米倉春奈(豊島区選出)
日本共産党都議団を代表して、第154号議案ほか10議案に反対する立場から、討論をおこないます。
第154号議案などの7議案は、国のマイナンバー制度導入に伴うものです。
マイナンバー制度は、税や社会保障だけでなく、預金口座など多くの個人情報を一つの番号で管理するもので、最大の目的は、税金や保険料の徴収強化や給付抑制を進めることです。都民にとっての利便性はごくわずかである一方、個人情報流出や他人による不正利用などの危険性がきわめて強いものです。内閣府の世論調査では9割近い人が危険性を懸念し、政府も、この危険性を完全には防げないことを認めているのです。マイナンバー制度は凍結・中止こそ必要です。
提出された議案は、すべて現状の手続き等で可能なものであり、反対です。
今定例会は、安倍政権が強行した安保法制、すなわち戦争法などにたいし、空前の反対 世論と運動が広がるなかで開かれ、知事の対応が問われました。
ところが知事は、戦争法について、圧倒的多数の憲法学者、そして歴代の内閣法制局長官、元最高裁長官が「憲法違反」だと明言していることから目をそむけ、「集団的自衛権の行使を解釈で可能にするかどうかは人それぞれ」、「国会で決めたこと」という傍観者的答弁を行いました。憲法及び都民の命と安全を守るべき地方自治体の長としてあるまじき姿勢であることを、きびしく申し述べておくものです。
日本共産党は、戦争法廃止の国民連合政府の樹立をめざし、各会派のみなさん、都民のみなさんが、立場の違いを越えて力を合わせることを、重ねて呼びかけるものです。
わが党は、日米新ガイドラインと安保法制のもとで、オスプレイ配備をはじめ、横田基地が日米共同の特殊部隊などを他国に送り込む拠点基地に変わりつつあり、ますます都民の命と安全をおびやかす存在となっていることを指摘し、日米地位協定の改定が急務であることを指摘しました。
都は、「他国の地位協定と比較しても、特に不利なものとはなっていない」という、国の言い分をそのまま代弁する、驚くべき答弁をしました。航空機事故や、騒音被害の増大などに国内法で対応できないからこそ、知事も参加する渉外知事会も、日米地位協定の改定を求めているのです。
ドイツやイタリアと比べて著しく不平等な協定である事実さえ認めようとしない立場は断じて許されません。
あらゆる世代に貧困が広がっているもとで、高齢者の貧困について、認識と対応をただしましたが、知事の答弁は、社会保障制度はさまざまな軽減措置がとられており、都も独自に低所得者対策を実施しているというものでした。これでは全く不十分だからこそ、貧困が広がっているのではありませんか。
また知事は、いまの社会保障制度は様々な問題を抱えており持続可能なものにつくり変える必要があると答弁しました。しかし政府が、持続可能な社会保障制度にするためとしてやっていることは、給付の切り下げと負担増の繰り返しではありませんか。これを許していたら、多くの都民の生活は、破たんし、社会が持続できなくなることは明らかです。
介護保険の改悪の撤回はもちろん、国に社会保障制度の抜本的拡充を進めさせること、そして都としても福祉を大幅に拡充することなしに、世界一の福祉都市東京の実現などできるわけがありません。
大企業や富裕層から応能負担を求めるなどの改革を進めれば、社会保障は充実できます。この問題でも国に強くもの申すべきです。都としても、幹線道路など都市インフラの新規整備を抜本的に見直すことなど、福祉の財源確保に力をつくすことを、強く求めておきます。
新国立競技場整備に対する知事の対応も問われています。
知事は、規模などが以前とほとんど変わらない国の見直し計画を追認し、整備費も都が全面協力する姿勢を示しました。しかし今定例会で知事も答弁したように、国の責任で整備すべきであり、法的制約を無視することも許されません。また帰宅困難者対策など防災機能を整備することは設置者として当然の責任であり、財政負担の理由にはなりません。圧力に屈せず、「国負担が原則」の立場をつらぬくべきです。
次に、都が4校の夜間定時制高校を廃止しようとしている問題です。
2004年に、国連の子どもの権利委員会は、東京都の夜間定時制高校閉鎖問題について懸念を表明し、都に再検討を働きかけるよう日本政府に求めました。にもかかわらず都は、夜間定時制高校を半減させました。これ以上の廃止を強引に進めることは絶対に許されません。
多様な人たちの学びたいという願いを受け止めている夜間定時制高校に光をあてて、拡充することを強く要望しておきます。
議会改革についてです。
都議会のあり方検討会が設置されましたが、5会派のみの参加で、原則非公開とされたことは、きわめて遺憾です。
都議会改革に都民が求めているのは、住民の多様な意見の反映と開かれた議会、政策立案能力の活性化、そして政務活動費や費用弁償などの透明化と無駄遣いを改めることなどです。
そのためにも一人会派をふくめ全会派が参加し、最大限公開すること、定数是正と同時に、各会派が提案しているすべての課題について十分な議論をし、結論を出すよう、改めて強く申し述べておくものです。
特に費用弁償を実費支給にする条例案については、5会派共同提案以来、3回にわたる本会議があったにもかかわらず、質疑さえ行われていません。一刻も早い公開の場での議論と、採決を重ねて呼びかけるものです。
最後に、知事が今議会もまた再質問に対し答弁に立たなかったことに一言申し述べておきます。
立場や意見が違っても、議論をつくすことこそ、都政を前に進めることにつながります。次回からは、再質問の答弁に立つよう知事に強く求め、討論を終わります。
以上