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二〇一三年都議会第一回定例会 中途議決 討論 三月八日
かち佳代子(大田区選出)
日本共産党都議団を代表して、第136号議案 平成24年度東京都一般会計補正予算(第3号)ほか2議案に反対の立場から、討論を行います。
東日本大震災と福島原発事故から2年となります。討論に先立ち、あまりにも立ち遅れている政府の復興対策について、申し述べておきます。
被災者のみなさんからは「つらい時間があまりにも長すぎる」という痛切な声がよせられています。問題は、山積しています。まず原発事故の放射能汚染は解決の見通しがなく、多くの方が先の見えない避難生活を余儀なくされています。「収束宣言」を取り消し、全力をあげて安心・安全をとりもどすべきです。
復興対策の重大な問題のひとつは、あらゆる支援策に期限がついていることです。仮設住宅などの期限が、来年度から1年ごとの延長となっていることが、不安をひろげています。被災者の医療・介護の減免措置を打ち切られました。生活再建のメドも立っていない時に、どんなに被災者を傷つけ、他の施策もいつ打ち切られるかの不安と、政府への不信をひろげたか、はかり知れません。
「元の場所に同じものをつくらなければ支援しない」というやり方も、復興の足かせになっています。津波をかぶった海岸沿いの道路整備には補助が出るのに、高台移転を考えて山の方に道路をつくり直したいと思っても補助対象になりません。
いま政治に求められることは、必要な人・地域がある限り、生活と生業の再建を最後まで支援し、被災者とともに歩むことです。都として被災者の立場にたった復興を国に強く要請するだけでなく、都としてできる施策を実行することを強く求めるとともに、わが党は、引き続き被災地の復興と被災者支援に全力を尽くすことを、表明するものです。
第28号議案、東京都尖閣諸島寄付金による尖閣諸島活用基金条例について述べます。
都が尖閣諸島の購入のための寄付金を募ったものの、国が購入したことによって、目的を失うことになりました。
尖閣諸島は歴史的にも国際法上も、日本の領有は正当なものです。問題は、日本政府が領土問題は存在しないという立場をとり、日本の領有の正当性を理をつくして主張できないことにあります。
現在、日本と中国との間で対立と緊張が続いており、絶対に避けなければならないのは、重大な不測の事態、軍事的衝突です。冷静で、理性的な話し合いこそが、問題解決の唯一の道です。
中国側は、政府の監視船による継続的な日本領海内の航行や、政府の航空機による領空侵犯をおこなっていますが、どんな言い分があるにせよ、ある国が実効支配している地域に対し、力によってその変更を迫るのは、紛争解決の手段として許されるものではありません。
日本が、尖閣諸島への公務員の常駐の検討、問題を利用した軍事力や軍事同盟の強化を進めようとしていることも、冷静な外交的解決に逆行する動きであり、戒めるべきです。
日本共産党都議団は、都が尖閣諸島を購入するとした時から尖閣諸島問題は、冷静な外交交渉によって解決を図るべきであり、自治体が国家間の領土紛争に介入すべきではないと表明してきました。
今回の基金条例案は目的で、「国による尖閣諸島の活用に関する取組のため」としていますが、寄付金の受け付け終了を知らせる都のホームページでは、船溜まりや無線中継基地などを設置することが、「尖閣諸島の実効支配の強化につながるもの」としています。日中双方が、現状を変更する物理的対応、軍事対応を厳しく自制すべき時に、こうした目的をもった基金を創設することは、事態をいっそう深刻化しかねない危険をはらむものです。
寄付金の処理については、都による購入という目的が成り立たないのですから、寄付者に返還すべきです。大方の寄付者の氏名・住所は把握できるのですから、返還は可能なことを申し述べておくものです。
次に、平成24年度一般会計補正予算(第3号)です。
今回の最終補正予算は、先に述べた尖閣諸島基金を予算計上するという問題をふくむとともに、施策としては、国の基金事業延長の範囲内にすぎず、都独自の施策は何らもりこまれていません。
いま、都民の暮らしも中小零細企業の営業も厳しい時に、都税収入も増額補正となっているのです。最終補正という中であっても、都民の暮らしを応援する緊急対策に踏み出すことが求められています。
たとえば長野県内では18の自治体が、円安の影響で急騰している灯油を福祉灯油として、低所得者や障害者などに支援するなど、積極的に補正予算で対応しています。都として、都民の生活困難解決のための緊急対策をとることを強く求めて、討論をおわります。
以上