2013年都議会第3回定例会 討論 10月11日
里吉 ゆみ(世田谷区選出)
日本共産党都議団を代表し、第180号議案 「八ッ場ダムの建設に関する基本計画の変更に関する意見について」外1議案に反対、議員提出議案「保育所建設用地取得費補助条例」に賛成の立場から討論します。
第180号議案は、八ッ場ダムの建設工期を4年延長するために関係自治体の意見を聞くものです。八ッ場ダムは、過大な水需要予測と治水目標流量に基づいて計画されたものです。わが党は莫大な事業費をかける無駄な公共事業として建設を中止し、住民の生活再建対策をより踏み込んで進めることこそ必要との立場から、本議案に反対します。
わが党が提案した保育所用地費補助の条例についてです。
今年4月、認可保育園に申し込んでも入れない子どもたちが全都で2万1360人、昨年より1,500人以上も増えています。待機児解消は緊急の課題であり、認可保育園建設の最大のネックになっている用地取得費への補助がつよく求められています。そのために私たちは、条例提案を行いました。
もちろん待機児解消のためには、総合的な対策が必要です。その点では、自民党の代表質問では都有地活用の促進を要望されましたし、厚生委員会では定期借地で認可保育園を増やすことに言及されました。大いに賛成です。
それにとどまらず私たちは、認可保育園も認証保育所も小規模保育も、質の底上げを図るために、施設の拡充と職員の待遇及び配置の充実を進めることを求めてきました。この条例の成立をはじめ、ご一緒に保育施策の総合的な拡充のために、力を尽くそうではありませんか。
認可保育園でも園庭がないところが増えているから、必ずしも園庭は必要ではないという意見が出されました。しかし、園庭が確保できない原因の多くは、土地の確保が困難なことです。園庭は保育の質を支える重要な要素のひとつであるだけに、東京都は条例で、幼児1人あたり3・3u以上とすることを定めています。この条例本則を実現できるようにすることこそ東京都の役割であり、保護者や保育関係者の願いです。ぜひ用地費の補助を実現し、園庭のあるよりよい保育園を大きく増やそうではありませんか。
予算を伴う条例提案について議論になりました。首長が条例を提案する際はあらかじめ予算上の措置が的確に講ぜられる見込みを得なければならないとされていますが、議員提出議案の場合は、行政実例で「この制限はない」としています。執行機関の長との事前調整が必要ということになれば、事実上議員の議案提出権を大きく制約することは明らかです。議会の活性化のためにも、議員の議案提出権を活用することは重要です。だからこそ自治法改正で、議員定数の8分の1から12分の1に要件が緩和されたのです。その趣旨に照らして、予算を伴う議案について、議員の議案提出権をひろく保障することこそ必要です。
仮に用地費補助を受けた社会福祉法人が解散せざるをえない場合も、社会福祉法にもとづいて、土地を東京都や都内の他の社会福祉法人に帰属させることができます。
本条例の提案は、多くの都民の方々から歓迎されています。ぜひご賛同いただきますよう、心からお願いいたします。
長期ビジョンについて、その中心課題のひとつが少子高齢社会対策だと言うなら、それに見合う事業費が必要です。わが党は、事業費を2倍、3倍にすることを求めました。これに対し知事は、福祉と保健の予算が1兆円を超えたという答弁をくりかえしましたが、増額の主な内容は、高齢化の進展などにともなう社会保障費の当然増に過ぎません。保育園や特別養護老人ホームの増設などのため、都独自支援の強化が必要です。長期ビジョンでは、認可保育園や特養老人ホームの増設目標と都独自の支援、計画を明らかにして大幅拡充に取り組むべきです。
安倍首相は、来年4月からの消費税8%への増税を決断したと表明しました。知事もわが党の質問に対し、消費税増税は社会保障財源の拡充のため避けて通れない旨の答弁をしました。しかし、今回行われるのは、8兆円を超える史上最大の大増税であり、国民のくらしも経済も破壊することは明白です。しかも、首相は消費税増税による景気悪化を防ぐため、6兆円もの「景気対策」を行うというのですから支離滅裂です。さらにその中身も、2兆円は大型公共事業、2兆円は大企業減税です。
消費税増税は、「社会保障」や「財政再建」のためではなく、大企業へのバラマキのためだということが誰の目にも明らかです。とりわけ、復興特別法人税を一年間前倒しで廃止することはまったく道理がありません。しかも肝心の社会保障の改革なるものも、切り捨てのメニューが軒並みならんでいるのです。
日本共産党は消費税増税4月実施中止の一点で、さまざまな政党や団体、都民の皆さんと力を合わせてたたかうものです。
最後に、横田基地へのオスプレイ配備の問題です。
わが党が、CV22オスプレイの横田基地配備検討の動きに絶対反対を申し入れるよう求めたのに対して、都は「日米両国で協議をしている事実はない」と答弁し、この問題に対応する立場を示しませんでした。
一方、横田基地周辺の7市1町は政府に配備の撤回を求め、13自治体の議会も配備検討撤回を求める意見書を採択しています。沖縄でのオスプレイ配備は、日米両政府は協議の事実を隠してすすめ、直前になって通告し、強行しています。それだけに、オスプレイ配備が正式に決まる前に断念させることが重要です。都として、横田基地へのオスプレイ配備は反対であると、政府および米軍に厳しく申し入れることを重ねて求め、討論を終わります。