2014年都議会第2回定例会 文書質問趣意書 6月23日

小竹ひろ子(文京区選出)

終戦70年にむけ平和発信のとりくみを

 来年は、第2次世界大戦の終戦70年に当たります。戦争中、私は東京にはおりませんでしたが、幼い目で見た空襲による真っ赤な夜空と、その後の焼け野原になった宇都宮の市街地は、今でも脳裏に焼きついています。
 1995年3月10日、終戦50年にあたり、東京都民は「東京都民平和アピール」を採択しました。「平和は、何ものにもまさってすべての基礎をなす条件です。日本国憲法を基本理念とする恒久の平和は、私たちすべての願いであり、人類共通の目標です。私たちは、軍縮と核兵器廃絶を機会あるごとに強く訴え、戦争の惨禍を再び繰り返さないことを誓います。日々の生活において、平和を脅かす問題に、毅然として立ち向かい、忍耐強く取り組むことを決意します。」と全世界にむけ訴えました。
 それからさらに20年近くが経過し、戦争の記憶のある都民がますます少なくなるなか、東京大空襲などの体験を語り継ぎ、戦争の悲惨さと平和の尊さをくり返し確認し発信し、次代に引き継いでいくことは、東京都と都民の重要な責務です。

Q1 3月10日の東京大空襲では、江東・墨田・台東などの下町地域が一夜にして焦土と化し、壊滅的被害で10万人以上の命が奪われました。その実相は今なお完全には明らかとなっていません。
 東京空襲で犠牲となった方々を追悼し平和を願う事業の1つとして、東京都では、「東京空襲犠牲者名簿」を作成し、「東京空襲犠牲者を追悼し平和を祈念する碑」の中に納めています。空襲犠牲者遺族会をはじめとした都民の協力などによって、現在までに8万人を超える方々の氏名が記録されたと伺っています。今でも毎年、新しい申し出があり、名簿登載者が増え続けています。
 しかし、1942年4月18日から1945年8月15日までの東京空襲の犠牲者のうち、少なくとも2万人にものぼる方々の氏名が未だに把握されていません。被害者遺族の方々の平均年齢が80歳をこえていることを考えれば、今を逃すと多くの死者の氏名を把握が難しくなります。記録された「犠牲者氏名」を公開し、関係者に見てもらうことにより、氏名記録を促進すべきではないでしようか。そのことにより、当時の生々しい惨状も明らかになると考えます。
 都は「個人情報保護条例」で公開できないという立場をとっているため、本人に関係する氏名しか見ることができません。しかし一家全滅のケースも多いことから、それでは不十分です。たとえば町別で公開し関係者の協力を得るなどすれば、「あそこの家は全員が亡くなったが、まだ名簿には載っていない」など新たな情報がわかる可能性があります。方法を工夫し、一人でも多くの犠牲者の氏名の把握を推進すべきです。大阪府や神戸市など他の都市では公開しているのです。高齢化した遺族の方々の知恵を借りる最後の機会を生かすべきと考えますが、いかがですか。

Q2 東京都は、1990年代「東京都平和祈念館」建設にむけ、都民から空襲資料の提供をうけ、5000点を超える資料を集めました。この貴重な資料は、祈念館が未だに建設されないため、庭園美術館の資料室倉庫に保管されたまま、20年近い年月を経た今も、詳細な整理も研究もされず、陽の目を見ない状況にあります。
 提供された方々は、「二度と戦争を繰り返してはならない」との決意で、多くの人に見てほしいと願って提供されたと思います。戦争体験者の方々は次第に亡くなり、存命者も高齢化しています。これらの資料を広く一般公開してこそ、寄贈された方々の意志が生かされると思います。
 終戦70年に当り、空襲の記憶を風化させず次世代に引き継ぎ、「二度と戦争をしない」という平和の願いを高揚させるための「東京空襲70年の追悼事業」として、次のことを行うよう提案します。そのなかで空襲資料を活用することを求めます。

@ 先日、江戸東京博物館を見学しました。江戸博には東京空襲の展示コーナーがあります。1階には企画展示室、5階には第2企画展示室があります。70年の節目に合わせ、都民が提供した空襲資料の公開展示などによる「平和展」を行っていただきたい。

A また、都として3月10日の東京都平和の日記念行事などに合わせ、広く都民にアピールする大規模な「平和展」を行うことを要望します。

B 区市町村からの申し出に応えるだけでなく、都として積極的に、都内の区市町村の協力を募り、収集した資料を活用した「平和展」を、都内各地で行うことを求めます。

C 収集した資料を、民間が行う「平和のための戦争展」などにも貸し出して、広く都民に活用してもらい、多くの人に見られるようにしていただきたい。

D 先日、浅草の戦跡を案内していただき、普段、気づかずに見過ごしている戦争の傷跡や平和を願う人が建立した記念碑が数多く存在していることを、改めて学びました。開発が進む東京で、戦跡を保存し広く知らせる事業を新しく始めることを提案します。合わせて戦争体験や記録を改めて都民から募集し、広く公開することを提案します。

 以上の終戦70年記念事業を行い、集めた資料を活用し、戦争の悲惨な実態を次代に伝え、「再び戦争はしない」の誓いの機会にすることを求めます。見解を伺います。

Q3 「東京都平和祈念館」建設が凍結されて、15年が経過しました。1日も早く「平和祈念館」を建設することは、都政の重要な課題です。
 終戦70年の節目に当たり、「東京都平和祈念館基本構想懇談会」報告の立場に立ち返って、東京大空襲と都民の戦争体験を継承し、平和を学び考える場、平和発信のセンターとして、「平和祈念館」を建設に踏みきることが必要と考えます。いかがですか。

Q4 東京では6年後の2020年に平和の祭典であるオリンピック・パラリンピックを開催します。オリンピック開催都市として、平和について学び発信していくことは重要と考えますが、見解を伺います。また2020年にむけどんな平和事業を考えているのか伺います。

以 上