文書質問趣意書 2015年第2回都議会定例会 六月二二日

大島よしえ(足立区選出)

簡易宿所等の調査について
住宅困窮者への住宅供給について

一、簡易宿所等の調査について

 5月17日、神奈川県川崎市川崎区の簡易宿泊所で、10人が死亡するという火災がおきました。いまだ出火原因など、全容が明らかになっていませんが、報道によれば、必要な防火対策を怠ったまま、2階建てから3階建てに改築していたという違反建築の可能性もあるということです。
Q1 国土交通省は、火災のあった建築物が、違反建築物であった疑いも指摘されていることから、簡易宿所に対する違反対策等、指導の徹底を図るよう、翌18日に「簡易宿所にかかる違反対策の徹底について」という通知を各都道府県の担当部局に送りました。
 通知では、都内の簡易宿所の違法に建築されている物件の有無の調査などとともに防災査察の重点実施を行うよう求められていますが、都はどのように対応しているのですか。またその結果について伺いたい。

Q2 消防庁は、「簡易宿所に係る防火対策のさらなる徹底について」という通知を出し、消防法令違反の是正の徹底などに関して都道府県の担当部署に要請しました。この通知に基づいて、都はどのように対応しているのですか。またその結果について伺いたい。

Q3 ここに宿泊する人々は、一時的な宿泊所であるはずなのに、高齢や貧困で居住する住宅がないため、生活保護を受けながら長期にわたり簡易宿泊所等を利用して生活することを余儀なくされています。
生活保護法は居宅での保護を前提にしているのですから、本来であれば簡易宿泊所などで、生活保護を受けながら長期間生活することは早期に改善すべきです。居住に関する意向を把握するために調査を行い、早期にアパート生活などへの移行支援を行うべきと思いますがいかがですか。また、現在は、どのような支援が行われているのか伺います。

Q4 山谷地区にある簡易宿泊所、無料低額宿泊所などで生活保護を受けながら、長期に滞在して生活している人数や、滞在期間など実態調査を行っていると聞きました。調査結果から都はどのような対策が必要と考えていますか。

二、住宅困窮者への住宅供給について  台東区・荒川区にまたがる山谷地区には、157軒の簡易宿泊所があります。2012年の都の調査では、簡易宿泊所の利用者は、60歳以上が75.3%を占め、平均年齢は64.7歳で高齢化が進んでいます。居住期間は5年未満が43.3%いる一方で、5年以上が56.7%もいます。生活保護受給率は87.1%で、9割近くまで増加しています。
Q1 住生活基本法では、「住宅が国民の健康で文化的な生活にとって不可欠な基盤である」として、「住宅の確保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保が図られること」としています。
 都民が人間らしく住み続けられる住居と環境を求める権利は、都民の基本的人権と考えますが、都の認識を伺います。

Q2 住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律では、「国及び地方公共団体は、住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進を図るため、必要な施策を講ずるよう努めなければならない。」としているにもかかわらず、住生活基本計画(都道府県計画)では、計画期間における都の区域内の公営住宅の供給の目標量は、ストック再編と有効活用だけです。
 都は、「住宅セーフティーネット機能を果たす都営住宅について、市場において自力で住宅を確保することが困難な世帯に対して、適正な規模の住宅供給に努めている」と答弁しているのですから、都営住宅の募集戸数が少なくてなかなか入居できないのが実態に目を向けて、都営住宅を増設することや、民間アパートなどを借り上げ公営住宅として、住宅確保要配慮者に必要な住宅を供給すべきではないですか。

Q3 生活保護を利用せずに生活しようとしている人たちを支える仕組みも不十分です。家賃が高くて払えないことや、高負担の入居初期費用を用意できない、保証人がいないなどの問題があって、民間住宅を借りることができない実態があります。こうした方たちを支えるために、家賃補助を検討すべきではないでしょうか。
 また、保証人代行サービスなどもありますが、有料で高額です。こうした問題解決のために、どのような対策や、検討を行っているのか伺います。

  Q4 こうした問題が解決されないため、こうした人たちが入居者となりやすい、「違法貸しルーム」や「貧困ビジネス」が横行し、大きな社会問題となっています。
 住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居の促進に関し必要な措置について協議するため、2014年6月25日東京都居住支援協議会が設立されました。都の居住支援協議会の取り組み状況を伺いたい。

Q5 民間の賃貸住宅では空家の増加などが大きな社会問題になっています。民間賃貸住宅への円滑な入居を促進するため、こうした空き家を積極的に活用することが求められます。住宅確保要配慮者への空き家の積極的な活用についてどのように取り組んでいるのか伺います。

以上