2015年度都議会予算特別委員会 総括質疑 3月12日

大山とも子議員(新宿区選出)

高齢者の介護、子どもたちのことについて

〇大山委員 日本共産党を代表して質疑します。
 知事は、今定例会の施政方針で、重要施策の第一に、都民生活を向上させるのが福祉政策であります。世界一の福祉先進都市、この大きな目標に向かって全力で取り組んでいきたいと思いますと述べました。
 私は、都民の誰もが幸福感を持って安心して暮らせる東京にすることが重要だと思います。そのために、東京都は何をすることが必要なのか。本日は、主に、高齢者の介護のこと、子どもたちのことを中心に質疑いたします。

 質疑に先立ちまして、先ほどの長橋委員の介護保険問題についての我が党に言及した発言は見過ごすことができませんので、初めに申し述べておきます。
 保険料についてです。まず、介護報酬の引き下げ反対は、共産党だけの主張ではありません。全国老人福祉施設協議会も厳しく反対していましたし、自民党さんからも、介護報酬を引き下げないよう申し入れが行われました。
 代表質問で我が党が提案したように、介護報酬とは別枠で処遇改善を行えば、介護保険料が上がることはありません。これは、舛添知事が厚生労働大臣時代に実際に行ったことであり、十分現実的な提案です。あるいは介護保険財政に対する公費負担の割合を引き上げればよいのです。
 公明党自身、二〇一〇年に出した新・介護公明ビジョンで、介護報酬の引き上げが必要であるとし、同時に、介護保険料の上昇を抑制するため公費負担を現在の五割から当面六割に引き上げ、さらに三分の二まで引き上げることを提案しているのです。そのための財源をつくることは十分可能です。
 社会保障のためといって消費税を引き上げながら、国の来年度予算は、次々社会保障切り捨て、他方で、空前のもうけを上げている大企業には二年間で一・六兆円もの大減税を行い、軍事費の支出も巨額になります。こうした点を改めればよいのです。
 大資産家、大企業に応分の負担を求めることで二十兆円、国民の所得をふやす経済改革で経済成長を実現することで二十兆円、財源は十分生み出せるというのが私たちの提案です。
 逆に、国民の負担をふやし、福祉を削減することでは、財政が改善しないことは、この二十年間の日本の歴史が証明していることです。このような議論で、介護労働者と都民を対立させるのは誤っています。
 先ほど、処遇改善加算の新たな加算についての質疑がありましたが、今回の報酬改定は、それを含めてもマイナス二・二七%だということを申し述べておきます。

介護報酬見直しについて

 それでは最初に、今回の介護報酬見直しに対する舛添知事の認識を伺います。
 知事は、我が党の代表質問に対する答弁では、今回の改定は、制度設計者である国の責任で行われたものでありますと述べました。確かに国の責任で行われたものであり、都が直接責任を問われるものではありません。しかし、その結果、東京の介護事業者、そして利用者がどのような影響を受けるのかについて、都として明らかにし、必要な対応を図ることが求められているのではないでしょうか。知事、どう認識していますか。

〇舛添知事 今回の介護報酬の改定は、中重度の要介護者や認知症高齢者への対応の強化、介護人材確保対策の推進、サービス評価の適正化と、効率的なサービス提供体制の構築という基本的な考え方に基づいているものと認識しております。
 介護報酬の原資は、国民が負担します介護保険料と税金でありまして、制度をよりよいものに改善しながら、将来にわたり持続可能なものとしていかなければなりません。介護事業者は、今回の報酬改定の趣旨を踏まえ、サービスの向上や効率的な運営のためにさまざまな努力を行うことが必要だと思っております。

〇大山委員 今回の報酬改定は問題ないと受け取れるような答弁でしたけれども、本当にそうでしょうか。今回の報酬改定は、社会保障のためといって消費税を増税したにもかかわらず、社会保障の自然増を抑えるという方針のもと、報酬の全体を抑えるということで行われたものなのです。施設の経営を悪化させずにはおきません。
 私たちは、介護報酬の改定に関して、都内の特養ホームに対してアンケート調査を行いましたが、切実な実態が多く寄せられています。具体的に聞いていきます。
 介護報酬は、東京における介護事業の量と質に直結し、さらに利用する高齢者の処遇にも直結するものです。そこで、具体的な評価について伺います。
 東京都は、昨年六月と十一月には、国に対する提案要求で介護報酬改定への要望を提出し、さらに、昨年九月には、介護報酬改定等に関する緊急提言を国に提出しました。東京の介護にとって重要な提言だったと思います。この提言は、今回の改定で反映されたのでしょうか。
 その一つ、緊急提言の三というところでは、介護報酬の地域区分と上乗せ割合等について、大都市における人件費、物件費の高さ等に鑑み、地域の実情を踏まえた設定を可能とするとともに、経過措置が適用されている区市町村については、再度意見を聞いた上で地域区分を設定することと提言しました。この提言は、今回の改定で全面的に反映されたんですか。

〇梶原福祉保健局長 昨年の緊急提言では、地域区分の割り当てについて、大都市における人件費、物件費の高さ等に鑑み、各区市町村からの意見を聞いた上で、地域の実態を踏まえた設定を可能とするよう申し入れを行っております。
 今回の地域区分の見直しでは、国の官署がない地域について、地方公務員の地域手当に準拠して設定する考え方が新たに採用されました。また、国は三回にわたり意見照会を行うなど、区市町村の意見を十分に聞いて対応しており、その結果、多くの市町村で経過措置が適用されるなど、都の提言の趣旨が反映されたものと考えております。

〇大山委員 提言の趣旨が反映されたということなんですけれども、国の行った見直しは部分的であり、不十分です。私たちが、都内の特養ホームに対して行ったアンケートへの回答でも、次の意見が書かれていました。パネルを用意しましたのでごらんください。そしてお手元にも配っております。
 同じ東京の区域内、これ区域内ですね。その多摩地域でも−−七色分かれているということは、七級地までこの東京全域にあるということなんです。三鷹市の場合、地域加算は五級地です。ここですね。黄緑色のところです。五級地ですから、上乗せ割合は一〇%とされていますけれども、隣接する杉並区、世田谷区は一級地で、上乗せ割合は二〇%、武蔵野市、小金井市は三級地で上乗せ割合は一五%です。三鷹市のみがこの周辺で、近隣自治体より地域区分で二段階以上、上乗せ割合で五%以上低く設定されていることは納得しがたく、著しく公平を欠く状況といわざるを得ません。極めてこれ当然の意見ではないでしょうか。さらなる改善のために、都として努力していくべきではありませんか。

〇梶原福祉保健局長 都は、今回の改定に当たりまして、再三、国に対し申し入れを行いました。特に三鷹市については、近隣区市と比較して二級地以上低い設定とされたことから、私も三鷹市長とともに直接厚生労働省に赴き申し入れを行ったところであります。
 三鷹市には、ここに国のハローワークという官署があります。これが国家公務員の給与、地域手当が一〇%ということになっている、その国家公務員の地域手当に準拠するという原則で、ここを崩すと、全国の自治体に波及するという、かたくなな厚生労働省の態度があった。結果として、今回の意見は受け入れられなかったということであります。
 ただですね、全体で見ると、例えば、特別区、第四期が一五%、第五期が一八%、今回は二〇%、八王子は第四期一〇%、第五期が一二%、今回一五%ということで、全体として私どもが、地域区分の提言として訴えてきたことは認められている。この三鷹市については、向こうの局長とお話をした中でも、次期改定に向けて改めて検討するというお話もいただいております。

〇大山委員 もちろん三鷹市長とともに一生懸命行ったけれども、かたくなな態度だったんだっていうことなんですよね。結局意見は受け入れられなかったんです。そして、三鷹だけじゃなくて、二十三区とそれから全区域では七段階あるということなんですよね。都としてさらなる働きかけを行うことが求められています。

介護報酬の人件費割合について

〇大山委員  次に、介護報酬の人件費割合についてです。
 都の緊急提言では、介護老人福祉施設の場合、介護報酬の人件費割合が四五%であるのに対し、事業所の実際の人件費割合が五九・五%であるということを示して、介護保険施設及び事業所の人件費割合と、介護報酬の人件費割合との間には大きな乖離が見られる。この乖離は、介護報酬の人件費割合の算定根拠となっている人件費の対象に、調理師、清掃員、一般事務職員等が含まれていないことが原因の一つと考えられる。そういうふうに東京都はいっているわけですよね。その上で、介護報酬の人件費割合については、算定根拠となる人件費の対象を実態に応じて拡大すること、こう要求していますよね。
 さらに、十一月に国に提出した提案要求でも、良質な介護サービスの提供と健全な事業運営を行うことができるよう、人件費割合を適切に見直すこと、これを要求しています。この人件費割合の見直しは、今回の改定で反映されたんでしょうか。

〇梶原福祉保健局長 介護報酬は、診療報酬等と同じように、国の全体の審議会の中で、介護事業経営実態調査の結果等も踏まえて、さまざまなことを勘案して出されるものであります。
 今回の改定では、各サービスの人件費割合について、介護事業経営実態調査の結果等を踏まえて、各サービスの人員配置基準に基づき実態を精査の上、見直しを行っているというふうに私も理解しております。その結果、短期入所生活介護の人件費割合は、四五%から五五%に引き上げられております。

〇大山委員 改善されたのは、ショートステイのみということですね。特別養護老人ホームは四五%で改善されないままですね。やはり今回の介護報酬改定には問題があります。
 都が行った緊急提言の趣旨からすれば、これでは、良質なサービスの提供、健全な運営は困難ということです。私たちの事業所調査への回答でも、実際の施設収支における高い人件費比率に対し、介護報酬の人件費比率が低くて乖離しているということが共通して指摘されています。
 例えば、七〇%以上が人件費で占めている中で、もはや対策は、人件費に手をつける以外に方法が見つからない、サービス低下は不可避と訴えています。また、加算が盛り込まれましたが、この点についても、アンケートには、介護員の処遇改善加算が付与されても、介護員以外の職員は特養職員の三〇%以上を占めていますので、施設全体の固定費は圧迫され、収支は悪化しますという訴えが寄せられているんです。
 知事、こうした声をどう受けとめていますか。

〇梶原福祉保健局長 今回の特別養護老人ホームの介護報酬改定におきましては、重度者への対応を強化し、利用者サービスの向上を図るための見直しが行われております。
 新たに設定や増額された加算としては、介護職員処遇改善加算のほかに、みとりケアに対する加算や要介護度の高い方や認知症の方の積極的な受け入れに対する加算、介護福祉士の配置割合に応じた加算などがあり、こうした各種加算を取得すれば、施設の収入は、これまでとほとんど変わらないものと考えております。

〇大山委員 本当に、よくそういうことがいえると思うんですね。加算を取得すれば、これまでとほとんど変わらないんだ、そういいますけれども、報酬のマイナス改定というのは、加算も含めて介護報酬が減るように国が制度設計しているんです。ですから、みんなが加算をとって収入を維持できるということにはなりません。基本的には減るということなんです。
 パネルを用意してあります。皆さんのところにも行っていますけれども、私たちの調査では、特養は現在でも半数が赤字でした。また、修繕の積み立てなどの必要不可欠なものを除けば、内部留保などほとんどのところでないんです。
 深刻な問題は、収入低下によって、職員体制、職員処遇の低下を招き、それが利用者サービスとともに、受け入れの事実上の縮小、さらに閉鎖によって、まさに介護難民を深刻化させかねないということです。
 これもパネルを用意しました。私たちが行ったアンケート調査では、介護報酬低下への対策として、職員体制の見直しを計画、検討と回答した施設が五二%、職員給与の見直し、つまり引き下げを検討すると回答した施設が三二・九%、さらに、行事など利用者サービスの見直しと回答した施設が二八%に及びました。そして、具体的な記載欄にはどう書いてあるかというと、常勤の非常勤化、人件費の大幅カットなどが記載されていました。
 東京都社会福祉協議会も昨年末の緊急調査で、次のように、緊急調査をした結果で次のようなコメントを発表しています。このままでは、都内は介護崩壊です。その結果、老人漂流社会が到来します。都内は、介護、退院難民であふれ、在宅介護の悲劇が続くことが危惧されます。このような悲痛な声が、本当に事実を見てほしい、現実を見てほしいという声が、当事者から指摘されているんです。
 知事、この当事者からのこうした指摘をどう受けとめますか。知事、どうですか、聞いていて。

〇梶原福祉保健局長 お話の独自調査の結果が、どのような基準でお話を聞いたか、これはわからないので、これについては判断ができません。
 それから、特別養護老人ホームの収入について、先ほどマイナスというのがありましたけれども、今回充実が図られた処遇改善加算、日常生活継続支援加算などの各種加算を取得すれば、多床室でいるとこれまでとほとんど変わらない、ユニットだとプラスという試算が出ております。
 施設側からいろんな意見が寄せられているということは、私どもも不安な声が寄せられていることは十分認識しております。したがいまして、都は、今回の介護報酬改定の基本的な考え方と内容について十分ご理解いただけるよう、今月二十四日と二十五日に開催する、全ての事業者を対象とした説明会において詳細に説明する予定でございます。

〇大山委員 総体が減っているんですよ。小っちゃくなっているんですよ。介護報酬全体が削減なんですよ。説明会開くことはもちろん必要ですよ。しかし、施設は報酬改定の内容がわかっていて、それが施設の運営に打撃を与える。だからこそ、不安を持っているわけですよ。
 受け入れ抑制は、実態的には既に始まっています。それも特養だけでなく、在宅介護にとって重要なショートステイでも起きています。また、多摩地域にある定員五十人のショートステイ専用施設は、三月で閉鎖する予定になっていることも聞いています。実質的には、定員どおり利用者を受け入れられないという事態が起き始めているんではないんですか。
 多くのケアマネジャーは把握していると思いますが、都は、そうした実態を把握していないんでしょうか。

〇梶原福祉保健局長 事業者がショートステイの定員変更や休止をする場合には、介護保険法及び老人福祉法に基づき、都に届け出を提出することとなっています。
 また、特別養護老人ホームが休止や、あるいはベッド数を減らす場合については、都の認可が必要ということになっています。
 今年度二月末までに減少した特別養護老人ホームのショートステイは、五施設二十六床でございますが、その内訳は、特別養護老人ホームへの転換が三施設十六床、移転改築に伴うものが一施設八床、空床型の縮小が一施設二床となっており、その他の理由による定員変更届や休止届は提出されておりません。

〇大山委員 届け出は出ていない、そうおっしゃいますけれども、現に受け入れは困難になっているのが実態なんですよ。先日放送されたNHKニュース「おはよう日本」でも、文京区の施設でショートステイを休止したと報道されているではありませんか。
 新宿区では七カ所のショートステイのうち、二カ所は定員以下、そのうち一カ所は半分以下の利用という実態でした。これは新宿区でも把握していることです。
 東京都社会福祉協議会の昨年の調査でも、ショートステイについて閉鎖が二施設、受け入れ抑制が七施設あったと発表しています。さらに、特養についても、入所抑制が九施設、ユニット閉鎖が三施設あったと発表しています。
 知事、こうした事態を放置すれば、施設介護も在宅介護も重大な危機となるんじゃないんでしょうか。都として、今回の改定による影響を改めて調査するとともに、できることから必要な支援を速やかにとることを求めますけれども、どうですか。

〇梶原福祉保健局長 まず、事実関係でありますが、本年二月現在、新宿区内には定員と比べて利用実績が少ないショートステイは確かにございますが、いずれの施設においても定員上限まで受け入れることが可能な職員数が確保されていることを私どもは確認しております。
 また、東京都社会福祉協議会の調査において受け入れを抑制していると回答した施設につきましては、調査が行われた昨年十二月一日時点で、職員の急な退職や開設後間もないなどの一時的な要因であることを確認しております。私どもは、そういう休止、あるいは停止という形を確認した場合には、当然、指導監査の対象になるというふうに認識しております。
 報酬改定の影響調査につきましては、今後、第七期の高齢者保健福祉計画策定に向けた取り組みの中で調査等を行ってまいります。

〇大山委員 今、新宿の施設が定員上限まで受け入れることが可能な職員が配置されている、もちろん当然ですよ。国基準の配置、国基準の配置基準の人数以上にいます、そこの特別養護老人ホームだって。しかし、ショートステイに受け入れられなくなっているというのは、処遇を改善するために人員配置を多くしています。
 それから、東京特有の問題としては、特別養護老人ホーム、土地が少ないところに建てる場合、三階建て、四階建て、五階建てになるんですよ。二階、三階で特養ホーム、二フロアで八十人、一フロア四十人を、夜勤二人ですよ、仮眠時間中は一人で四十人見るんです。ナースコール、医療ケアが必要な人も結構入っていますから、ナースコール複数鳴ったらどっちに行くかっていうのを瞬時に判断するんです。その上、人が、一階にあるショートステイをきちんと受け入れるためには、さらに人が足りないんです。三人から四人は、職員がさらに必要なんですよ。
 ほかの特養ホームでも、複数のフロアのところで、人手不足のため、受け入れが困難になっている、そういうところはあるんです。こういう実態、把握していっているんでしょうかね。
 なお、調査については第七期に向けてということでしたけれども、前回の報酬改定の際は、初めの年、つまり二〇一二年に調査を行っています。後々に行うということではなくて、直ちに影響を調査することを求めておきます。

特養ホーム経営支援補助事業の拡充について

〇大山委員 深刻な事態に対応した特養ホーム経営支援補助事業の拡充が求められています。要綱では、運営費等に要する経費の一部を予算の範囲内で補助するとして、具体的な補助対象では、基礎的支援とともに、小規模や島しょなど、経営の困難さに着目した補助が行われてきました。今それを、今だからこそそれを拡充して、経営の新たな困難という事態にふさわしい対応をすることが求められています。
 しかも、経営支援事業補助は、特養ホームの施設数が増加しているにもかかわらず、予算を増額してこなかったために、一施設当たりの補助金は二〇〇九年の千十七万円から二〇一三年には九百二十七万円、四年間で百万円近くも少なくなっているんです。
 東京の施設には、大都市共通の人件費、物件費の高さ、また、さっき紹介したようなフロアが複数になる、だから、人員配置が必要、そういう問題があります。こうした課題に応えられるよう、補助項目の見直し、補助の増額を検討して、都として対応をとることを求めておきます。
 重要なのは、知事の公約にもある賃金を上げるための補助を行うことです。この点では、知事は、来年度予算で介護職員は月二万円の処遇改善を行うとしています。今は行っていない補助を新たに行うものですから、悪くなるというものではありません。
 しかし、対象は、国のキャリア段位制度を導入した事業所のみです。人数は一事業所四人分まで、しかも、三年間限定というものですから、不十分であり、基本給のアップにはつながりません。
 都の、キャリアパス導入促進事業の来年度予算案の額は約十億円ですね。補助額が一人当たり五十万円、対象者数は二千人分ということになります。
 一方、都の来年度からの高齢者保健福祉計画の案によれば、都内の介護職員数は一二年十月時点で十四万八千人ですから、処遇改善の対象になるのは、わずか一%強にすぎないんです。
 知事は施政方針で、現場での頑張りが将来につながり、人生設計の見通しが立つということでなければ、技術、経験の豊富な人材が離職することにもなりかねませんと述べ、代表質問にも同様の答弁を行いましたけれども、離職を防ぐべき職員というのは、ごく一部の人に限った話ではないと思いますけれども、いかがでしょうか。

〇梶原福祉保健局長 このキャリアパス導入促進事業ということと、単純な処遇改善ということを一緒にしてご議論をなさっているように聞こえるのですが、都が新たに創設する事業は、介護職員の育成、定着を図るため、国のキャリア段位制度を活用して、キャリアパスの導入に取り組む介護事業者を支援することを目的としております。
 いわゆる介護段位ということで、その人の介護能力を図っていって、七段階まで今ありますが、四段階までシステムができています。そこまでに、一つ一つ上がることによって、介護の能力、そこを評価してあげる。その段位というものを取った、そして、アセッサーが、その段位というのを評価してあげる、そのために、今回、このキャリアパスの導入の支援金というのは出す、こういうスキームになっています。
 平成二十七年度の予算案では、アセッサーの配置数やアセッサー講習会の申込者数から、キャリア段位制度を利用できる対象事業所を六百八十カ所と見積もって、所要の額を計上しているところであります。

〇大山委員 対象が限られているものであるということは否定できないわけですね。介護職員の賃金の問題というのは、多くもらえた方がいいというレベルの話ではないんですよ。暮らしていけないという水準なんです。介護職員が人生設計を描けるようにするためには、職員全体の平均給与が引き上がっていくということでなければならないと思います。そうしたことにつながる支援を行うよう、強く求めておきます。

都有地等の活用について

〇大山委員  次に、都有地等の活用について伺います。
 特養ホームを初めとした高齢者の施設、保育園などの大幅整備が求められています。先日の本会議では、公社住宅の建てかえに伴って、特養ホームなどが三カ所で整備されることが明らかになりました。
 都有地等検討委員会の議論に基づき、昨年の七月三十一日に都有地の活用方針が出され、福祉インフラ整備に都有地を積極的に活用することだとか、減額の制度も整備されました。昨年の第四回定例会では知事が、スピード感を持って全庁を挙げて進めてまいりますと答弁をし、財務局長も、各局と連携し、福祉インフラ整備に活用可能な未利用都有地について情報提供するなど、区市町村の取り組みを支援していくと答弁しています。
 都有地活用方針が出されて以降、全庁を挙げた取り組みは、具体的にどのように進み、どう具体化されているんでしょうか。

〇中井財務局長 知事の指示に基づき、昨年七月末に福祉インフラ整備のための土地活用方策を取りまとめ、公表いたしましたが、その翌月から直ちに事業者公募において、新たな都有地減額制度を適用いたしました。
 また、都営住宅等の建てかえによる創出用地の活用、区市町村に対する情報提供の充実、福祉インフラ整備促進のための都市開発諸制度の見直しについても、順次、具体化してきております。
 また、この間、国有地、民有地への賃借料補助制度の創設などに必要な補正予算を議決いただき、既に実施しているところでございます。
 引き続き、関係各局と連携し、都有地等を活用した福祉インフラ整備を進めてまいります。

〇大山委員 ぜひ全庁を挙げて連携を密にとって、スピード感を持って前に進めていっていただくようにお願いしておきます。
 交通局や水道局や下水道局など公営企業局も、福祉インフラ整備のために活用可能な土地を提供することになっていますけれども、交通局は、どのように取り組んでいて、どのようなペースで提供していく計画なんでしょうか。

〇新田交通局長 交通局では、経営基盤の強化に資するため、未利用地について貸し付けを行うなど局有資産の有効活用を図ってきております。
 また、公営企業として、地域のまちづくりなど社会的要請にも応えていく観点から、各局や区市町村から要望がありました場合には、可能な限り協力しております。
 交通局におきましては、福祉インフラ整備のための土地活用検討チームの議論に加わり、整備のための方策などについて検討してきておりまして、現在、土地の状況や貸し付け時期の目安などを区市町村に情報提供するため、活用可能な局有地の抽出を行っております。

〇大山委員 福祉インフラ整備のための土地活用検討チームの一員として、積極的に対応しているということは重要だと思います。つい最近までホームページでも、用賀にある土地に複合型サービスと保育園を含んだ整備のための公募をしていましたね。
 活用可能な土地を抽出中ということでは、引き続き積極的な対応をお願いします。
 具体的に伺いますけれども、大塚支所がこの三月末で廃止されて、現在はまだ活用計画は出されていません。この土地についても、地元の皆さんの意向を聞きながら、特養ホームや保育園を初め、福祉インフラを整備できるようにすることを求めますけれども、どうですか。

〇新田交通局長 交通局では、これまでも局有地の利活用に当たりまして、地元区等との意思疎通を図りつつ、地域の発展に貢献してきておりまして、大塚支所の跡地につきましても、交通局の大切な資産として有効活用を図る観点から、地元区とも協議をするなど、適切に対応してまいります。

〇大山委員 ぜひ、地元からの意見もよく聞いて活用していただきたいと思います。
 同じ公営企業である水道局や下水道局についても、交通局と同じように、福祉インフラ整備のための土地活用検討チームの議論に加わってきたのでしょうから、交通局の積極的な取り組みも参考に、活用可能な局有地を積極的に抽出してほしいということを求めておきます。

公園の活用について

〇大山委員  公園の活用についてです。
 現行法でも、都立公園の中に認可保育園などを設置することは可能です。パネルを用意しました。このパネルは何かといいますと、国交省の資料なんです。都市公園における社会福祉施設の設置の検討というものなんです。(1)となっています。
 多様な都市活動が行われる都市の中で、都市公園は貴重な空間であり、一定の要件を満たす物件を都市公園内に設けることで、公共の福祉の増進に資する場合もあると考えられるとして、具体的には、都市公園法二十条に基づく、立体都市公園制度の活用を挙げています。つまり、社会福祉施設を公園の地上部あるいは地下につくり、その部分は公園区域外とする一方、地下または上部などを公園区域にして都市公園の面積は減らさないというものです。
 合意できるところから整備を進めることが求められていますけれども、どうですか。

〇横溝東京都技監 現在、都立公園において、子育て支援のための保育所やレストランなどのにぎわい施設の導入について、事業者等の意向調査を行うとともに、関係局などと連携しながら具体的な検討を進めております。
 保育所の導入については、都立公園の面積を減らすことなく、貴重な緑を守るとともに、国に働きかけを行いながら、立体都市公園制度も含め、多面的な活用を可能とする仕組みを構築してまいります。

〇大山委員 都市公園法、ぜひ検討を進めていっていただきたいと思っています。
 都市計画公園の計画決定はされていても、公園としてはまだ整備されていないというのが、都内には二百三カ所、約千六百ヘクタールあります。部分的に空き地になったところなどは、合意が得られるところでは立体都市公園制度などを利用して、福祉施設を整備するなどの対応を進めていってほしいと思っています。

保育園の問題について

〇大山委員  次に、保育園の問題です。
 今、量が重要だと。量と同時に保育の質を高めていくことが重要です。
 東京都子ども・子育て支援事業支援計画案でも、乳幼児期は、生涯にわたる人格形成の基礎が培われる極めて重要な時期であり、質の高い教育、保育が確保されるよう必要な支援を行います。こう言及しています。
 まず、知事に伺いますけれども、国は、社会保障審議会少子化対策特別部会で、保育の質を支える主要な要素として、一つは施設設備の機能、面積などの物理的環境、二つ目は保育者の配置など、三番目は養護、教育といった保育内容、四番目に保育者の質、専門性の四つを挙げています。
 東京都でも、東京都児童福祉審議会の専門部会で東京都は、この四つを保育の質を支える要素として紹介しています。国際的にも、これらの四つの要素が保育の質を支える要素というのが共通認識になっています。
 知事に伺いますけれども、つまり、これらの四つの要素を充実させていくことが、保育の質を向上させていくことになるという認識であるという確認でいいですね。

〇舛添知事 今おっしゃいましたように、社会保障審議会では、保育の質を支える要素として、物理的環境、保育者の配置等、保育内容、保育者の質、専門性の四つの要素が挙げられてございます。
 保育の質を確保するためには、児童福祉施設の最低基準、保育所保育指針が定められ、指導監督、研修、評価の仕組みが講じられてございます。
 その上で、私は、質の高いサービスは、創意工夫を凝らしながら、多様な利用者ニーズに的確に応える利用者満足度の高いサービスのことだと考えております。

〇大山委員 利用者満足度の高い、利用者満足度といいますけれども、保育の質という場合、第一義的な利用者は子どもなんですね。つまり保育というのは、乳幼児の成長発達を保障することです。同時に、その営みというのは、子どもと親、保育園の職員が、ともに成長していく関係でこそ保障できることであり、その質を支える要素が四つの要素だということなんです。
 だからこそ、子ども・子育て関連三法案の国会審議においては、保育の量の拡大とともに、職員配置等の基準の引き上げや職員の処遇改善など、質の向上を同時に実現すべきという議論が行われて、同法案に対する参議院における附帯決議でも、幼児教育、保育の質の向上が位置づけられているわけですね。だからこそ、認可基準があり、人員配置や面積などの最低基準があるんじゃないんでしょうか。
 拡充すること、この四つを改善、拡充していくことをきちんと正面に据えて保育施策を進めることが求められていると思います。これらの要素を改善していくこと、拡充することが、保育の質を向上させることにつながるということで、いかがですか。そういうことでいいんですね。

〇梶原福祉保健局長 先ほど知事からご答弁申し上げたとおり、四つの要素、それを担保するための、確保するためのさまざまな基準評価、指導監督、研修評価の仕組みが定められる。その上で、私どもは、多様な利用者ニーズに応えられる、創意工夫を凝らしながら的確に応える、利用者満足の高いサービスというふうにお答えをしているつもりであります。
 当然、その中にいる子供の健全な発達を支えるというのは、利用者満足度の高いサービス、その中の一つだというふうに思っております。

〇大山委員 それが質を支えるものなんだということは認めているわけですね。四つの要素を正面に掲げてきちんと条件整備をしていってもらいたいということを重ねて申し上げておきます。

園庭について

 園庭というのは、物理的環境という面では、保育の質を保障するために重要なものです。西郷泰之大正大学教授は、知事も参加された福祉先進都市東京に向けた懇談会の子ども分野で発言して、とりわけ乳幼児期の外遊びの重要性を述べています。運動能力、体力も高まるし、病気にもかかりにくくなるし、情緒の安定もされるし、知的好奇心も高まるし、非認知的な能力も高まると強調しています。
 最近、この非認知的な能力というのが注目されているわけですけれども、これは生きる力、例えば自制心や粘り強さや気概など、こういう特性のことを指しているわけですね。スウェーデンの調査では、外遊びをしている子どもたちは運動能力が高くて情緒も安定するということも紹介しています。
 知事は、乳幼児期の外遊びをどう認識しているでしょうか。

〇梶原福祉保健局長 子供の発達にとって、乳幼児期の外遊びについては大切なことだと考えております。

〇大山委員 子どもたちが外遊び、これはもちろん、いろんな機会、いろんな場所で保障すると、外遊びは重要なんだということを認識されているということですね。
 もちろん外遊びという点でも、散歩に行ったりもしますよ。それから、公園に行ったりもしますよ。いろんな活動の中で、やはり思いっ切り体を動かして遊ぶことを保障する、これも重要なわけです。だからこそ、日常的に外遊びができる環境があること、それには園庭が敷地内にあることが重要なんです。
 ところが、我が党の調査では、認可保育園で園庭を敷地内で確保できているところは、全都で約七二%なんです。この五年間で整備したところを見ますと、敷地内に確保できているところがわずか三八%程度です。とりわけ区部では約二七%しかないんですね。待機児を解消しようと努力して整備はしたけれども、園庭までは手が出なかった。園庭が確保できなかった格差を埋めることが、どの子にも豊かな成長を保障する一つの重要な条件整備です。
 保育園の認可基準は、満二歳以上の幼児一人当たり三・三平米の園庭を確保することとしています。代替公園を含むということは、あくまで、これ括弧書きなんですね。しかも、保育所の設備及び運営の基準を定めている都の条例では、最低基準を常に向上させるよう努めることが知事の責任ということになっています。
 児童福祉施設にとっては、最低基準を超えて、常にその設備及び運営を向上させなければならないと、こう書いてありますね。最大限、園庭を敷地内につくっていくという立場で進めていただきたいと思っています。
 代替公園も、さまざまな課題があるんです。一つの公園を幾つかの保育園が代替公園としているケースがふえていて、後から来た園が、他の公園に移動したり、遊具の使用時間を制限したり、工夫して遊んでいることが報道されています。
 砂場とブランコがだめとなれば、子どもたちは遊びたくてもきちんと我慢する、思い切りブランコをこぎたくても、小さい子が近づいてきたらすぐやめるなどというんです。ルールを守っているといえばそうなんですけれども、乳幼児期に必要な思い切り体を動かして遊ぶということを保障できない、そういう状況です。
 代替公園について、国も都も面積以外の基準を設けていません。我が党の調査では、区市町村も基準がないところがほとんどです。このため、一カ所の公園を五園から七園、代替公園と指定しているところも珍しくありません。広い公園ならともかく、それほど広くない児童遊園に、五カ所、六カ所の園が代替としている。ほかの園庭あるところだって来ますよ。思い切って体を動かして遊ぶということも保障できません。
 こうした問題を、都はどう認識しているんでしょうか。代替公園が重なり過ぎていないか、保育園からの距離が遠過ぎないか、行くまでに危険な場所はないかなど、区市町村と協力して代替公園の実態調査を行うことが必要だと思いますけれども、いかがですか。

〇梶原福祉保健局長 保育所の認可基準では、園庭もしくは近隣で代替できる公園等を確保することとなっております。認可に当たりましては、現地確認を行っており、代替遊戯場についても、距離や移動の安全性等について実地に確認をしております。
 また、保育所保育指針では、園庭に限らず、公園、広場など、自然環境の豊かな場所に出かけ、戸外で遊ぶことの心地よさを十分に味わうことができるようにすることが求められております。各保育所は、それぞれ保育目標を定め、創意工夫しながら、特色ある保育サービスを提供しており、屋外活動もその一環として実施されているものと認識しております。

〇大山委員 創意工夫してといったって、条件をきちんとそろえなかったら、創意工夫のしようがないじゃありませんか。認可を行う際に確認しているんだといっていますけれども、現に一つの公園に多くの園が集中するという事態が起きているんですね。一つ一つの認可基準は満たしているかもしれませんよ。それが総合的になったらどうなるのか、重なるのか、そこまでは見てないでしょう。だから、現に一つの公園に多くの園が集中するという事態が起きているんです。
 園が重なり過ぎていないか、公園の状況はどうかなど把握しているんでしょうか。

〇梶原福祉保健局長 先ほども申し上げましたけれども、保育所の認可基準においては、園庭もしくは近隣で代替できる公園等を確保することとしており、現地を確認しております。
 私の子供もまだ二歳九カ月で、園庭のない保育所で預けております。保育園はいろんな工夫をしながら、近くの公園に行っていろんなことを遊ばせていただいております。何か園庭がなければ、子供が発育の、思いっ切り運動ができないというご主張をなさっているようですが、子育ての一義的な責任は保護者にあって、その上で、保育所を含めて社会全体で子供と家庭を支援していくということが必要なんです。
 ですから私は、老体にむち打って土日には一緒に遊んでいます。公園にも遊びに行っています。何か園庭が全てだというようなご主張は、私どもとしてはいかがなものかと思っております。

〇大山委員 低きに合わせる、そういう発想は絶対やめた方がいいと思いますよ。だから最低基準があるんですよ。園庭がない園と、園庭がある園と、どっちが子どもたちは日常的に戸外で遊べるっていうんですか。そういう限りなく、いや、やれっていえばできますよ、どこだって。しかし、そのために、保育の質を確保するための四つの要素、物理的環境、これは重要な要素なんですよ。それをないがしろにして、自分のところの子ども、お子さんだって、園庭がないところで過ごしているんだ、それは、すりかえも甚だしいということですよ。
 私たちは、園庭がない保育園にアンケートしました。苦労していることも伺いました。例えば、砂場が管理されていない、掘り返されたり、日に干していないので、衛生上、砂場遊びができないとか、乳児が出かけられる場所が少ないとか、公園だと遊べる遊具や玩具に限りがあったり、他園がいると思い切り使えない場がある、そんなさまざまな困っていることや要望を伺っています。
 東京都だって、東京都子供・子育て支援事業支援計画案でも、子どものよりよい育ちに資するため、良質な保育環境の整備が必要です、こう書いてあるじゃありませんか。園庭がない保育園がこれだけふえてしまった中で、代替公園を使わざるを得ないところの実態を、区市町村と協力して、しっかりと調査することを重ねて求めておきます。
 例えば、白梅大学副学長の近藤幹生氏は、特に、乳幼児期は、人としての土台づくりを進めることが大事な時期であることが確かめられてきた、この大もとにある考え方は、子どもは体をたくさん使って力いっぱい遊ぶことが肝心だということだ、乳幼児期こそ、体を使って思いっ切り遊ぶ経験を大切にしたい、こう述べています。
 園庭が敷地内にない場合、福祉保健局長のお子さんの行っている保育園も敷地にないわけですね。午前中には外に行けますよ。しかし、例えば、お昼寝終わって、おやつ食べて、それで公園に行こうと思っても行けないですよ。外遊びできませんから、常に室内での遊びしかないんです。十分も二十分も子どもの足でかかるところに短時間に行けると思うんですか。常に室内での遊びしかない、春から夏にかけての日が長い時期もほとんどが部屋の中だけ、ビルの中ではベランダさえないところもあります。保育指針で述べている戸外で遊ぶことの心地よさを十分に味わうことができるようにすることの条件が大きく縮小しているんです。これで子どもたちの豊かな成長発達を保障することができるでしょうか。
 代替公園として、子どもの足でも安全に歩いて行ける距離にあり、他の保育園と余りぶつからないで、安全に自由に遊べるなどというガイドラインを定めることを求めますが、どうですか。

〇梶原福祉保健局長 保育所の認可基準では、園庭もしくは近隣で代替できる公園等を確保することとなっております。その認可に当たりましては、現地確認を行っておりますし、距離や移動の安全性等について実施確認も行っております。
 保育園の−−済みません、私、個人的な話をしてしまったのでまずかったんですが、東京の住宅事情を考えれば、庭がある家庭は一部で、休みの日に、例えば、保育園に行っていない子供たちというのは、子供を公園に連れて行って十分に遊ばせるのも保護者の役割ですよね。だから、あるいはある程度の公園に行くということは、むしろ行き帰りも運動になるわけですし、信号待ちや歩道を一列に歩くということも社会ルールを学べる場になるわけですね。いろんな全てがそれの、園庭が発達に全てかのようなご主張はいかがなものかと、さっきから申し上げているところであります。

〇大山委員 全てなんていっていないでしょう。今、福祉保健局長がいったように、住宅事情、狭いところたくさんあるんですよ。東京の住宅事情大変ですよ。だからこそ、公的にきちんと、東京都が責任持たなきゃいけないんじゃないですか。
 狭い住宅の中で、子どもの成長発達にどうして−−責任を持たなきゃいけないでしょう、だからこそ保育園があるんじゃないですか。例えば、休日に親が連れていきなさい、そういうこといいますけれども、今子どもの貧困、大問題になっていますよ。今貧困は、子どもたちから、親がワーキングプアのために、子どもと親の時間を奪っているんです。ですから、総体的貧困の家庭ほど親子の時間がとれない、子どもから親を奪っているんですよ。だからこそ、きちんと公的に子どもたちの成長発達を保障する、それが東京都の役割なんじゃないんでしょうか。
 ですから、基準さえクリアしていればいいというものじゃありません。しかも、基準がなかったら、来年度からは、認可申請して、その認可基準に合っていれば、みんな認可しなきゃいけないわけですよ。ですから、園庭のない代替公園のところが遠くても、それが基準がなければ、それはそれでいいということになっちゃうんですよ。川崎市では、ちゃんとガイドラインをつくっています。きちんと川崎市のように、ガイドラインぐらいつくってほしいと思って再度要求しておきます。

保育士の処遇改善について

〇大山委員 保育士の確保定着のためにも、質を向上させるためにも重要な要素であります職員の処遇改善は重要です。東京都子ども・子育て支援事業支援計画案でも、保育の質の維持向上には、保育従事者の定着が不可欠です、こう述べています。
 知事は、再編したキャリアアップ補助について、モデルケースでは、国の処遇改善加算九千円に加えまして、都がさらに二万一千円を補助することで、月額平均で三万円の給与改善につなげますとたびたび表明されていましたね。所信表明でも発言しました。このことについて質問します。
 都はこれまで、サービス推進費補助が出ていなかった企業立の保育園や認証保育所にもキャリアアップ補助を出すことにしました。これらの施設で働く人の待遇を改善することは必要なことです。問題は、企業立の保育施設でも、確実に職員の賃金アップにつながるかどうかなんです。どう担保するんでしょうか。

〇梶原福祉保健局長 保育士等キャリアアップ補助は、キャリアパスの仕組みを導入することを条件に、処遇改善に係る経費の一部を補助するものでございます。補助の実施に当たりましては、職責や職務内容などに応じた賃金体系の設定や職員の資質向上に向けた計画の策定など、キャリアパス要件の届け出や賃金改善に関する実施状況の報告を求め、保育士等のキャリアアップや処遇改善が確実に図られる仕組みを講じてまいります。

〇大山委員 確実に、処遇改善に結びつくようにしていただきたいと思います。  都が試算した二万一千円のアップといっているモデルの園で、来年度のキャリアアップ補助と、それに対応する現在の制度であるサービス推進費の基本部分の補助で、それぞれの額は幾らになって、その差額は幾らですか。

〇梶原福祉保健局長 現在のサービス推進費は、社会福祉法人等の認可保育所のみを対象に補助しているものでございます。都内の認可保育所の平均的な規模である定員百名の施設について補助額を試算した場合、保育士等キャリアアップ補助は年間五百十九万一千二百円、サービス推進費の基本補助は年間四百三十三万九千三百二十円であり、単純な差額を挙げれば、八十五万一千八百八十円でございますが、両補助の性格が異なっているというふうに思います。
 株式会社等が設置する認可保育所の場合は、現在サービス推進費補助を受けていないため、同規模の施設の場合、保育士等キャリアアップ補助の年間五百十九万一千二百円が純増となります。

〇大山委員 これも、わかりやすいようにパネルにしました。現在のサービス推進費が四百三十三万九千円ですね。それで、次、キャリアアップ補助、来年度以降は五百十九万一千円、つまり、この差額、これだけですね、ふえるのは、そうなんですね。
 知事はしきりに、モデルで計算すると、月額二万一千円の給与改善といっていますけれども、今までサービス推進費が出ていなかったところは確かに純粋に増額です。しかし、都内の認可保育園の八割は、現在、サービス推進費を受けています。サービス推進費を受けているところは、キャリアアップ補助と現在のサービス推進費基本補助の差額しかふえないわけですね。ですから、つまりどうなるかというと、年間八十五万二千円、知事が割り算した二十人でも、月額三千五百五十円なんです。実はこの二十人というのは、保育士だけですから、保育園には園長先生も、看護師さん、保健師さんや調理師さんや用務さん栄養士さんもいるところもあるし、事務職がいるところもあります。職員全員で割ると一人当たりはさらに少なくなると、二万一千円の給与改善の実態というのはこういうことなんじゃないんですか。

〇梶原福祉保健局長 現在のサービス推進費は、社会福祉法人等が設置する認可保育所のみを対象としておりまして、施設において中核となる資質の高い人材、いわゆるコア人材を確保できるよう、基本補助として補助しているものでございます。
 しかしこれまでの基本補助は、キャリアパスの仕組みを,構築等を条件としていないため、必ずしも保育士のキャリア形成に結びついていないという実態がございます。
 このため、新たに創設する保育士等キャリアアップ補助は、保育士等のキャリアアップや処遇改善に向けた取り組みが確実に行われるよう制度を再構築したものでございまして、この再構築については、保育関係団体とも十分協議を行っております。
 補助差額分をもって三千五百五十円しかふえないと主張なさっていますが、施設によって給与水準や給与制度はさまざまであり、今回の再構築はモデルケースとして平均月額二万一千円が確実に処遇に反映されるよう、キャリアパスの仕組みの構築を促すために行ったものでございます。

〇大山委員 ちゃんと質問したことに答えてください。
 現在、サービス推進費を受けているところは、認可保育園の八割なんですね。それらの圧倒的多くの保育園が差額しかふえません。つまり、都のモデル試算だったら、月額三千五百円程度でしょうということなんですね。
 施政方針で、知事は、都がさらに二万一千円補助することで、月額平均で三万円の給与改善につなげますといったんですね。マスコミにも同様な話をしていますから、一斉に報道もされました。働いている人たちは大きな期待を持ったんです。保育関係団体のビラには、保育士給与三万円アップの報道に期待と落胆という見出しがついていました。保育園の職場の人たちの気持ちはそのままだと思いました。この時期に知事、何としてもこの期待に応えるべきじゃないでしょうか。知事、どうですか。

〇梶原福祉保健局長 先ほど申しましたように、これまでの基本補助は、キャリアパスの仕組みの構築を条件としていないため、必ずしも保育士のキャリア形成に結びついていないという実態がございます。
 つまり、コア人材加算として渡している補助の額が、きちんとその職員の処遇に反映されているかどうか、きちんと処遇に反映されている、仮にするとするならば、ご指摘に合うかもしれませんが、その差額、その実態はさまざまであって、必ずしもキャリア形成に結びついていないというのが私どもが把握している現状でございます。
 その上で、処遇改善の具体的な内容につきましては、現在の給与水準や給与制度も踏まえて、各事業者がそれぞれの状況に応じて決定するものだと考えております。

〇大山委員 知事は、知事選前に、そして当選後も、賃金格差解消に向け、都独自の補助をする、いずれは看護師並みの給与体系にできればいいと思っている、こういっています。この公約を一刻も早く実現することが求められているんではないでしょうか。
 もう一つ指摘しておかなければならないことは、キャリアアップ補助とサービス推進費の基本部分だけの問題ではないということなんですね。地域支援は重要だといって、地域支援のメニューをたくさん出していました。しかし、実際やっているところも、保育園は、待っているお母さんたちがいる、子どもたちがいるから継続したいけれども、たくさんメニューとしてあったものがなくなってしまいました。例えば、百五十一人定員の保育園では、三百二十万円のマイナスになるんですね。つまり地域支援を頑張ってきた園ほど削減の影響が大きい。
 東京都自身、激変緩和だといって、減額の下限を、来年度は百万円まで、再来年度は二百万円までと、激変緩和せざるを得ないような、激変が起こることを重々承知で減らしたということなんですね。三年後には三百二十万円のマイナスがその園にのしかかります。ですから、このことを、きちんと知事、直視していただいて、そして公約を一日も早く実現できるように頑張っていただきたいと思っています。

子どもの貧困対策について

〇大山委員 最後に、子どもの貧困対策ですけれども、子どもの六人に一人が相対的貧困にいることが多くの方々に衝撃を与えて社会問題になっています。子どもの貧困対策推進法が施行されて、政府が発表した子どもの貧困対策に関する大綱では、子どもの将来がその生まれ育った環境によって左右されることのないようにということで、連鎖を断ち切ろうといっています。
 知事は、子どもの貧困対策の重要性をどう認識していらっしゃいますか。

〇舛添知事 子供の貧困の原因は親の貧困であります。この貧困の連鎖を断ち切るためには、労働の分野でも、教育の分野でも、私は機会の平等を保障することが必要だと考えております。
 子供は親を選べません。親の経済状態にかかわらず、将来、子供がみずからの生き方を選択し、自立できるように機会の平等を保障するためのセーフティーネットを構築することは、まずは、国家の責任だと考えております。
 しかし、都としましても、今後とも、国に先駆けて実施してきました低所得者への施策を進めるとともに、国に対して、子供たちの機会の平等が図られますよう、さらなる支援の充実強化を求めてまいりたいと思っております。

以上

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