2014年予算特別委員会 討論 3月25日

小竹ひろ子(文京区選出)

 日本共産党都議団を代表して、第1号議案 平成27年度東京都一般会計予算ほか10議案に反対し、第1号議案他3議案の編成替えを求める動議に、賛成する立場から討論を行います。

 まず、舛添知事が初めて全面編成した来年度予算案についてです。
 予算編成の基本として「都民福祉の充実による生活の質の向上」を位置づけ、具体的施策として、4万人分の保育サービス、1万9000人分の特別養護老人ホーム整備などをめざして、借地料補助などを行う事業、保育従事職員宿舎借り上げ支援事業、非正規雇用から正規雇用への転換を図る企業への補助を行うことなどは、評価できます。

 しかしいま、貧困の増大と格差の拡大、消費税増税に伴う増税不況、円安による物価高、年金引き下げや、国民健康保険料・保険税の引き上げなどによって、多くの都民は苦しんでいます。
 この都民生活の危機ともいうべき事態に手を差し伸べる施策は、きわめて不十分です。また都民が願う、小中学校の少人数学級が拡大されないことも、見過ごせません。
 このためわが党は、本予算特別委員会において、介護報酬の引き下げへの対応、貧困率の高い非正規労働者や高齢者の加入が多く、最終的には退職者も加入する国民健康保険の保険料・保険税の引き下げ、子どもの貧困対策の充実、保育のさらなる充実、都庁職員の非正規職の正規化、処遇改善、多摩地域で深刻な医師不足など格差ともいうべき事態の解消、障害者スポーツの振興、米軍横田基地の安全確保と撤去などを求めて、質疑を行いました。

 しかし都は、これらの問題、とりわけ国の悪政に対して厳しくモノをいう立場と、都として可能な限り対策を拡充するという立場を示しませんでした。
 高い保険料・保険税が都民を苦しめている国民健康保険の問題についても、都は将来にわたり安定的で持続可能な制度となるよう、構造的な問題の解決を図るよう国に求めている、などの答弁にとどまりました。
 米軍横田基地について、わが党が「人口密集地域にあり、アメリカの国内法では存在を許されないものだ」と指摘し、撤去への取り組みとともに、危険なパラシュート降下訓練の中止を強力に求めるよう質したのに対し、知事は「日米安全保障体制は不可欠。横田基地はその一翼を担うもの」と述べ、米軍の運用について「地元住民に与える影響を最小限にとどめるよう努めるべきだ」と答弁するにとどまったことも、地元市町村や住民の期待に応えないものと言わざるをえません。

 同時にこの中でも、保育園や特別養護老人ホームのさらなる増設のために都立公園の活用や交通局用地の活用を求めたのに対し、それぞれ「立体都市公園制度も含め、多角的な活用を可能とする仕組みを構築していく」「活用可能な土地を抽出中」「大塚支所跡地は地元区とも協議する」という答弁があったことは、今後につながるものです。
 正規、非正規を問わず、都庁職員が都民への公共サービスを担っていくことへの誇りを持てるよう、ディーセントワークの考え方を生かすよう求めたのに対し、舛添知事が「すべての人が能力を存分に発揮できる仕事につき、豊かさを実感できる社会を実現することが重要」と答え、都職員の未払い残業について質したのに対し、「適切な運用を図っていく」との答弁があったことも重要です。ぜひ、正規、非正規を問わず、都職員の処遇改善に努めていただきたいと思います。
 多摩地域の医師不足についても、「公立病院の要請に応えられるよう、地域医療支援ドクターの確保に取り組む」との答弁があり、都立病院等の医師養成をおこなってきた東京医師アカデミーについて「医師確保が困難な多摩地域の公的病院との連携体制構築が望まれている」「新たな医師アカデミーの検討を行う」との答弁がありましたが、ぜひ前に進めていただきたいと思います。
 障害者スポーツについて「身体の不自由を気にするより、使える部分を最大限に生かす」という理念の具体化などについて、知事は「区市町村など、関係団体と連携を図りつつ障害のある人が、身近な地域でスポーツを行える環境づくりをはじめ、普及啓発や理解促進、競技力向上など、様々な施策を推進し、障害者スポーツの振興を図っていく」と表明しました。また、「2020年東京パラリンピックの開催に向けて、障害者スポーツの普及啓発やハード面のバリアフリーを日本中に浸透させ、障害者が社会参加しやすい環境を整える」ことが表明されたことも重要です。

 都民のくらし、福祉を守り充実していくためにも、都市インフラを維持・更新していくためにも、予算の使い方を改めることが必要です。
 「東京都年次財務報告書」でも、社会資本ストック維持・更新経費が今後20年間で約6兆円に及ぶとの第3者推計が明らかにされています。高度成長期以来整備されてきた膨大な都市基盤を安全に維持保全し、防災性を高めていくためには、多額の資金投入が避けられません。
 少子高齢化、人口減少時代を迎えるなかで、都民一人一人が背負う都の負債額を、現在と同じ程度に抑えていくためには、都債発行を現在より1000億円程度減らしていくことが必要と指摘されています。
 新しい都市インフラへの投資を最大限抑制することが緊急に求められているのです。
 とりわけ、1メートル1億円という巨費をかける外環道建設については、再検討が必要です。最近、相次いで圏央道と中央環状線が開通しましたが、中央環状線の開通によって首都高で時速40キロ以下の渋滞が5割解消したとされています。
 渋滞が減れば一般道からの首都高への流入が増えるし、都心開発が次つぎと進められていることから、今後、渋滞が増えることも予測され、今後の推移をみる必要がありますが、自動車保有数も、自動車走行量も、2020年代をピークに減少していくと見込まれています。
 しかも、持続可能な都市にしていくために、世界的に自動車を中心とした交通から鉄道や船舶、自転車などに重点をおく交通政策への切り替えが進んでおり、国交省も物流を自動車から鉄道や船舶などに切り替えていく事業を打ち出さざるをえなくなっています。外環道建設を凍結することを強く求めるものです。

 防災の名のもとに進められている特定整備路線も、いくつかの路線では「命を守る道路」以前に「住民のくらしと営業を壊す」道路になりかねず、ましてやわずか5年間で強引に推進することなど許されません。
 都市施設整備のあり方などを見直せば、都民のいのち、くらし、福祉、営業を守る施策の財源を生み出せます。
 以上の立場から、知事提案の来年度一般会計予算に反対し、同会計の編成替えを求める動議に賛成するものです。

 最後に、公明党議員による、2度にわたるわが党への中傷とも言うべき発言については、その都度必要な批判を行いましたが、議会人として、予算審議の場を借りての、為にするような発言は厳につつしみ、都民生活を守るための建設的な議論をつくすべきことを厳しく指摘して、討論を終わります。