2016年第1回定例会 文書質問趣意書 3月23日

吉田 信夫(杉並区選出)

一、新宿区霞ヶ丘町付近土地区画整理事業について

 東京都都市整備局は、昨年12月15日、「(仮称)新宿区霞ヶ丘町付近土地区画整理事業の実施について」を発表しましたが、この事業について不可解な点がありますので、以下伺います。
問い1 本区画整理事業について、都市整備局は事業目的の一つとして「歩行者ネットワークの一環となる空間を確保」をあげていますが、具体的にどのような換地を計画しているのですが。外苑ハウスが所有する通路部分の土地を歩行者ネットワークの空間としようとするのですか。

回答 平成25年6月に策定した神宮外苑地区地区計画の方針において、スポーツクラスターとして、集客力の高い、にぎわいと活力あるまちへの再生を図ることとしています。
 土地区画整理事業は、この地区計画の方針に基づき、歩行者ネットワークの一環となる空間を確保することなどを目的として実施するものであり、具体的な換地については、今後、外苑ハウスの通路部分の土地を含め検討を進める予定です。

問い2外苑ハウスの通路部分は、日本体育協会などが新会館を建設する計画であることが今年2月の住民説明会で示されました。都は、この計画を承知していたのですか。この計画は、日本体育協会からいつ都に伝えられたのですか。

回答 平成27年12月22日、日本体育協会から都に対し、岸記念体育会館の神宮外苑地区への移転要望が出されました。
 平成25年6月に都が策定した神宮外苑地区地区計画の方針に沿ったものであり、都は平成28年1月7日、同協会が検討を進めることを了承しました。
 住民説明会で示された計画に係る図面等は、平成28年2月18日に、都に提出されました。

問い3 区画整理事業案を公表した昨年12月15日は、東京都都市整備局が日本体育協会などが所有する岸体育会館の敷地を代々木公園の優先整備区域に指定したことを公表した日でもあります。優先整備区域に指定することは、都が岸体育会館にたいし事実上立退き、買収の意思を示したものと判断されます。この区域指定は、いつ決定されたのですか。区画整理事業案発表の時点で、日本体育協会の新館建設計画は承知していたと考え2られます。いかがですか。

回答 現在の岸記念体育会館の敷地について、東京2020大会におけるハンドボールなどの競技会場となる国立代々木競技場に近接することから、大会運営に活用できるよう公園の早期事業化を図るため、都は、平成27年12月1日、優先整備区域に設定しました。
 また、同月15日、神宮外苑地区の将来像を実現するために必要な歩行者ネットワークの確保などを行うため、新宿区霞ヶ丘町付近における土地区画整理事業の実施を公表しました。
 同月22日、日本体育協会から都に対し、岸記念体育会館の神宮外苑地区への移転要望が出されました。
 平成25年6月に都が策定した神宮外苑地区地区計画の方針に沿ったものであり、都は平成28年1月7日、同協会が検討を進めることを了承しました。

問い4 区画整理事業のもう一つの目的に、「都市公園用地の確保」がありますが、都営霞ヶ丘アパートを廃止し明治公園とすることは、区画整理事業を行わなくても可能です。「都市公園用地の確保」とは具体的に何ですか。
 また、区画整理地域内の都立明治公園・通称こもれびテラスは廃止するとの説明をうけていますが、なぜ廃止するのですか。
 歩行者ネットワークの確保が目的であっても、公園を廃止する理由にならないと思いますが、いかがですか。

回答 都は、平成25年6月に神宮外苑地区地区計画の決定に合わせて、公園区域を再編し、バリアフリーに対応した歩行者動線やたまり空間の確保等を図るため、東京都市計画公園明治公園の変更を行いました。
 霞ヶ丘町付近における土地区画整理事業では、都市計画公園の区域に追加された都営霞ヶ丘アパート敷地の部分を、東京都立明治公園のための一部用地として確保することとしています。
 こもれびテラスの区域については、この公園区域の再編により廃止することとしています。

問い5 日本体育協会などがおこなった2月の新会館建設説明会で配布した資料では、こもれびテラスも新会館建設の計画地として計画線の中に入っています。この計画は都も承知しているのですか。なぜこうした計画になっているのですか。こもれびテラスの土地を日本体育協会などに譲渡する計画なのですか。

回答 こもれびテラスの区域は、公園区域の再編により廃止することとしています。
 平成27年12月22日、日本体育協会から都に対し、岸記念体育会館の神宮外苑地区への移転要望が出されました。
 都は平成28年1月7日、こもれびテラスを含む区域を同協会に示し、移転の検討を進めることを了承しました。
 この土地の取扱いについては、都の条例、規則等に定められた手続に基づき、今後、適切に対応することとしています。

問い6 都市整備局が、岸体育会館の土地を代々木公園の優先整備区域に昨年12月に急きょ指定したことも不可解です。2011年12月に改定した「都市計画公園・緑地の整備方針」は2020年までの10年間の整備対象公園を示したものですが、代々木公園の拡張はまったく記されていません。また、「整備方針」改定から4年が経過しますが、追加の指定もありません。それがなぜ、昨年12月、この地域だけを優先整備区域に急きょ指定したのですか。その理由を明らかにしてください。

回答 平成25年9月に東京2020大会の開催が決定されました。
 この競技大会において、ハンドボールなどの競技会場となる国立代々木競技場に近接する岸記念体育会館の敷地を含む街区について、都は、平成27年12月1日、大会運営に活用できるよう公園の早期事業化を図るため、優先整備区域に設定しました。

問い7 指定に先立ち、日本体育協会側から都市整備局にたいする相談や要請などの経過及び都の対応について時期を含め明らかにしてください。

回答 都は、平成27年12月1日に優先整備区域を設定しました。
 同月22目、日本体育協会から都に対し、岸記念体育会館の神宮外苑地区への移転要望が出されました。
 この要望を受け、都は平成28年1月7日、同協会が検討を進めることを了承しました。

二、西武新宿線連続立体交差事業について

 都内の鉄道各線で連続立体交差事業がすすめられるもとで、西武新宿線では一部区間をのぞき全体として事業化がおくれていました。東京都は、西武新宿線野方−井荻間、井荻−東伏見間について、今年度中に社会資本総合整備計画に位置づけると発表しましたが、多くの住民は、今後どのように事業が進むのか注目し、また事業化による地域への影響について情報を求めており、以下伺います。

問い1 そもそも、西武新宿線の両区間について社会資本総合整備計画に位置づけるとは、どのようなことで、連続立体交差事業のうえでどのような段階なのか、今後のスケジュール及び事業化まで何年程度を要するのか明らかにしてください。

回答 社会資本総合整備計画に位置付けることにより、国の交付金を活用して事業を実施することが出来るようになります。
 西武新宿線の両区間を事業化するため本計画に位置付けた段階であり、現時点で具体的なスケジュールは定まっていません。

問い2 連続立体交差事業にあたっては、地元区及び駅周辺地域にどのような努力が課されるのでしょうか。駅前広場やアクセス道路の整備が求められていますが、こうした整備が求められると、周辺の商店や住宅への影響が懸念されますが、いかがですか。

回答 連続立体交差事業とあわせ、地元区が駅前広場や関連する街路など、まちづくりに着実に取り組むことが、道路と鉄道の交通結節機能の強化や沿線地域の利便性と安全性の向上など、本事業の効果を高めるために重要です。
 今後、連続立体交差事業と一体的な沿線まちづくりの実現に向け、沿線区と連携していきます。

問い3 周辺住民にとって最大の関心事は、構造が地下構造か高架構造かにあります。連続立体交差事業の工程表では、社会資本総合整備計画の位置づけのあとは、「比較設計」を行い、その後「都市計画素案の作成」となっています。
構造案を比較検討するうえでの主な判断要素とはどのようなことですか。また、構造案、都市計画素案は、どのように決定するのですか。住民の意見はどのように反映され、留意されるのですか。

回答 鉄道の構造形式の選定に当たっては、地形的条件、踏切の除却数などの計画的条件、事業費などの事業的条件の3つの条件から、高架式や地下式などの案について比較検討を行っています。
 構造形式のほか、都市計画として定める区間や区域等にっいて検討した上で、都市計画素案を作成しています。
 作成した素案について説明会を実施した後、都市計画法の手続に基づき、都市計画案の縦覧を行うとともに、意見書の提出の機会を設け、都市計画審議会の議を経て、都市計画を決定しています。

問い4 事業費は、国47%、都27%、区が約11%と伝えられていますが、区にとって軽い負担ではありません。これまでの連続立体交差事業の実績では、高架構造と地下構造のそれぞれについて、1キロメートル当たり平均事業費はどの程度でしたか。区の負担にたいし、東京都都市計画交付金の活用など、都としての支援はどうなっていますか。

回答 高架式と地下式の事業費については、平成27年度に施行中の連続立体交差事業の事例では、平均で、1キロメートルあたり、高架式が約220億円、地下式が約330億円となっています。また、区の負担金への支援については、連続立体交差事業における区の負担金額の一定割合を特別区都市計画交付金の交付対象としています。

三、島嶼地域にたいするオリンピック・パラリンピックの取組について

 島嶼地域の町村にたいする2020年オリンピック・パラリンピック東京大会にむけた東京都の取組について伺います。
オリンピック・パラリンピック東京大会は、都民の理解と協力のもとで開催されるとともに、大会を機に、都民のスポーツ参加の促進や、地域の生活・環境の向上、観光をはじめ地域産業の発展に資するものであるべきと思います。
問い1 しかし島嶼地域は、地理的制約から、オリンピック・パラリンピックの競技は予定されておらず、事前キャンプの誘致も困難という状況にあります。そうした島嶼地域でも、オリンピック・パラリンピックを開催都市の一員として積極的に取組めるよう、東京都の特別の支援や配慮が求められていると思いますが、いかがですか。

回答 オリンピック・パラリンピックに向けて、都内全域で開催気運を醸成するとともに、大会後にスポーツ振興などの地域レガシーを残すためには、都民に身近な区市町村での主体的な取組が重要です。
 このため、都では、平成27年度から、区市町村が東京2020大会の開催決定を契機として主体的に実施するスポーツ振興や地域の活性化につながる事業を支援するための補助事業を行っています。
 また、市町村が地域で主体的に気運醸成等の事業を展開するため、東京自治会館を活用して、オリンピック・パラリンピックの魅力を伝える写真や映像を紹介し、島しょ町村も含め、コンテンツ等の貸出を行っていきます。
 今後、これらの取組を通じて東京2020大会に向けた島しょ町村の気運醸成等の取組を支援していきます。

問い2 島嶼地域の住民が、オリンピック・パラリンピック大会を開催都市の一員としてとらえていくうえで、聖火リレーに参加できるかどうかは重要だと思います。1964年大会では島嶼地域で聖火リレーは行われませんでしたが、多くの島民は、2020大会にはぜひ島嶼地域でも聖火リレーの実施をと願っています。こうした願いに応えるよう最大限の努力が求められていると思いますが、いかがです。

回答 聖火リレーについて、大会開催基本計画では、聖火リレーに参加したランナー、観衆、地域住民、それに関わる多くの人々がベストパフォーマンスを発揮できるようサポートし、大会に向けた気運を高めることを目標に掲げています。
 また、日本の観光名所や歴史、文化が感じられるルートを選定するとしており、組織委員会が関係機関と協力し、大会開催1年前を目途にルート決定する予定です。今後、都内のルート設定については、都内全域の盛り上がりを高めていけるよう、組織委員会と密接に連携し、検討していきます。

問い3 島民は、2020年大会を通じて、あしたばなど島嶼地域固有の農産物や魚介類などが、選手村等で使用され、大会を通じて国内外で知名度が向上し、販売促進の契機になることを願っています。そのためには、大会組織委員会が近く策定する調達基準をクリアすることが求められます。
 東京都は、東京産農産物が調達の認証を取得できるよう、取得費などの支援をしようとしていますが、財政的支援はもちろん、きめ細かな支援を求めるものです。とりわけ、系統的な情報提供が重要と思いますが、いかがですか。

回答 都は、農業者の国際認証等の取得を支援するため、平成28年度予算で農林水産振興財団に基金を設置し、コンサルタントによる助言や、取得費用と2020年までの維持経費の補助を行うとともに、認証の仕組み等に関する説明会を開催していきます。

以上