白石たみお(品川区選出)
日本共産党都議団を代表して、第137号議案ほか1議案に、反対する立場から討論を行います。
まず、都議会本会議で塩村議員に対し、「早く結婚した方がいい」「自分が産んでから」などという不規則発言があった問題です。
今回の発言は、女性に対する重大な人権侵害であり、許されるものではありません。だからこそ、都民、国民、さらには海外メディアから、大きな批判が相次いでいるのです。
当初、「早く結婚した方がいい」という発言を否定していた鈴木章浩議員は、5日後にようやく名乗り出ました。都議会会議規則では、懲罰動議は問題が起きた日から3日以内とされていることを承知したうえで、懲罰逃れを意図したと言われても仕方ありません。「自分が産んでから」などという、出産にかかわる不規則発言は、さらに悪質であるにもかかわらず、いまだに、発言者すら明らかになっていません。
一連の女性に対する人権侵害発言は、都議会への信頼を大きく損なう結果を招きました。多くの都民から都議会に対し、議員辞職をはじめ、厳しい処分を求める声が寄せられており、都議会としての責任と対応が厳しく問われています。
よって、日本共産党都議団は、都議会として、鈴木章浩議員の辞職、そしてその他の人権侵害発言をした議員も名乗り出て辞職するよう強く求める決議案を提案しました。良識あるみなさんのご賛同をぜひお願いします。なお、自民党、公明党などが提案した決議案は、今回の不規則発言を「人権侵害である」と断定せず、あいまいなまま幕引きを図ろうとするものであり、認められません。また、民主党、みんなの党が提案した決議案も、発言者の辞職などを求めず、都民の声にこたえないものであり、反対するものです。また、わが党は本会議の場で鈴木章浩議員が謝罪することを求める動議の提案をおこなうことを議運理事会で示しましたが、自民党などが認めないとして一方的に議事日程に入れないようにしたことは、議会制民主主義に反することであり、厳重に抗議するものです。
わが党は、二度と今回のような問題が起きないよう、都議会が、この問題に毅然とした態度で臨み、再発防止と信頼回復に一致して取り組むことを、心から呼びかけるものです。
次に、いじめ防止対策推進条例です。
深刻ないじめ問題を社会全体の取り組みで解決することは、緊急の課題です。いじめを放置、隠蔽することなく、子どもを守りぬくことが必要です。同時に、いじめは子どもの成長途上の問題であるだけに、教育的な解決を第一とすべきです。
ところが都の条例案は、都民の意見も求めないまま提案され、加害者の処罰中心だとして批判されている「いじめ防止対策推進法」の考え方をそのまま条例化したものであり、子どもの人権を守る立場が明示されていないという、重大な問題があります。
また、いじめ被害者の保護者などの真実を知る権利が保障されていないこと、相談・調停機能をもつ第三者機関の設置がないこと、学校への人的・財政的支援という行政の役割があいまいなことなどについても、抜本的な改善が必要です。
よって本条例には反対し、今後、いじめ防止基本方針や総合対策もふくめて、都民参加で早急によりよいものをつくりあげることを求めるものです。
さて、今定例会をとおし、舛添都政が安倍政権と同様に、大企業や富裕層がもうければすべてうまくいくという経済政策をとっていることが明確になりました。この政策は、格差を広げ、経済も停滞させることが、歴史的に証明ずみのものです。
わが党は、政府が巨額の内部留保を溜め込む大企業に対する法人実効税率の引き下げをめざす一方で、消費税増税により国民から吸い上げるという最悪の税制改悪を進めていることをただしました。都は、大企業減税は国際競争力強化のためだと正当化する一方、消費税増税については、社会保障のためだという政府の偽りを容認する答弁をしました。これは、「政治は弱い者のためにある」という知事の言葉と正反対に、強きを助け、弱きをくじくという立場の表明にほかならないことを指摘しておくものです。
また都は都民をリスクの高い投機に誘導する国際金融センター構想をすすめようとしていますが、都が進めるべき経済対策は、中小企業に対する支援の抜本的強化であり、くらしと雇用の安定化、および賃上げによる内需拡大を図ることであることを強く申し述べておくものです。
保育園の待機児解消と特養ホームの待機者解消のための対策強化を求めたのに対し、都が待機児童解消については「区市町村の取組みが進むよう、積極的に支援していく」と述べ、特養ホーム等については「中長期的な観点から必要な整備量の検討をおこなう」と述べたことは重要です。しかし、知事の公約である保育士、介護士の給与改善のための都独自の支援を求めたのに対し、都が国の問題だとする立場をとったことは、公約違反であり、断じて許されません。
わが党は超高層ビル化と幹線道路建設に偏った都の都市政策、防災対策を、都民の生活の質の確保、災害予防対策重視へと転換すべきだと求めました。知事はあたかも、すでに取り組んでいるかのように答えましたが、実際は見るべき対策をとっていないことは歴然たる事実であり、対策の抜本的強化を改めて求めておくものです。
オリンピック競技施設整備については、建築家や日本野鳥の会など多くの都民が見直しを求めています。わが党も、整備費を抑制し、環境への影響を最小限にすることなどのために、IOCの方針でもある既存施設の活用を基本とし、会場の配置も8キロ圏内にこだわらず、近隣県も対象に見直すよう、知事に申し入れるなど提案を重ねてきました。
今回、知事が近隣県までふくめた既存施設の活用や整備費の圧縮、環境への配慮を基本とする会場計画の見直しを表明し、カヌースラローム会場については、隣接する下水道局の用地の活用を検討するとしたことは重要です。今後すみやかに関係者と協議を進め、会場計画を抜本的に見直すことを求めるものです。新国立競技場整備計画についても、見直しの賛同署名が3万人にも広がっていることを直視し、国に対し現競技場の改修もふくめた見直しを要請するよう求めて討論を終わります。
以上