2015年12月10日
和泉なおみ(葛飾区選出)
東京都心身障害者福祉手当に関する条例の一部を改正する条例の提出理由を説明いたします。
この条例に基づく障害者福祉手当の制度は、1974年に開始されました。都内に住む身体障害者、知的障害者に月15,500円の手当が支給されています。実施主体は市町村ですが、都が手当の全額を出しています。65歳以上の方が新たに申請することはできない制度になっていますが、65歳になる前に申請した方は65歳になっても引き続き受け取れることができます。
今回の条例改正案は、この条例に基づいて支給されている福祉手当を精神障害者にも支給するとともに、六十五歳以上の新規申請も再開するもので、内容の拡充に伴って条例の名称も東京都障害者福祉手当に改めるというものです。
知的・身体・精神の3障害の一元化が、法律で明確にされて10年たった今でも、精神障害者は、身体、知的障害者に比べて経済的支援や交通費割引がない、または少ないなどの格差があり、本条例においても、愛の手帳1度から3度までの知的障害、身体障害手帳1級と2級の身体障害、脳性まひまたは進行性筋萎縮症のある人となっていて、精神障害は対象とされていません。
その是正が、精神障害者や家族団体から長年にわたって要望されてきました。条例改正は当事者の要望にこたえるものです。
障害者差別解消法も来年4月から施行されます。障害のある人に対する不当な差別的扱いや、合理的配慮をしないことは、障害がある人もない人も共に生きる社会をめざすこの法律に違反することになります。
2013年度に都が行った調査「障害者の生活実態」では、精神障害者で「収入なし」という方は、25.3%にのぼり、2008年度の19.5%と比べて増えています。経済状態は他の障害でも大変ですが、収入のない方は身体障害者7.1%、知的障害者6.9%であり、精神障害者で高い理由の一つが福祉手当の対象外となっていることです。
また、同じ調査で精神障害者が「社会参加する上で妨げになっていること」で一番多いのは「経済的理由」で31.8%にのぼり、2008年度の24.6%と比べても高まっています。
このように精神障害者が経済的に困難を抱えている中で、障害者福祉手当が精神障害者を対象外としていることは、合理的配慮を欠くものであると考えます。この点が今回提案する条例案の最大の目的です。
同時に、年齢による差別を解消することも切実な要望です。障害の重さや経済状態が同じでも、障害者になった年齢が65歳以上だということだけで、対象になっていないということは合理性がありません。
条例改正による財政負担は、推計ですが、精神障害者への支給で34億円、65歳以上の新規認定で41億円、であわせると約75億円です。
2020年のパラリンピックに向けて、東京都は心のバリアフリーを都民に呼びかけています。自らの障害者施策において不十分な点は、当然見直しが図られるべきですし、障害者に平等な支援を行うことは、委員の皆さんにもご賛同いただけるものと考えています。ぜひ活発にご審議をいただき、東京都の障害者福祉をより一層前進させるために可決していただくことを心から訴えて、提出理由の説明を終わります。