から、ただちに対策を強化すべき課題について提案します。
その第一は、住宅の耐震化を促進することです。石原知事のもとで、東京都の防災対策は、いまなお「首都機能」の確保が第一義的に強調され、幹線道路の維持が最重要視されています。しかし、自治体として最優先に取り組むべきは都民の生命、財産を災害から守ることです。そのために行政と住民が力をあわせて住宅の耐震化、木造住宅密集地域の安全化を促進することは急務です。
木造住宅密集地域のうち、整備地域の七千ヘクタールで耐震化されてない木造住宅は、約十三万棟と推計されています。知事は所信表明で「木造密集地域を徹底して耐震化・不燃化する」「木密地域不燃化十年プロジェクトを新たに立ち上げる」と強調しましたが、それはどのような中身ですか。この十三万棟はどのように耐震化するのですか。
新聞報道のように、住民の追い出しを促進するのですか。そうだとすれば、とうてい住民は納得しません。住み続けられること、住民合意こそ原則にすべきです。
行うべきは、整備地域内の住宅建替えに対する助成制度の対象と助成額の引き上げ、コミュニティー住宅、共同建て替えなどへの支援を拡充することですが、いかがですか。
昨年度の木造住宅耐震改修助成の執行件数は、目標の三分の一の九十九件、執行額は約二千万円にとどまっています。静岡県などのように、助成の対象をすべての木造住宅にひろげるべきです。少なくとも、ただちに一万六千ヘクタールにおよぶ木造住宅密集地域の木造住宅すべてを対象とし、助成額も大幅に引き上げることを求めます。
第二は、液状化を起こしやすい区部東部地域や、地滑りなどが懸念される多摩丘陵部の造成宅地など、住宅の土台である地盤対策への支援です。
住民や住宅の建て主に、敷地の地盤や過去の埋め立て、施工、災害の履歴などの情報を提供することが必要です。都は地質調査で得られた地質柱状図を公表はしていますが、空白の地域も多く、表層土の地質も明らかにされていません。都としてさらなる調査を行うなど、より精度の高い情報提供ができるようにすることが必要です。
地盤工学会は、戸建て住宅の販売会社が、購入しようとする人に対し、専門的技術者による地盤の品質説明を行うことを義務づける制度を提言しています。検討すべきではありませんか。
第三は、都市インフラ、ライフライン施設の耐震化の促進です。
堤防などの都市施設や水道、下水道などのライフラインの耐震化が遅れています。
水道管の継手耐震化は26%、下水道のマンホールのうち耐震化されたのは数%にすぎず、耐震化の抜本的強化が求められています。どのように、いつまでに完成させるのですか。
海抜ゼロメートル地帯がひろがる東部地域で、都が管理する堤防の耐震強化は急務です。堤防の強度は「レベル1」にとどまっており、それすら満たしていない堤防が、主な河川のカミソリ堤防だけでも21キロメートルもあります。この実態をどう認識していますか。また、堤防の地盤調査をふくむ点検と、「レベル2」に対応できる耐震化を進めるべきと考えますが、いかがですか。
以上述べてきましたが、いま、東京都が緊急に取り組むべき課題は山積しています。ところが、知事が最重点に掲げている課題は何でしょう。
東京都の新たな長期計画「2020年の東京」および「実行プログラム」の策定方針の第一に掲げているのは、東京の国際競争力の向上をはかるために、アジアのヘッドクォーター、すなわちアジアの司令塔としての地位を確立するということです。海外の大企業を東京によびよせるために特区をつくったり、一b一億円の外環道や巨大港湾整備など、巨大な都市インフラ整備を進めるというのです。オリンピック招致は、そのためのテコにするものといわなければなりません。
いま都が財源をふりむけるべきは、被災者の生活再建、被災地の復興、放射能対策であり、地震に強い防災都市づくりと、都民のくらしへの応援ではありませんか。答弁を求めます。
知事はこれまで、オリンピック開催にむけて、三環状道路とともに、横田基地と都心をむすぶ高速道路多摩新宿線や、羽田と築地を結ぶトンネル道路などの建設を打ち上げてきました。こうした道路整備だけで、七兆円規模の事業費がかかると推計されるのです。それでも二〇二〇年をめざして整備を進めるのですか。
知事は、「オリンピック招致というたたかいに挑むかぎり、勝たなかったら意味がない。東京は汗かいて血みどろになってカネつくるし施設もつくる」とも言いました。知事、勝つために、招致関連経費や施設建設に湯水のようにお金を使おうというのですか。
「オリンピック招致が日本の復興の目標になる」ということを、知事はセールスポイントにしてきました。ところが先日開かれた東京ビッグトークで、「それはきれいごとだ」と明言しました。驚くべき発言です。知事、都民や東北の被災者をあざむいたことを謝罪すべきです。
都民の意見はどうでしょうか。
わが党の開示請求により、六月からの三か月間で再立候補について都に寄せられた「都民の声」は四百二十件で、その内、反対の意見は八二%をしめていることがわかりました。「オリンピック誘致は原発問題が収束しないと無理」、「お金があるなら東北を助けなさい。今どき恥ずかしくないのか」、「この未曽有の大災害の復興にはいくらお金があっても足りない」など、厳しい意見が大多数です。これらの「都民の声」を、知事はどう受け止めたのですか。
知事、冷静に考えてください。福島原発事故でまき散らされた放射能汚染を収束させるには、まだ長い時間がかかります。スポーツの専門家も、「放射能汚染の危険が取り除かれていない国で五輪を開催できるのだろうか。せめてその見通しが立った段階で立候補するのが良識ある判断ではないか」と述べているのです。知事、いかがですか。
オリンピック招致は、被災者の生活再建、復興、放射能の除染、防災、福祉の都市づくりなどが軌道に乗った段階で、仮に都民、国民の声が広がるなら検討すればよいことであり、わが党は二〇二〇年オリンピック招致に反対です。知事は、いま切実な都民要求がうずまいていることをご存知ですか。オリンピック招致を言う前に、この声に、まず耳を傾けるべきです。
聴覚障害者の団体は、東京で開催される全国レベルのスポーツ大会に三十万円、腎臓病の患者団体は、予防啓発のための集いに五万円でも十万円でも補助してほしいと求めています。すぐにこたえるべきではありませんか。
オリンピック招致関連の活動というべき世界体操には五億円も補助金をだしているのです。都民団体のささやかな、しかし切実な要望に予算をふりむけるよう、つよく求めるものです。
国民健康保険料の負担軽減も急務です。二十三区では毎年値上がりし、九九年度は一人あたり年額六万九千円台が、今年度は九万八千円、一・四倍にはねあがりました。年金など収入が減少したり変わらないのに保険料は上がることに悲鳴の声があがり、受診抑制もひろがっています。加入者は高齢者が多いため医療費が高く、収入が少ないため保険料の負担は難しいという国民健康保険の構造的問題を、都はどう認識していますか。
区市町村は国保会計を維持するため、総額一千百億円の法定外負担をしています。たとえばその四分の一にあたる二百七十億円を都が追加支援すれば、すべての区市町村で一世帯あたり一万円の保険料軽減ができます。こうした方向にふみだすことを、つよく求めるものです。
最後に、築地市場移転問題についてです。
中高濃度の土壌汚染がある豊洲予定地における液状化について、都は二人の専門家の「見解」を楯に、おざなりの調査で済まそうとしています。わが党が二人の「専門家」に行った公開質問に対し、一人は豊洲予定地にかかわる質問には無回答、元職員であった方はすべて無回答、基本的に都がなりかわって回答するという有り様でした。土壌汚染にまみれた市場予定地では目視ていどの調査などでなく、ボーリング調査をふくめた全面的な調査を行うべきです。また、専門家としての自らの見解に責任をもたず、都に答えさせるという無責任な「専門家」の「お墨付き」でことを進めることは許されません。どうですか。
都は一貫して、意見の異なる専門家の現場検証を拒んできました。今こそ豊洲移転を凍結し、意見の異なる専門家の調査を受け入れ、公開討論を行うべきですが、見解を伺います。
再質問を留保し、質問を終わります。
〇知事 大山とも子議員の代表質問にお答えいたします。
私も十二年間、毎年毎年、共産党の質問を聞いてきまして、大分なれたと思うんですが、それでも一言一言、神経を逆なでするね。これは共産党以外の日本人はみんなそうなんじゃないでしょうかね。これは本当にお気の毒だけど、ここまでいくと共産党というのはだんだん化石になって、そのうち埋もれちまいますよ。
まず、放射性物質への対応についてでありますが、共産党に指摘されるまでもなく、東京都は原発事故以後、都民、国民の生活を守るために総力を挙げて放射性物質への対策を進めております。都内百カ所での放射線量測定を初め、水道水、食品などを幅広く検査し、測定結果を速やかに公表して、都民、国民の不安解消に努めております。また、都内区市町村に測定機器を貸し出して、被災地の工業製品や食肉の検査も請け負うなど、自治体の垣根を越えて最大限努力をしております。
国家の総力を挙げた対策が求められる中、残念ながら国の省庁の縦割りが足かせとなって、例えば放射線の被曝量の上限値についてもばらばらになって、こういったものが重なって、国民は不安を隠し切れませんが、いずれにしろ、これを含めて、対策の抜本的な強化を新内閣にも建言をいたしました。
今後も、モニタリングポストや検査機の増設など、現場から具体的な施策を展開してまいります。
最後に一言申し添えますが、質問を聞いておりますと、今回の原発事故のように微量で長期にわたる放射性物質の影響と広島に投下された原爆を単純に比較しておりますが、これは果たして妥当な設定なんでしょうかね。風評被害に苦しむ生産者、事業者も多い中、殊さら危険を強調して、国民一人一人の努力をないがしろにするようなことだけは、政党としても慎んでいただくように忠告しておきます。
私が原発についての共産党の主張を否定する根拠についてでありますけれども、物事を複合的、重層的にとらえない政党というのは、これはあなた方にとっては理解するのは難しいかもしれませんが、現在の原発についての議論からは幾つかの大切な問題がはじき出されております。
まず、今回の原発事故の被害の拡大は、千年前に記録としても残っている、仙台を襲った大きな津波の事実というものを現代で地質学者が調べて建言したのに、原発の当事者もそれを聞き入れることはなかった。こういった人災というものが重なって被害が拡大した。特に総理大臣が視察するということで、肝心な風向きも勘案してのベントのおくれなどが、あの放射線をいたずらに人間の住む地域に拡散したという、こういった人災が重なったという認識がまず必要だと思います。
放射性物質が危険なことは論をまちませんが、廃棄物も含めて適切に管理することで原子力を有効に活用することは十分可能であります。現にフランスはそれをやっているじゃないですか。フランス人にできることが何で日本人にできないんですか。危険だけを喧伝していたずらに不安をあおる。あなた方のやり方はためにすることでしかないと私は思います。
共産党というのは一体、将来、この日本にいかなる社会、いかなる生活を望むのか、一向にわからない。果たして中国ですか。北朝鮮ですか。それともロシアなんですか。いずれにしろ、いかなる社会、いかなる生活を望むかをはっきりもせずに、経済が編み出す富というものは、防災、治安、福祉、医療、教育などに回って高度に発達した我が国の社会を支えているわけでありまして、その産業経済に不可欠なエネルギーを賄うために、いかなるエネルギーを、どの種類をどれだけ確保するかを、これから複合的、重層的に冷静に見きわめていかなければならないということをいっているわけです。
さらに、化石燃料がもたらす地球温暖化への影響や、資源を海外に依存せざるを得ない我が国の実情というものを忘れてはならないと思いますね。
こうした社会、経済への影響も顧みずに、初めに脱原発ありきという共産党のいい分こそ、国家の安危にかかわる大事な問題を我がこととして考えない、戦後のあしき習い性そのものだという気がいたします。
所信表明でも申し上げましたが、エネルギーの議論をもてあそべば、国家は必ず衰退します。共産党の皆さんも日本人の一人としてよくよく考えていただきたい。(発言する者あり)あ、そうか、日本人じゃないのか。
今後、都の防災対策に生かすべき東日本大震災の教訓についてでありますが、大津波に襲われた岩手県には、古来より津波てんでんこという言葉がありまして、津波が来たらまずみずからの身を守るという強い意識が代々受け継がれてきております。また、中学生が自発的に年下の子どもたちを助けながら避難したと。こういった事例も今回もありました。いざというときは、まずみずからの身を守り、そして身近な仲間を助けるということが、結果として一人でも多くの命を救うことになることは紛れもない事実であります。
そうした生きた教訓を踏まえて、防災隣組という自助、共助の仕組みを、東京の中に改めてつくっていこうと思っているわけです。また、企業などの備蓄を促す条例も制定してまいります。
行政が主体になるか否かという、ためにする形式の議論で時間を空費するだけではなく、実効性のある取り組みを迅速に推進することは行政の責任であり、そうでなければ、とてもこれだけ膨大な都市で、膨大な数の都民の命をよりよく守ることはできないと思いますね。
ご指摘をまつまでもなく、都はこれまでも、震災に備えて、他県に先んじてハイパーレスキュー隊のようなすぐれた機能というものを整備してきました。警察、消防の部隊を整え、医療チームを強化したほか、施設の耐震化や水門、防潮堤の整備、さらには災害時の物流の動脈として機能する三環状道路を初めとする道路ネットワークの構築など、まさに行政の責任として主体的に進めてきたんです。
今後も、自助、共助、公助のバランスのとれた、現実の教訓に立脚した防災対策を講じてまいります。
次いで、ビッグトークでの私の発言についてでありますが、あなたのいい分は、この国の一部の下劣なメディアがやると同じ、全体の文脈も一向に考えずに、片言隻句をとらえて事全体を非難する、まことにこそくで卑劣なやり方だと私は思いますね。全く、私自身があそこのシンポジウムでいったことは、あなた方もビデオで見てそれを全部承知していると聞きましたけれども、そうじゃなかったら全く無責任な話でありますが、オリンピックというのは、一回やってみて、いかにとにかく裏の裏の裏があるどろどろした、要するに招致運動かということを認識しました。これをまず知っている上じゃないと、きれいごとではこれでは勝てない、戦いに。
そのことを私はあそこでいったので、確かに日本を襲った大災害というのは悲痛なものだし、みんなの同情を買うでしょう。しかし、それだけをかざして票を集める。この投票権を持った国の友情、同情を買うことは絶対にできない。そういうメカニズムというものをだれがつくったか。これはサマランチですよ。この人がとにかくオリンピックをビッグビジネスにしてしまった。そのために大きな利権が発生した。これはみんな知っていることです。それを知らなかったらこの戦いに勝てないということを、私はあそこで申し上げた。そのためにも、この推進役であるJOCや、あるいは要するに日本の体育協会がもっともっと陣営を強化して進まなければ、これはなかなか難しい、困難な試みになりますよということをいったわけで、災害に対する同情もあるでしょう。しかし、それを盾に、私はとてもこの戦いは勝てないよということを警告したわけです。
オリンピックの招致が日本の復興の目標になるのは言をまちませんが、一方で、実際に招致をかち取るためには、熾烈な国家間の競争に勝ち抜く必要があるということも表現したわけであります。
他の質問については、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁いたします。
〇教育長 学校給食の食材の放射能測定への支援についてでございますが、食品の放射性物質検査は、本年八月四日付厚生労働省通知、農畜水産物等の放射性物質検査についてに基づき、対象自治体が実施しております。
食品衛生法の暫定規制値を超えた食品に対しては、原子力災害対策特別措置法に基づき、内閣総理大臣が地域、品目を指定して出荷制限の指示を行っており、国の責任において食品の安全が確保されていると認識しております。
都教育委員会は、区市町村教育委員会に対して、食材の産地等を確認、記録し、それを保存するよう指導していることから、個々の食材の放射性物質の測定に対し支援する考えはございません。
〇東京都技監 二点についてお答えします。
まず、地質調査図の情報提供についてでございますが、都は公共工事に伴い実施した地質調査データを数多く保有していることから、民間建築などの際に参考となるよう、地盤情報を提供してまいりました。
具体的には、地域ごとの液状化発生の可能性を目安として示した東京の液状化予測図を、平成九年から都民情報ルームにおいて閲覧に供し、平成十八年度からは、東京都土木技術支援・人材育成センターのホームページ上に、液状化予測図とともに、約七千本の地質調査図を掲載しております。地質調査図については、地盤を構成する土質名、地盤のかたさを示す標準貫入試験の結果などの情報を忠実に表示しております。
今後とも公共事業などの地質調査データを収集し、これまでと同様に広く都民に情報を提供してまいります。
次に、都が管理する堤防に対する認識と点検や耐震性の強化についてでございますが、東部低地帯に暮らす人々を守るためには耐震対策を進めることが重要であると認識しております。このため、都はこれまでスーパー堤防の整備や防潮堤の耐震補強を行うなど、耐震性の向上に努めてまいりました。また、今般の大震災を受け、直ちに堤防の緊急点検を実施するなど、必要な対応を行っております。
既に本年六月には地震や津波の専門家を含む委員会を立ち上げ、施設の耐震性などについて検証を進めており、この中で堤防の耐震性の強化についても検討しております。
〇環境局長 六点のご質問でございます。
まず、国の除染に関する緊急実施基本方針への対応についてでございますが、この方針によりますと、東京のようにおおむね年間一ミリシーベルト以下の地域は、放射性物質の半減期の関係及び風雨などの自然要因による減衰などを勘案しますと、基本的に市町村単位での面的な除染が必要な水準ではないとしております。また、側溝や雨どいなど、局所的に高線量を示す箇所につきましても、国が県及び市町村と連携し、住民を含めた関係者が安全かつ効率的、効果的に除染を行えるよう、必要な支援を行うとしております。
さらに、この基本方針の策定後、放射性物質による環境汚染への対処について定める放射性物質汚染対処特措法が公布されておりまして、現在、この法律で定める除染等の措置について国で検討会を設置し、効率的な除染、収集、運搬や保管の方法のあり方を議論しておりますので、これを注視し、対応を検討してまいります。
次に、子どもが利用する施設の調査測定及び除染についてでございますが、ただいまご答弁したとおり、現在国では除染等の措置に関する検討会を設置しておりますので、子どもへの配慮のあり方も含め、汚染に対処するための基本的な方向性などの議論を踏まえて、対応を検討してまいります。
次に、電力需給についてでございますが、先ほどもご答弁したとおり、この夏は、企業、家庭による懸命の努力により、昨年に比べ二割から三割程度の電力を削減することができました。しかしながら、この節電は、企業における操業日の休日シフトや夜間操業など、いわゆる我慢の節電により達成できた部分が少なくないのも事実でございます。
したがいまして、今後も無理のない方法での節電を促進いたしますが、一方で、供給面におきましては、高度に発達した社会の基礎となる我が国の経済を支え、日常生活の安心を守り得る安定した電力の確保を行うことが重要と認識しております。
今後、都は、需給両面からの最適化に向け、都独自の取り組みを進めてまいります。
次に、太陽光発電の普及拡大についてでございますが、先ほどもご答弁しましたとおり、都は固定価格買い取り制度について、適正な価格及び期間の設定を引き続き国に強く要求するとともに、国内外の先進事例も参考に、太陽エネルギーの一層の導入促進策の構築に向け、検討を進めてまいります。
次に、太陽光発電の住宅以外の分野への普及についてでございますが、これにつきましても、固定価格買い取り制度について国に強く要求するとともに、国内外の先進事例も参考にして検討を進めてまいります。
最後に、地中熱利用システムの普及についてでございますが、都はこれまでも、建築物環境計画書制度などを活用して、東京スカイツリーや都心部のオフィスビルなどへの地中熱利用システムの導入を誘導してきております。今後ともこうした制度を活用しながら普及を図ってまいります。
〇福祉保健局長 七点のご質問についてお答え申し上げます。
まず、空間放射線量の測定値についてでございますが、同じ敷地内であっても空間放射線量は均一ではなく、放射性物質が付着しやすい場所においては線量が高くなる可能性があるものと認識をいたしております。
次に、食品の放射能汚染対策への現状認識についてでございますが、三月十七日に定められた食品衛生法に基づく放射性物質に関する暫定規制値につきましては、国の薬事・食品衛生審議会において、当面維持することが適当である旨の見解が示され、現在に至っております。都は国に対し、食品中の放射性物質による健康への影響評価を行い、早期に規制値を設定するよう提案要求をいたしております。
また、食品の検査につきましては、現在、生産地であります各都道府県が最大限の取り組みを行っており、都は国に対し、自治体における検査体制の整備強化についても提案要求をいたしております。
次に、食品の放射能測定体制の構築についてでございますが、農産物等の放射性物質を検査し、安全を確認するためには、作付状況や出荷時期が把握できる生産地において、出荷前に検査をすることが最も確実でございます。都は生産地として、都内産農産物等の検査を実施いたしますとともに、他の生産県における検査にも協力を行うなど、最大限の検査を実施いたしております。また、今月にはゲルマニウム半導体核種分析装置を二台増設したほか、今後、シンチレーションスペクトロメーターを四台更新するなど、検査体制の充実強化も図っております。
次に、避難生活を送っております乳幼児や小中学生の医療費の窓口負担についてでございますが、現在、東日本大震災による被災者のうち、災害救助法の適用地域内の住民で家が全半壊となるなど、一定の要件に該当する方につきましては、国の通知に基づき、保険者から交付されます一部負担金等の免除証明書を提示することにより、窓口負担は免除されます。また、免除の対象とならない方であっても、住民票のある市町村における乳幼児等の医療費助成制度によりまして医療費の助成を受けることができますが、この場合は、制度上、窓口で一たん負担していただき、償還払いの手続を行っていただくことになります。
次に、腎臓病の予防啓発のための集いへの支援についてでございますが、都は平成十七年度より、腎臓病の患者団体からの申請に基づき、協定を締結し、腎臓病の予防等に関する講演会を共催いたしております。
都は、広報紙やホームページによる周知、ポスター等の関係機関への配布など普及啓発に努めております。
次に、国民健康保険についてでございますが、現在の国民健康保険制度には、医療費が高く所得の低い高年齢者や、失業者などの低所得者の占める割合が高く、保険料の確保が困難であるなど、構造的問題があると認識をいたしております。
都は、国民皆保険の観点から、制度設計者である国が責任を持って抜本的な解決策を講じるよう、既に提案要求を行っております。
最後に、国民健康保険料の負担軽減についてでございますが、都は、国民健康保険制度の健全かつ安定的な運営を図るため、法令等に基づき、各保険者に対する財政支援を既に実施いたしておりまして、保険料負担軽減のための新たな支援を行うことは考えておりません。
〇総務局長 避難者への支援についてでございますが、都はこれまでも避難生活の長期化等により、避難者の孤立化が懸念されることから、被災地の行政情報や都の支援情報を定期的に提供するとともに、同じ県や市町村からの避難者をできるだけ同じ都営住宅などに受け入れ、地元区市や自治会への紹介をするなど、地域とのつながりや避難者間の交流を図ってまいりました。
今後とも、避難者のニーズを踏まえ、被災地に関する情報を的確に提供するとともに、孤立化を防止するための個別訪問を実施するなど、関係機関や各種団体とも協力しながら、避難者支援に取り組んでまいります。
〇都市整備局長 七点のご質問にお答えいたします。
まず、応急仮設住宅としての都営住宅等の提供でございますが、応急仮設住宅は、被災県の応援要請に基づき、震災等により避難を余儀なくされている間、一時的に提供するものでございます。
都は、被災県とも調整し、応急仮設住宅としての都営住宅等の提供により、現在三千七百人の避難者の方々を受け入れており、受け入れ期間は、当面、平成二十四年七月末までとしております。
今後とも、被災県の意向等を踏まえ、避難者の方々の支援に適切に対応してまいります。
次に、木密地域不燃化十年プロジェクトでございますが、東京で大地震が発生した場合、木密地域の延焼により都市機能が大きく阻害されることは明らかでございます。
このため、木密地域不燃化十年プロジェクトでは、まずそこに住む人々が、我が身に迫る危険性をみずからの問題として認識する必要があることから、防災の専門家による講演会などを開催し、木密地域の住民に震災の怖さや自助、共助の重要性を伝えてまいります。
また、延焼遮断帯となる道路整備や、建物の建てかえによる耐震化、不燃化などに積極的に取り組み、木密地域の改善を加速させてまいります。
次に、木密地域不燃化の住民合意でございますが、木密地域は老朽建物が多いことに加え、狭隘な道路や行きどまり道路など基盤が脆弱であり、安全なまちにつくり変えていくためには、建物の不燃化とともに避難や延焼防止に役立つ道路、公園等の基盤整備を行うことが重要でございます。
こうした住民の安全を守るという公共性の高いまちづくりを進める上では、地元の理解を得ながら、スピード感を持って確実にやり遂げることが行政の責務でございます。
このような考え方に基づいて、木密地域不燃化十年プロジェクトの推進に取り組んでまいります。
次に、整備地域内の住宅建てかえ支援でございますが、これまで都は、防災都市づくり推進計画に定める整備地域において、延焼を防止するという公共性の観点から、延焼遮断帯となる道路の沿道建築物の不燃化建てかえや、老朽建築物の共同建てかえ等に対し、地元区と連携して費用の一部を助成してまいりました。
また、従前居住者の受け皿となる共同住宅を建設する地元区に対し、費用の補助を行ってまいりました。今後とも、こうした必要な支援を行ってまいります。
次に、木造住宅の耐震化助成でございますが、都では、震災時に住宅が倒壊した場合、道路閉塞や出火により、避難、応急活動が妨げられるとともに、大規模な市街地火災につながるおそれがあるなど公共性のある場合に、区と連携して公的助成を行っております。
耐震化を促進するためには、まず所有者みずからが必要性を認識し、主体的に取り組むことが不可欠でございます。
東日本大震災を受け、都民の関心も高まっていることから、この機をとらえ、所有者に対する普及啓発や技術的支援にさらに取り組んでまいります。
都としては、引き続き道路閉塞や延焼による被害の危険性の高い整備地域に的を絞り、木造住宅の耐震化助成を行ってまいります。
次に、地盤に関する情報提供でございますが、不動産取引の際、宅地建物取引業者は、宅地建物取引業法に基づき、買い主に対して重要事項の説明を行うこととなっております。その中で都市計画法や建築基準法に基づく制限や、宅地造成等規制法の許可、地すべり等防止法等の制限がある場合は説明を行っております。
都としては、引き続き、宅地建物取引業法に基づき、宅地建物取引業者に対し適切に指導、監督を行い、安全・安心の住宅市場の実現に努めてまいります。
次に、道路の整備でございますが、三環状道路は、首都機能の向上を図るばかりでなく、災害時においても、日本の東西交通の分断を防ぐ結節機能を担う重要な道路であり、その整備を推進してまいります。
また、東京の活力と魅力を高め、安全で利便性の高い都市を実現していく観点から、必要な道路については、今後とも調査検討を進めてまいります。
〇産業労働局長 再生可能エネルギーに関する中小企業の支援についてのご質問にお答えいたします。
都は、既に環境分野を対象とした産業を重点的に育成するとの方針のもとで、さまざまな施策を展開しております。
再生可能エネルギーにつきましては、さきに公表された都政運営の新たな戦略の中で、エネルギー源の多様化を図ることとしておりまして、これに沿って対応してまいります。
〇水道局長 水道管の耐震継ぎ手化についてでございますが、水道局では、抜け出し防止機能を有する耐震継ぎ手管への全面的な取りかえをこれまでも積極的に進めております。さらに、この取りかえを大幅に前倒しする水道管路の耐震継ぎ手化緊急十カ年事業を平成二十二年度から平成三十一年度を計画期間として、既に実施しております。
これにより、平成二十一年度末の耐震継ぎ手率二六%を平成三十一年度末の四八%まで向上させることとしております。
〇下水道局長 下水道のマンホールの耐震化についてでございますが、阪神・淡路大震災や新潟県中越地震の状況を踏まえ、震災時における下水道機能や交通機能の確保などの観点から、必要な対策は実施をしております。
避難所などからの排水を受ける下水道管とマンホールとの接続部の耐震化については、既に約七割を完了しておりますが、残りの箇所の計画を二年前倒しし、平成二十五年度の完成を目指しております。
また、マンホールの浮上を抑制する対策については、液状化の危険性の高い地域にある緊急輸送道路など約五百キロメートルすべてを昨年度完了しました。
さらに、今年度から避難所などへのアクセス道路に対象を拡大し、実施をしております。また、これらの取り組みについては、ターミナル駅周辺などの対策エリアの拡大に向け検討をしているところです。
〇財務局長 財政運営について申し上げます。
都はこれまでも、福祉や医療、教育、さらには雇用環境や中小企業に対する施策、都市機能の充実など都民にとって必要な施策を着実に実施してまいりました。
東日本大震災という未曾有の事態に直面する中にありましても、直ちに東京緊急対策二〇一一を策定し、必要な補正予算を組み、被災者、被災地への復興支援や放射能対策、東京の防災力の強化などの取り組みを迅速かつ着実に進めております。
今後とも、山積する都政の諸課題にしっかりと取り組んでまいります。
〇スポーツ振興局長 四点のご質問にお答えいたします。
まず、オリンピックの招致経費及び施設建設についてでございますが、限られた財源の中、招致活動を効率的、効果的に推進するのは当然のことでございます。また、施設計画に関しては、競技施設について既存施設の活用も検討してまいります。
次に、都民の声に対する考え方についてでございますが、都民の声に寄せられた意見については、真摯に受けとめるものでございますが、それらは都民からの自発的な意見を受け付けたものでございまして、いわゆる世論調査とは性格を異にするものでございます。
例えば、先般、東京新聞で発表されました日本世論調査会の調査では、オリンピックに関心のある人は七五%、東京へのオリンピック招致については、六二%の方々が賛成をしております。また、この調査によりますと、六割の方々がオリンピック開催は震災復興に役立つとしております。
次に、放射能の見通しとオリンピックへの立候補についてでございますが、我が国が東日本大震災から復興をなし遂げるためには、その目標ともなる夢や希望が必要でございます。
放射能汚染の早期収束は当然のこととして、今から九年後に当たる二〇二〇年までに、大震災から日本が立ち上がることは、被災地のみならず、すべての日本国民、そして世界じゅうが強く待ち望んでいることでございます。
そのため、都は、IOCへの申請期限である九月一日までに、オリンピックの立候補申請を行ったものでございます。
最後に、障害者スポーツ大会等に対する補助についてでございますが、都は、障害者団体にとどまらず、各種団体が主催するスポーツ大会のうち、都のスポーツ振興に資する大会等に対して、後援名義の使用承認を行い、全国レベルの大会について、施設利用の優先受け付けや一部利用料の減免を行うなど、その開催を支援しております。
〇中央卸売市場長 二点のご質問にお答えいたします。
まず、液状化に関する専門家の調査についてです。
都は、地震発生後速やかに豊洲新市場予定地の現地踏査を行うとともに、技術会議の委員で、液状化や環境分野の専門家二人に噴砂の発生状況、噴出物の目視確認等を実施していただき、その後、専門家の指導のもとに噴砂の状況を的確に把握するため、発生箇所、噴砂量と面積についての詳細な現地調査を実施しました。
専門家の一人の安田委員は、国内では一九七八年の伊豆大島近海地震以来のすべての地震による液状化の調査を行っており、海外では二〇一一年ニュージーランド地震災害緊急調査団の団長として調査されるなど、日本を代表する液状化現象の権威でございます。
今回の地震により東京湾岸で発生した液状化についても、地震の翌日から広範囲の調査を実施されています。こうした高度な知見を有する専門家から、現地調査の結果に加え、今回の震災で液状化現象が発生した浦安などの東京湾岸埋立地の広範囲な調査結果や、これまで蓄積された専門的な知見に基づいて、噴砂は基本的に垂直方向の動きと考えられ、また、部分的で極めて小規模であり、工事に際して汚染状況を確認しながら対策をとれば十分対応は可能であるとの見解をいただいています。
これを踏まえ、今回契約の土壌汚染対策工事の中に噴砂への対応を盛り込み、万全を期しています。したがって、改めてボーリング調査を行う必要はないと考えます。
また、技術会議委員への日本共産党東京都議会議員団の公開質問は、液状化に関する一般的な質問と、豊洲新市場予定地における液状化と土壌汚染に関する質問に分けられます。
豊洲新市場予定地における土壌汚染対策に関する質問については、おのおのの専門家に確認の上、事業主体である都が責任を持って回答したものです。
液状化に関する一般的な質問については、この分野の専門家である安田委員の指示により、関連文献を添付して本人から直接回答していただきました。
次に、公開討論の実施についてです。
都は、新市場予定地の土壌汚染対策の策定に際して専門家会議を設置し、審議を公開し、委員と傍聴者との質疑応答の時間を設けるなど、透明性のある会議運営を行うとともに、広く意見募集を行い、その一部を報告書等や提言に反映させています。
専門家会議の提言を踏まえ設置した技術会議では、報告書を取りまとめた後、特許など保護しなければならない情報を除き、会議録、会議資料などをすべて公開しています。
さらに、東北地方太平洋沖地震に伴い発生した液状化による噴砂についても、技術会議の二人の専門家の指導に基づき、状況調査と結果や専門家の見解と対応方針を取りまとめ、ホームページで公開しました。
こうした取り組みに加え、汚染物質処理に関する現地での実験についても、その実施状況や分析結果を公開してきました。さらに、実験に関して質問などを募集し、都民や他の専門家の意見等についても丁寧に回答しています。
また、環境影響評価に係る都民意見に対しては、説明会を三回開催し、わかりやすく事業内容と環境対策を説明するとともに、疑問や質問に丁寧に答えてまいりました。
このように噴砂の状況も含めて、資料等はすべて公表し、疑問にも回答するなど、きめ細かい対応をしていることから、改めて他の専門家も加えた液状化の調査や公開討論を行う必要はないと考えています。
今後、土壌汚染対策工事を確実に実施することで、市場用地としての安全・安心を確保し、首都圏三千三百万人の食を支える新市場の整備を進めてまいります。
知事に再質問します。
まず、防災についてです。
知事は、都が管理する施設の耐震化などについて、行政の責任として主体的に進めてきたと答えましたが、実態はどうでしょうか。都道にかかる橋の耐震化は、阪神・淡路大震災クラス想定のレベル二対応で、二二・二%にすぎません。
都の計画では、水道管の継ぎ手の耐震化は八年後でもまだ半数に届かず、下水道のマンホールの耐震化も全体の数%にすぎず、圧倒的に立ちおくれているではありませんか。都民には自分のことは自分でやれといいながら、みずからの責任に属することはこんなに低い水準です。知事、どう認識しているのですか、お答えください。
次に、築地市場移転予定地の液状化問題です。
都は、専門家の見解を盾に安全だといいますが、その専門家は、豊洲予定地に関するみずからの見解に対する質問に、みずから回答できないのです。中でも、土壌汚染問題の専門家とされる都の元職員の人は、みずからの研究論文すら示せません。土壌汚染対策実験の際、初期値を隠したまま、都が安全宣言を行ったときも、これを擁護し、今回も液状化で汚染が広がった可能性は否定できないと認めながら、噴砂の汚染状況すら調査しないのです。このような東京都いいなりの人物の見解を信頼しろといっても、都民は納得できません。お答えください。
五輪について、日本世論調査会の調査だけを持ち出しましたが、それですら都民の賛成は五割にとどまります。
朝日新聞の調査では、五輪開催に期待しないが八割に及びます。
日経ビジネスのインターネット版読者の調査でも、七割が招致に否定的です。反対や期待しない理由は、いずれも経済的負担が大きい、被災地の復興が最優先など共通しています。この結果を知事はどう受けとめていますか。
以上三点、知事、はっきり答えてください。
〇総務局長 これまで都は、震災に備えまして、さまざまな施設の耐震化や水門、防潮堤の整備など、また、さらには災害時の物流の動脈として機能する三環状道路を初めとするいろいろな施設について、耐震性の準備をしてまいりました。まさに、これは行政の責任として主体的に進めてきたわけでございます。
今後も、自助、共助、公助のバランスのとれた現実の教訓に立脚した防災対策を講じてまいります。
〇中央卸売市場長 液状化に関する専門家についてのご質問でございますが、二人の委員のうち、先ほど申し上げました安田委員は、液状化など土木工学に関する専門家、長谷川委員は、環境分野の専門家でございます。
長谷川委員にいただいたご質問の中には、豊洲新市場予定地に関する質問と委員自身の研究実績に関するもののほかに、一部で専門外でございます液状化のメカニズムに関するものも含まれておりました。
したがいまして、この領域については、この分野の専門家でございます安田委員からお答えいただいたものでございます。
なお、長谷川委員の研究実績については、委員にお話を伺い、都の回答に含めてお答えをいたしました。無責任という指摘は当たらないと考えます。
〇スポーツ振興局長 震災復興の目標ともなる二〇二〇年のオリンピック・パラリンピックの開催は、国民が一つにもなれる夢でもあり、日本再生の原動力にもなるものであると考えます。
さまざまな意見もありますが、オールジャパンで招致をかち取るため、その意義や理念を、今後とも国内外に幅広く訴えていきたいと思っております。
以上