和泉なおみ(葛飾区選出)
討論に先立ち、御嶽山の噴火によって、亡くなられた方々に心から哀悼の意を表するとともに、被害にあわれた方々に心からのお見舞いを申し上げます。
日本共産党を代表して、第165号議案ほか2議案に反対、議員提出議案第13号に賛成の立場から、討論を行います。
はじめに、女性への人権侵害発言について申し述べておきます。この問題をめぐって、都議会の女性に対する人権感覚が極めて低いことが明らかになりました。都議会が、都民の信頼を回復するためには、なにより第2回定例会でおきたヤジ発言をあいまいにせず、事実を解明し、再発防止に取り組むことが不可欠です。
わが党は、この立場から、9月10日の議会運営委員会理事会で具体的に、事実の解明をするために、議会運営委員会として、録音を聞いて確認することや、再発防止のために、都議会規則に人権侵害の発言を禁止することを明記すること、懲罰動議の期限をのばすことなどの検討を各会派によびかけました。
ところが、その後の議会運営委員会理事会でも各会派がこれに応えようとしないことは、きわめて遺憾です。このままでは、都民の都議会に対する信頼を取り戻せません。
各会派が人権侵害ヤジについての事実を解明し、再発防止をすすめるとともに、男女平等の社会を実現する先頭に立つよう重ねて呼びかけるものです。
わが党は同時に議員報酬の2重取りと都民の批判をあびている費用弁償の原則廃止、政務活動費を飲食に使うことを禁止すること、議会のあり方検討会の設置も各会派に呼びかけています。一刻も早く前に進めることを重ねて強調するものです。
大気汚染医療費助成の一部を改正する条例について申し述べます。この条例は、患者に自己負担を求め、さらに18歳以上の新規認定を打ち切ることで、患者救済の道を閉ざすものです。
国や自動車メーカー等が責任を果たすよう求めるとともに、患者の救済の道を広げることこそ、都の責任であり、現行制度の存続を強く求めるものです。
幼保連携型認定こども園の基準に関する条例について、わが党は、保育や教育の質に関わる重要事項を条例本文に明記するとともに、保育や教育の水準を維持、向上させるための修正案を提案しました。本会議での採決に至りませんでしたが、都が乳幼児の豊かな成長・発達を保障するために力を尽くすよう強く求めておくものです。
わが党が提案した木造住宅耐震改修促進補助条例についてです。
都の耐震改修補助は、地域限定などの制約が足かせとなり、7年間の実績は723件に過ぎません。
このため、切迫する首都直下地震による災害から、一人でも多くの都民の生命、身体、財産を守るため、旧耐震木造住宅への助成対象地域を限定せず、自己負担を軽減する条例を提案したものです。
ばらまき政策などという意見もありました。しかし、国も今年3月に、「首都直下地震緊急対策推進基本計画」を閣議決定し、住宅の耐震化率を100%にすれば、全壊棟数と死者数を約9割減らせるとしています。そして、地域を限定せずに耐震化への助成を行っています。議員各位のご賛同を、心からお願いいたします。
わが党は、長期ビジョン中間報告で、保育園の待機児解消および特別養護老人ホームの増設をうちだしたことを評価しましたが、本議会の答弁でも今後に生きる答弁がありました。知事は、現在策定中の高齢者保健福祉計画で地域包括ケアシステムの構築に向けた「具体的な取り組みを盛り込む」と述べました。また、特別養護老人ホームについて、「改めて整備目標を策定していく」との答弁があり、雇用対策について、知事が、「目指すべきは、正規雇用など希望に応じた働き方」であり、「さらに必要な対策を長期ビジョンに反映する」と述べたことなどなどです。今後、都民のくらし、福祉を充実させるさらなる具体的な取り組みを強めることを求めておくものです。
知事は、わが党の高等教育に関する質問に対し、「全体教育予算を充実するためには、日本の経済を活性化して、富を増やすことが必要」とのべました。この考え方には、見過ごせない問題があります。第一に、今でも、日本の経済力をもってすれば、教育の無償化をはじめ、社会保障制度をヨーロッパなみにしていくことは十分可能です。大企業や富裕層への行き過ぎた減税や、大型開発に巨額の財源をふりむけることをやめればよいのです。第二に、たしかにいま日本の経済は停滞しています。しかし、日本の経済が落ち込んでいる最大の原因は、実質賃金が目減りし続けるなど、内需が縮小していることです。したがって、国も都も、なによりも、雇用や社会保障を充実させ、国民、都民のふところを豊かにすることに全力をつくすべきです。
また知事は、いくつかの問題について、国の問題であり、都は関与しないという立場を表明しました。しかし、東京都は、スウェーデンの国家予算ほどの財政力をもつ自治体です。国がやらなければ、都として、経済的困難に苦しむ都民への支援を強化することを重ねて求めておくものです。
次に、横田基地などへの飛来を繰り返しているオスプレイについてです。
都はオスプレイの事故率が低いかのように答えました。しかしそれは、一昨年8月までの重大事故を他と比べたもので、その後の3件の重大事故は含まれていません。しかも小規模な事故も含めると、平均事故率を上回る欠陥機です。ましてや人口が密集した首都圏では重大な住民被害をもたらしかねないからこそ、横田基地近隣5市1町が国に声を上げているのです。国の専管事項だからものを言えないという都の態度は住民の安全を守るべき自治体として許されないことを指摘しておくものです。
最後に、知事が本会議における再質問に立たないことについて、一言申し述べておきます。
知事には、わが党と一致しない問題も多々あるでしょう。しかし、知事と議会が車の両輪としてお互いに真摯に意見をたたかわせ、切磋琢磨してこそ都政は発展すると思います。再質問も含め、お互いに議論を尽くしていくことを心から要望して、討論を終わります。