かち佳代子(大田区選出)
福祉・くらしの充実について
経済政策について
都市政策について
防災対策について
オリンピック・パラリンピックについて
長期ビジョンと財政運営について
答弁
再質問
再質問答弁
日本共産党都議団を代表して質問します。
知事の所信表明は、三環状道路や都市再生、国際金融センターなどが強調される一方、都民生活にかかわる問題は、きわめて抽象的でした。とりわけ、自治体として最大の仕事である、都民のくらしをどう守るのかということに、言及がありませんでした。
Q 4月から、消費税増税など8兆円の負担増によって、国民、都民のくらしと経済が深刻な影響を受けています。物価は前年同月比で3・2%上昇しました。一方、労働者の基本的賃金は下がりつづけ、年金や児童扶養手当も引き下げられています。消費支出も大幅に落ち込みました。民間会社の調査では、増税後、8割の人が「買い物での購入が慎重になった」と答えています。
商店は増税と売り上げの減少で、閉店、廃業が相次いでいます。
知事は、消費税増税後の都民のくらし、営業のこうした事態をどう認識し、どう対応するのですか。
Q 知事は就任後のインタビューや3月に出版した著書で、消費税率10%への引き上げに関し、相当慎重に経済状況の判断をしなくてはいけないと述べています。来年予定されている10%への引き上げは絶対に許してはならないと思いますが、知事の所見を伺います。
Q 政府は、消費税増税は社会保障のためと説明していますが、社会保障の充実には、増税分の1割しかまわされません。社会保障は充実どころか逆に、切り捨てが進められようとしているのです。知事、ひどいやり方だと思いませんか。
Q 衆議院で与党が強行採決した「医療・介護総合法案」は、病床の大幅な削減、介護保険の利用料の引き上げ、要支援の方を、介護保険サービスからはずし、特養ホームの対象を原則要介護3以上に絞り込もうというものです。
しかもわが党の追及により、厚生労働大臣は介護保険の利用者負担を1割から2割へ引き上げても大丈夫だと説明していた根拠が誤りであり、撤回せざるを得ませんでした。知事は、この法案をどう認識していますか。こんな法案は、知事として撤回を求めるべきです。お答え下さい。
Q 国民健康保険料・保険税が払えない滞納世帯が増え続け、滞納処分で給与や年金まで差し押えられ、医療が受けられない都民が増えていることも重大です。この深刻な事態を打開するため、国民健康保険財政への国庫負担を増やすよう国に求めるとともに、重すぎる保険料・保険税の負担を軽減するために、都は財政支援を行うべきです。いかがですか。
少子高齢社会対策は、待ったなしの課題です。まずは保育園の待機児解消です。
Q 私たちは今年4月1日付の待機児の調査を行いました。認可保育園に申し込み入れなかった子どもたちは約2万人、認可外の保育施設に入(はい)れた子を除いても約8千人です。待機児はまた増えているのです。
私がお会いした2歳児のお母さんは、「現在通(かよ)っている認証保育所は2歳児までなので、来年認可保育園に入(はい)れなかったら仕事をやめるしかありません」と、切羽詰った思いを語っていました。
こうした状況に追い込まれている人が、たくさんいることを、知事は、どう認識しているのですか。
Q 今後、年度途中でさらに増えていく待機児も含め、緊急対策が必要です。都内でもいくつかの自治体は賃貸物件等での認可保育園の開設、認可保育園の増改築による定数増などを、緊急に実施しようとしています。都としても補正予算も含め、積極的に対応することを求めます。
Q 何よりも、ゼロ歳児から5歳児まで預けられ、園庭もあり、資格を持った職員がそろっていることで、子どもたちの豊かな成長を保障できうる認可保育園の増設を中心に進めることが求められています。
知事はいまでも低すぎる設置基準などの「規制緩和」を進めると述べていますが、待機児解消は、都民が安心して預けられる認可保育園の大幅増設を中心にすえるべきです。
Q 特別養護老人ホームの増設も、都民の切実な願いです。
94歳の姉を介護している、82歳の妹さんから話を伺いました。介護者の妹さんも体調をくずして買い物もままならないうえ、心不全で入院したことなどを切々と訴えていました。多くの家族が共倒れしかねない状況で、特養ホームへの入所を待ちつづけているのです。
知事は第一回定例会で「さらなる促進策」を検討すると答弁しましたが、どのように進んでいるのですか。用地確保や、整備費、運営費へのさらなる支援の具体化を検討すべきですが、お答え下さい。
Q 東京都は、認可保育園や特養ホームをつくるために、都有地・国有地・民有地等(とう)活用検討チームを設置しましたが、問題は検討の中身です。知事、この間、どのような検討を行い、どのように具体化したのですか。
Q 未利用の都有地について、自治体や住民から福祉施設整備に活用してほしいと要望があれば、ただちに調整を進めるべきですが、いかがですか。
わが党は昨年の予算特別委員で、練馬区内の旧練馬高等保母学院の跡地について、認可保育園などへの活用を提案しました。その後、練馬区から正式に要望があったと聞いています。先の第一回定例会でも、葛飾区の高砂団地建て替えで現在空いている都有地や、墨田区の児童相談所跡地などを指摘しました。
知事が、各局が管理する都有地について、少子高齢社会対策に活用できるかどうかを再検証し、抜本的に洗い出させれば、土地はあります。検討チームでの具体化を、つよく求めておきます。
Q 知事は保育士、介護士の処遇改善を公約しています。ところが、都が実施した保育士実態調査の結果が明らかになったにもかかわらず、所信表明でこの問題に言及しませんでした。知事の公約への態度が問われています。
「保育士実態調査」では、退職意向の理由は「給料が安い」「仕事量が多い」「労働時間が長い」であることが明確になりました。そして報告書では、現職保育士の「約2割が離職を考えているという危機的状況」だと分析しています。
知事、この調査結果をどう受け止めているのですか。
Q 保育士とともに、介護士の処遇改善も緊急課題です。全労連による介護労働実態調査では、「利用者に十分なサービスが提供できていない」と「あまりできていない」をあわせると約4割にのぼります。その理由を約8割の人が、人員が少なく業務が過密になっているからと答えています。「もうやめたい」と思っている方は約6割で、その理由は「賃金が安いから」「仕事が忙しすぎるから」「体力が続かない」などです。
知事は保育士、介護士の処遇改善という自らの公約を、いつ、どのように具体化するのですか。
Q 賃金を抜本的に引き上げ、経験年数に応じて着実に上がっていく仕組みをつくるとともに、多すぎる仕事量と労働時間を減らすための人員増をはかるために、都として最大限の取り組みをすべきですが、知事の答弁を求めます。
認知症対策の充実も急務です。
Q 認知症で行方不明になった方が、全国で年間1万人に上ることが明らかになり、社会に衝撃を与えています。認知症の男性が電車にはねられ、介護していた85歳の妻に鉄道会社への賠償を命じる判決に対しても、とりわけ認知症の方を介護する家族の方々は大きなショックを受けています。知事は、これらの問題を、どう受け止め、認知症対策にどう取り組むのですか。
Q 認知症による徘徊への対策として、区市町村や関係企業・団体と連携して、GPS付きの靴などの普及促進をはかるとともに、費用負担への支援などに取り組むよう提案するものです。
Q 都内12カ所の中核病院が認知症疾患医療センターとして整備されましたが、国はよりきめ細やかな医療体制の構築に向け、新たに診療所の活用を検討しています。認知症疾患医療センターの拡充・機能強化に向け、都はどう取り組むのですか。
知事は所信表明で、「高齢化が進む中で、身近な足であるバスの役割は、ますます増してくる」と述べました。その通りです。そのためには、バス路線の拡充とともに、シルバーバスを使って誰もが気軽にバスを利用できるようにすることが重要です。シルバーパスは、かつては70歳以上の対象者の7割以上の方が使っていたのに、いまでは5割に満たないのです。
とりわけ2万510円のパスは、高齢者人口は増えているのに、発行数が減っています。所得が125万円をこえたら一律に2万510円の負担になってしまうことが、わずかに所得制限を超えた高齢者をシルバーパスから遠ざけているのです。
シルバーパスについて、多くの方から要望が出されています。一つは、所得に応じて費用負担を軽減してほしいということです。二つは、たとえば都の監理団体である多摩都市モノレールやゆりかもめ、都県境を越えるバス路線、東京メトロなど、使える交通機関を増やしてほしいということです。こうした都民のみなさんの要望にこたえて、シルバーパスの改善・拡充にむけ超党派で検討することを、各会派のみなさんによびかけるものです。
次に、経済・都市政策について質問します。
政府と東京都は、どちらも、外国企業をはじめ大企業を呼び込み、大企業の利益をどう増やすかが中心であり、都民の生活の質の確保、改善という立場は、極めて希薄です。その方向を大きく転換することが求められています。
まず経済政策です。
Q 安倍政権の経済政策の中心は、「世界で最も企業が活躍しやすい国」づくりです。しかも296兆円もの内部留保をためこむ大企業には法人税の大減税をする一方、赤字に苦しむ中小企業には外形標準課税の強化で税負担を増やそうとしています。知事、おかしいと思いませんか。
国の法人税減税は、都財政にも重大な影響をもたらし、年間数百億円もの減収となります。都内の中小企業経営を守るためにも、都の財政を守るためにも、こうした逆立ちした税制改悪に厳しく反対の声をあげるべきですが、いかがですか。
Q 国際銀行協会が、「グローバル金融センターとしての東京に向けて」とする政府への提言で、国民の預貯金をリスク投資に振り向けること、そのために、投機的な資金運用で利益を得る、いわゆるヘッジファンドなどが活動しやすい環境をつくるよう提案しています。アベノミクスの柱である「金融緩和」は、こうしたアメリカなどからの要求を受けたもので、海外からの資本をよびこみ、金融投機とバブルをあおることが目的です。
すでに海外投資家の投機マネーの流入が異常なまでに高まり、株式市場の不安定さが増大しています。数年前にリーマン・ショックで、アメリカ発の金融危機が世界中に広がったように、アベノミクスの推進は、日本発の金融危機を引き起こしたり、国民の老後の保障である貯金が金融資本に食いつぶされる危険が強いと言わざるをえません。
知事が進めようとしている国際金融センター構想も、こうした動きにあわせて、知事自身が述べているように、都民にリスクの高い投資をさせようとするものです。海外の金融関係者からも、このような方向は、バブルの発生など日本の経営を不安定化させるという意見が出されています。知事、都が進める経済対策は、金融投機をあおるようなものであってはなりません。いかがですか。
Q 都の経済対策は、実体経済の立て直し、すなわち中小企業への支援の抜本的強化、雇用の安定と賃上げによる内需拡大こそ中心にすえるべきだと思いますが、知事、お答え下さい。
首都東京には、金属加工業など世界に誇る、ものづくりが集積しています。ところが、この10年間で町工場は、ほぼ半減しています。
Q 都が昨年まとめた「ものづくり産業立地環境に関する調査」は、廃業や倒産、都外や国外への転出等の増加により、東京の地域経済の活力低下と産業競争力の弱体化の危険を指摘しています。
知事は著書で、東京を特区にすれば、中小企業が「再び成長の波にのれるようになる」と書いています。しかし、知事の進める特区は超高層ビル化、ビジネス拠点づくりが中心で、ものづくりをどう守り発展させるかという立場は示されていません。逆に不動産バブルによる地価高騰などにより、日本の宝である町工場が東京から追い出されたり、廃業に追い込まれる危険が強いと言わざるをえません。
ものづくりを守るというなら、機械設備のリース料や借り工場の家賃助成など直接支援を抜本的に拡充するべきではありませんか。
Q 国も、高度なものづくり技術を持ち、地域経済の重要な役割を果たす小規模企業全体を底上げし、持続継承できる政策を進めるために、小規模企業振興基本法案を国会に提出しているのです。この法律は、国が小規模企業施策の体系を示す「基本計画」をつくり、地方自治体が、その地方の諸条件に応じた施策を策定し、実施する責務を規定しています。都はこの法案をどのように認識しているのですか。
都として法案を受けて「小規模企業基本計画」づくりや、支援策の抜本的な拡充などを進めることが必要だと思いますが、見解を伺います。
Q 法案は、小規模企業当事者の意見を聞き、定期的な実態調査や施策の妥当性・実効性を担保する仕組みづくりを位置づけています。効果的な対策を進めるためには、どのような業種がどのくらいあって、それぞれ何を求めているかを、全事業者を対象に聞き取ることが不可欠です。いくつかの区では、中小企業診断士や職員が全事業所の聞き取り調査を行い、施策に生かしています。
都としても、区市町村と協力して、緊急に悉皆調査を推進することが必要だと思いますが、いかがですか。
Q 多くの中小業者は、技術を生かした新製品をつくろうとしても、アイデアが出ない、特許をどうするか、などの点で苦しんでいます。これをサポートすることが求められています。荒川区では、新事業創出、事業継承、人事労務など様々な分野で豊富な経験と力のある専門家を職員として雇用し、区内企業を無料で何度も訪問し、アイデアの創出、新製品づくりから販路開拓まで、一貫してサポートすることで、経営改善を成功させています。都としても、退職した大企業の技術者の活用を含め、創業支援、新製品開発、販路開拓などをサポートできる専門家集団の結集と育成に力を注ぐとともに、専門家を育成している団体とも協力し、都内各地の小規模企業の相談に対応できる体制を確立することが必要です。お答え下さい。
Q 雇用の問題では、政府がいわゆる「残業代ゼロ法案」などにより、労働条件の規制に大穴をあけようとしていることは許されません。
重大なことは、諮問会議の財界サイドの委員は東京の国家戦略特区について「きわめて不十分、外国企業も、投資家等も注目する雇用・労働分野を含めての提案がまったくない。改善されるべき」などと、特区を活用して、東京からさらなる規制緩和を進めさせようとしていることです。これを許したら、ただ働き、長時間・過密労働による過労死、賃金の切り下げなどが、ますます深刻化することは明らかです。
知事は、「労働や雇用などについて思いつきで規制緩和してもそれは憲法にも国際条約にも違反し、マイナスの影響の方が大きい」と述べました。知事、東京では残業代ゼロ、使い捨て自由などの規制緩和は断じて許さないという立場を明らかにすべきですが、どうですか。
Q 東京一極集中政策と規制緩和政策は、住民を追い出し、ビジネス機能を東京に集中させました。都心では過度の規制緩和を進めた結果、2000年度以降、高さ100メートルを超える超高層ビルが300棟も建設され、ヒートアイランド現象や都市型水害が深刻な問題となっています。そしていま、特区などを活用した容積率のさらなる大幅緩和による再開発、超高層化の動きが激しくなっています。
国の都市再生戦略チーム座長を務めた伊藤滋氏は、山手(やまのて)線の内側をすべて防火地域に指定して木造家屋をなくすことや、都心部を中心とした容積率2500%以上の再開発プロジェクトの展開を提唱し、森ビル株式会社をはじめデベロッパーも、従来の枠組みにとらわれない容積率の抜本的見直しを期待するなどの発言を強めています。知事も、自らの著書で、都心などの容積率緩和と超高層化を主張しています。
しかし、こうした都市づくりのあり方について、日本建築学会や日本学術会議は、豊かな公共空間や緑地を確保するためには、環境容量を超えた、ゆきすぎた開発をおさえなければならない、これまでの産業経済の発展にかたよった政策から脱皮し、生活の質の確保を目標とする方向に大きく政策転換する時期に来ている、という声明や提言を発表してきたのです。知事は、これらの提言をどのように受け止めますか。
Q 知事自身、「今でもパリでは、集合住宅が6〜7階建てに制限され、パリの景観を美しく保てるようにしている」と評価しているではありませんか。東京でも、たとえ都心地域内であっても、中低層の住宅環境を保全することはもとより、すべての地域で、住民の生活の質を重視することをすえた都市づくり政策へと転換する必要があると思いますが、いかがですか。
Q 国の住生活基本計画では、住宅困窮者に対して、公営住宅の適切な供給をうたっていますが、都は15年間、都営住宅の新規建設はゼロです。一方フランスでは、所得の低い人たちのための社会住宅が広く普及し、家賃補助も行われています。
知事、世界一の都市というなら、都民誰もが良質な住宅に住めるよう、都営住宅を増設し、住宅に困っている人のための家賃補助を検討する時ではありませんか。
次に防災対策です。
Q 知事は、「知事の最大の使命は都民の命と財産を守ることである」と繰り返し述べています。そのためには、わが党が一貫して主張してきたように、震災対策のあり方を転換させることが必要です。かつて東京都は、大地震による被害発生を最小限におさえるための予防対策を重視してきました。ところが石原元知事がこの立場を投げ捨て、被害発生後の対策中心に切りかえてしまったのです。いまこそ、予防対策重視に立ち返るべきです。
この点で今年策定された国の「首都直下地震緊急対策推進計画」が、予防対策や地震発生後の対策を迅速に進めれば、被害を大きく減少させることができること、そのために、あらゆる対策の大前提として耐震化と火災対策を緊急に進めることだとしたことは、きわめて重要です。
同計画は、「一定の条件下において、建物の耐震化率を100%にした場合、全壊棟数と死者数が約9割減少し、感震ブレーカー等の設置による出火防止対策や初期消火成功率の向上等により焼失棟数と死者数が9割以上減少するなどという試算も明らかにしています。
知事は、国の計画によるこうした指摘と試算を、どう受け止めますか。被害を未然に防ぐ予防対策重視に立ち返る時ではありませんか。
住宅耐震化の促進について、具体的に伺います。
Q わが党は先の予算特別委員会で、木造住宅耐震化助成について、対象地域を著しく限定して助成するという都のやり方は全国にも例を見ない異常なやり方で、耐震改修が進まない最大の原因であることを指摘しました。
そして、首都直下地震による東京の被害想定は、建物の倒壊・焼失数は三十数万棟とされており、そのために必要となる応急仮設住宅や生活支援などの公的負担は、数兆円という巨額なものになること、耐震化助成の対象と金額の抜本的引き上げをはかった方が、はるかに安上がりで効果的だということを明らかにしました。
知事は「住宅は私有財産であり、一番問題なのは財源をどうするかだ。お金は天から降ってこない」と答えましたが、知事は法に基づき、都民の生命、身体、財産を災害から守る責務があるのです。改めて、倒れてからの支援より、倒れないように支援することこそ最善の対策だという立場に立って、知事の責務を果たすよう求めますが、いかがですか。
Q 都として法に基づく首都直下地震緊急対策実施計画を早急につくり、目標値を明らかにして取り組むべきと考えますが、答弁を求めます。
オリンピック・パラリンピックにむけた競技場計画の見直しについて、伺います。
知事が、都民の理解を得られるよう、会場計画を見直していくと表明したことはきわめて重要です。日本共産党都議団は、競技場計画の抜本見直しを求めてきた立場から、以下質問します。
Q 知事は整備コストの高騰に対応していかなければと発言しました。12施設の整備費は1538億円から3800億円に膨(ふく)らむというシミュレーションもありますが、本体工事費のみのものです。地盤の液状化対策、観客のための周辺整備などを含めれば、さらに膨(ふく)らむことは明らかです。どのように認識していますか。費用をおさえるためにどのような対策を検討するのですか。
Q 整備費抑制のためには、規模等の見直しとともに、新規建設中心の計画を見直すことが避けられません。IOC環境行動計画「アジェンダ21」は、既存施設の最大限活用を原則としています。IOC方針に立ち返って既存施設の活用を検討すべきではありませんか。
Q 液状化対策をともなう臨海部に施設を集中する計画の再検討も求められています。開催時に選手の移動専用レーンを道路上に設ければ、8キロ圏内にこだわらなくても大丈夫ですが、いかがですか。
Qア 知事は見直しの視点としてレガシー、後利用を強調しましたが、どのようなことを考えているのですか。
Qイ 新設する競技施設が、大会後にもスポーツ団体や都民から利用しやすい施設となるよう、維持管理コストの抑制や設計上の配慮を行うなど、施設ごとに後利用計画を明確にし、都民・関係者の理解を得て整備を進めるべきと考えますがいかがですか。
Q 葛西臨海公園でのカヌースラローム会場の整備は、環境との調和というIOCの方針にも反し、貴重な生態系を破壊するものとして強い反対の声が広がっており、知事の決断が求められています。すみやかに現地を視察し、江戸川区や日本野鳥の会など関係者の声を聞き、要望されている隣接する下水道施設の空地活用を検討すべきではありませんか。
Q 現計画では、競技場の整備によって野球場27面、テニスコート27面が廃止、ないし長期に使用できないと推測されますが、どう認識していますか。
ホッケー会場の整備によって、6面の野球場が廃止となる品川区の軟式野球連盟は、「次代を担う子どもたちの心の遣り切れなさを察すると痛恨の極み」と訴え、代替施設の確保を求めています。知事、こうした声をどう受け止めますか。
既存施設の廃止、縮小は極力抑え、少なくとも代替施設の確保に努力すべきです。
Q 多くの建築家や都民から見直しを求める声があがっている新国立競技場計画の見直しは避けて通れません。整備費の膨張は必至であり都への負担要求となって跳ね返ろうとしています。神宮外苑の歴史的景観が破壊されます。開閉式の屋根も遮音効果に乏しく、災害時には燃焼する危険があることさえ指摘されています。また、巨大な施設による後年度負担の増加によって、スポーツ団体が利用できない施設になりかねません。知事、このまま進めさせていいのですか。解体工事を中止し、関係者の参加のもとで改修も含め、見直しを国に強く求めるべきではありませんか。
Q 国の都に対する500億円の負担要求は、きっぱり拒否すべきです。お答え下さい。
知事は都の長期ビジョンを今年中に策定し、3ヶ年の重点事業も示すと述べていますが、どのような立場で策定するかが問われています。私は、都民の切実な願いである福祉・くらし、営業、教育、環境などを守る課題を、とりわけ重視すべきだと思います。そこで4点にしぼって提案します。
Q 第一に少子高齢社会対策では、待機児・待機者解消のため、認可保育園および特養ホームの増設計画を、3ヶ年計画に位置づけることです。
Q 第二に雇用・中小企業対策では、非正規労働者の正規化や、小規模企業の底上げなどを含め、施策の抜本的な拡充を打ち出すことです。
Q 第三に環境問題では、再生可能エネルギーの利用割合20%目標の達成に向け、具体的計画を明確にすることです。
Q 第四に教育分野では、少人数学級の推進や、都立高校、特別支援学校の増設・拡充など、すべての子どもが安心して通える学校づくりを位置づけることです。以上4点について、それぞれお答え下さい。
Q これまでの長期計画「2020年の東京」に基づく3ヶ年計画では、総事業費の31%が大型開発で、少子化対策は2%、高齢者対策は3%にすぎませんでした。
新たな長期ビジョンでは、都民要望に正面からこたえるための事業を、文字通り重点に位置づけることが必要です。
たとえば、外環道と、その上部道路として突然持ち出されてきた「外環の2」の建設費だけで、1メートル1億円もかかります。こうした不要不急の大型開発の事業費を抜本的に削減し、都民の福祉・くらしなど生活の質を守り、向上させるための事業費を大幅に増やす方向に財政運営を転換していくことが重要です。
答弁を求め、再質問を留保して質問を終わります。
【答弁】
〇知事 かち佳代子議員の代表質問にお答えします。
まず、消費税増税等の影響についてでありますが、今回の消費税率の引き上げは、少子高齢化が急速に進展する我が国において、持続可能な社会保障制度の構築を図るために行うものであり、増収分を社会保障制度の安定化や充実に用いることで、広く国民、都民に還元されるものであります。
また、八%への引き上げに当たり、政府は新たな経済対策や低所得対策、適正な転嫁を確保するための対策など、引き上げに伴う景気への影響を緩和し、持続的な経済成長につなげるための経済政策パッケージを決定し、国、地方を挙げて実施しているところであります。
こうした取り組みなどによりまして、我が国経済は消費税の引き上げに伴う駆け込み需要の反動減が見られるものの、賃上げの動きも広がっており、全体として回復基調が続いているものと認識しております。
消費税の一〇%への引き上げについてでありますが、税率の引き上げに当たって経済状況を慎重に判断するのは当然のことであります。
税制抜本改革法においては、いわゆる景気条項が設けられ、消費税率の引き上げに当たっては、我が国経済の成長に向けた措置等を講じるとともに、経済状況を総合的に勘案し、判断することとされております。こうした法の規定に基づき、政府において適切な対応がなされていくものと考えております。
認知症対策についてでありますが、急激に高齢化が進む中、平成三十七年には何らかの認知症の症状がある高齢者の数が都内で約六十万人になると推計されております。
都は、これまで認知症疾患医療センターの設置、認知症高齢者グループホームの整備促進、認知症の予防、治療に関する研究開発など、さまざまな施策を展開しており、今後とも認知症対策に積極的に取り組んでまいります。
中小企業支援と雇用就業対策についてでありますが、都内企業数の九九%を占める中小企業やそこで働く人々が元気になることにより、消費市場が底上げされ、東京の経済が活性化してまいります。
東京都は、これまでも中小企業に対して、経営や技術の面からのサポートや資金繰りの支援を行ってまいりました。
また、しごとセンターにおけるきめ細かな就職支援などにより、切れ目のない雇用就業対策を実施してまいりました。
今後とも、さまざまな施策を講じることによりまして、企業業績の回復と安定的な雇用の実現を図り、これを消費の拡大へとつなげ、東京の経済の成長を確かなものにしてまいります。
続きまして、日本建築学会の提言等についてでございますが、これらの提言等は、経済成長の時代から成熟社会に入り、生活の質を重視する政策にシフトすべきだと、そういう趣旨のものと受け取っております。
都は、平成二十一年に新しい都市づくりビジョンを策定し、国際競争力を備えた都市活力の維持発展に加え、持続的発展に不可欠な地球環境との共生、さらには豊かな緑や水辺に囲まれた美しい都市空間の再生などの実現を目指して都市づくりを進めております。
引き続き、これらの取り組みを進め、経済活力を高める都市再生を推進するとともに、豊かな暮らしを誇る世界一安全・安心で快適な都市へと東京をつくりかえてまいります。
次に、生活の質を重視する都市づくりについてでございますが、これまでも地域の特性を踏まえた安全・安心で快適に暮らせる都市づくりを進めてきております。
都心部では、都市再生を推進し、計画的な土地の高度利用により、高度な業務・商業機能に加えて、質の高い居住機能を誘導するとともに、豊かなオープンスペースや緑を創出しております。
また、身近な地域では、駅などを中心に商業、文化、医療福祉等の機能が集積した良質な居住環境の創出にも取り組んでおります。
例えば、先日視察しました多摩ニュータウンなどでは、古い住宅の建てかえによりまして高層化してつくり出しましたスペースに子育て支援施設や高齢者支援施設を整備し、町を再生することで、子供から高齢者まで多世代で交流できる生活環境を形成しております。
引き続き、生活の質を重視したこうした取り組みを進めることで、住み心地のよい、さらに成熟した都市に東京をつくり変えてまいります。
予防対策重視に立ち返るべきだとのご指摘でございますが、都は地域防災計画に基づき、初動態勢の強化や被災者への物資供給といった応急復旧対策に加え、木造住宅密集地域の改善や道路ネットワーク整備などの予防対策をこれまでも強力に推進してまいりました。
また、国の基本計画でも、耐震化や火災対策といった予防対策に加え、道路交通対策や避難者対策など、応急対策への備えを国と地方公共団体等が連携しながら進めることとしております。
早速、先般、防災担当大臣との間で合同検討チームを立ち上げることを合意し、東京のさらなる防災力強化に向けて国と連携して取り組むことといたしました。
今後とも、予防対策から応急復旧対策まで切れ目なく防災対策を推進し、世界一安全・安心な都市の実現に取り組んでまいります。
オリンピック施設の見直しでございますけれども、既存施設の活用や整備費の圧縮など、見直しの基本的な考え方に沿いまして、今後、具体的に進めてまいります。
二〇二〇年大会を機に、東京を世界一の都市とすることが私の公約であります。アスリートファーストの理念を具現化した史上最高の大会を実現することはもとより、大会後はハード、ソフトの両面から確かなレガシーを残してまいります。
東京の魅力を高め、次代を担う若者や子供たちにとって、安心と希望に満ちた魅力ある都市を実現してまいります。
新国立競技場についてでありますが、新国立競技場建設は国及び日本スポーツ振興センターの責任において整備が進められております。建設に当たりましては、将来構想有識者会議のもとで各分野の専門家による具体的な検討が行われております。
都としては、二〇二〇年大会のオリンピックスタジアムとして活用できるよう、着実な整備を求めてまいります。
新国立競技場にかかわる都の負担についてでありますが、新国立競技場の建設については、国が責任を持って整備を進めていくのが原則であると考えております。
整備費の負担につきましては、いまだ国から正式な要請はなく、今後お話があれば、その時点で協議すべきは協議する考えであります。
その他の質問につきましては、教育長、東京都技監及び関係局長から答弁させます。
〇教育長 東京都長期ビジョンにおける教育施策についてでありますが、全ての子供たちが社会の中で自立して生きていくためには、確かな学力や豊かな人間性などを身につけていることが必要であります。
都教育委員会では、今後策定される東京都長期ビジョンに位置づけるべき施策について、こうした観点から検討してまいります。
なお、義務教育における少人数学級につきましては、教育の機会均等や全国的な教育水準の維持の観点から国の責任が大きいと考えており、国の動向を注視をしてまいります。
また、都立高校、特別支援学校については、これまで計画に基づいて整備をしてきており、今後とも、児童生徒を適切に受け入れることができるよう対応をしてまいります。
〇東京都技監 二点のご質問にお答えいたします。
まず、都営住宅の増設と住宅困窮者への家賃補助についてでございますが、都営住宅につきましては、これまでも既存ストックの有効活用を図り、適切な供給や管理の適正化に努めてまいりました。
今後とも、社会経済情勢が変化する中で重要な役割を果たしている都営住宅につきまして、住宅セーフティーネットの中核としての機能を的確に果たせるよう取り組んでまいります。
また、家賃補助につきましては、国の生活保護制度との関係や財政負担のあり方など、多くの課題があることから都として実施することは考えてございません。
次に、耐震化についてでございますが、首都直下地震などから都民の生命と財産を守るためにも、災害に備え耐震化を強力に進めることが重要でございます。
住宅の耐震化につきましては、自助、共助、公助の原則のもと、まず所有者みずからがその必要性を認識し主体的に取り組むことが不可欠であり、都はこれまでも、意識啓発を行うなど、所有者による耐震化を促しております。
その上で、木造住宅密集地域の整備地域内にある木造住宅や合意形成の難しい分譲マンションなど、公共的な観点から必要がある場合に、財政的な支援を行っております。
あわせて、緊急輸送道路沿道建築物の耐震化につきましても重点的、集中的に取り組むなど、今後とも建築物の耐震化を推進してまいります。
〇福祉保健局長 十三点のご質問にお答えいたします。
まず、社会保障と税の一体改革についてですが、平成二十六年三月に衆議院で出された社会保障の充実のための消費税増税による増収分の使い道に関する質問主意書に対して、政府は、増収見込み額については、その全額を社会保障の充実、安定化に向けることとしており、基礎年金国庫負担の二分の一への引き上げ、安定財源が確保できていない既存の社会保障費、さらに社会保障の充実にそれぞれ向けること、また、社会保障の安定財源の確保及び財政の健全化を同時に達成することを目指す観点から、社会保障の充実に向ける金額は、消費税収の増加に応じて拡大していくと答弁しております。
次に、医療・介護総合法案についてですが、この法案は、持続可能な社会保障制度の確立を図るため、効率的かつ質の高い医療提供体制の構築や地域包括ケアシステムを構築することを通じ、地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するためのものであると認識しており、現在、参議院において審議中でございます。
国民健康保険料の負担軽減についてですが、都は、国民健康保険制度の健全かつ安定的な運営を図るため、法令等に基づき、各保険者に対する財政支援を行っており、保険料負担軽減のために、都として新たな支援を行うことは考えておりません。
また、現在、国は、社会保障制度改革の中で国民健康保険制度についても見直しを進めており、都は既に、国に対し、構造的な問題の解決、必要な財源の確保等について提案要求をしております。
次に、待機児童解消についてですが、保育の実施主体である区市町村は、これまでも保育サービスの拡充に努めており、直近の平成二十三年度から二十五年度の三年間は、毎年、利用児童数が一万人以上増加しております。
都は今後とも、区市町村の待機児童解消に向けた取り組みが進むよう、積極的に支援してまいります。
次に、保育サービス拡充のための区市町村支援についてですが、都は既に、区市町村が地域の実情に応じて多様な保育サービスの整備を進められるよう、国の安心こども基金の活用に加え、都独自に区市町村や施設整備を行う事業者の負担軽減や未利用都有地の減額貸付、定期借地権利用に対する支援、株式会社やNPO法人などが行う施設整備に対する独自補助を実施しております。
次に、認可保育所の増設についてですが、保育サービスは保育の実施主体である区市町村が、認可保育所に限らず、認証保育所、認定こども園、家庭的保育など、地域のさまざまな保育資源を活用して整備するものであり、都は、今後とも地域のニーズを踏まえ、多様な保育サービスの拡充に取り組む区市町村を支援してまいります。
次に、特別養護老人ホームの整備についてですが、都は現在、平成二十七年度から始まる第六期東京都高齢者保健福祉計画の策定を進めており、特別養護老人ホーム等のサービス基盤につきましては、中長期的な観点から必要な整備量の推計を行い、本計画の中に盛り込む予定でございます。
また、特別養護老人ホームの整備に係る工程表につきましては、本年中に策定する東京都長期ビジョンの中で示してまいります。
次に、保育士実態調査についてですが、都が昨年度、約三万人の保育士有資格者を対象に実施した実態調査の結果では、資格取得者のうち約四分の一が保育士としての就労経験がなく、また、潜在保育士が再就業の希望条件に挙げたのは、勤務日数、通勤時間、勤務時間の順で多かったところでございます。
調査結果も踏まえ、都は現在、再就職のための研修、相談会や、事業者と就職希望者のマッチングの強化、柔軟な働き方のできる職場環境づくりに関する事業者向け研修の実施など、さまざまな支援を行っているところでございます。
次に、介護職員や保育士の処遇についてですが、介護職員については、現在、国会において介護・障害福祉従事者の人材確保のための介護・障害福祉従事者の処遇改善に関する法律案が審議されており、また、保育士については、子ども・子育て支援新制度の中で処遇改善が図られる予定でございます。
介護職員や保育士の処遇における一番の問題は、キャリアパスの仕組みが十分でないことであります。現在の介護報酬には介護職員のキャリアを評価する仕組みは導入されておりますが、大都市の物価水準に見合っておらず、保育士には経験年数に応じた運営費加算だけで、キャリアを評価する仕組みがございません。
こうした仕組みを整えるのは本来国の役割であり、都は国に対し提案要求をしております。
次に、福祉人材の確保と処遇改善等についてでございますが、先ほどお答えしたとおり、人材確保に向け、介護職員及び保育士の処遇改善やキャリアを評価する仕組みについては、本来国が整えるべきであり、都は既に国に提案要求をしております。
次に、認知症高齢者の徘回対策についてですが、現在、都内区市町村では既に認知症高齢者の徘回対策としてGPS端末機器が活用されており、都は、こうした区市町村の取り組みを包括補助等により支援しております。
次に、認知症疾患医療センターについてですが、現在、国は新たな類型の認知症疾患医療センターの設置について検討を進めており、都は国の動向も踏まえながら、今後の認知症疾患医療センターのあり方を検討していきます。
最後に、待機児童解消に向けた取り組み及び介護サービス基盤の整備についてですが、既に第一回定例会でご答弁したとおり、それぞれの工程表は年内に策定する東京都長期ビジョンに反映させてまいります。
〇財務局長 四点のご質問にお答えいたします。
まず、土地活用に関する検討チームについてでありますが、現在、都有地のほか、国有地、民有地も含めた土地活用策について、関係部局により検討を重ねております。
具体的には、区市町村における公有地の活用状況等について検証を行ってきておりますが、今後、区市町村の意見も聞きながら、都有地等の情報提供の手法や土地貸付料などについて具体的に検討をしてまいります。
また、未利用都有地のみならず、都営住宅等の建てかえにより創出した用地についても活用を進めてまいります。
都市づくりと連携した促進策など、民有地活用の視点も含めて、引き続き検討作業を進め、夏までに検討チームとしての取りまとめを行ってまいります。
次に、未利用都有地の活用についてでありますが、一見、福祉インフラ整備用地となりそうな都有地であっても、道路計画地等のため建物を建設する長期貸付には適さない土地や、他の行政目的で利用する方向で調整を進めている土地など、直ちに利用することが困難な土地も多数あり、全ての都有地を福祉インフラ整備事業に活用できるわけではありません。
そうしたものを除き、福祉インフラ整備に活用可能な未利用都有地については、区市町村から要望があった場合には、これまでもその要望を踏まえて調整を進めているところであります。
次に、国の法人税改革についてでありますが、法人実効税率の引き下げは日本の国際競争力強化に資するものと考えております。
一方で、地方法人課税は企業活動を支える行政サービスに対して応分の負担を求めるものであり、地方の基幹税目として不可欠なものであります。
今後、法人実効税率の引き下げが行われれば、地方財政とりわけ都財政において大きな減収となるおそれもあることから、都はこれまでも、関東地方知事会議などの機会を捉えて、全ての地方自治体の歳入に影響を与えることのないよう、代替財源の確保を国に求めております。
なお、外形標準課税は、あるべき税制の一つであり、中小企業への拡大は慎重であるべきですが、大企業への拡大は方向性の一つであると考えております。
最後に、財政運営についてでありますが、外環道を初めとする都市インフラの整備は、都民の利便性や国際競争力の向上、東京の活力維持などに不可欠な取り組みであり、着実に進めていく必要があるものと考えております。
これまでも、こうした取り組みに加え、福祉や医療、防災対策、雇用や中小企業対策など、都民にとって必要な他の施策にも的確に財源を振り向け、都民生活の向上に努めてまいりました。
引き続き、財政の健全性に十分留意しながら、ハード、ソフト両面にわたり山積する都政の諸課題にしっかりと取り組んでまいります。
〇知事本局長 二点のご質問にお答えいたします。
まず、国際金融についてでありますが、金融は産業の血液であり、我が国の経済成長とともにその機能強化が求められております。
現在、都においては、新しい成長の原資となる海外の資本や人材を呼び込む国際的ビジネス環境の整備を進めております。
今後、これらの整備を進めていく中で、世界的な金融拠点としての地位を再び東京に取り戻すことが、我が国の経済の活性化に極めて重要であると考えております。
次に、雇用に関する規制緩和についてでありますが、都が先般提案した国家戦略特区は、外国企業やベンチャー企業と有能なグローバル人材の双方にとってメリットのある雇用就業モデルの構築などを目指すものであります。
今後、都は国家戦略特区において、これらに資する施策の実現に向けた働きかけに着実に取り組んでまいります。
〇産業労働局長(塚田祐次君) 五点のご質問にお答えいたします。
まず、借り工場の家賃等への直接補助についてでありますが、都は既に経営困難な中小企業に対して、事業承継・再生支援事業などにより、相談や経営支援を行うとともに、資金面でも制度融資により対応しております。
したがって、お話の家賃補助などについて実施する考えはございません。
次に、小規模企業に対する支援についてでありますが、都内中小企業の約八割を占める小規模企業は東京の産業の活力を支えており、都はこれまでも、経営、技術、資金繰りなどの面から幅広く支援しております。
今後とも、小規模企業振興基本法制定など、国の動きも踏まえつつ、小規模企業の支援に取り組んでまいります。
次に、小規模企業に対する調査についてでありますが、都はこれまでも、都内中小企業の状況などについて定期的に調査を実施するとともに、区市町村と意見交換を行い、その実態を的確に把握しております。
次に、小規模企業の相談への対応についてでありますが、都は、さまざまな経営課題の解決に向けた総合相談窓口の設置や専門家の派遣などにより、都内中小企業を経営、技術の両面から支援する体制を整備しております。
最後に、東京都長期ビジョンにおける雇用、中小企業対策についてでありますが、都はこれまでも、安定的な雇用に向けた切れ目のない就職支援や、小規模企業に対する幅広い支援など、必要な雇用、中小企業対策を講じてきております。
東京都長期ビジョンにおいても適切に対処してまいります。
〇総務局長 地方緊急対策実施計画の作成についてでございますが、首都直下地震対策特別措置法に基づき、都全域が緊急対策区域に指定されていることから、都は地方緊急対策実施計画を作成することができることとされております。
一方、都は、災害対応を効果的に実施し、自助、共助、公助が一体となった対策を推進するため、二〇二〇年までの目標と具体的な道筋を明らかにした防災プランを年内に策定することといたしました。
地方緊急対策実施計画については、防災プランの策定にあわせて検討していくこととしております。
〇オリンピック・パラリンピック準備局長 八点のご質問にお答えいたします。
まず、オリンピック・パラリンピックの施設整備費についてでありますが、施設整備費用につきましては、立候補ファイルに記載した会場施設本体の整備費以外に、大会運営上必要な会場周辺施設の整備費や建設物価の高騰などの変動要素がございます。
今後、会場計画全体を見直す中で、整備費用については精査してまいります。
次に、既存施設の活用についてですが、現行の会場計画におきましては、計画している三十七の競技会場のうち、十五の会場は既存施設の活用を予定しております。
今後の会場計画の見直しに当たりましては、先ほど知事が答弁しましたように、既存施設の活用などの見直しの考え方に沿って具体的に進めてまいります。
大会後のレガシーや都民生活への影響、整備コストなどの視点から、よりよい大会となるよう、IOCや競技団体などとも協議しながら計画を再検討してまいります。
次に、会場配置についてでありますが、競技会場の配置に当たりましては、各競技に求められる会場の要件を満たすとともに、選手村からの距離など選手への負担を十分に考慮し、選手が最高のパフォーマンスを発揮できる計画とすることが重要であります。
今後、会場計画の見直しに当たりましては、先ほど知事がご答弁申し上げました基本的な見直しの考え方に沿いつつ、アスリートファーストという理念を踏まえながら、IOCや国内外の競技団体と協議しながら検討を進めてまいります。
次に、新設する競技施設の後利用についてでございますが、二〇二〇年大会の施設は、大会後も都民共有の財産として末永く親しまれ、有効活用される必要がございます。
今後、施設の活用策や効率的な管理手法など、後利用のあり方につきまして検討し、着実に整備を進めてまいります。
次に、カヌースラローム会場についてでありますが、先ほど知事がご答弁しましたとおり、今後、隣接する下水道局用地を活用するなど、施設配置の検討を行い、会場計画全体の見直しの中で都としての結論を出してまいります。
次に、競技会場整備に伴う影響についてでありますが、競技会場の整備や大会の開催によりまして、既存スポーツ施設の利用に一定の影響があることは認識しております。
次に、代替施設の確保を求める声でございますが、競技会場の整備等で利用に影響が出る既存のスポーツ施設につきまして、代替施設の確保を求める声があることは都としても承知しております。
最後に、代替施設の確保についてでありますが、既存施設の代替機能の必要性や対応策につきましては、今後、各施設の管理者及び地元区と調整しながら検討してまいります。
〇環境局長 再生可能エネルギーについてでございますが、都は、今月三日に、エネルギーの専門家や民間事業者から成る東京都再生可能エネルギー拡大検討会を立ち上げ、都内外で導入拡大を図るための具体策について検討をしております。
検討結果は、先ほど知事が答弁いたしましたとおり、年末にまとめる東京都長期ビジョンに反映させてまいります。
知事に再質問します。
第一に、オリンピック競技会場計画の見直しについて伺います。
知事は、整備計画の見直しについて、既存施設の見直しなど具体的に検討する旨、答弁されました。
本日の夕刊やテレビでは、より具体的に、一、バスケットボールやバドミントンの会場となる夢の島ユース・プラザ、二、カヌースプリントやボート競技が行われる海の森水上競技場、三、カヌースラローム会場となる葛西臨海公園の三施設について整備計画を見直すことを決めたと報道されています。
具体的にどのような見直しを検討しているのですか、お答えください。既に報道されているわけですから、議会の場で隠すことなく、検討内容を明らかにしていただきたいと思います。知事の答弁を求めます。
二つ目に、新国立競技場の整備計画について、知事は、国が検討し整備を進めるものだとの答弁をし、都として意見を述べる立場を示しませんでした。計画見直しを求める要望には、三万人近い建築家や都民が賛同しているのです。この声を知事はどう受けとめているのですか。
以上、二点についてお聞きします。
次に、消費税増税と社会保障の改悪についてです。
知事は、都民の暮らしの困難に目を向けず、消費税は社会保障のためという政府のいい分をそのまま認める答弁をしました。
しかし、福祉保健局長が引用した政府の答弁書自身が、消費税増税でふえる税収のうち、社会保障の充実に使われるのは約一割にすぎないと認めているんです。
しかも、都側が答弁で挙げた基礎年金国庫負担の引き上げなどは、所得税、住民税の定率減税廃止などにより既に財源が確保されているもので、財源を置きかえるだけにすぎません。どうしてこれで消費税増税は社会保障のためといえるのですか。知事、明確にお答えください。
知事は、三月に出版した著書の中で、今、困っている人を救えなければ意味がないと述べています。今こそ負担増に苦しむ都民の声を聞き、医療や介護切り捨ての現場で働く都民の声に耳を傾け、都民の暮らしを守るため、国に働きかけていくべきです。知事の答弁をこの二点について求めて、再質問といたします。
〇オリンピック・パラリンピック準備局長 再質問についてお答えいたします。
オリンピック施設計画の見直しについてですが、既存施設の活用等につきましては、本会議で知事が表明したばかりでございますので、今後検討していくものであります。
次に、新国立競技場についてですが、先ほど知事からご答弁申し上げましたとおり、新国立競技場につきましては、整備主体である国などが責任を持って進めていくのが原則であると考えております。
〇福祉保健局長 社会保障と税の一体改革についての再質問でございますけれども、先ほど答弁したとおり、政府は、消費税の増収見込み額につきましては、その全額を社会保障の充実、安定化に向けることとしております。