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2013年度第1回定例会 予算特別委員会 討論 3月26日
吉田信夫(杉並区選出)
日本共産党都議団を代表して、第1号議案、平成25年度東京都一般会計予算外10議案に反対し、第18号議案、平成25年度東京都中央卸売市場会計予算に対する修正案及び第1号議案外3会計の編成替えを求める動議に賛成する立場から討論を行います。
はじめに知事提案の予算についてです。いま、長引くデフレ不況、社会保障や雇用・労働条件の切り下げによって、高齢者も若者、子育て世帯もくらしの困難さをましています。本委員会での答弁でも、高齢者世帯では年間所得200万円以下が4割近く、貯蓄がまったくゼロの世帯が1割をこえるという深刻な事態が明らかになりました。
また認可保育園への入園を希望しながら、入園できなかったこどもたちは2万3千人をこえ、杉並区をはじめ都内各地で、若いお母さんやお父さんが乳幼児を抱いて認可保育園の増設を求めて立ち上がり、さまざまな行動が広がったことも注目せざるをえません。
それだけに、東京都が、住民の福祉の増進を図るという自治体本来の責務をいまこそ発揮し、都民のくらしと福祉、雇用を守るための手だてをつくすこと、とりわけ、所得の低い若者や高齢者でも安心してくらせることを保障するセーフティーネットの再構築が、都に求められています。
しかし、猪瀬知事が提案した予算は、福祉や雇用、中小企業対策などきわめて不十分です。知事は福祉と保健が1兆円を超えたと強調しましたが、増額のおもな内容は、医療や介護など社会保障関係の当然増437億円にすぎません。
とりわけ、社会保険料の負担増が都民のくらしを圧迫しており、国民健康保険料・保険税の値下げのために区市町村への支援が求められていたにもかかわらず、予算では支援策を盛り込みませんでした。
また、急速な高齢化対策として知事が強調したケア付き住宅は、あくまでも中堅所得層を対象としたもので、所得が少なくても安心して医療や介護、住宅が利用できるための手だては不十分です。
わが党は本委員会のなかで、石原前都政のもとで、高齢者1人当たりの老人福祉費が1999年度と2011年度をくらべると他の道府県すべてが増額となっているなかで、東京都だけが13万5千円から10万4千円と23%も後退していることを指摘しましたが、都も減った事実を認めざるをえませんでした。高齢者人口の増加率が東京以上に高い府県でも1人当たり額を増やす努力をしており、高齢者福祉費の増額を求めるものです。
わが党は、こうした予算の問題点をただすとともに、本予算特別委員会では、認可保育園の待機児解消のために3万人分の認可保育園の整備をはじめ、特養ホーム2万人分の整備、さらに若者の雇用対策の抜本強化、35人学級の拡大など切実な都民要望を掲げその実現を知事にせまりました。
知事も認可保育園や特養ホーム整備の重要性を認め、「認可保育所も増やす」と述べ、特養に関する質問に対して「施設整備も大事」と答弁したことは重要です。
わが党は、深刻な待機児解消のために、認可保育園の大増設を中心にすえて、議会が力をあわせて努力することをよびかけるものです。同時に、認証保育所などの補完的役割を否定するものではないことを改めて表明しておきます。
認可保育園、特養ホームの増設のうえでも、用地確保は何よりも課題となっています。質疑のなかで、都も国有地活用のために国に働きかけ、都有地については区市町村の意向を確認する、未利用の都有地は積極的に活用するなどの答弁がされたことは重要です。国にたいし情報提供と貸付料の大幅減額など強く働きかけること、都有地の活用と貸付料の引き下げに都みずからがスピード感を持って全力をつくすよう求めるものです。
知事は、東京の家賃の高さを理由に施設の狭さを容認する旨の発言をしましたが、未来をになうこどもの豊かな発達を保障するために、よりよい環境の認可保育園増設への財政投入を惜しんではいけないと思います。
また、35人学級の拡大について都は、あくまでも国の動向を見て対応するとの姿勢に終始しましたが、隣接する山梨県をはじめ多くの県が独自に対象年齢を拡大しており、都も約27億円で小学3年生に拡大することが可能であることが答弁で明らかにされました。知事の決断を求めるものです。
若者の雇用対策について、知事は安定的な雇用に向けた切れ目のない対策を講じていると答弁しましたが、都立職業訓練校を17校から14校に統合し、募集定員も指導員の人数も減らしたことに示されるように、都の対策はきわめて不十分です。東京の将来を見据え、若者の安定雇用のために積極的に投資すること、正規雇用に結びつけるために1年、2年の無料の職業訓練を拡充し、必要な人には生活費の支給をおこなうなど、職業能力開発センターできちんと位置付けて実施することを強く求めるものです。
一方、都のアクションプログラムや予算は、国際的な都市間競争に打ち勝つためとして、外環道路をはじめ幾重もの巨大な幹線道路や港湾施設の建設など大規模開発は最優先の課題として、不要不急の投資をひきつづきすすめるものとなっています。
とりわけ外環道は有料道路でありながら大半を国と都の税金で整備しようとしていることに、知事が「非常によくできた配分だ」と評価したことは驚きです。外環道は、関越東名間の地下本線16キロの総事業費は1兆2820億円にもなります。そのうえ地上部にも幹線道路をつくり、さらに東名高速以南20キロについても推進しようとしているのです。このままでは国や都の負担が雪だるま式にふくれ上がることは確実です。
いま、都市インフラへの投資のあり方の転換が求められています。それは切迫する地震から都民の生命、財産を守るうえで、堤防、橋梁などの都市インフラや生活インフラの耐震強化、さらに老朽化対策が最優先の課題となっていることです。すでに他県では、新規事業はできるだけ抑制し、都市インフランの修繕や維持更新に重点的に投資的経費を投入する見直しがはじめています。
ところが都の来年度予算では、道路橋梁事業費のうち新規整備費は維持修繕費の2・6倍と、従来型の新規整備中心となったままです。都としても耐震化や補修、更新対策にこそ重点をおき、新規事業は必要最小限のものに見直すべきことを強く求めるものです。
以上の立場から、知事提案の来年度一般会計予算に反対し、編成替えを求める動議に賛成するものです。
最後に、築地市場の豊洲移転についてです。都がすすめてきた土壌汚染調査と汚染対策が欠陥だらけであることは、わが党とともに、多くの専門家からもくりかえし指摘されてきました。都は「問題ない」「万全の対策だ」と繰り返し用地買収と工事を進めてきましたが、その後の調査で汚染物質がさらに拡大しており、汚染を通さないという有楽町層が不透水層とは言えなかったことが明らかになりました。食の安全を優先するなら、豊洲東京ガス跡地への移転は中止すべきです。よって東京都中央卸売市場会計予算に反対し、修正案に賛成するものです。
以上で日本共産党都議団を代表しての討論を終わります。
以上