2014年第4回定例会代表質問 一二月一七日

大島よしえ(足立区選出)

雇用対策について
国民健康保険について
小規模企業をはじめとした中小企業対策について
少子高齢社会対策について
首都直下地震対策について
オリンピック・パラリンピックについて
長期ビジョンについて
オスプレイ・米軍基地について

答弁
知事
教育長
産業労働局長
総務局長
財務局長
福祉保健局長
都市整備局長
消防総監
オリンピック・パラリンピック準備局長
政策企画局長

再質問
再質問答弁
福祉保健局長
都市整備局長

 日本共産党都議団を代表して質問します。
先日行われた総選挙で、日本共産党は、安倍政権の暴走ストップを訴えるとともに、「消費税増税に頼らない別の道」「北東アジア平和協力構想」など、どの問題でも対案を訴えてたたかい、改選議席の2倍を上回る21議席を獲得、東京でも3議席を得ることができました。わが党はあらゆる分野で一致点にもとづく共同をひろげ、公約実現と、都民のくらし、福祉、雇用、営業をまもり充実するために、全力をつくす決意です。

雇用対策について

 はじめに、雇用対策について伺います。
 世界各国でいま、ディーセントワークすなわち人間らしい労働の実現をめざす取り組みが、ひろがっています。ところが日本では、こうした世界の流れとは逆に、雇用の破壊が進んでいます。労働者の3人に1人が非正規労働者で、そのほとんどが年収200万円以下のワーキングプア、働く貧困層です。労働者の平均賃金は、この17年間で年間70万円も減り、実質賃金は16カ月連続で前年を下回っています。
 しかも、「正社員ゼロ」に道をひらく派遣法の大改悪や、「限定正社員」「残業代ゼロ」など、さらなる雇用の破壊が計画されているのです。この流れを食い止め、正社員が当たり前という社会を実現していくことが、緊急に求められています。
 今定例会における所信表明で知事が、「働く人の3分の1が非正規という状況は尋常ではないという強い問題意識を持っている」「安定した仕事につきたいと望む非正規の方々への就職支援を、今後の都の重点政策に位置づけ」「都が積極的に動いて、国をも巻き込んでいくことで、非正規の方々の正社員への転換を強力に推し進めていく」と述べたことを、私たちは歓迎するものです。
 雇用を守るためには、国の政策を変えなければなりませんが、都としてもできうる最大限の対策を進めることが必要です。知事は、都として正規雇用への転換をどのように進め、いつまでにどれだけの正規雇用への転換を図るのですか。長期ビジョンで数値目標も明らかにして取り組むことが重要だと考えますが、知事いかがですか。

 知事は、国の機関である東京労働局との協議の場も創設するとも述べましたが、どのような取り組みを進めるのですか。
 国と協議の場をつくるなら、非正規雇用の正規化とともに、ブラック企業・ブラックバイト対策や、最低賃金の引き上げ、労働時間の短縮、過労死対策などについても協議し、これまでに倍する取り組みを強化していただきたいと思いますが、いかがですか。

 非正規の方の正規雇用への転換を進めるには、中小企業への支援が欠かせません。都は、正規雇用促進のために中小企業への助成など、支援を大幅に拡充すべきと思いますが、お答え下さい。

 東京都が雇用している非正規労働者は、知事部局だけでおよそ9000人におよびます。東京都自身が、これらの非常勤職員、臨時職員の職の正規雇用への転換と待遇改善にむけ率先して行動すべきです。

 また、都の入札契約制度の改善や、公契約条例の制定などにより、都が発注した工事や委託事業にかかわる非正規労働者の正規化と待遇改善を促進することも重要ですが、お答え下さい。

 正規雇用化を進めるうえで、公共職業訓練の役割がますます重要です。
職業訓練校の統廃合をやめて拡充し、都として責任をもって修了生を正規雇用につなげる手だてをつくすことが求められます。いかがですか。

 都は、専門学校や短期大学に委託し、授業料を全額補助することで、介護福祉士や保育士などを養成する事業を行っています。建設や環境にたずさわる人材養成の職業訓練も始まっています。こうした、人材不足が深刻な分野の職業訓練の規模と内容を、大幅に拡充することが大事だと考えますが、お答え下さい。

 基礎的な技術とともに、最新の知識に対応できる実践的技術者を育てる、職業能力開発大学校や短期大学校の役割が重要です。
 職能短期大学校「ポリテクカレッジ・千葉」は、電子エネルギー制御科、住居環境科、ものづくりシステム科など多くの専門コースをもうけ、生産現場の様々な課題にこたえることができる技術者養成を進めています。工場の自動化システムの設計、エコ住宅建設、航空整備などの技術をもった卒業生を、県内の主要な中堅企業に毎年百数十人、100%の就職率で送り出し、就職後の活躍も高く評価されています。
 正規雇用の促進と都内中小企業が求める人材育成にむけ、都として職能開発大学校や短期大学校の設置を検討することを提案します。いかがですか。

国民健康保険料・保険税について

 次に、国民皆保険の土台をゆるがせている国民健康保険料・保険税の問題です。
 ヨーロッパ諸国やカナダでは、公的医療制度の窓口負担は無料か、少ない負担額におさえられています。ところが日本の医療制度は、医療費の窓口負担が原則3割で、医療費が払えないため医者にかかれない受診抑制という、深刻な事態が生じています。
 そのうえ国民健康保険では、年金生活者や非正規労働者などが多くなり、加入者の収入低下が進んでいるなか、保険料・保険税の値上げが繰り返され、滞納世帯の割合は5世帯に1世帯におよび、全国最悪です。滞納のため保険証を取り上げられ、短期証や資格証の世帯は14万8千世帯をこえ、滞納取り立てのための差し押さえ件数も増え続けています。
知事は、こうした事態をどう認識していますか。世界一の福祉都市をめざすというなら、国民健康保険をめぐる深刻な事態を解決することは、避けて通れません。違いますか。

 いま緊急に求められていることは、負担能力をこえた高い保険料をどう適正な保険料に是正していくかです。構造的ともいえる問題解決の第一義的責任は、国にあります。社会保障に対する国の責務を果たすよう、強く求めるべきことはいうまでもありません。同時に、広域自治体としての都の責任も問われます。保険料のこれ以上の引き上げを抑え負担軽減を図るために、都としてどう手立てをとるのですか。保険料軽減のために区市町村への財政支援を行うべきではありませんか。答弁を求めます。

小規模企業をはじめとした中小企業対策について

 次に、小規模企業をはじめとした中小企業対策です。
 小規模企業重視の施策を進めているEUは、ドイツをはじめ小企業・自営業者が増え、一部は輸出産業としても発展しています。このため、世界経済がグローバル化する中でも地域産業が空洞化せず、国の経済の土台を形作っているのです。
一方、わが国の小規模企業は、減少を続け、経済センサス基礎調査によれば、都内の開業率が9%であるのに対し、廃業率は21%にもおよんでおり、小規模企業支援の抜本的強化が求められています。
 その点で、今年6月に成立した小規模企業振興基本法は、小規模企業を、地域の経済や雇用を支えるきわめて重要な存在であり、その活力を最大限に発揮させることが不可欠であるとの立場から、小規模企業の事業の持続的発展を位置づけたものです。地方自治体に対しても、この立場から施策を策定して実施する責務があるとしています。
 知事は、東京の地域経済の担い手として、そして地域コミュニティの担い手としてかけがえのない役割を果たしている小規模企業の重要性を、どう認識していますか。

 事業継承、人材確保、技術力の発展や製品化、販売戦略などについて思いきった支援を行う中長期の小規模企業振興計画をつくり、「長期ビジョン」でも明確に位置づけることが重要だと考えますが、いかがですか。

 都内に、小規模企業の支援拠点は1カ所しかありません。大幅に増やし、内容を充実させることが必要だと思いますが、お答え下さい。

 墨田区のあるバネ工場は卓上カードスタンドをデザイナーと連携することで人を惹きつけるものにして、ニューヨーク美術館にも取りあげられ、世界からも注文が届いています。台東区では、デザイナーと共同することで、靴・アクセサリー等のファッション雑貨関連分野の地場産業の活力、競争力を高める取り組みが進んでいます。廃校になった小学校の空き教室を活用してデザイナーの創業支援施設を提供することで、地元企業と連携した商品のデザイン開発を進めています。
 デザイナーとものづくりが共同することは、新たな価値を生み出します。都は、デザイナーとものづくりの共同を、どのように発展させるのですか。支援事業を大幅に拡充すべきと思いますが、いかがですか。

 プロペラの曲面加工技術や表面をなめらかに磨きあげる技術を活用した、耐久性の高いチタン合金製の人工関節など、中小企業のものづくり技術と連携して医療現場の課題を解決する医工連携の取り組みが、全国各地で進んでいます。都内には都立病院、大学病院をはじめ多くの医療機関や大学があります。高度な技術力をもつ中小企業も集積しています。この二つの力を結びつけるなら、医療の発展、都内中小企業の発展、地域経済・日本経済の発展を、同時に進めることができます。
 都として、集積する医療機関や大学と中小企業を結びつけ、医工連携を推進する体制の構築を急ぐとともに、医療とものづくり、それぞれの現場に精通して橋渡しができる専門家を養成・確保しつつ、医工連携事業を大幅に拡充することを求めますが、お答え下さい。

少子高齢社会対策の拡充について

 次に、少子高齢社会対策の拡充について伺います。
 保育園や特別養護老人ホームの増設、待機児・待機者の解消は緊急課題であり、都が、4年間で4万人分の保育園整備、特別養護老人ホームは10年間で最大1万9千人分の整備を打ち出したことは重要です。また、そのために欠かせない土地の確保について、都有地、国有地、民有地の新たな活用策を具体化し、都営住宅・公社住宅用地を、10年間で30ヘクタール提供するとしたこと、建築費高騰に対応した、特養ホーム整備費の補助単価増額を提案したことも、重要な前進です。

 都有地等の活用検討チームを設置して検討したことが、土地活用の拡充につながりました。今求められているのは、知事のイニシアチブを発揮し、この方針を早急に実行するため、全庁をあげた取り組みを展開することだと思いますが、知事の答弁を求めます。

 そのために、活用可能な都有地については、保育園や特養ホーム、障害者施設など福祉施設整備に、最優先で提供することを都の方針として徹底すべきですが、いかがですか。

 都有地等の活用検討チームを発展させる、新たな段階に入りました。知事または副知事を責任者として庁内の調整を行い、区市町村との相談窓口の機能をもち、都有地等の提供を進める強い権限をもつ、都有地等の活用「推進」チームを設置することが必要ですが、お答え下さい。

 都営住宅・公社住宅用地の30ヘクタールについては、区市町村や事業者が見通しをもって計画的に取り組めるよう、各候補地について早急に区市町村と協議を進めることが必要です。いかがですか。

 葛飾区は、都営高砂団地の建て替えで生まれた広大な用地を、特養ホームの整備に提供するよう繰り返し要望していますが、都は建て替えがすべて終了しなければ提供できないとしています。これでは施設整備の緊急性に対応できません。建て替えが終了していなくても、区と協議に入るべきです。
 国有地についても福祉施設整備への活用が進むよう、都として力をつくすことを求めますが、いかがですか。

 知事は長期ビジョンの重点政策として、高齢者が地域で安心して生活できる基盤整備を掲げています。東京における深刻な現状を打開するにふさわしい高い目標を掲げ、特養ホームをはじめとした介護施設や、地域密着型サービスの整備計画を明確にした取り組みを進めることが重要ですが、知事お答え下さい。

 理学療法士が開設した藤沢市の小規模多機能施設が、いま注目されています。リハビリの専門職ならではの工夫をして、一人ひとりの意欲や能力を引き出す支援をすることで、利用者の実に65%の介護度が改善傾向にあると報告されています。リハビリ専門職の役割の重要性を、どのように認識していますか。

 国は複合型サービスを創設し、小規模多機能に看護師を配置する際の介護報酬加算を導入しました。しかし、リハビリ専門職には加算がありません。リハビリの努力をして介護度が下がれば事業所の収入が減りますから、経営は厳しくなります。リハビリ専門職の加算を国に求めるとともに、都としてリハビリ専門職を配置した小規模多機能施設の取り組みを広げるよう支援に踏み出すことを、要望しておきます。

 保育園や介護サービスを量質とも拡充するうえで、人材確保は緊急の課題です。
 都が実施した保育士実態調査報告書では、給料が低い、仕事量が多いなど、待遇の問題を退職理由にする人が多く、保育士の確保・定着の取り組みには避けられない課題だと分析しています。
 ベネッセ教育総合研究所が、全国の幼稚園、保育園等の園長を対象に実施した調査でも、保育者の資質向上には、7割以上が「給与面での待遇改善」、約6割が「職員配置基準の改善」が必要だと回答し、国や自治体に対し、それが実現できる支援を求めています。
 介護職についても、介護施設の職員6000人以上からよせられたアンケートで、仕事をやめたいと思い理由のトップは「賃金が安い」、次いで「仕事が忙しすぎる」となっています。
 保育士の賃金は、国内の労働者の平均賃金と比べて年間100万円以上も低く、介護職はさらに低いのです。このような低い賃金で働いている実態をどう認識しているのですか。保育士や介護職の待遇改善については、基本的な給与を思い切って引き上げることが必要だと思いますが、いかがですか。こうした立場で国に提案要求するとともに、都としても独自助成を含む対策を進めることを求めますが、お答え下さい。

 また、仕事量が多い、忙しすぎるという問題を解決しなければ、人材確保・定着は進みません。保育も介護も、現行の職員配置の抜本的な改善を図るよう、求めておきます。

 福祉人材確保にむけ効果的な情報提供や職業紹介等を行うため、人材バンクの設置が求められています。
 都は、福祉人材の確保にむけ、どのように取り組むのですか。

 財務省は10月末、公立小学校1年生の35人学級を見直し、1学級40人に戻すべきだとする案を財政制度等審議会で提案しました。教員定数を4千人削減することで、義務教育国庫負担金を86億円削減できるというのです。
 財務省は、国が小学校1年生を35人学級とした2011年度以降の2年間とその前の5年間を比較し、いじめや不登校などに効果がないとしていますが、そもそも東京都をはじめすべての都道府県で、2011年度以前から国に先駆け独自の努力で、少人数学級を実施・拡大しており、その比較に意味はありません。
 全国各地の自治体では、「児童ひとりひとりの発表の機会が増えたので、学習意欲が向上した」「生徒の変化に速やかに気づき迅速に対応することができるため、いじめや不登校などの問題行動の早期発見が可能になった」などの効果が報告されています。
 東京都は2010年度から小学校1、2年生および中学1年生で35人学級を可能とする教員加配を行い、「効果があった」との認識を示しています。少人数学級でどのような効果があったのか、お答え下さい。

 参議院文部科学委員会は、財務省の提案を到底容認できないとし、義務標準法改正により小学校2年生以上も順次35人学級とすることを求める決議を、全会一致で可決しました。文科大臣も、35人学級は今の学校を考えたらきちっと達成すべき、と発言しています。東京でも、校長会、副校長会など教育関係者や保護者をはじめ、多くの都民から35人学級を拡大してほしいという強い要望があがっています。
 そもそも日本における教育への公的支出のGDPに占める割合は、OECD加盟32カ国の中で最下位です。にもかかわらず義務教育への国の支出をさらに減らす、そのために40人学級に戻すことなど、とうてい許されません。知事は、どう思いますか。

 国に対し、財務省の方針を撤回し、35人学級を着実に進めるよう求めるべきです。  都としても都民要望にこたえ、独自に35人学級を拡大すべきと考えますが、いかがですか。

首都直下地震対策について

 首都直下地震対策について伺います。
 内閣府による「首都直下地震の復興対策のあり方に関する検討の調査報告書」を読んで驚きました。そこでは、「関東大震災では、全部の資金や技術を都心にむけられたので都心の改造ができた。投資を集中するという選択肢もある」「個人への財政支援については限界がある」「100万か200万円を一律で支給、あとは自助努力に任せるという可能性も考えられる」などと、都民の生活と住宅再建などへの支援を大幅に削ることが検討されているのです。
 これまで不十分とはいえ、被災者に対して行われてきた生活と住宅再建への公的助成を大後退させかねない議論です。いかなる事態になろうとも支援を後退させることなく、むしろ充実して、都民生活をまもることは、国や都の責務だと思いますが、いかがですか。

 いま、都が何よりも緊急に進めるべきは、最大で死者9700人、建築物の被害30万4000棟という膨大な被害を最小限に抑えるための予防対策であり、中央防災会議が指摘しているように、あらゆる対策の大前提として建築物の耐震化を進めることです。
 中央防災会議は、地方自治体が、耐震化の必要性について広く周知徹底を図るだけでなく、補助制度や税制優遇措置などを活用することを強調し、国交省も、「建築物の耐震改修は、社会全体の国家的な緊急課題」として、「負担軽減のための制度の構築」を指摘しているのです。知事は、こうした方針をどう受け止めていますか。

 いま都に求められているのは、耐震化への助成の大幅拡充です。これによって、住宅被害や死傷者を大幅に少なくできます。そして、復興費用も大幅に少なくできるのです。
 兵庫県では、阪神・淡路大震災による建築物の全壊が10万4000棟、半壊は、13万7000棟発生しました。被害住宅の撤去、仮設住宅の建設・撤去費用、さらに住宅再建や公営・民間借家への入居など、公的費用の投入は莫大なものでした。東京大学の研究者によれば、全壊では1棟当たり最大1050万円、半壊は同じく900万円におよんだと推定されています。
 この試算を首都直下地震の被害想定に当てはめると、東京での公的資金投入の必要額は、全壊で最大1兆3000億円、半壊で3兆円、合わせて最大で4兆2000億円に達すると推定されます。しかし、耐震化助成を拡充すれば都の負担は千数百億円程度で済みます。まさに「損して得をとる」ものであり、1石2鳥、3鳥の効果があるのです。
 経団連も、国民の生命と財産を守るため、新耐震基準を満たしていない住宅の建替えや耐震改修に対して、耐震診断、改修費用の補助を求めているのです。
 住宅耐震助成の大幅拡充について、いまこそ積極的に検討していただきたいと思います。いかがですか。

 火災対策の強化も緊急課題です。中央防災会議は、「延焼火災が発生する危険が高い地域を中心に、大地震発生時に速やかに電力供給を停止する方策や取り組みを検討すること」「感震ブレーカー等の100%配備の方策の検討を進め、早急に実施すべき」としています。感震ブレーカーの普及について、都としてどう検討し、どう進めるのですか。有効性・信頼性をさらに向上させる取り組みや、都民への啓発の強化とともに、購入・設置費への助成も必要だと思いますが、いかがですか。

 また、超高層ビルなどの火災対策には、ヘリコプターによる空からの消火や救出が有効です。航空消防体制の機能強化と拡充が重要ですが、東京消防庁の見解についてお答え下さい。

オリンピック・パラリンピックについて

 次に、オリンピック・パラリンピックについてです。
 わが党はこれまで、オリンピックの競技会場は、隣接県も含め既存施設の最大限活用につとめ、整備費は必要最小限に抑えること、都民、スポーツ団体が利用しやすい後利用計画を明らかにすることを求めてきました。知事がこうした立場で施設計画の見直しを進めていることは重要です。しかし、都が負担する会場整備費は2576億円と当初計画より1千億円も高く、有明アリーナの土地購入費211億円なども含めれば、さらにふくらみかねません。
 IOC総会で先週、採択された「オリンピック・アジェンダ2020」では持続可能性とレガシーがよりいっそう重視され、既存施設の活用や他都市での分散開催などの開催条件の緩和が承認されました。この視点に立って改めて現在の計画を見直し、整備費の縮小など、さらなる改善を図ることが求められますが、知事いかがですか。

 わが党は先日、会場変更を検討するよう申し入れましたが、ボート競技を行う海の森水上競技場は競技の公平性の確保が難しく、維持管理費の高騰は避けられないなど様々な欠陥があります。改めて会場変更の検討を求めておくものです。
 当然、新国立競技場計画も、「アジェンダ2020」の視点にもとづいて見直すべきです。知事もロンドンを視察し、メインスタジアムについて、「最初から大きくしてどうだったのか」と述べましたが、国の施設であるとはいえ、開催都市として国と協議すべきではありませんか。知事お答え下さい。

 所信表明で知事がレガシー委員会を設立し、レガシーの全体像をまとめていくと発言したことは重要です。レガシー計画では、一人ひとりを大切にし、平和で持続可能な社会をめざすというオリンピック憲章の精神に立脚し、競技会場や選手村の後利用計画、都民・青少年のスポーツ参加の促進にとどまらず、都民生活、環境、障害者施策の向上などをどう図るのか、目標を明確にして取り組むことを求めます。いかがですか。

長期ビジョンについてです。

 次に、長期ビジョンについてです。
 知事は、間もなく発表する「東京都長期ビジョン」で、「様々な分野で世界のどこよりも上質な生活ができる都市を実現する」としています。それならば、子どもの貧困のない東京の実現や、都営住宅の平均応募倍率が全国最悪の24・5倍にもおよび、劣悪な住環境をよぎなくされ苦しんでいる人たちの救済にどう取り組むのですか。都民のくらしをしっかり守る立場と政策を長期ビジョンで明確に打ち出すべきと考えますが、いかがですか。

 OECDは最近、成長の恩恵が自動的に社会にしたたり落ちるものではない、格差問題に取り組めば、社会を公平化し、経済を強固にすることができる、との報告書を出しています。この立場から言っても、これまでの石原都政以来の長期ビジョンによる重点事業のあり方を改める必要があります。
 たとえば、昨年出された長期ビジョンの3カ年計画にもとづく重点事業は、全体事業費の31%を外環道や過大な港湾施設整備、外国の多国籍企業などを呼び込む巨大開発などにつぎ込む一方、高齢社会対策は3%、少子化地策は2%にすぎないなど、都民のくらしや福祉を守る立場はきわめて貧弱でした。
 新しい長期ビジョンは、大型開発や、金融資本の呼び込みを最重点にするのではなく、都民のくらし、福祉、雇用、中小企業そして防災対策などに重点を置くものに思い切って切り替え、3カ年の重点計画にも明確に反映させることが必要と考えますが、知事いかがですか。

オスプレイ・米軍基地について

 日米両政府は、米海兵隊のMVオスプレイの訓練を、日本全土に拡大しようとしており、横田基地へも繰り返し飛来しています。このため、多くの自治体や住民の不安と怒りの声が広がっています。知事は、国の専管事項だと言っていますが、都知事には、都民の命と安全を守る、重い責務があるのです。
 沖縄県はオスプレイの飛行実態について調査を行いました。その結果、オスプレイの飛行が目視されたもののうち60%以上が、学校、病院、人口密集地の上空でした。しかも、深夜10時以降の夜間飛行や、無灯火での離着陸訓練など、戦地を想定した危険な訓練が繰り返されています。
 都として沖縄県のようにオスプレイの飛行実態について調査すべきです。いかがですか。

 そもそも横田基地は、人口密集地の中にあります。そこに、危険なオスプレイが飛来すること自体、許されません。横田基地にオスプレイを飛来させないよう、国に厳しく申し入れるべきです。知事お答え下さい。

 米軍横田基地は、戦後70年近く、一国の首都に外国の基地が居座るという、世界で例のない異常な存在です。知事、そう思いませんか。

 都は都民の安全、安心を脅かす実態を踏まえて、毎年、国に、米軍基地の整理、縮小、返還の促進を求めています。知事として、どう取り組むのですか。横田基地はもちろん、赤坂プレスセンター、多摩サービス補助施設など、都内8カ所の米軍基地すべてについて、整理、縮小、返還の実現に力をつくすべきです。答弁を求め、再質問を留保して質問を終わります。

【答弁】

〇知事 大島よしえ議員の代表質問にお答えいたします。
 まず雇用対策についてでありますが、安定した職業という生活基盤があればこそ、明るい気持ちで生活していくことができます。非正規雇用の現状には、かねてより問題意識を持っております。働き方にはいろいろありますが、正規雇用など、希望に応じた働き方を選択し、実現できることが重要であります。
 都は、安定した仕事につきたいと望みながらも、不本意な働き方をしている非正規の方々に対して、社内での正社員への転換の推進や、きめ細かな就職支援などの対策を国も巻き込んで実施してまいります。
 なお、長期ビジョンについては、年内の公表に向けて、現在、鋭意策定中でございます。

 小規模企業に対する認識についてでありますが、都内中小企業の約八割を占めます小規模企業は、地域の経済や雇用を支えておりまして、その事業の継続と発展を図ることは、東京の産業振興にとって重要であります。
 このため、都はこれまでも、経営、技術、資金繰りなどの面から小規模企業を幅広く支援しております。今後とも、商工会、商工会議所などと連携し、小規模企業の持続的な発展を後押ししてまいります。

 少子高齢化対策における土地活用策等の全庁的な取り組みについてでありますが、私は、福祉施設の整備促進のため、知事就任後、直ちに関係各局に対して土地活用策の検討を指示いたしました。
 この結果、七月末には、都有地減額制度の大幅な見直しに加えまして、都営住宅等の建てかえによる創出用地の活用や区市町村に対する情報提供の充実などを取りまとめ、翌月から順次実施しております。
 また、第三回定例会には、国有地、民有地への賃借料補助制度の創設など、予算措置が必要な取り組みについて補正予算を提案し、議決をいただきました。
 さらに、本定例会におきましても、特別養護老人ホーム整備に係る加算補助の創設など、施策の充実を図る補正予算を提案しております。
 これらの方策を、スピード感を持って全庁を挙げて進めてまいります。

 介護基盤の整備についてでございますが、多くの高齢者は、たとえ介護が必要になっても、可能な限り住みなれた地域で生活したいと望んでおります。その願いに応えるためには、高齢者のための住まい、医療、介護、生活支援サービスを地域の中で一体的に提供する地域包括ケアシステムを構築していかなければなりません。
 こうした考えに立ちまして、今月策定する長期ビジョンでは、高齢者が地域で安心して暮らせる社会の実現を政策指針の一つに位置づけまして、具体的な政策目標をお示ししたいと思っております。
 また、年度内に策定する第六期東京都高齢者保健福祉計画では、ご指摘をまつまでもなく、区市町村の算定したサービス見込み量を踏まえ、全ての介護サービスについて、二〇二五年度までの必要なサービス量を推計し、施策の展開を図る考えでございます。

 オリンピック・パラリンピックの競技会場計画についてでございますが、今般の再検討によって、二〇二〇年大会の計画を都民にとって真に価値のある計画に生まれ変わらせるとともに、懸念されていた整備費に関しましては、全体としておおむね約二千億円圧縮することができました。
 先日、IOCにおいて採択されましたアジェンダ二〇二〇の既存施設の活用という方針は、都と組織委員会がこれまで実施してきた再検討の方向と一致しております。
 引き続き、基本設計などを通じて整備費の縮減に努めますが、それだけに目を奪われて、大会後の競技会場を広く都民に利用され、喜ばれる施設にするという、この本来の目的も忘れてはならないと思っております。
 今後とも、組織委員会と連携して、大会の準備に万全を期する覚悟でございます。

 新国立競技場についてでありますが、新国立競技場建設は、国及び日本スポーツ振興センターが責任主体となって整備を進めております。建設に当たりましては、国立競技場将来構想有識者会議が設置され、その中で、有識者や各分野の専門家により、規模や後利用等の基本方針が検討された上で、現在、実施設計が進められております。
 都としては、二〇二〇年大会のオリンピックスタジアムとして活用できるよう、着実な整備を求めてまいります。

 長期ビジョンにつきましてですが、中間報告では、医療、雇用などの福祉政策や、防災、防犯などの危機管理対策、さらには、インフラ整備や都市再生の推進、経済の活性化など、重点的に取り組むべき真に必要な政策を掲げております。これらをバランスよく推進することで、ここで生まれ、生活し、老後を過ごすことができてよかった、そう思える東京の実現を目指してまいります。
 なお、ご指摘をまつまでもなく、今後、こうした考え方のもとに三カ年の実施計画を策定し、着実な政策の推進を図ってまいります。

 横田基地についてでございますが、アジア太平洋地域の安全保障環境が厳しさを増す中、日米安全保障体制は、我が国の安全とともに、地域の平和と安定にとって不可欠なものであります。横田基地を初めとする都内の米軍基地も、その一翼を担うものと認識しております。
 また、米軍基地は、日米地位協定に基づき、必要でなくなった場合は我が国に返還されなければならず、その必要性が絶えず検討されることになっております。
 都としては、そういう取り組みが促進されるように国に求めております。
 なお、そのほかの質問につきましては、教育長及び関係局長から答弁させます。

〇教育長 四点のご質問にお答えをいたします。
 まず、小学校第一学年、第二学年及び中学校第一学年への教員加配の効果についてでありますが、小一問題、中一ギャップの予防、解決のために、都教育委員会は、平成二十二年度から、学級規模の縮小とチームティーチングの活用を各学校の実情に応じて選択できる柔軟な制度を順次導入してまいりました。
 教員の加配を受けた学校からは、授業中の学習態度など、児童生徒の状況が改善されたという肯定的な意見が回答されております。

 次に、四十人学級に戻すことについてでありますが、国の財政制度等審議会の分科会におきまして、本年十月、小学校第一学年の学級編制の標準を四十人に戻すべきとの提案がなされました。
 都教育委員会は、小一問題の解決のためには、小学校第一学年の三十五人編制は有効であると考えております。

 次に、国に求めることについてでありますが、都教育委員会は、これまでも国に対して、さまざまな教育課題を解決するための教職員定数を一層充実すべきとの提案要求を行っております。
 小学校第一学年の学級編制の変更については、反対を含めてさまざまな意見があり、国の動向を注視してまいります。

 最後に、都としての三十五人学級の拡大についてでありますが、都教育委員会は、小一問題及び中一ギャップの解決のため、小学校第一学年、第二学年及び中学校第一学年において三十五人編制を可能としております。
 義務教育における今後の学級編制のあり方は、教育の機会均等や全国的な教育水準の維持の観点から、国の責任が大きいと考えております。

〇産業労働局長 九点のご質問にお答えをいたします。
 まず、国との連携についてでございます。
 都は、東京労働局との協議の場を創設することにより、若者の就労問題や人手不足など、国とともに取り組むことで相乗効果が期待される課題に対して、各局連携して取り組んでまいります。

 次に、正規雇用促進に向けた中小企業支援についてでございますが、都は、若者を職場実習を行った上で正社員として雇用した中小企業に対する奨励金の支給や、社内での正規雇用への転換等に取り組む中小企業への専門家の派遣など、必要な支援を実施しております。
 今後とも、正規雇用促進に向け、必要な対策を講じてまいります。

 次に、公共職業訓練についてでありますが、都は、職業能力開発センターにおいて、正規雇用に向けた多様な職業訓練や、きめ細かな就職支援を実施しております。
 なお、現在進めている再編整備は、老朽化が著しい施設の改築に合わせて統合、大規模化を図り、機能を拡充するものでございます。

 次に、公共職業訓練の規模と内容についてでございますが、都が実施する職業訓練は、これまでも求人ニーズや応募状況等を踏まえて毎年度見直しを行い、適切に実施しております。

 次に、職業能力開発大学校等についてでございますが、都内には、国の独立行政法人が設置している職業能力開発総合大学校がございます。また、既に多くの大学や専門学校等が集積しており、これも活用しながら、都として職業能力開発に取り組んでおります。

 次に、小規模企業の振興についてでございますが、都はこれまでも、小規模企業に対する幅広い支援を実施しております。引き続き、国の小規模企業振興基本計画も踏まえ、必要な支援を行ってまいります。
 なお、長期ビジョンにつきましては、年内の公表に向けて調整を進めているところでございます。

 次に、小規模企業に対する支援の充実についてでございます。
 都は、都内の八つの商工会議所及び二十七の商工会が行う小規模企業に対する巡回指導や講習会などの取り組みを積極的に支援しております。

 次に、デザイナーとものづくりの共同についてでございます。
 都はこれまでも、デザインを活用した製品開発を進めるため、中小企業とデザイナーが共同して行う取り組みを支援しております。

 最後に、医工連携についてでございますが、都は、健康や医療など、今後の成長が期待できる産業分野での技術開発に取り組む中小企業を支援するとともに、取り組みをコーディネートする専門家の派遣も行っております。
 今後とも必要な支援を行ってまいります。

  〇総務局長 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、都の非常勤職員及び臨時職員についてでございます。
 職員の職の設置に当たっては、多様化、高度化する行政ニーズに対応するため、事務の種類や性質に応じてさまざまな任用形態を活用していくことが重要でございます。
 そのため、都では、個々の職務内容及び業務量等に応じて、常勤職員、非常勤職員及び臨時職員など、最も適切な職を設置し、適正な人員管理のもと、効率的な執行体制の確保に努めております。
 また、処遇につきましては、これまでも必要な改善に努めてまいりましたが、今般の一般職非常勤制度の導入により、休暇、休業制度の拡充など一層の改善が図られることとなります。
 今後とも、適切な勤務条件の確保に取り組んでまいります。

 次に、首都直下地震における被災者支援についてでございます。
 ご指摘の内容は、首都直下地震の復興対策の検討のために平成二十年三月に開催されました内閣府の懇談会におけるそれぞれの委員の意見として、議事概要としてまとめられたものでございます。都といたしましては、ご指摘の内容に基づく制度改正などの具体的な国の動きは承知しておりません。
 都においては、首都直下地震などの際には、復興に向けて都が取り組むべき施策を取りまとめた東京都震災復興マニュアルに基づき復興事業を総合的に進めていく中で、被災者への適切な支援を行い、一日も早い都民の生活再建を目指してまいります。

 最後に、感震ブレーカーの普及についてでございます。
 都の被害想定では、区部木造住宅密集地域を中心に、建物倒壊や焼失による被害が想定されております。このため都は、建築物の耐震化、不燃化に向けた取り組みに加え、家具類の転倒等防止対策や感震機能つき分電盤等の普及促進などに取り組んでおります。
 一方、国は、感震ブレーカーの有効性、信頼性を確保するための技術的検討、医療機関等の取り扱いなどを現在検討しております。
 都といたしましては、引き続き、住宅の倒壊や火災を防ぐ安全な都市づくりの実現を目指し、地域防災計画に基づくハード、ソフト両面の対策を推進してまいります。

〇財務局長 三点のご質問にお答えいたします。
 まず、非正規労働者の正規化などに向けた入札契約制度の改善等についてでありますが、都はこれまでも、公共工事の担い手を確保する観点から、契約に当たり、受注者に対して法令遵守を義務づけるなど、適正な労働条件の確保を図ってまいりました。
 引き続き、こうした考え方のもと、現在進めている入札に参加しやすい環境の整備に向けた取り組みを通じて、総合的に取り組んでまいります。

 次に、都有地を福祉施設整備に最優先で提供すべきとのことについてでありますが、都有地は都民から負託を受けた貴重な財産であり、都政の喫緊の課題解決のため、最大限有効活用していくことが重要であります。
 都や区市町村が抱える行政需要は、福祉施設整備を初め、学校、道路、公園、都民の安全・安心にかかわる施設など多岐にわたっております。
 今後とも、こうしたさまざまな行政需要に対し、土地の形状や立地等を踏まえ、都有地の有効活用を適切に進めてまいります。

 最後に、都有地を活用した福祉インフラ事業の推進についてでありますが、都はこれまでも、関係各局が土地の情報を共有し、担当局を通じて地元の区市町村と密接に連携することにより、円滑に事業を推進してきております。個々の都有地には、区市町村が福祉目的で使いたいと考える土地であっても、道路用地など他の政策目的に活用するなど、利用できない土地も多数含まれております。
 今後とも、関係各局と連携し、個々の土地の利用計画も含めて十分調査、把握しつつ、福祉インフラ整備に活用可能な未利用都有地について情報提供を行うなど、区市町村の取り組みを支援してまいります。

〇福祉保健局長 六点のご質問にお答えします。
 まず、国民健康保険についてでありますが、現在の国民健康保険制度には、医療費が高く所得の低い高年齢者や、失業者などの低所得者の占める割合が高く、保険料の確保が困難であるなど構造的問題があり、国民皆保険制度を守るという観点から、制度設計者である国が責任を持って抜本的解決策を講じることが必要であります。
 現在、国民健康保険の基盤強化に関する国と地方の協議において、制度見直しに関する議論が進められており、都は既に、国に対し、構造的な問題の解決、必要な財源の確保等について提案要求をしております。

 次に、国民健康保険料の負担軽減についてでありますが、国民健康保険制度の保険者は区市町村であり、保険料や保険税の賦課方式や料率は、それぞれの自治体の議会で審議され決定されるものでございます。
 都は、国民健康保険制度の健全かつ安定的な運営を図るため、法令等に基づき各保険者に対する財政支援を行っております。保険料負担軽減のため、都として新たな支援を行うことは考えておりません。

 次に、国有地の活用についてでありますが、国は、平成二十二年六月の新成長戦略を踏まえ、同年八月に未利用国有地について、個々の特性に応じた多様な手段を選択できるよう、原則売却であった管理処分方針を見直し、定期借地権を利用した貸し付け等も行えるようにいたしました。
 また、管理処分に当たっては、地方公共団体等からの要望を優先し、新成長戦略に盛り込まれた介護、子育て分野での活用の要望があった場合には、地方財務局等の審査を経て、売却等の決定を行うこととしております。
 都は、国有地を活用した社会福祉施設の整備が進むよう、土地の貸付料の減額や利用可能な国有地情報の早期提供などを、国に対して既に提案要求しております。

 次に、リハビリ専門職の役割についてでありますが、介護保険において、居宅サービスにおけるリハビリテーションは、利用者の心身の機能の維持回復を図り、自立した日常生活を営むことができるよう、訪問リハビリテーション事業所や通所リハビリテーション事業所などに配置されている理学療法士や作業療法士などの専門職が、医師の指示及びリハビリテーション計画に基づき提供することとされております。

 次に、介護職員や保育士の処遇についてでありますが、介護職員については本年六月、介護・障害福祉従事者の人材確保のための介護・障害福祉従事者の処遇改善に関する法律が成立し、現在、社会保障審議会介護給付費分科会において具体的な検討が進められております。また、保育士については、子ども・子育て支援新制度の中で、処遇改善が図られる予定でございます。
 介護職員や保育士の処遇における一番の問題は、キャリアパスの仕組みが十分でないことであります。そのため都は、国に対し、制度の中にこうした仕組みを整えるよう提案要求しております。また、こうした考えに立って、現在、都独自の補助制度の見直しも検討しております。

 最後に、福祉人材の確保についてでありますが、都はこれまで、福祉人材を確保するため、東京都福祉人材センターにおける職業紹介、あっせんや人材の定着、離職防止に向けた相談支援など、さまざまな取り組みを行ってきており、本定例会では、保育人材の確保、定着を促進するため、職員宿舎借り上げ支援を行うための補正予算を提案しております。
 また、現在、介護福祉士や保育士等の資格取得者情報の活用についても検討を行っております。
 今後とも、福祉人材の確保、育成、定着に努めてまいります。

〇都市整備局長 七点のご質問にお答えいたします。
 まず、都営住宅、公社住宅における福祉インフラ整備のための候補地についてでございますが、都は、都営住宅や公社住宅の建てかえに伴い創出した用地のうち、福祉インフラ整備に活用可能な候補地につきましては、情報提供など区市町村の取り組みを支援していくこととしております。

 次に、都営高砂団地の建てかえにおける創出用地の活用についてでございますが、都営住宅におきましては、これまでも老朽化した住宅の建てかえを推進するとともに、敷地の有効利用を図って用地を創出し、その用地を活用して道路、公園、福祉施設整備など、さまざまな取り組みを進めてまいりました。
 今後とも、都営住宅の建てかえにおきましては、地域の特性や個々の土地の状況などを勘案しながら、創出用地の活用を図ってまいります。

 次に、国の耐震化の方針などについてでございますが、首都東京の防災力を強化し、首都直下地震への備えに万全を期すことは、都としての当然の責務でございます。
 国においては、平成十八年一月に国土交通省の方針が、平成二十六年三月に中央防災会議の大綱が出されており、特に、木造住宅密集市街地や緊急輸送道路沿いの建築物の耐震化に重点的に取り組むとしております。また、平成二十六年三月に閣議決定されました首都直下地震緊急対策推進基本計画では、自助、共助、公助のバランスのとれた防災対策が重要としております。
 都は、こうした国の方針などを踏まえまして、より多くの都民の生命、財産を守り、首都中枢機能を確保する観点から、耐震診断、耐震改修助成や固定資産税の減免等の施策を実施しております。

 次に、住宅の耐震化助成の拡充についてでございますが、都はこれまでも、東京全体の安全性を高める観点から、国や区市町村との適切な役割分担のもとに、老朽木造建物の密集度が極めて高い整備地域に的を絞り、木造住宅の耐震化助成を重点的に行っております。
 これにより、震災時の住宅の倒壊による道路閉塞や延焼拡大を防止し、大規模な市街地火災による人的、物的被害を最小限に抑えることが可能となります。
 引き続き、限られた財源のもと、防災対策上の優先度を考慮いたしまして、耐震化助成を効率的、効果的に実施してまいります。

 次に、オスプレイの調査についてでございますが、オスプレイにつきましては、在日米軍に関する両政府間の協議機関である日米合同委員会の合意に基づき運用されることになっております。したがって、その遵守状況につきましては、国が責任をもって確認すべき事項だと考えております。

 次に、オスプレイに関する国への申し入れについてでございますが、安全保障に関することは国の専管事項でございまして、米軍の運用に当たっては、安全面に最大限の配慮を行うとともに、地域への影響を最小限にとどめるよう、国としても米側に申し入れを行っております。
 都としても、オスプレイの運用に当たっては、いまだ地元住民に不安の声があることから、国に対して、地元への情報提供や説明を丁寧に行うよう要請しております。

 最後に、米軍基地の整理、縮小、返還についてでございますが、米軍基地は、日米安全保障体制の一翼を担うものでございますが、日米地位協定では、必要でなくなった場合は我が国に返還しなければならず、そのために必要性を絶えず検討する旨が定められております。
 こうしたことから、都は、多摩サービス補助施設や赤坂プレスセンターなど、都内八カ所の米軍基地につきまして、その使用目的や返還の可能性が検討され、整理、縮小、返還が促進されるよう、国への働きかけを行っております。

〇消防総監 航空消防体制の機能強化等についてでございますが、災害発生直後、ヘリコプターによる迅速な消防活動は有効でございます。このことから、当庁では、大型ヘリコプターを東日本大震災後に一機増機するとともに、ヘリコプターの機動力を生かし、災害状況に応じた消防活動体制を確保してきたところでございます。
 今後とも、ヘリコプターを効果的に活用した航空消防活動体制の充実に努めてまいります。

〇オリンピック・パラリンピック準備局長 レガシービジョンについてでありますが、二〇二〇年大会のレガシーを確かなものとするため、東京の将来の姿、目指すべき目標を見据えて検討を進めていくのは当然のことでございます。こうした考えのもと、真に価値のあるレガシーを残し、都民生活の質を向上させ、東京を成熟都市としてさらに発展させていくため、先般設置いたしましたレガシー委員会において、既に庁内横断的な検討を開始しております。
 今後、選手村や競技施設の大会後の活用方策を初めとした、有形無形のレガシーについて検討を進め、来年度、レガシービジョンとして明らかにしてまいります。

〇政策企画局長 長期ビジョンについてですが、中間報告におきましては、生活の質の向上という観点に立って、安全・安心な都市の実現や福祉先進都市の実現など、東京が直面する課題の解決に向けた政策の方向性を明らかにしております。
 なお、長期ビジョンの最終報告につきましては、都民や区市町村からの意見などを踏まえ、年内の公表に向けて策定作業を進めているところでございます。

【再質問】  舛添知事に再質問します。
 初めに、国民健康保険についてです。
 都は、保険料負担軽減のために新たな支援を行うことは考えていないと答弁しました。
 しかし、全国知事会は、国保の被保険者の負担が限界に近づいていると強調していますが、知事はどう認識していますか。
 知事は所信表明で、東京が先例をつくることで日本を力強く牽引すると表明したではありませんか。東京で生まれて、東京で暮らせてよかったと都民が実感できるまちにしていく、都民の暮らしを脅かす切実な課題に正面から取り組むとも述べました。
 であるなら、東京都が率先して国保への財政支援を行い、重過ぎる保険料の負担を減らそうではありませんか。知事、いかがですか。

 オスプレイの飛行実態調査についてです。
 都は、オスプレイの運用については、日米合同委員会の合意があり、国が確認すべき事項だと国任せの姿勢を示しました。しかし、合意を破る実態が全国で相次いでいるにもかかわらず、国が監視も米軍への指導も怠っているからこそ、沖縄県は独自に実態調査をしているんです。オスプレイが配備されている沖縄県だけでなく、岩国基地に飛来が相次いでいる山口県も調査を強化しています。
 都民の命と安全を守るためには、国にはばかる必要はありません。どうですか。

 住宅の耐震化についてです。
 耐震化はあらゆる震災対策の大前提だとして、国も経済界も住宅耐震化への補助の拡充を提案しているにもかかわらず、都は従来の対策を一歩も出ない答弁にとどまりました。
 都は、財源が限られているといいますが、だからこそ、住宅の復興費用への公的資金投入を百分の一以下にできる耐震化助成が求められているのではありませんか。ましてや、このことで都民の命も住宅倒壊も大きく防げるのです。お答えください。
 以上、三点について、知事の明確な答弁を求めます。

〇福祉保健局長 国民健康保険制度に関する再質問にお答えをいたします。
 先ほどお答えしたとおり、現在の国民健康保険制度には構造的問題がありますが、これは、国民皆保険制度を守るという観点から、制度設計者である国が責任を持って抜本的解決策を講じることが必要であります。そのため、都は、既に国に対し構造的な問題の解決、必要な財源の確保等について提案要求をしております。
 また、都は、国民健康保険制度の健全かつ安定な運営を図るため、法令等に基づき、既に各保険者に対する財政支援を行っております。

〇都市整備局長 二点の質問にお答えします。
 まず、オスプレイの調査についてでございますけれども、沖縄県にはオスプレイが実際に配備されておりまして、また、山口県などでもオスプレイが日常的に飛来しているというような状況がございます。周辺住民への影響という観点から、都が置かれている状況とは全く違います。
 なお、国の公式見解といたしましては、オスプレイの飛行運用に当たりましては、地元住民に十分な配慮がなされ、最大限の安全対策をとることについて、一昨年九月十九日に日米合同委員会で合意されており、米軍も累次の機会に合意に基づき飛行運用を行っている旨を説明し、政府としても、米軍は当該合意に基づき飛行運用を行っているものと認識しているというものでございます。

 次に、住宅の耐震化についてでございますけれども、広域自治体である都は、ハード面の公助といたしまして、整備地域を対象に集中的、重点的に施策を実施してございます。
 これは、基礎的自治体の意見を踏まえた上で指定しております約七千ヘクタールの整備地域は、特に老朽木造建物の密度が極めて高く、建物の倒壊危険度や火災危険度が高くなってございます。ここに区部人口の約二割が居住されてございます。
 防災都市づくりに関する多くの課題の中で、まずこの地域を、倒れない、火災が燃え広がらないまちにつくり上げていくことが、緊急輸送道路沿道の耐震化とともに大規模な延焼や救急救命活動を妨げることによる二次災害を防止することにつながりまして、東京全体の防災力を強化する上で重要だと考えてございます。
 これにより、結果といたしまして、より多くの都民の生命や財産を守ることになりまして、こういった観点から、東京都は広域自治体としての公的助成を行っているものでございます。