大島よしえ(足立区選出)
日本共産党都議団を代表して、第184号議案「行政不服審査法施行条例」ほか26議案に反対、わが党提出の第18号議案及び第19号議案に賛成の立場から討論します。
第184号議案は、国が行政不服審査法の「不服申し立て」制度の柱の一つである「異議申し立て」を廃止し、審査請求に一元化するという改悪をしたもとで、都が行政不服審査会を設置するための条例です。しかも、行政不服審査会は、知事付属機関であり、審査会の委員も知事任命であることから、審理の公平性、中立性が担保されないことから反対するものです。
次に、追加日程に予定されている第278号議案についてです。この議案は、都教委が卒業式などにおける君が代斉唱時の不起立に対する懲戒処分を理由として、教員の再雇用を拒否したことは、違法だとする賠償請求に対し、地裁、高裁とも「君が代斉唱」の職務命令が、思想及び良心の自由についての間接的な制約になることは否定できないなどの理由をあげ、「裁量権の逸脱・濫用にあたり違法である」とし、都に5370万円の賠償を命じたことを不服として、上告するというものです。
裁判では、都教委の主張はことごとく否定されているのです。都が行うべきは、都民の税金を使って道理のない裁判を行うのではなく、違法な処分を受けた職員に賠償金を支払い、謝罪と名誉回復・権利回復を行うこと、そして、10・23通達を撤回し、学校現場の自由で闊達な教育を保障することだということを、強く申し述べておくものです
今定例会では、舛添知事が国言いなりに、新国立競技場整備費の4分の1、当面、448億円を負担することの是非が問われました。質疑を通じて、都が負担する根拠はなく、負担する必要はないことが浮き彫りになりました。
そもそも住民の利益などを理由に国立施設の整備費を自治体が負担した例を、都は示すことができませんでした。しかも「8万人相当の備蓄倉庫」整備を負担の根拠の一つにあげましたが、施設利用者や従業員分のために備蓄することは設置者の当然の責務であり、負担の根拠とはならないものです。根拠も前例もない負担をごり押しすることは許されません。
負担を合法化するために新たな法整備をするといいましたが、その中身は国への白紙委任で、都による負担を義務化するばかりか、改修や維持管理費まで負担を拡大しかねない危険があり、全国的にも地方負担の先例になるという重大な問題をも含むものです。これでは、都民の納得はとうてい得られるものではありません。新国立競技場整備費まで都が負担することは中止すべきです。
わが党は、アベノミクスのもとで、大企業が空前の収益を上げる一方、国民の暮らしも営業も厳しさにさらされているばかりか、社会保障の切捨てや、雇用条件の改悪などにより、ますます暮らしを困難に追い込まれようとしていることを示し、都民生活を苦しめる政策の是正を国に厳しく迫るよう求めました。
これに対し知事が、政策の是正を迫る考えはないと答弁し、都民の暮らしの困難に寄り添う姿勢を示さなかったことは、都民の願いに背を向けるものといわなければなりません。
また、知事は社会保障財源の拡充を理由に、消費税増税は避けて通れないと答弁しました。しかし、消費税創設以来、昨年までの26年で、その税収は282兆円になる一方、ほぼ同じ時期に法人3税は254兆円、所得税なども248兆円も減ったのです。消費税は、大企業・富裕層への減税の穴埋めに消え、社会保障の拡充には、使われなかったのです。しかも国は今後3年間で、社会保障の自然増を年間3000億円〜5000億円削減する計画を進める一方で、300兆円もの内部留保を積み上げている大企業にはさらなる減税をおこなおうとしているのです。
10%への増税に伴う「軽減税率」を実施するといっても、4兆4千億円の大増税となり、1家族あたり年4万円以上の負担増となります。さらに「軽減税率」の財源を確保するために「4000億円の低所得者対策」を取りやめるというのでは、何のための「軽減税率」か説明もつきません。
消費税10%への引き上げは中止以外ないことを重ねて申し述べておくものです。
次に、CV22オスプレイの配備についてです。都は輸送基地としての役割は変わらないと強弁しましたが、ごまかしです。CV22が行う対テロ作戦は、海外の要人などを拉致し、殺害したりするものです。そのために、CV22は特殊装置をつけ、暗闇の中でも渓谷などを地形に沿って低空飛行し、他国の奥深くまで潜入します。ですからCV22のパイロットなども含めて、特殊部隊のメンバーであり、環境レビューにはその司令部をつくることまで書き込んであるのです。
CV22オスプレイ及び特殊部隊が横田基地に配備されれば、首都東京での報復テロなどの危険が高まることは明白です。沖縄県の翁長知事は、辺野古への新基地建設の暴挙に真っ向から反対し、地方自治と民主主義を掲げて闘っています。知事、この姿勢に学び、都民の安全と平和を守るために毅然と声を上げるべきであります。
最後に、わが党提案の2つの条例についてです。「心身障害者福祉手当を改正する条例」は、障害者福祉手当を精神障害者にも支給するとともに、65歳以上の新規申請も再開するもので、精神障害者や家族団体から長年にわたって要望されてきたものです。
来年4月からは、障害者差別解消法も施行されます。精神障害者の除外や65歳以上の新規申請を認めない現状を放置し続けることは許されません。
本条例を成立させ、差別のない東京をつくる一歩とすることを強く呼びかけます。
「東京都議会議員の期末手当の特例に関する条例」は、職員の給与に連動して議員の期末手当を引き上げるものであり、都民の暮らしの困難さが増大している中で、都民の理解を得られないことから、支給規定割合を据え置くものです。この条例は、都議会生活者ネットワーク及び、東京みんなの改革との共同提案です。議員各位のご賛同を心から呼びかけまして、討論を終わります。
以上