2015年第3回都議会定例会 文書質問趣意書 10月5日

尾崎あや子(北多摩第1選出)

一、利島村の害虫被害について

二、清瀬特別支援学校の給食について

 利島村の住民の方から「椿園が、害虫被害が広がり困っている。現地を見てほしい」という連絡があり、私は7月24日、利島村の椿園を実際に見て、被害の大きさを痛感してきました。7月27日には、8月中旬までに椿園への防除剤(BT剤)の一斉散布ができるように、薬剤の確保、人的支援をおこなうことを日本共産党都議団として7月27日に要望しました。
 利島村の椿園では、昨年から、害虫(トビモンオオエダシャク)が異常発生し、葉の食害を受け、山の一部が枯れ山のようになり、椿油を収穫できる実がならないなどの事態が広がっています。防除剤(BT剤)散布による駆除対策は昨年から行なわれていますが、今年は昨年を上回る発生状況であり、飲料水の水質を確保するため薬剤による駆除も限界があります。
 利島の椿油の生産は全国の6割をしめる島の基幹産業であり、椿園を守ることは、村の死活的緊急要望となっています。2年にわたって食害を受けた木は枯れてしまう可能性もあるとの樹木医の見解もあります。また、苗木から油が収穫できるようになるまでに成長させるには、30年前後かかると言われています。
 この虫は、8月中旬ごろまでは幼虫として椿の葉を食べるとともに、8月中旬頃には土の中でさなぎになり来春に羽化、4月中旬から産卵するため、その成長周期にあった適切な対策を行なう必要があります。住民からは「このような状況では、大雨があった場合土砂崩れになるおそれもある」「椿の生産に大きな影響が出てしまうのではないか」などの 声もありました。そこで、いくつかの質問をいたします。

Q1 東京都島しょ農林水産総合センターは、過去に椿を食害するエダシャク類の大被害があったことから、毎年、エダシャク類の幼虫の採取などをおこない発生状況を調べているのではないですか。その調査結果では、最近5年間の状況はどのようになっていたのですか。

回答1 利島村におけるエダシャク類の発生状況は、平成23年度に増加が認められ、平成24年度は同程度で推移しましたが、平成25年度以降は増加傾向につばきあり、平成26年度からは一部地域を除き村の全域の椿林で発生を確認しています。

Q2 2013年の調査によれば、「トビモンオオエダシャクがここ数年増加傾向にあり、来春の調査後に一部エリアのエダシャク類に対する防除が必要になる可能性がある」と警告されています。この警告を受けて2013年度以降、利島村について、都はどのような対応をしてきましたか。年度ごとに、具体的にお答えください。

回答2 平成25年度のエダシャク類の幼虫発生状況調査の結果を受け、都では、平成26年度以降、利島村と連携して幼虫発生状況の確認を行うとともに、利島村が薬剤散布を実施する場合の経費の一部補助や散布方法などの技術的な助言、指導を行っています。

Q3 日本共産党都議団は7月27日に都に申し入れを行いました。利島村長・議長は7月30日、都の総務局・環境局・産業労働局・福祉保健局に要望しました。東京都は9月2日、環境局長や産業労働局農林水産部長らが利島村に行かれたことも聞いています。椿園の被害状況についての認識と7月以降の対応について伺います。

回答3 利島村においては、椿林の病害虫による被害が発生していることは認 識しています。都は、これまでも利島村が薬剤散布を実施する場合の薬剤購入費、散布に要する労務費等の経費について、2分の1以内の補助率で、財政支援を行ってきました。今回の被害発生を受け、病害虫防除に関する専門家と庁内関係部署等によって構成する対策会議を既に設置し、平成27年10月21日に開催しました。

Q4 害虫生態・駆除に詳しい専門家や樹木医、生産者、村、都による対策チームを設置して、現地調査を強化し、今回の異常発生の原因究明をするとともに、無農薬の椿油のブランドにふさわしい適切な防除対策を抜本的に強化することを求めますが、いかがですか。

回答4 利島村における椿林の病害虫被害の実態については、既に現地機関が 現地調査を行っています。都は、既に開催した対策会議において、病害虫発生の原因究明や効果的な防除方法の検討を開始しました。

Q5 薬剤散布によって「雨水のろ過」方式による飲料水の水質確保に影響を受ける可能性がある地域については、どうするのですか。

回答5 椿林の病害虫防除として、利島村では、薬剤散布を実施していますが、その散布の範囲は、村が総合的に判断しています。

Q6 食害を受けた椿については枯れないように、樹木医などの専門家の協力を得て、対策を強化する必要がありますが、いかがですか。

回答6 森林病害虫の化学生態学的研究、管理及び防除の専門家などによって構成される対策会議において、効率的な防除方法を総合的に判断することとしています。

Q7 害虫被害を受けた生産者には、自然災害に準じて見舞金などの支給や、無利子融資をはじめとした経済的支援をおこなうことを求めますが、いかがですか。

回答7 都では、農業経営で運転資金等を必要とする農業者に対して、民間融資機関による農業近代化資金の融資利率の一部を利子補給することにより、低利での融資が受けられるよう支援しています。

Q8 異常気象などによる被災が各地で増加しており、地球温暖化対応への施策が求められています。都内でも、最近、雪害、ひょう被害などがありました。気象災害による被害に対しては、農業共済制度による補償や農業近代化資金による貸し付けや、被害状況によっては国と連携した補助事業等が行われます。しかし、加入していない方も少なくありません。今回の椿被害に対応する制度はありません。農林水産業を維持、振興する上で、地球温暖化に起因する気象災害等による農業被害への対応は重要であると思いますがどのように認識していますか。

回答8 気象災害等により被害を受けた農業者の経営安定を図ることは重要であることから、都は、気象災害等により農業者が受けた損失を補填する「農業共済事業」を行う団体に対して、事業費の補助等を行っています。

二、清瀬特別支援学校の給食について

 清瀬特別支援学校の給食室・厨房の改修が始まったことは、児童・生徒増への対応とともに形態食も提供してほしいという保護者の要望に応えるもので歓迎するものです。しかし、厨房の改修にともない9月より子どもたちに給食が提供できず、かわりに民間事業者による「業者弁当」または各家庭からの「弁当の持参」で対応となっています。このことについて私は、ある保護者の方から相談を受けました。この方はこれまで国の就学奨励事業により1か月5千円の給食費が全額支給され、自己負担はありませんでした。ところが、今回の改修にあたり、業者弁当の月8千円の弁当代は全額自己負担になるといわれて困っているという相談でした。業者弁当は学校給食にはあたらず就学奨励費の対象にならないことで、しかもそのことは、工事が始まる直前の7月の説明で初めて知らされたそうです。その方は「一人親なので、給食があることで助かっていた。障害児をかかえながら毎日お弁当を作るのはむずかしく、かといってがんばって働いても収入が少なく、月8千円の自己負担は苦しいです」とおっしゃっています。
 学校給食法では、学校給食を「児童及び生徒の心身の健全な発達に資するものであり、かつ児童及び生徒の食に関する正しい理解と適切な判断力を養う上で重要な役割を果たすもの」と、その目的を明確にしています。
 学校給食は子どもたちに欠かせないものです。また、就学奨励事業は、通常の小中高生と比べても、就学により多くの困難をともなう障害のある子どもが、特別支援学校に通うにあたり、保護者が負担する経費の一部を支給するもので、保護者の負担を軽減することにより、特別支援教育を普及奨励し、教育の機会均等を実現することを目的にしています。
 教育の機会均等を求める立場で、いくつか質問をします。

Q1 清瀬特別支援学校の給食室・厨房の改修工事の期間はいっからいつまでですか。

回答1 都立清瀬特別支援学校の厨房改修工事は、平成27年6月26日に工事請負契約を締結し、平成28年2月29日までが工期となっています。

Q2 清瀬特別支援学校で、就学奨励事業で給食費の全額が補助される児童・生徒は何人いますか。また、半額が補助されるのは何人でしょうか。それらは全児童生徒数の何割にあたりますか。

回答2 都立清瀬特別支i援学校における平成27年5月1日現在の在籍児童・生徒数は、343人です。そのうち、今年度これまでに就学奨励事業で給食費の全額を補助した児童・生徒数は213人で、在i籍児童・生徒数に占める割合は62.1パーセントです。また、半額を補助した児童・生徒数は70人で、在籍児童・生徒数に占める割合は20.4パーセントです。

Q3 都立特別支援学校の給食室の厨房改修は、通常はどのように行うのですか。

回答3 特別支援学校の厨房施設を改修する場合は、長期休業期間等を活用して改修工事を行うなど、できる限り給食を停止する期間が生じないように努めています。

Q4 障害児への教育を普及奨励し、教育環境を整え、教育の機会均等を保障する立場に立てば、都の工事によって、保護者や子どもたちの負担増・不利益が発生することは避けるべきと考えますが、都の認識を伺います。

回答4 特別支援学校においては、特別支援学校給食実施基準に合致し、学校給食衛生管理基準を満たす安全で安心な給食を提供する必要があります。そのため都教育委員会は、児童・生徒数や必要な配慮に対応した、よりきめ細かな給食の提供ができるよう、計画的に厨房施設の改修を行い、教育環境の整備を図っています。また、校地面積や工事規模などの制限により、仮設の厨房施設を設置できない場合は、他の都立学校の厨房で作った給食を運搬する方法や、外部調理委託を検討するなど、代替調理施設の確保に努めています。それでもやむを得ず給食を提供できない期間が生じる場合は、児童・生徒、保護者に対し、厨房改修の必要性とその間必要となる対応等にっいて、十分な説明を行った上で、適切に対応しています。

Q5 今からでも、保護者負担の軽減を講じていただきたいと思いますが、いかがですか。国の就学奨励事業の対象外になるというのであれば、工事期間中だけ、都独自の対応をすることも必要ではありませんか。

回答5 国の就学奨励事業における学校給食費は、学校給食の実施に際して掛かる経費のうち、食材費等の保護者が負担する費用を対象に支給するものであり、学校給食を実施しない場合は、支給することはできません。都教育委員会は、これまでも学校給食が実施できない場合は、就学奨励制度において支給対象とならないことについて、保護者に理解を得るため、事前に十分な説明を行っています。

Q6 今後、他の特別支援学校で施設改築、改修を行う場合も、このような保護者への負担押し付けは避け給食を継続して提供できるような工事方法をとるか、どうしてもやむを得ず給食を休止する期間が生じる場合は、保護者の負担増とならない対策をとるよう求めますが、いかがですか。

回答6 特別支援学校の厨房施設を改修する場合は、長期休業期間等を活用して改修工事を行うなど、できる限り給食を停止する期間が生じないように努めてきました。厨房施設の改修に当たり、工事期間の設定や代替調理施設の確保が極めて困難であり、やむを得ず給食の提供を休止せざるを得ない場合は、今後とも、事前に児童・生徒、保護者に対し、改修の効果とともに必要な対応等について十分に説明を行った上で、適切に対応していきます。