文書質問趣意書 2015年第2回定例会 6月22日

曽根はじめ(北区選出)

石神井川の水害対策について

 前回2014年第1回定例会において、石神井川下流の王子駅付近での2度の大規模水害の問題で文書質問を行いました。この質問に対する回答と、その後発表された都の豪雨対策基本方針の改定版を踏まえ、改めて文書質問を行います。

Q1 2014年6月に発表された豪雨対策基本方針の改定版では、都の豪雨による水害発生の特徴として、近年、時間50ミリを超える集中豪雨が増加し、時間100ミリを超える豪雨も数年おきに発生していること、時間75ミリ以上の豪雨が3回以上発生したのが、石神井川や神田川流域が環八や環七と交わるエリアに集中していることなどが示されています。また集中豪雨は、24時間雨量が卓越する台風・前線性豪雨と、1時間雨量が卓越する雷雨性豪雨に大別されるが、大規模水害は、後者の雷雨性豪雨の場合に多いことも明らかにされました。
 これらを総合すると、石神井川流域は、大規模水害につながりやすい雷雨性豪雨の発生の危険性が高い地域として、集中豪雨による水害対策の最重点地域の一つとして位置づける必要があると考えますが、いかがですか。

Q2 今回の整備方針において、目指すべき目標整備水準として、区部では時間75ミリ降雨に対応するよう引き上げることを提起し、「これにより近年増加している時間100ミリを超え、流域内で局地的かつ短時間の集中豪雨による河川からの溢水をほぼ防止できる」と明記したことは、きわめて重要です。石神井川流域については、特にこの雷雨性の豪雨対策が重要であり、重点を絞って早期に実施することを求めますが、いかがですか。

Q3 2010年7月5日の水害発生の後、白子川の地下調節池のシールド工事が再開され、最近石神井川のそばまで到達しており、来年度末に取水設備を完成させて、石神井川氾濫の危険が迫った際に濁流の一部を地下に貯留し、下流での水害を防止することを目指しています。これは今回の基本方針の具体化として歓迎するものです。
 ただ、前水害から5年経過した今夏の出水時期には本格完成は間に合いません。万が一の場合に対応できるよう、来年度予定している、調節池から石神井川に貯留水を戻すためのポンプの設置を前倒しして、石神井川の水を緊急に調節池に取り込むようにするなど、緊急対策を求めますが、いかがですか。

Q4 今後、石神井川の立坑に、環七地下調節池を延長させて接続し、広域に集中豪雨による河川のはん濫に対処できるように対策を急ぐべきです。今後の見通しについて伺います。

Q5 改定された基本方針では、雷雨性豪雨が大規模水害の主な原因であると指摘しながらも、石神井川の2度の水害に見られるように、雷雨性豪雨の水害は、降雨地点より一定の距離と時間をおいた下流で川が氾濫し、被害を大きくしてきた点についてはほとんどふれていません。この特徴を踏まえて、基本方針と、それに基く水害対策に、以下の点で見直しと充実が求められています。
(1) 河川流域の降雨状況等について、都の情報提供も充実されてきましたが、石神井川流域の各自治体でも、練馬区、板橋区、北区などは主要ポイントの水位や河川の映像情報などを実況や速報で提供したり、携帯電話への配信サービスも行っています。しかし北区民が、練馬や板橋の情報を速報で知るには、かなり手間がかかります。都としてこれら流域自治体とネットワークをつくり「今、練馬で100ミリ豪雨が発生したので、30〜45分後には王子駅付近の水位が上がってくる」などの予測ができるようになれば、前回のように突然の氾濫で有効な応急対策が打てなかったという事態を克服できる可能性があります。河川の情報ネットワークを検討すべきですが、いかがですか。
(2) 上流や中流で豪雨が発生し、その濁流が下流に達する前に、短時間で準備できる溢水対策として、大型土嚢の活用を検討すべきです。
 これまで石神井川下流域の水防計画では、護岸がいわゆる「かみそり」型堤防のため、その上に土嚢を積むことは不可能であり、やむなく護岸からあふれた水をくい止めるための土嚢を河川の外側に積むこととされていましたが、一般の積み土嚢では、濁流にのまれて全く効果がありませんでした。前回水害の後、次の水害の危険に備えて、溢水箇所の背後に、直径が1メートル程度で重量が1トン程度の大型土嚢が並べられました、重機などで短時間に準備できる水防対策として有効と思われます。一定の敷地を確保して備蓄すべきではありませんか。
(3) 石神井川下流の護岸は、隅田川合流地点から約1キロ上流の溝田橋を境に、上流は時間50ミリの豪雨による洪水対策、下流は隅田川からの高潮被害対策として護岸の高さが決められ、洪水対策によるAP6・0メートルに対し、橋を越えてすぐ下流の護岸は高潮対策でAP5.8メートルとされています。この決め方は、以前の前線・台風性の水害を踏まえたもので、2010年の水害でも、溝田橋のすぐ下流の護岸から溢水しています。少なくとも石神井川は、護岸の高さの基準を、隅田川合流点まで全て洪水対策として統一すべきです。いかがですか。
(4) 現在、溝田橋下流の水害発生場所は、近隣住民感情に配慮して、仮設によってAP6メートルで整備されています。これをこれまでの規定に沿って5・8メートルに切り下げたり、都の責任を回避し、地元の北区に任せるようなやり方をしないよう求めますが、いかがですか。

Q6 前回の水害の際は、石神井川の水位が護岸を超えただけでなく、周辺下水道からの内水はん濫が起きていたことは確実と見られます。現在、下水道局により、排水ポンプの増設や下水本管の拡充、下水道から石神井川への排水を一部隅田川への直接排水に切り替えるなどの工事が行われています。また北区も、当該地域について、小中学校や公園、道路の地下貯留施設の整備や区民貸し出し用排水ポンプの整備などに取り組んでいます。都として、建設局河川部と下水道局、現地で高速道路関連工事を行っている首都高速道路株式会社、そして北区との防水対策のネットワークを緊密に構築して、王子駅南口での3度目の水害をなんとしてもくい止めるために全力を上げるべきと考えますが答弁を願います。