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二〇一一年都議会第四回定例会 討論 一二月一五日
たぞえ民夫(世田谷区選出)
日本共産党都議団を代表して、第162号議案ほか5議案に、反対の立場から討論します。
まず、東京都児童会館廃止条例です。
東京都児童会館は、年間60万人もの子どもや保護者が利用している都内唯一の大型児童会館です。親子が気軽に利用でき、安心して遊べる居場所、交流の場であると同時に、文化ホールを併設しており、人形劇や児童演劇等を通して、子どもの豊かな情操をはぐくむ良質な文化の拠点としての役割を果たしています。都は子ども家庭総合センターに機能を移転するといいますが、そこには子どもたちが自由に遊ぶ場も文化ホールもありません。
しかも、児童会館の跡地を、渋谷駅周辺の巨大開発のために提供することが、都議会に廃止条例が提案される以前に決定され、発表されていることは許されません。わが党は、少なくとも新しくできる建物の中に、現在の児童会館と同様の機能を整備し、さらに拡充すべきことを強く求めるものです。
次に、環状二号線の隅田川と朝潮運河に架かる橋りょう請負工事契約についてです。そもそも現在の環状二号線は、築地市場の豊洲移転を前提に、市場内を貫通するものです。しかも、隅田川に架ける橋の工事によって、市場内の業者に重大な影響を及ぼすものであり、反対です。
市場関係者の合意も得られず、豊洲移転予定地の土壌汚染問題の解決の見通しもないのに、市場内にそこのけと言わんばかりの強引な道路建設は、絶対に認められません。
今定例会では、くらし・福祉を守る問題、放射能対策、防災対策のあり方が鋭く問われました。
まず、放射能汚染から子どもたちを守る問題です。世代をこえて、「放射能汚染から子どもを守れ」の声が広がっています。放射能の影響を受けやすい子どもの内部被ばくによる健康被害をいかに防ぐかが、いま政治にきびしく問われているのです。
わが党が、すべての都有施設、とりわけ学校の放射線量の実態を詳細に把握し、必要な除染を行なうよう求めたのに対し、都はわずか3カ所39地点の測定を行っただけ、しかも、地上1bの位置で毎時1マイクロシーベルト以上の地点はないとして、都有施設の調査は不要、区市町村からの測定要望も応じないという、驚くべき答弁を行いました。
都の限られた調査でも、毎時7マイクロシーベルトの箇所がありました。東部地域に比べ放射線量が少ないとされている杉並区でも、小学校の芝生の養生シートから1キログラム当たり、9万6百ベクレルの放射性セシウムが検出されたではありませんか。
測定しなければ、このような高濃度の地点は発見できないのです。発見できなければ、子どもたちがそのような場所で遊ぶことを放置することになるのです。都の立場は、それでも差し支えない、ということではありませんか。環境省の「除染関係ガイドライン」も、追加被ばく線量が年間1ミリシーベルト以上は、汚染状況重点調査地域に指定するとしています。東京都もこの立場を準用し、局所汚染の測定・除染を行うべきです。再質問への答弁で都は、「放射線に関する正確な情報を提供することが重要」と言いました。だとすれば、ただちに測定することを改めて求めておくものです。
小中学校の給食への不安が高まる中、わが党が食材や調理後の測定実施を求める区市町への支援を要求したのに対し、教育長が「支援する考えはない」と拒否したことも、石原都政の無責任さをあらわにしたものです。
その後、結局、文部科学省の補助金を活用して、給食の検査用機器を購入せざるを得なくなったのは当然です。
次に、防災対策です。
わが党は、東京都が都民のいのちと財産を守るという自治体としての責任を果たすために、最大限の力を、都市施設や建築物の安全化に注ぐべきことを求めるとともに、都の固有の責任である都有施設などの耐震化が著しく立ち遅れていることを自覚すべきと質しました。ところが、知事は〃ご指摘に待つまでもなく、行政の責任として主体的に進めてきた〃と答弁し、各局長も「計画的に進めてきた」、「積極的に進めている」と異口同音に答えました。しかし、事実はどうでしょうか。
都営住宅の耐震化は70%に満たず、他県に比べ、立ち遅れはきわだっています。
東部地域の河川堤防は、いまだ4割が耐震化されず、水道施設では浄水施設の耐震化率はゼロ%です。主体的に進めてきたなどとは、とうてい言えません。
浄水施設については、ろ過池が76%まで耐震化されているなどという答弁がありましたが、日本水道協会は、取水から送水までの全体が耐震化されているかを、浄水施設の耐震化の基準として定めているのです。都の浄水施設は、全体として耐震化されたものは一つもないのです。そのために、都の浄水場はゼロ%と判断されている。これが事実です。
下水管とマンホールの接続部の耐震化率も、都が7割を完了したと言っているのは、たかだか避難所の周辺だけであって、全都的には数%にすぎないのです。
知事が今やるべきは、あたかも耐震化が進んでいるかのように言い張ることではなく、都市施設や建築物の耐震化の遅れを直視し、安全化のために最大限の力を注ぐという立場に立つことであることを指摘するものです。
次に、都民のくらし・福祉を守る問題です。
わが党は、生活保護世帯が急増していることなどを指摘し、国と都が雇用と福祉の建て直しをはかるべきと主張しました。ところが知事は、都民の痛みに目を向けず、わが党の提案を〃ばらまき福祉〃とか〃無責任〃などときめつけました。保険料や医療費すら払えず、医者にかかれないで困っている人たちへの支援が、どうして〃ばらまき〃なのですか。ヨーロッパの国々では、医療費の窓口負担ゼロはあたりまえのことではありませんか。知事のように、260兆円もの内部留保金をため込んでいる大企業への適正な課税を〃悪〃ときめつけ、福祉を削ってはばからない立場こそ、試されずみの無責任政治、大企業への〃ばらまき〃政治であることを、きびしく指摘しておくものです。
浪費的投資を改め、大企業への適正課税を行えば、都民のくらし・福祉を守り、防災対策をすすめる財源はあるのです。にもかかわらず、知事は両方ともやろうとしないばかりか、オリンピック招致をテコに浪費をいっそう拡大しようとしています。断じて容認できません。
知事は記者会見で、外環道を推進するのは2020年オリンピック招致を実現するためだという趣旨の発言までしたではありませんか。民主党の副大臣も2020年までに外環道を完成すると、これに呼応しましたが、直轄事業も活用する、としたことで、都の巨額な財政負担となるのは必至です。オリンピック招致を実現するために1b1億円もの道路をつくり、福祉や防災への予算を削ることは、絶対に認められません。都民はオリンピックより震災の復旧、防災・福祉の充実をこそ望んでいることを指摘するものです。
今日の本会議で、民主党、自民党、公明党は、オリンピック・パラリンピック招致特別委員会の設置を提案しましたが、その目的は「東京招致に向けた調査研究」であることから、わが党は反対です。今後、特別委員会の場で、都民の立場から、招致をめぐるさまざまな問題について、徹底的な議論を行うことを申し述べておくものです。
次に、豊洲新市場予定地の土壌汚染対策工事をめぐる談合疑惑についてです。
この問題では、都の公共事業がゼネコンの食い物にされたかどうかが問われているのです。愛知県などのように、談合情報と入札結果に一致した部分があれば、落札を保留して、徹底した調査を行うべきなのに、都は通りいっぺんの事情聴取などをやっただけで、談合にかかわる一切の情報を明らかにしないまま、契約を適法と言い張りました。まさに〃臭いものにフタ〃をつらぬいて、豊洲移転を強行しようとする立場をあからさまに示すものであり、断じて認められません。
最後に、わが党が再質問で、知事に答弁を求めたのに、今回も答弁に立てなかったことを、きびしく指摘しておくものです。今回だけの話ではありません。2010年の定例会での答弁を最後に、7回連続再質問への答弁に立つこともできなくなっているのです。知事は、みずからの発言にそんなに自信がないのですか。情けないと思わないのでしょうか。次回からは、知事は再質問に対し、質問にかみ合った答弁ができるようにしていただきたい。このことを強く要望するものです。
わが党は、今後とも、なによりも都民の福祉の増進と安全・安心第一の都政に転換するよう全力をつくすことを申し述べて、討論を終わります。
以上