植木こうじ(中野区選出)
一、福祉・くらしの充実について
二、教育条件整備と教育予算確保について
三、経済政策、雇用・中小企業対策について
四、防災対策について
五、新たなビジョンと財政運営、都市基盤整備について
六、オリンピック・パラリンピックについて
七、原発問題について
八、猪瀬前知事の疑惑解明について
九、憲法問題について
【答弁】
知事
教育長
東京都技監
福祉保健局長
財務局長
知事本局長
産業労働局長
総務局長
オリンピック・パラリンピック準備局長
【再質問】
【再質問答弁】
教育長
東京都技監
知事本局長
環境局長
日本共産党都議団を代表して質問します。
Q 知事は、施政方針で東京を「世界一の福祉先進都市」にすると述べました。そのためには何よりも、知事が都民のくらしの実態を直視することが必要です。
都民の現状はどうでしょうか。東京の労働者の現金給与総額は、この十数年間で月平均9万2千円も減少し、労働者の3人に1人は非正規雇用、その7割が年収200万円にも満たないのです。生活保護受給世帯は12年間で2倍以上になりました。監察医務院の調査では23区内だけで2012年度は47人もの方々が栄養失調により死亡しています。高すぎる国保料が払えずに滞納世帯は増加の一途をたどり、都内で2万5千世帯以上が、保険証を持っていません。
そのうえ、4月からの消費税増税、年金の切り下げ、国保料に加え後期高齢者保険料の引き上げ、70歳から74歳の医療費2割への負担増などが、つぎつぎおしよせようとしています。
また知事は、「『政治は強いもののためでなく、弱い者のためにある』これが私の政治哲学」であると言いました。であるならば、都民のこうしたくらしの困難に寄り添い、解決していく立場を示すべきではありませんか。
Q 保育について、知事は施政方針で、4年間に「現在、8000人いる都内の待機児童をゼロにする」と述べました。働く女性は、今後さらに増え、入園希望者は増大していくと見込まれます。知事は今後4年間で、何人分の保育園を増設するのですか。
Q 私たちの調査結果では、今年4月の入園を申し込んで、認可保育園に入れなかった子どもは、2月末時点で、2万6千人におよびます。
待機児童問題に取り組む親たちのグループの代表者は、「私たちが求めているのは、質の保たれた認可保育所の増設による待機児童の解消。十分な設備や保育人員が確保されなければ本末転倒です。『どこでもいいから入れたい』という声は行政の無策によって追いつめられた結果に過ぎない。多くの親の声に耳を傾けてほしい」と訴えています。こうした都民のつよい要望があるからこそ、この4年間に2万4573人分の認可保育園が増設されたのです。知事は、この都民の声を受け止めるべきです。
2009年4月27日の参議院行政監視委員会で、当時、厚生労働大臣だった知事は、認可保育所の役割を問われ、「特に認可保育所の役割」は「ますます重要になっている」「ただ安かろう悪かろうで幾らでも保育所をつくればいいというものではない」「やっぱり質の維持をしながら量の拡大をやる」と答弁しています。都知事としても、この立場を大事にし、認可保育園を中心にすえて、保育の質を確保しながら量を増やすべきですが、いかがですか。
高齢者の介護施設整備も大きな課題です。
Q 知事は、施政方針で、「特別養護老人ホームの定員も大幅に増やす」と述べました。都内で特養ホームに申し込みながら入れない高齢者は、43,000人にのぼります。このため、老人施設などを転々とする、デイサービスに長期に宿泊せざるを得ないという高齢者も少なくありません。
都が実施し始めた、生活保護受給者の有料老人ホーム等の入所者調査によると、都外の施設に入所している高齢者が、4年前の3倍以上に増えています。
高齢者人口当たりの特別養護老人ホーム整備率は、東京都は全国41位、認知症高齢者グループホームは47位など、介護施設整備が圧倒的に遅れていることが、このような深刻な事態を生み出しています。知事は、大きく立ち遅れている東京の介護施設整備の現状を、どう認識していますか。
Q 知事は、特養ホームなどの整備について、いつまでに、どれだけ、どのような手立てをとって進めるのか、具体的に示すことが求められていますが、いかがですか。
Q 認可保育園や特養ホームを思い切って増設するためには、知事も言うように都有地の活用が重要です。都有地はいい所が残っていないとの発言もありましたが、活用可能な都有地は少なくありません。
各局や都の監理団体が持っている未利用地や、一定の行政目的があってもまだ利用されていない都有地もあります。都営住宅や公社住宅の建て替えで新たに生まれる土地も活用可能です。また、これから更新時期を次々迎える都有施設の建て替えのときに、保育園や特養ホームを合築することなども検討すべきです。知事のもとで、全庁あげて福祉施設整備に活用可能な都有地、監理団体の未利用地を洗い出すことが必要だと思いますが、お答え下さい。
Q 都有地の貸付料は、通常の半額、保証金も貸付料の30カ月分が必要です。これを大幅に引き下げることも重要です。知事が「都有地を周辺の10分の1の賃料で貸す」と述べたように、無償、もしくは10分の1など、大幅に低廉な地代での提供を一刻も早く決断すべきですが、見解を伺います。
Q 同時に、知事が述べた国有地の活用も重要であり、都内ですでに始まっています。宿舎跡地など活用可能な国有地は、まだ多くあります。しかし国有地についても、やはり貸付料が高いため、区市町村もなかなか手が出ないのです。
国有地の活用に関して、国とどのような合意ができたのですか。無償もしくは大幅に低廉な地代での提供を実現できるよう国に強く求める必要がありますが、知事の答弁を求めます。
Q 世田谷区は、区が国有地活用に、1カ所年間1千万円以上負担してでも認可保育園を整備する努力をしています。都も財政支援して、区市町村が国有地をより活用しやすくすることが必要ですが、いかがですか。
Q 知事が介護士、保育士の給料が低すぎるという認識を示し、「東京から少し介護士の給料を東京都の予算で上げようということを、今、工夫しております。」と発言していていることは、きわめて重要です。知事は具体的に、どのようなことを考えているのですか。
国民健康保険料・保険税や、医療費の負担軽減も、切実な課題です。
Q 国保料、国保税の相次ぐ値上げは、都民生活に深刻な影響を与えています。23区では均等割りが上がり続け、99年に26,100円だったものが、来年度の区長会の合意は43,200円と、15年間で約1.7倍にもなろうとしています。均等割りは赤ちゃんから高齢者まで国保加入者の家族人数分が必要ですから、低所得者はより負担が大きいのです。多摩地域でも11市1町が、国保税の引き上げを決定または予定しています。
国民健康保険加入者は、わずかな年金でくらす高齢者世帯や、非正規労働者が多く、国保料算定のもとになる所得が200万円未満の世帯が、7割をしめています。
国民皆保険の最後のとりでとしての役割をもつ国民健康保険を、憲法25条にもとづく社会保障制度として維持するためには、すべての加入者にとって負担可能な、適切な保険料にしていく必要があります。知事は選挙中、「東京を世界で一番、社会保障の進んだ大都市にしたい」と述べているのです。この立場から、重すぎる国保料の負担軽減について、どう認識し対応するのですか。
Q 70歳から74歳の医療費窓口負担について、国は1割に据え置いていましたが、4月以降新たに70歳になる方から2割にしようとしています。
政府は昨年12月の厚生労働委員会で、70歳から74歳の医療費を2割負担にすることにより、「受診行動の変化」で国の医療費が1400億円減ると、答弁しています。つまり、2割にすることによって受診抑制があることを認めているのです。知事は、受診抑制にもつながるこの問題を、どうとらえているのですか。
Q 高齢者のいのちと健康を守りぬく立場から、知事は国に対して、4月からの2割負担は中止するよう求めるべきです。
Q それでも国が2割負担にするというなら、都独自に1割負担を継続できるようにすることを求めます。いかがですか。
都民の生活を支える基盤である、住まいについて伺います。
Q 都の住宅マスタープランでは、「低所得者層については、低家賃の住宅が減少していることなど、安定した居住の場を確保することが困難な状況が見受けられる」と指摘しています。ところが、石原・猪瀬都政のもとで、東京都は、都営住宅の新規建設をこの15年間、ただの1戸もしていません。このため、都営住宅の平均応募倍率は全国最悪の24・5倍です。東京をのぞく道府県の平均6・6倍をはるかに上回っており、都営住宅に入るのは、まさに宝くじなみ、何回申し込んでも入れないという切実な訴えが、多く寄せられています。こうした実態をどう認識しているのですか。
住宅セーフティネットのカナメとして、都営住宅の新規建設の再開は待ったなしです。直ちに再開して下さい。知事、いかがですか。
Q 次に、教育条件整備および教育予算確保について、知事に伺います。
都内小中学校での少人数学級の拡充は、子どもたち、保護者、現場教職員はもちろん校長、副校長など管理職もふくめた強い要望になっています。
OECD諸国では、1クラス当たりの児童・生徒数の平均が小学校21・3人、中学は23・3人と、少人数学級は世界の流れとなっています。一方、都内公立小学校は、1クラス当たり29・1人、中学校は31・8人です。世界の流れにくらべて大きく立ち遅れています。
山梨県では、10年前に小学1、2年生に35人学級を導入し、今年4月には、小中学校全学年が35人学級になります。山梨県知事は、基礎学力の定着や学力の向上とともに不登校など生活面の改善などにも確実に効果が現れているとして、県独自の少人数学級を「小中学校の全学年に拡大することを決断」したと、述べているのです。山形県や滋賀県などでも、少人数学級が前に進んだのは、知事の決断でした。
19県が、小中学校全学年で少人数学級を実施し、学年進行で35人以下学級を拡充しています。先生が一人一人に寄り添って子どもの声を受け止め、ていねいに指導できるので、学習意欲の向上や良好な人間関係づくりにつながるなど成果があがっており、教育界あげての要求になっているのです。
ところが、東京都は小学1、2年生と中学1年生が35人学級になっているだけです。
そもそも来年度の教育庁予算は、1999年度にくらべて児童・生徒数はほぼ同じなのに、577億円も減っています。知事、教育予算を大幅に増やし、東京の未来をになう子どもたちのために、少人数学級を拡充すべきと考えます。予算編成権を持つ知事の認識を伺います。
都民のくらしと雇用、中小企業を守りぬく経済政策への転換について、伺います。
Q 安倍政権が、アベノミクスの名で進めている経済政策は、決して新しいものではありません。大企業を応援してその儲けを増やせば、いずれは雇用、給与、家計に回ってくるという、すでに破たんした「トリクルダウン」の考え方、〃おこぼれ経済学〃というべきものにほかなりません。
実際、アベノミクスのもとで、日本の景気や雇用はどうなっているでしょうか。大企業や大株主は巨額の利益を上げ、大企業は272兆円もの内部留保をため込む一方で、政府統計でも労働者の賃金は3年連続減少しています。雇用でも正社員が減らされ、不安定、低賃金の非正規雇用が増えて4割近くになります。中小企業の営業や家計は冷え込むばかり。世論調査でも景気回復を「実感していない」が75%も占めているのです。
しかも、それに加えて、消費税増税と社会保障の負担増、給付減で、十兆円の国民負担増がおしつけられようとしています。これでは、くらしも経済も破壊されることは、明らかではありませんか。知事の見解を求めます。
Q 知事は都知事選挙で、「東京を国家戦略特区にして、東京で自由にやってみる」「企業が最も活動しやすく、個人が最も働きやすい都市へと変革していく」と主張しました。
しかし知事が安倍政権と一体になって東京で進めようとしている国家戦略特区とは、知事自身が「妥協のない規制緩和」と言っているように、雇用問題だけみても、特区内は労使の契約でいつでも解雇できるようにすることや、労働時間の上限規制の緩和などが検討されており、使い捨て労働と長時間労働が強力におし進められる危険があります。
知事が述べているように、東京全体をこの特区にすれば、知事の政策である「最も働きやすい都市」どころか、最も働きにくい都市になり、東京中が〃解雇特区〃〃過労死特区〃となりかねないのです。知事、東京都は国家戦略特区の指定を受けるべきではありません。お答え下さい。
Q 経済の「好循環」の土台は、雇用の安定と賃金アップ、社会保障の充実、中小企業の活性化などによる内需の拡大です。したがって今、都政が何よりも重視すべきは、地域経済の主役である中小企業への直接支援の抜本的拡充、および賃金の引き上げと雇用の安定化をはかることだと考えますが、知事の見解を伺います。
この点で、ブラック企業対策は、若者の雇用を守り、充実させるために欠かせない緊急課題です。
Q わが党は昨年第3回定例会代表質問で、労働者を大量採用しては人を人とも見ない過酷な働かせ方で次々離職に追い込むことで社会問題になっている、いわゆる「ブラック企業」を規制するよう都の対策を求めました。
しかし猪瀬前知事は、国が取り締まっているとして、都としての対策に踏み出しませんでした。一方、神奈川県では知事が議会で「ブラック企業は、労働基準法違反という法的な問題があるだけでなく、多くの若者の将来を脅かす、見過ごすことができない存在であり、県としても早急に対応していく必要がある」としてセミナーやリーフレット作成などに取り組み始めました。
舛添知事は、2009年6月の参議院の質疑で「グローバル化が進んだときに、国際競争力を保つという理由の下で様々なしわ寄せが労働者のほうに来ているんじゃないか」と述べ、「労働に関する法律について、遵守(じゅんしゅ)率が極めて低いんではないかと思っていますから、やはり労働を担当する省がもっとしっかりして周知徹底させる」と答えています。当然の立場ですが、改めていま大問題になっているブラック企業について、知事の認識を伺います。
Q 国も昨年9月に「若者使い捨てが疑われる企業」の調査を行い、田村厚生労働大臣は「問題を野放しにしては日本の将来はない」「ブラック企業といわれているような、若者を使い捨てしている企業を無くしていきたい」と明確に述べました。
東京労働局では調査したうち84%に違法が見られ、違法な協定で時間外労働をさせ、とってもいない休憩の分を天引きしたなどで、未払い賃金3億6千万円を払わせたことなど悪質な事例への是正指導を、初めて公表しました。担当者は「大臣の発言が監督・指導の大きな追い風になった」と述べています。
知事としてブラック企業を許さない立場を宣言し、国と連携して長時間・過酷労働、パワーハラスメント、高い離職率などの実態を調査し、公表すること、パンフレットやセミナーなど可能な普及・啓発事業を積極的に取り組み、社会的に追いつめていくことが必要ではありませんか。知事の答弁を求めます。
次に中小企業支援についてです。
Q 知事は、施政方針で「中小企業を応援する産業政策を積極的に展開する」と述べましたが、中小企業振興政策をどのように展開するのですか。
この間、東京の中小企業は、製造業、商店街、建設業など、のきなみ衰退の一途をたどってきました。この原因はどこにあるのか、これまでの都の中小企業対策のどこに問題があったのか、中小企業や区市町村などの意見をくみ上げて中小企業振興策を再構築していくことが重要だと考えますが、知事いかがですか。
Q とりわけ私が強調したいのは、小規模企業・家族経営を守り、振興する具体策を進めることです。
先日、中小企業庁の担当者から話を伺いました。これまでの国の中小企業政策が、比較的大きな中規模企業などに焦点があてられがちだったなかで、全国的にも中小企業の衰退と高齢化が深刻になっている。すぐれた技術を持ち、地域経済の安定などに積極的な役割をもつ小規模企業者を中心にした政策をつくり、中小企業全体を底上げし持続・継承できる対策が必要であるため、「小規模企業振興基本法」を準備中とのことでした。
すでにEUでは、小規模企業・家族経営を重視する政策が広がっています。転換点となったのが、小規模企業をヨーロッパ経済の背骨、雇用の主要な源泉と役割を明記した「EU小企業憲章」を制定したことです。近年では中小企業が、EUの国内総生産の6割を生み出すまでになっています。
東京には、すぐれた技術をもつ小規模企業が集積しています。小規模、個人企業からなる商店街が高齢化社会の中で果たす役割が高まっています。知事は、EUの小規模企業の位置づけをどのようにとらえていますか。都として、「小規模企業振興計画」をつくるなど、抜本的に支援を拡充するよう求めるものですが、いかがですか。
Q 製造業については、地域の中小企業が連携して技術を結集し、下町の中小企業が大学、研究機関、地域金融機関などと組んで無人深海探査機「江戸っ子1号」を開発するなど、各地の取り組みが注目されています。中小企業団体の方は、「中小企業の、さまざまなモノを作る能力を引き出し、つなげることができれば、あたらしいものを創造する可能性は十分にある」と話されています。
病院ではどのような医療器具が、福祉施設ではどのような福祉機器が必要とされているかなど、都内の様々な事業所に足を運んで御用聞きをし、大学や研究機関、デザイナーなどともつないで、中小企業のすぐれた技術を生かした新製品をつくることが、モノづくりの振興に欠かせません。こうした取り組みを調整し、まとめることができる数多くの専門家を、経験豊富なOBを活用することもふくめ、区市町村などと協力して長期的に育成するよう求めますが、いかがですか。
次に防災対策です。
Q 昨年12月、「中央防災会議」が、予想される首都直下地震についての最終報告を公表しました。そこでは、マグニチュード7・3クラスの首都直下地震が今後30年以内に70%の確率で発生すると述べ、被害想定では、全壊と焼失する建物は都内全体で約33万棟、倒壊や火災などによる死者は最悪で1万3千人、帰宅困難者は都内で最大490万人になるとしています。
重要なことは、「建築物の被害は、死者発生の主要因であり」「あらゆる対策の大前提として、建築物の耐震化の取り組みを推進する必要がある」と指摘していることです。同時に出火を防止するために、通電火災を防ぐ感震ブレーカーなどの100%配備の方策を緊急に実施すべきなどの予防対策を強調しています。これに加えて、初期消火や避難対策などを進めることによって、被害を10分の1まで減少させられるケースも示されているのです。
知事は施政方針で、「知事の最大の使命は都民のいのちと財産を守ることであり、首都直下地震など震災への備えを万全にしなければならない」と強調しました。住宅の倒壊や出火防止対策の推進をはじめとする、国民のいのちと財産を守る予防対策の重要性を打ち出した「中央防災会議」の報告を、どう受け止めていますか。
私は、首都直下地震から、都民の生命・財産を守るためには、都の防災対策のあり方と内容を、思い切って転換すべきと考えます。
Q これまでの石原・猪瀬都政は、もっぱら「自己責任」を強調し、都民のいのちと財産を守るうえで最も重要な、住宅の耐震・難燃化への助成について見れば、その実績はまさに微々たるものにすぎません。犠牲者を最小限にするために、この方針を転換し、木造住宅密集地域はもちろん、住宅の倒壊を防ぐため耐震化助成の対象と内容を思い切って拡充すべきですが、知事いかがですか。
Q 不燃化・難燃化対策をはじめ、建物・住宅での家具の転倒・落下防止などの支援、助成を、大胆かつ緊急に進めるべきです。また、倒壊後の通電火災を防ぐ感震ブレーカー・感震コンセントなどの設置についても、必要な助成を行う必要があります。いかがですか。
知事が都民に約束した「世界一の福祉先進都市」実現のための保育園や介護施設の整備や医療の充実、雇用・中小企業対策、「世界一安全な都市」への防災の課題などを、本気で取り組むためには、その財源の確保が必要です。
Q 知事は、めざすべき東京の将来像と達成すべき政策目標を具体的に示す新たなビジョンをつくることを表明しました。猪瀬前都政の長期ビジョンは、重点事業費の31%を大型開発につぎ込む一方、少子化対策は2%、高齢者対策3%、若者対策はわずか0・7%でした。「世界一の福祉先進都市」をめざすというなら、長期ビジョンのあり方を転換し、大型開発を抑制し、少子高齢化、若者対策の比率を大幅に高めるように改めるべきだと思いますが、知事、いかがですか。
Q 都市基盤の整備について言えば、高速道路や一般道、港湾施設、防潮堤や水門、河川堤防や橋梁をはじめ、膨大な公共建築物の維持・管理と更新・耐震化に取り組まなければなりません。
2009年に財務局が策定した主要都有施設840箇所の維持更新計画では、10カ年で総額8300億円が見積もられています。しかし現状では、そのうち第1期分としての2700億円のうち、9割以上の費用を予算計上していながら、改修するはずだった国際フォーラムやビッグサイトがいまだ完了せず、江戸東京博物館や現代美術館は、まだこれからという状況なのです。
しかも東日本大震災後は、建設技術者不足が顕在化したうえ、輸入資材単価の値上がりなどで、入札不調とやり直しが相次ぎ、見積もりの増額を余儀なくされています。
こうした財源は、これからどれぐらい必要なのですか。
Q 都の財政運営においては、新たな高速道路や骨格幹線道路などの事業は極力抑え、都の公共工事の重点は、新規の建設から維持更新や補強、福祉・教育施設などを重点にしていく必要がありますが、いかがですか。
Q とりわけ外環道は、大深度地下の高速道路整備に1兆2820億円、地上部道路「外環の2」も入れると約2兆円の巨大事業です。さらに都は国に対し、東名高速道路以南の延伸で湾岸道路までの20キロを整備することまで要望しており、将来の都と都民に果てしない負担を残す事業となります。
知事は就任の記者会見で、大橋ジャンクションを例に、高速道路の自動車が都心に入らず通過できる点で環状道路の有効性を発言されました。同時に道路や鉄道、地下鉄などの交通体系の有機的関連の発想がないことや自転車活用の遅れが東京の問題点だとして、「全交通体系を見直す中で3環状の問題も考えたい」と述べました。
そこで私は、来年度中に3環状のうち都内では2路線が完成するという状況をふまえて、そのうえさらに、2兆円もの巨費を投じて外環道を建設することが本当に必要なのか、冷静に考えていただきたいのです。
東京都は、環状道路が都心への自動車流入を減らすと言いますが、ロンドン市では外周道路M25を整備した結果、M25に予測交通量の平均で1・6倍、多い箇所は2・5倍もの自動車交通が発生したことから、環状道路整備抑制に転じ、環状高速道路の整備は1本だけで、あとの環状道路は一部を除いて一般道路です。そして、都心への交通は極力、公共交通利用を誘導することなどを進めています。
知事、外環道整備は再検討すべきです。見解を求めます。
次に、2020年開催の東京オリンピック・パラリンピックの取り組みについてです。
Q 知事は、「史上最高・世界一のオリンピック・パラリンピック」と強調しましたが、何よりも重要なことは、「人間の尊厳保持に重きを置く、平和な社会を推進する」というオリンピック憲章の実現に努めることです。そのためにも、都民の生活や環境と調和のとれたものとするために全力をつくすことが求められていると考えますが、知事いかがですか。
Q ロンドンでは、市民の生活向上ために、選手村の半分はオリンピック後に低所得者の公的住宅とし、オリンピックパークでは学校や病院の整備が進められています。また国際パラリンピック委員会は、バリアフリーや障害者雇用率の引き上げなどの目標をもって取り組むことを開催都市に求めています。都としても、貧困と格差を解消し、都民のくらしと福祉の向上、バリアフリーをはじめ障害者施策向上などの目標をもって取り組むことを提案します。知事の見解を求めます。
Q スポーツはすべての人の権利というオリンピックの理念にもとづき、障害者もふくめ都民のスポーツ参加推進も重要課題です。都は週1回以上スポーツをする人の割合を、オリンピックまでに70%まで引き上げる目標をかかげていますが、どのように推進していくのですか。
Q 東京の人口当たりの社会体育施設数は全国46位と低く、スポーツ団体などが会場確保にたいへんな苦労をしています。都立施設の充実はもちろん、身近な体育施設拡充のための区市町村への支援を抜本的に強化することを求めます。
また、障害者スポーツ推進のために、区市町村への支援の強化、指導員の養成と配置促進が求められています。それぞれお答え下さい。
オリンピック競技会場の整備は、競技の保障や観客の安全確保をしながら、環境にも配慮し、建設費や大会終了後の維持管理経費を必要最小限におさえることが重要です。
Q 知事は、多くの建築家や学者、関係者から抜本的見直しが求められている新国立競技場計画について、「8万人収容してやることがオリンピック招致の条件」だと発言しました。しかしIOCが求める客席数は6万人で、開閉式屋根も求めていません。神宮外苑の歴史的景観の保全に努めるとともに、規模、開閉式屋根などを抜本的に見直すことが必要です。知事、いかがですか。
Q さらに、国が整備費として500億円を都に求めていることは論外です。これは国立施設であり、国の責任で整備すべきという都の従来の主張を無視するものです。500億円負担はきっぱり拒否すべきです。知事の答弁を求めます。
Q 都が新規に行う9カ所の競技会場整備も、現在の計画では費用がふくれあがりかねません。その要因は、既存施設の利用でなく新規整備に偏重し、かつ液状化対策が求められる臨海部に集中していることです。そのうえ施設の客席数が、たとえば水泳会場のIOC基準は1万2千人ですが、都の計画では2万人とされるなど、9施設中7施設が過大となっているのです。オリンピック後を考えても、維持管理費や利用料を低くおさえられる、都民にとって利用しやすい規模にすべきではありませんか。
Q 競技場は、周辺環境や自然と調和したものでなければなりません。日本野鳥の会をはじめ多くの自然保護団体などから見直しが求められている葛西臨海公園でのカヌースラローム競技計画について、わが党の質問に都は江戸川区や野鳥の会の話を聞くと答弁しました。関係者の声をうけとめ見直すべきです。いかがですか。
原発問題について質問します。
Q 政府は「エネルギー基本計画」案を決定しました。原発を「重要なベースロード電源」と位置づけ、原子力規制委員会の規制基準に適合すると認められた原発の再稼動を認めると明示しています。
原発を稼動させれば、使用済み核燃料が出ます。しかし人類は、使用済み核燃料、いわゆる核のゴミを安全に「再処理」する方法も、再処理した後の放射性廃棄物を「最終処分」する方法も持ち合わせていません。
福島第1原発の場合、メルトダウンした原子炉の中の状態はいまなお不明です。放射能汚染水は、1日400トンも出ており、汚染水もれの事故が相次ぐなど、まさに非常事態です。
事故の収束の見通しも、「核のゴミ」の処理方法もない、汚染水問題、放射性物質による外部、内部被ばくの不安など、どの角度から見ても原発のリスクは大きすぎます。
知事、政府の原発恒久化宣言とも言うべき「エネルギー基本計画」について、また原発再稼働のリスクについて、どう考えますか。
Q 東京電力は、原子力規制委員会の新規制基準に基づき、柏崎刈羽原発6,7号機の再稼動に向けて適合審査の申請をしました。原子力規制委員会の新規制基準は、一定の確率で事故が起きることを前提にしています。
柏崎刈羽原発の再稼動に対して、株主として明確に反対の意見を表明すべきと思いますが、知事いかがですか。
Q 新潟県の泉田知事は、「福島第1原発の事故の検証、総括を行うべき。事故の総括がないまま再稼動の手続きが進められれば、国の原子力行政や電力業界は国民の信頼をさらに失うことになる」と、繰り返し述べています。
柏崎刈羽原発は、2007年の中越沖地震のとき、3号機で火災が発生し、6号機で放射性物質が海に流出した事故がありました。再稼動に慎重な立場をとっている新潟県知事の考えは当然ではないでしょうか。
いまこそ知事が、新潟県の泉田知事と直接、意見交換することが大事ですが、いかがですか。
Q 次に、猪瀬前知事が徳州会から受け取った5000万円ウラ献金の問題です。これは、都政のトップが引き起こした問題であり、ウラ献金によって都政がゆがめられた疑惑です。
昨年第4回定例会における、わが党の東電病院の入札経過に関する質問に対し、猪瀬前知事は、「東京都の関知するところではない」と答えています。
しかし、総務委員会に提出された資料では、副知事だった猪瀬氏が出席した東電との定例会合で「売却の進捗状況」が報告されていたことが明らかになっています。しかも驚くべきことに、この定例会合準備の打ち合わせで猪瀬氏は、「東電病院に関して○○病院の人に電話をしておいた」と発言し、福祉保健局が「一定程度であれば○○病院はOK」と述べているのです。関知しないどころか、明確な介入ではありませんか。
私が○○病院と言ったのは、病院名が黒塗りにされていたからです。この黒塗りの○○病院は2文字で、徳州会は3文字ですから、東電病院売却問題で、複数の病院に関与した疑いもあるのです。副知事がここまで介入しているのです。
いずれにせよ知事選の直前に、徳田虎雄氏から猪瀬氏に「東京電力病院の取得」の意向が伝えられ、その時に、自らが東電病院の売却を迫ったことを話し、その2週間後に5千万円を受け取ったという疑惑は、きわめて濃厚です。
さらに、猪瀬氏は徳州会側から「5000万円の申し出があった」と説明していましたが、徳田毅氏は先日の記者会見で「猪瀬氏から貸して欲しいという依頼があった」と述べており、疑惑は深まるばかりです。
知事の権限は、病院の開設や増床などにおよぶものであり、猪瀬前知事の東電病院売却に介入した疑いとウラ金5000万円の意味合いの解明は、都政にとって避けられない重要課題です。
舛添知事は必要な情報を明らかにするなど、知事として解明に全力をつくすよう求めるものです。お答え下さい。
わが党は、都政をゆがめた猪瀬前知事の疑惑の解明に今後も全力をつくすものです。
最後に、憲法問題について質問します。
Q 安倍首相が、「最高責任者は私だ。政府の答弁に私が責任を持つ」、「選挙の審判を受けるのは私だ」などと言って、集団的自衛権の行使を憲法解釈で変更しようとしています。首相の発言は、歴代政府がそれなりに「論理的な追求の結果」として示してきた憲法解釈を否定し、時の政権が選挙で多数を獲得すれば憲法解釈を勝手にできるというものであり、立憲主義を真っ向から否定するものです。このため幅広い国民はもとより、与党内や海外、そしてメディアからも批判が続出しています。
自民党内でも幹事長経験者や元衆院議長、元大臣などから、立憲国として考えられないなどの批判がひろがり、公明党の国対委員長は「国民の声を聞くという一番大事な部分が欠落しており、到底賛成できない」とメールマガジンで批判しています。
坂田雅裕元法制局長官も、憲法解釈は「解釈改憲で集団的自衛権を容認したら、法治国家ではなくなる」と強調しているのです。いま求められているのは、憲法改定の是非、集団的自衛権行使の是非を超えて、安倍首相の立憲主義否定の暴走を許さないために力を合わせることではないでしょうか。知事、いかがですか。
知事は最近出版された著書でも立憲主義を強調していますが、政府の統治を憲法に基づいて行うという、立憲主義の立場にしっかり立って、この問題に対応されることを求め、再質問を留保して質問を終わります。
〇知事 植木こうじ議員の代表質問にお答えいたします。
都民の暮らしについてでございますが、都民の生活実態はさまざまであり、その中に困難な事情を抱えている方もいることは十分承知しております。こうした方々のために、日本の社会保障制度では、各種手当や、医療保険制度、介護保険制度などの中でさまざまな軽減措置が設けられているほか、最後のセーフティーネットとして生活保護制度が用意されております。
私は、自助、共助、公助で成り立っている日本の社会保障制度を踏まえた上で、福祉サービス基盤の整備など、さまざまな都民ニーズに応える福祉政策を展開していくことが、都が果たすべき役割だと考えております。
次に、保育サービスの質の確保及び拡充についてでございますが、子育てをしながら仕事を続けたいと願う保護者にとって、保育サービスの充実は切実な願いであり、私にもそれは経験がございます。そのために、私は認可保育所、認証保育所、家庭的保育など、地域の実情に応じた多様な保育サービスの整備を積極的に支援していく所存でございます。利用者のニーズに合わせていいサービスを提供することが、福祉サービスの基本であると考えております。社会福祉法人であろうと、株式会社であろうと、認可保育所であろうと、認証保育所であろうと、質を確保しながらサービス量の拡大を図るのは当然であります。
介護施設整備の現状についてでありますが、都内の特別養護老人ホームの入所申込者数は約四万三千人となっております。今後、要介護高齢者がさらに増加することを考えますと、特養など介護施設の定員はふやしていく必要があると思います。お話にありました他県との比較をいたしますならば、東京の有料老人ホームなど特定施設の整備率は全国一位、訪問介護も全国六位という数字もあわせて論じるべきだと思います。
いずれにせよ、今後とも都は、地域包括ケアの考え方に基づいて、在宅サービスや施設サービスを計画的に整備できるよう、さまざまな施策を講じてまいります。
次に、福祉施設整備に活用可能な都有地についてでございますが、都有地は都民の負託を受けた貴重な財産であり、都の重要政策に活用していくため、都はこれまでも活用可能な都有地について的確に把握し、福祉インフラ事業で積極的に活用してまいりました。しかし、活用可能な都有地は地域的に偏在しており、また直ちに利用できる土地は限られております。このため、都有地に限らず、国有地、民有地等も含めた広範な土地活用策について検討するチームを、関係部局により設置することを指示したところでございます。今後とも、福祉施設の整備のため、有効な土地活用を進めてまいります。
続きまして、介護職員や保育士の処遇改善についてでありますが、介護職員や保育士の処遇は十分ではありません。その一番の問題は、キャリアパスの仕組みが十分でないことであります。現在の介護報酬には、平成二十四年度から職員のキャリアを評価する仕組みが導入されましたが、大都市の物価水準に見合ったものにはまだなっておりません。保育士には、経験年数に応じた運営費加算だけで、キャリアを評価する仕組みはございません。こうした仕組みは、本来、国が整えるべきであり、厚労大臣とも十分に議論して、国の政策に反映させるように働きかけてまいります。
また、都は既にさまざまな補助を実施しており、国の動きに合わせ、そのあり方も十分議論していきたいと思っております。
続きまして、国民健康保険料の負担軽減についてでございますが、国民健康保険制度は、保険料が二分の一、公費が二分の一の財源を基本とした、世代間の助け合いという共助の考え方に立った社会保険制度でございます。また、国民健康保険の保険料や保険税の賦課方式や料率は、保険者である区市町村の議会において、さまざまな審議を経て決定されております。
国保保険料の負担軽減には、これにかわる財源の投入が必要でございますが、これを安易に公費、税金で賄うということは、制度の根幹にかかわる問題であります。もとより、現在の国民健康保険制度には構造的な問題があることは認識しております。だからこそ、国も社会保障制度改革の中で、国保制度の見直しを進めているわけであります。
都は、国民皆保険を守るという観点から、必要な財源の確保も含め、持続可能な制度となるよう、国と協議を行い、提案要求を行っていく所存であります。
続きまして、七十歳から七十四歳の医療費の窓口負担と受診抑制について質問がございました。
一般的に、患者の負担の割合が増加すると患者数が減少することが経験的に知られており、必要な医療までもが抑制されることのないよう、十分な手だてを講じる必要があります。今回の国の措置では、まず、既に七十歳となっている高齢者については、引き続き一割負担を継続していること、また、新たに七十歳となる方から順次二割負担とするもので、個々人で見れば、六十九歳までの三割に比べ負担は減ること、さらに低所得者の方などについて、自己負担の上限額を据え置いており、必要な受診が抑制されることのないよう十分な配慮が行われているものと考えております。
続きまして、都営住宅の新規建設の再開についてでございますが、都営住宅については、これまでも既存ストックの有効活用を図り、適切な供給や管理の適正化に努めてまいりました。今後とも、社会経済情勢が変化する中で重要な役割を果たしている都営住宅について、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるように取り組んでまいります。
続きまして、都民の暮らしや経済についてでございますが、我が国は、安倍政権が展開する脱デフレの経済政策により、長い不況のトンネルを抜けつつあります。東京も政府としっかり連携協力しながら、さまざまな政策を加速化させ、改革を進めてまいります。さらに、東京オリンピック・パラリンピックの開催準備を起爆剤として、経済に力を与え、富を新しくつくり出し、これを都民生活の向上につなげてまいります。
今後とも、東京が先頭に立って日本全体を力強く牽引し、東京そして日本を明るく元気にしてまいります。
次に、若者の雇用環境についてでございますが、働く意欲のある人が能力や個性を十分に発揮して働き続けられる社会をつくり、豊かさを実感できるようにすることは重要であります。東京の産業の国際競争力を高め、世界をリードするためにも、企業が良好な雇用環境を整え、従業員が安心して働けることが必要であります。労働基準法など関係法令を遵守するのは企業の当然の責務であります。法令に違反する企業に対しては、法に基づき、国が指導や取り締まりを実施しております。
東京都は、労働関係法令の普及啓発や、職場でトラブルを抱えた方への支援などの役割を担っており、若者や企業に向け法令を周知するとともに、労働相談を実施しております。都としては、引き続きこうした取り組みを進めてまいります。
続きまして、東京の中小企業振興についてご質問がございました。
東京の産業を支える中小企業は、リーマンショックや行き過ぎた円高など、厳しい経営環境の中にあっても、経営革新に取り組み、困難な状況に立ち向かってまいりました。都はこれまで、小さいながらも懸命に頑張っている中小企業に対して、制度融資を初め、資金繰りに万全を期すとともに、新たな取引先の開拓を支援するなど、幅広い面から下支えをしてまいりました。来年度におきましても、経営基盤の強化や成長産業分野への参入促進など、必要な支援策を実施することとしております。
今後とも、現場の実情に即した施策を講じ、中小企業の活性化を図ってまいります。
続きまして、中央防災会議の報告についてですけれども、報告によりますれば、マグニチュード七クラスの首都直下型地震が発生する可能性は、三十年以内に七〇%、死者数は首都圏全体で最大二万三千人、経済的被害は国家予算一年分に相当する約九十五兆円が失われるというものであります。改めて、都民の皆さんの生命と財産を守るため、大地震への備えを万全にしていくことが重要であることを認識した次第でございます。
現在、既に東日本大震災の教訓や東京の被害想定を踏まえて修正した地域防災計画に基づき、木造住宅密集地域の改善、道路ネットワークの整備などの予防対策と同時に、初動体制の強化や被災者への物資供給といった応急復旧対策を推進しております。
今後とも、こうした公助を担う行政の取り組みに加え、自助、共助それぞれの力を結集させ、世界一安全・安心な都市の実現に取り組んでまいります。
次に、ビジョンのあり方についてでありますが、東京を世界一の都市へと引き上げていくためには、都民の安心・安全の確保、少子高齢化への対応、まちづくりや交通政策など、さまざまな課題について達成すべき目標と具体的な工程表を示し、解決への道筋を描いていく必要があります。個々の事業の内容を論ずることなく、単純に総事業費に対する比率のみを取り上げて議論することには意味がありません。
今後策定するビジョンにおいて、都民にとって真に必要となる政策を、ハード、ソフト両面からしっかり示し、東京の将来像、グランドデザインを明らかにしてまいります。
次に、外環についてでありますが、外環は都心に入る必要のない車を迂回させる有効な手だてであり、環境面でも大きな効果があります。東名から関越まで行くのに環八を使って六十分かかるところが、外環ができれば十二分で行けます。さらに、首都直下型地震等が発生した際には、日本の東西交通の分断を防ぐなど、救援活動を支える震災復旧道路になることは確実であります。
こうした外環を初めとする首都圏三環状道路の整備は、東京の交通体系を有機的に機能させるための大きな柱の一つであります。外環は、東京オリンピック・パラリンピック開催時の円滑な交通を確保するためにも、二〇二〇年早期の開通が必要であります。
なお、事業費について、今、明らかなのは、関越から東名までの一兆二千八百二十億円のみであり、地上部街路も入れて二兆円という架空の話は意味がありません。
二〇二〇年大会についてでありますが、オリンピック憲章はその理念として、スポーツを人類の調和のとれた発達に役立てることをうたっております。振り返れば一九六四年の大会は、開催を契機に新幹線が走り首都高速が伸びるなど、戦後復興をなし遂げ、高度成長時代の幕あけとなりました。
二〇二〇年大会は、成熟都市東京がさらに機能的で魅力的な都市へと変革を遂げるための絶好の機会となります。大会開催を通じて、輸送インフラの整備やバリアフリー化の促進、スポーツ振興や国際交流を図るとともに、次世代を担う子供たちに夢や希望を与えてまいります。
憲章が掲げる理念のもと、スポーツの力で都民、国民の力を一つに結集して、万全の準備を行い、二〇二〇年大会を世界中の人々の記憶に残る史上最高の大会として成功させ、東京を世界一の都市に導いてまいりたいと思っております。
二〇二〇年大会と都民生活の向上についてご質問がありました。
オリンピック・パラリンピック大会の開催は、東京を誰もが暮らしやすい町へと変えていくことに大きく貢献いたします。例えば、競技施設や交通機関のバリアフリー化を促進し、全ての人々が安全で快適に移動できるような都市機能の向上を図ってまいります。
また、スポーツを子供から高齢者まで全ての都民に一層身近なものにしていくことで、生涯健康社会を築いてまいります。さらに、パラリンピック大会の開催に向けて、障害者スポーツの普及と振興を図り、障害のある人とない人の相互理解と交流が広がる共生社会を実現いたします。このようなさまざまな取り組みを通じて、年齢、性別や障害の有無を問わず、皆が生き生きと暮らせる社会を目指してまいります。
続きまして、エネルギー基本計画と原発の再稼働についてご質問がございました。
エネルギー政策は国の根幹にかかわる基本政策で、国が決めることであります。先日公表されたエネルギー基本計画の政府原案では、原発を重要なベースロード電源としつつ、原発依存度については、省エネルギー、再生可能エネルギーの導入や火力発電所の効率化などにより、可能な限り低減させるとしております。この計画については、今後も検討が続けられた後に、閣議決定がなされると聞いております。
また、原発の再稼働につきましては、国会での議論を経て、専門的知見に基づき公正中立な立場で、独立して職権を行使する行政機関として原子力規制委員会が設置されており、この委員会が科学的な見地からさまざまな調査を行い、リスクの評価や新規制基準への適合性の判断を行います。その結果、基準への適合性が認められた原発については、立地地域の意見を聞きながら、国が最終的に原発の再稼働について判断していくべきものであります。
次に、柏崎刈羽原発の再稼働について質問がございました。
ただいま申し上げましたとおり、公正中立な立場の原子力規制委員会が専門的知見に基づき判断し、その結果を踏まえて国が決めていくべきものであり、都が東京電力の株主として意見を表明することは考えておりません。
続きまして、新潟県との関係についてでありますが、東京は使用電力のほとんどを他地域での発電に依存しており、我々がこれまで快適な生活を送ることができたのは、新潟、福島などの電源立地地域の方々のおかげであります。また、泉田新潟県知事が、福島第一原発事故の検証と総括が先といっていることは、原発立地地域であり、中越沖地震を経験されたことや、同じ東京電力の発電所であることを踏まえたご発言であると理解しております。
東京は、電源立地地域の方々への感謝の気持ちを忘れず、電力の大消費地としての責務を果たしていかなければなりません。そのため、省エネ、節電の徹底や再生可能エネルギーの普及拡大に、都知事として全力を尽くしてまいります。
続きまして、猪瀬前知事の金銭受け取りに関する疑惑解明についてご質問がございました。
昨年末に発覚した猪瀬前知事の金銭受け取りにまつわる疑惑は、都民の不信を招きました。そして、都議会の皆様方は、その疑惑を見過ごさない、徹底して追及するという強い姿勢を示されました。それが前知事の辞職という形で、都政を前に進めたものと考えております。
知事不在の空白期間が約二カ月続き、今ようやく都政を前に進めようというときであります。私自身、知事就任後、直ちに予算を査定して、こうして議会に臨んでいるわけであります。
都政には、解決しなければならない課題がたくさんあります。もはやこれ以上、都政を停滞させることは許されません。この問題に時間を費やすつもりはないし、そんな時間もございません。本件についての真実の解明は、捜査機関の仕事であると考えております。
続きまして、憲法と集団的自衛権の問題についてでありますが、私はかつて参議院の憲法調査会の幹事であり、また、森喜朗氏が委員長であった自民党の新憲法起草委員会の実務を取り仕切る事務局次長を務め、平成十七年、二〇〇五年に発表された新憲法草案の取りまとめを行いました。集団的自衛権の行使を憲法に明記するか、解釈で可能にするかは、人によってそれぞれ意見があることはよく承知しております。
私は、集団的自衛権の行使について、憲法第九条の改正がベストであるが、解釈の変更によっても可能であるという考えでございます。先ほど申し上げた新憲法起草委員会での結論も、憲法条文に書くのではなく、法律で規定するというものでありました。
いずれにせよ、憲法改正とは国の根幹にかかわる問題であって、立法府であり憲法改正の発議権を持つ国会で、国民の代表である国会議員の皆さんがしっかりと議論すべきものだと考えております。
なお、残余の質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁させます。
〇教育長 教育予算と少人数学級についてでありますが、平成二十六年度の教育庁予算は、平成十一年度と比較して、年齢構成の若返りなどにより、給与関係費の総額は減少しておりますが、教職員定数、事業費ともにふえており、教育施策の充実に必要な予算は適切に確保しております。
また、都教育委員会では、本年度、国に先駆けて、中学校第一学年で三十五人以下の学級編制を可能としており、これまでに実施した小学校一、二学年の加配とあわせて、小一問題、中一ギャップの解消に取り組んでまいります。
なお、義務教育につきましては、教育の機会均等や全国的な教育水準の維持の観点から、国の責任が大きいと考えており、引き続き国の動向を注視してまいります。
〇東京都技監 住宅の耐震化助成についてでございますが、都は防災都市づくり推進計画に定める震災時に大きな被害が想定される整備地域を対象として、住宅の倒壊による道路閉塞や大規模な市街地火災を防止するという公共性の観点から、区と連携し、公的助成を行っております。
財源を効率的、効果的に活用する観点から、引き続き整備地域に的を絞り、重点的に木造住宅の耐震化助成を行ってまいります。
〇福祉保健局長 六点のご質問にお答えいたします。
まず、保育サービスの拡充についてですが、都は、保育の実施主体である区市町村が保護者のニーズを踏まえ多様な保育ニーズを拡充できるよう、さまざまな支援を行っております。現在、区市町村では、来年四月の子ども・子育て支援新制度の施行に向け、必要な保育サービス量を算出するためのニーズ調査を実施しております。
都としては、この調査結果を踏まえ、都全体で必要な保育サービスの目標を策定してまいります。
次に、特別養護老人ホーム等の介護サービス基盤の整備についてですが、その工程表につきましては、本年中に策定する長期計画の中で示してまいります。
次に、国有地の活用についてですが、都はこれまで、国有地を活用した社会福祉施設の整備が進むよう、土地の貸付料の減額や利用可能な国有地情報の早期提供などを国に提案要求しており、今後とも強く求めてまいります。
次に、国有地の活用に対する支援についてですが、今後、関係部局で設置される検討チームの中で、地域の状況に即した土地活用方策を検討してまいります。
次に、七十歳から七十四歳の医療費の窓口負担についてですが、国は、毎年予算上の特例措置により一割負担を継続してきましたが、世代間の公平性の観点から、特例措置を是正すべきとの国民会議報告等を踏まえ、来年度から本則どおりの二割負担としました。
これは、高齢化に伴う医療費の増加が見込まれる中、給付と負担のバランスを図り、将来にわたって持続可能な制度を確保するためにとられた措置であると認識しておりまして、国に対し、窓口負担を二割とする本則化の中止を要請する考えはございません。
最後に、都としての対応についてですが、ただいま申し上げたとおり、今回の対応は高齢化に伴う医療費の増加が見込まれる中、給付と負担のバランスを図り、将来にわたって持続可能な制度を確保するためにとられた措置であると認識しており、本則化される二割負担について、都独自に一割とする考えはございません。
〇財務局長 三点のご質問にお答えいたします。
まず、都有地の貸付料についてございますが、福祉施設整備に当たっては、都有地ばかりでなく、国有地や民有地なども含め、多様な土地活用が必要でございます。
このため、先ほどの知事の答弁にもございましたとおり、新たな検討チームを立ち上げることといたしました。この中で、都有地の貸付料等についても、施設立地の実情の調査、分析などをするなど、多角的な視点から検討してまいります。
次に、主要施設十ヵ年維持更新計画についてでありますが、主要施設の維持更新を着実に進めるため、毎年度の予算編成の段階で改めて精査を行いながら、社会状況の変化に的確に対応しているところでございます。
最近の労務費や資材の高騰などによる建設費の上昇についても、各施設の整備範囲や内容の精査に加え、より低コストな資材を活用するなど、全体のコスト縮減を図っており、今後も十ヵ年維持更新計画の総事業費内におさまるよう取り組んでまいります。
最後に、財政運営についてでありますが、外環道や骨格幹線道路などの都市インフラの整備は、都民の利便性や国際競争力の向上、東京の活力維持などに不可欠な取り組みであり、着実に進めていく必要があります。また、都民の安全・安心を守り、都市機能の維持向上に資する都市インフラの更新についても、計画的に進めていかなければならないものであります。
都はこれまでも、都市インフラの整備や更新はもとより、福祉や医療、教育、防災など、都民にとって必要な施策には的確に財源を振り向けております。
今後とも、財政の健全性に十分留意しながら、都民生活の向上にしっかりと取り組んでまいります。
〇知事本局長 国家戦略特区の指定についてでありますが、本格的な少子高齢社会を迎える東京が日本の経済を力強く牽引し続けるためには、海外の資本や人材を呼び込む国際的ビジネス環境の整備を進めるとともに、成長が期待できる分野で新しいビジネスや雇用が生まれるようにすることが必要であります。
都は、これを実現するための手段として国が成長戦略のかなめと位置づけている国家戦略特区を活用するものであり、解雇特区や過労死特区になりかねないというご指摘には当たりません。
今後、特区の指定を確実なものとし、東京と日本の経済の活性化に取り組んでまいります。
〇産業労働局長 四点のご質問にお答えいたします。
まず、中小企業支援と雇用就業対策についてでありますが、東京都は、これまでも中小企業に対して、経営や技術面からのサポートや資金繰りの支援を行ってきました。また、東京しごとセンターできめ細かな就職支援を行うほか、多様な職業訓練の機会を提供してきました。今後とも、必要な対策を適切に実施してまいります。
次に、若者の雇用環境に関する取り組みについてでありますが、労働関係法令を遵守することは企業の当然の責務であります。長時間労働などの実態については、国が調査し、公表しております。労働関係法令の普及啓発については、都は既に適切な労働時間管理に関するセミナーや、企業が社員を雇う際のポイントをまとめたリーフレットの配布等により実施しております。
次に、小規模企業に対する支援についてでありますが、欧州と同様、東京の企業の大半は小規模な企業であり、こうした企業が産業の活力を支えております。そのため、都は、経営、技術の面からのサポートや資金繰りの支援を行うなど、小規模企業に対し幅広い支援策を講じております。
最後に、製造業への支援についてでありますが、すぐれた技術力を持つ中小企業は、都内産業の競争力の強化に大きな役割を果たしております。都は、こうした中小企業の製品開発を支援するため、さまざまな主体と連携して共同開発のコーディネートなどを行う専門家を派遣する取り組みを実施しております。
〇総務局長 感震ブレーカー等の設置に向けた取り組みについてでございますが、都の被害想定では、区部の木造住宅密集地域を中心に、建物倒壊や焼失による被害が想定されています。このため、建築物の耐震化、不燃化に向けた取り組みに加え、家具類の転倒等防止対策や感震機能つき分電盤等の普及促進などに取り組んでいます。
今後とも、住宅の倒壊や火災を防ぐ安全な都市づくりの実現を目指し、地域防災計画に基づくハード、ソフト両面の対策を推進してまいります。
〇オリンピック・パラリンピック準備局長 六点のご質問にお答えいたします。
まず、都民のスポーツ参加推進についてですが、都は、昨年三月に東京都スポーツ推進計画を策定し、誰もが、いつでも、どこでも、いつまでもスポーツを楽しみ、スポーツを通じて人と都市が活性化するスポーツ都市東京の実現を目指しております。この計画に基づき、スポーツに触れて楽しむ機会を創出するほか、年齢や健康状態、技術、興味、目的に応じて、身近な場所でスポーツを楽しめる環境を整備するとともに、ライフステージに応じたスポーツ活動を支援するなど、さまざまな施策を既に展開しております。
今後とも、都は、東京都スポーツ推進計画を着実に推進することで、スポーツ人口の裾野を拡大し、二〇二〇年までにスポーツ実施率七〇%を達成してまいります。
次に、スポーツ施設の充実についてですが、昨年開催したスポーツ祭東京二〇一三に向け、都は競技会場となる区市町村の施設整備に対し補助を行い、身近な地域でスポーツに取り組める環境づくりを進めてまいりました。来年度創設する補助制度では、区市町村のスポーツ施設の新築や増築工事のほか、バリアフリー工事などに対する支援を行うこととしております。
また、障害者スポーツの推進についてでございますが、障害のある人が気軽にスポーツを楽しめる環境をつくるためには、身近な地域での取り組みが重要であります。そのため、都は、障害のある人が地域でスポーツを行う機会の充実や、障害者スポーツにかかわる人材の育成に力を入れております。
引き続き区市町村などと連携し、地域での障害者スポーツの充実に努めてまいります。
次に、新国立競技場の規模等についてでございますが、立候補ファイルでは、国が八万人規模で建てかえるとした新国立競技場をオリンピックスタジアムとして使用すると記載し、IOCの承認を得ております。競技場の規模や仕様につきましては、建設主体である国及び日本スポーツ振興センターが検討を進めており、既に施設規模の縮小や景観への配慮を踏まえ、基本設計を進めております。
都といたしましては、国に対し、大会開催に必要な施設要件を踏まえた着実な整備を求めてまいります。
次に、新国立競技場の整備費負担についてでございますが、新国立競技場の建設については、国が着実に整備を進めていくのが原則であります。ご指摘の国からの整備費負担要請につきましては、いまだ具体的な要求内容が示されておりません。
今後、具体的な内容について確認し、改めて検討してまいります。
次に、新規に整備する会場の規模についてでありますが、競技会場の観客席数につきましては、IOCの基準のほか、過去のオリンピックの実績や国際競技連盟の要望なども考慮して、立候補ファイルに記載をいたしました。恒久施設につきましては、大会後の利用も考慮した規模で整備いたしまして、大会時は必要に応じて仮設の観客席を追加して対応することとしております。
例えば、水泳会場では、常設席五千席に仮設席一万五千席を加えて二万席とします。また、カヌースラローム会場やアーチェリー会場などでは、観客席は全て仮設とする計画でございます。
最後に、カヌースラローム競技会場についてでございますが、葛西臨海公園は、選手村からの近さや、大会後に都民が水辺に親しめる施設とするのにふさわしい場所であることなどを考慮し、会場に適した候補地として立候補ファイルに記載をいたしました。施設計画におきましては、観客席を仮設とし、大会後は撤去するなど、環境への影響をできるだけ少なくすることとしております。
引き続き詳細な環境影響評価を実施するとともに、地元区や日本野鳥の会の話を伺うなど、自然環境と調和した計画となるよう検討を進めてまいります。
知事に再質問します。
最初に、都民の暮らしと経済についてです。
知事は、アベノミクスで不況のトンネルを抜けつつあるとか、暮らしの困難には社会保障制度が用意されているから大丈夫なのだという趣旨の答弁をいたしました。知事には都民の暮らしの実態が目に入らないのですか。
労働者の賃金は三年連続で減少し、非正規労働者がふえ続けているのです。これでも不況のトンネルを抜けつつあるといえるのですか。高過ぎる国保料が払えず、保険証を取り上げられて医者にもかかれない人がふえ続けていることに胸を痛めないのですか。
世界一の都市というのなら、何よりも都民の暮らしの困難を直視し、その打開にこそ取り組むべきですが、知事、お答えください。
次に、原発再稼働の問題です。
私が、原発再稼働のリスクについての認識をただし、知事の対応を求めたのに対して、知事は、国が決める問題だとしてまともに答えませんでした。知事は、首都の一千三百万人の都民の命と健康に全責任を負う立場です。曖昧な態度は許されません。知事、原発再稼働のリスクについて、見識をはっきり示してください。
住宅の耐震助成についてです。
都は、財源を効率的、効果的に活用するといって、ごく限定した整備地域への耐震助成にとどまる立場に固執する姿勢を示しました。耐震助成に地域限定をつけているのは、全国でも東京都だけなんです。制度開始以来七年で、都の助成はいまだ一千件を超えていません。
一方、住宅の倒壊から一人でも多く県民の生命を守るといって、地域限定なしに進めている静岡県では、同じ時期に一万一千件を超える助成をしています。東京都の一般会計の予算の規模は、静岡県の六倍近くもあるのです。耐震化助成が完了していない木造住宅は、都の発表でも七十万戸残されています。木造住宅助成の実績が一千件にも満たないのでは、やっていないに等しいといっても過言ではありません。
新知事として、耐震助成のあり方を抜本的に再検討することを求めますが、お答えください。
次に、少人数学級についてです。
私は、少人数学級を前に進めるには、どの県でも知事の決断が決定的役割を果たしたことを示し、知事の認識をただしましたが、答弁がありませんでした。教育条件の整備と教育予算の編成は、知事の責任ではありませんか。東京都市長会、東京都の小中学校長会、副校長会、教職員組合、そして我が子の成長の願う保護者が、三十五人学級を小学校三年生以上、中学二年生以上に拡大してほしいと、東京都に要望しているのです。
知事は、現場を重視して、地域の声を都政に反映させていくと述べました。少人数学級を拡大してほしいという学校現場や都民の声に、ぜひ応えていただきたい。知事の答弁を求めます。
〇教育長 少人数学級についてでありますが、都教育委員会としてこれまで実施してきた小学校一、二学年、中学校一学年の加配により、中一ギャップの解消、小一問題の解消に全力で取り組んでまいります。
なお、指導の充実のためには、少人数学級だけではなく、教科により学習集団を分ける少人数指導等を適切に実施していくことが重要であると考えております。
〇東京都技監 住宅の耐震化助成についてでございますが、都は、防災都市づくり推進計画に定める整備地域を対象として、公共性の観点から公的助成を行っております。引き続き整備地域に的を絞り、重点的に木造住宅の耐震化助成を行ってまいります。
また、耐震化に向けた建物所有者の意識を高め、積極的な行動を促すため、普及啓発などにも取り組んでまいります。
〇知事本局長 都民の暮らしや経済についてでありますが、我が国は安倍政権が展開する脱デフレの経済政策により、長い不況のトンネルを抜けつつあるというのは、多くの人の見方だと思います。
東京も政府としっかり連携協力しながら、さまざまな政策を加速させることにより、経済の活性化に取り組み、これを都民の生活の向上につなげてまいります。
〇環境局長 原発再稼働のリスクについてでございますが、先ほど知事がご答弁申し上げましたとおり、原発の再稼働については、原子力規制委員会が科学的な見地からリスクの評価や新規制基準への適合性の判断を行い、その結果を踏まえて国が決めていくべきものでございます。