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調査結果「150億円の五輪招致経費以外の招致にかかわる税金投入は50億円以上」を発表
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10月26日の記者会見

150億円の五輪招致経費以外の招致にかかわる税金投入は50億円以上


2009年10月26日
日本共産党東京都議会議員団


 石原都政がすすめた東京オリンピック招致は失敗しましたが、オリンピック招致のために、どれだけの税金をどのように使ったのかを都民に明らかにすることは、東京都と都議会に課せられた責務です。日本共産党都議団はこの立場から情報公開条例に基づいて得た公文書のなどを分析し、石原都政の招致活動の実態を調査してきました。現時点で、都が明らかにしている招致経費150億円以外に招致にかかわっておこなった税金投入は50億円をこえる規模になることが明らかになりました。


(1)招致本部の人件費                 28億6253万円
 都は、招致経費から招致本部の人件費を除外していますが、90人からの職員を他の部局から引き抜いて、オリンピック招致活動だけに専念させてきたのです。招致本部の人件費は招致にかかわる費用として当然加えるべきものです。実際、招致委員会の人件費(都派遣職員も含め)は招致経費にくみこまれています。
 招致本部の年度ごとの人件費
06年度決算 総務費 知事本局費 2億1259万円
  青少年治安対策費 5249万円
  教育費社会教育費 1億2000万円
07年度決算 総務費東京オリンピック招致費 5億9267万円
08年度決算 青少年治安対策費 4200万円
  総務費東京オリンピック招致費 8億3008万円
09年度予算 (職員の人件費) 10億1271万円

 都の招致本部は06年(平成18年)4月からスタートしますが、職員数は各年度末時点をとると06年度末40人、07年度73人、08年度91人と増加してきました。そのため、青少年治安対策や社会教育の費用を削って流用することまで行われてきました。


(2)知事等の招致関係の海外出張経費の知事本局負担分       5647万円
 知事や特別秘書等のオリンピック招致のための海外出張経費は、招致本部と知事本局で按分しており、招致経費には招致本部負担分だけしか計上されていません。当然、知事本局負担分も招致経費としてくみいれる必要があります。

コペンハーゲン IOC総会(09年09〜10月)  
 旅費総額 3429万円 内 知事本局負担分 1097万円
ベルリンなど 世界陸上ベルリン大会(09年8月)  
 旅費総額 4416万円 内 知事本局負担分 1404万円
シンガポール アジアオリンピック評議会(09年7月)  
 旅費総額 777万円 内 知事本局負担部 532万円
ローザンヌ IOC委員へのブリーフィング(09年6月)  
 旅費総額 2500万円 内 知事本局負担分 271万円
北京 北京オリンピック(08年8月)  
 旅費総額 6554万円 内 知事本局負担分 556万円
ロンドン ロンドン調査(06年5月)  
 旅費総額 3574万円 按分で半分をロンドンとした 1787万円
 オートバイレースのためのマン島訪問も同時におこないましたが、ロンドン訪問は「東京招致にむけた戦略にいかすため」に実施されており、按分で半額とした。


(3)他局の予算でおこなった招致にかかわる宣伝物の作成やキャンペーン  6億6544万円
 招致本部や招致委員会による宣伝物の作成や宣伝活動以外にも、他局予算の流用や、他局の事業をつかって招致キャンペーンが実施されてきました。
○産業労働局 07年 商店街支援予算でフラッグを作成   1億2752万円
 産業労働局は魅力ある商店街づくりへの補助事業として「新・元気を出せ商店街事業」を実施しており、07年度予算では25億円を計上したが、この予算を流用してオリンピック招致フラッグ(2万2862枚)を作成しました。
 07年度には2013件の商店街支援イベントに補助が実施されたが(1イベント当たり47・7万円)、流用されずにイベントにまわせばイベント件数はさらに267件増やすことができました。


○水道局 08、09年度 トレインチャンネル、街頭ビジョン    2億円
 水道局は、08年度からはじめて首都圏のJRや私鉄のトレインチャンネル、街頭ビジョン等で「東京水」のコマ―シャルを放映し、そのなかでオリンピック招致のロゴマークをアップしました。都営水道の水の宣伝をわざわざ行なう意味はなく、都民が払った水道料金を使ってオリンピック招致に協力したといって過言ではありません。そのために水道局の今年度の宣伝費は2倍に急増。マスコミからも「水道収入で五輪PR」と批判されています。


○交通局 オリンピックラッピングバス広告料       2億7480万円
都営交通は、都バスをラッピングした場合、1台当たり年間60万円から400万円(路線によって金額に差が)の「広告掲出料」を徴収しています。消防団員の募集のような公共性のある広告も例外ではありません。オリンピック招致ラッピングの広告掲出料を無料とすることで、広告料収入を3億円近く失ったといわざるを得ません。


○生活文化スポーツ局 07年度
「緑の東京10年プロジェクト」テレビCM制作費      6312万円

テーマは「緑の東京10年プロジェクト」ですが、アスリートがジョギングしながら「さあ あなたも ごいっしょに」と呼びかけ、ナレーションが「そして 呼ぼう 東京 オリンピック」と招致を呼びかけたうえ、オリンピック招致のロゴマークが映されたものです。
生活文化スポーツ局では、これまで「人権週間」(毎年)や「若者の仕事探し応援」(06年)などのテレビコマーシャルをおこなってきましたが、純粋にそれだけでオリンピック招致などのよびかけはありませんでした。


(4)生活文化スポーツ局のスポーツイベント等        14億2570万円
 生活文化スポーツ局のスポーツ振興事業の一環として、「オリンピック機運の醸成」を目的に一過性のスポーツイベントが開催され、はじめて女子レスリングなどの世界大会を共催し、経費の半額を都が負担することまで行われました。
 この結果、04年度には16億円だった都のスポーツ振興予算は08年度には115億円にふくれあがりました。しかし、オリンピック、国体関連予算を除くと、伸びは12億円にすぎません(新日本スポーツ連盟東京都連盟調査)。ここに都のスポーツ振興対策がオリンピック招致のためのイベント中心主義におちいってきた姿が歴然とあらわれています。


○生活文化スポーツ局 スポーツムーブメント事業    11億5149万円

スポーツムーブメント醸成のテレビ番組の制作放送 5億9049万円
 (08年度3億7800万円、09年度2億1249万円)  
年間イベント運営委託 2億1000万円
東京レインボーウオーク 8300万円
Tokyo Snow Style in 都庁 6800万円
女子レスリング世界選手権大会の共催 1億5000万円
世界フィギア国別対抗戦の共催 5000万円

  • 「スポーツムーブメント事業」は、「オリンピックに向けてスポーツ機運を醸成」(予算説明資料)を目的に08年度からはじまったものです。
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  • 08年度と09年9月までの1年半にわたって毎週金曜日に放映されたテレビ番組「ヒーローが見た夢−この感動を東京へ」は、サブタイトルにもあるように、番組の初めと終わりで東京へのオリンピック招致をよびかけたものです。

  • 08年度に「スポーツイベント企画運営委託」を電通に行なっていますが、電通の「普及イベント事業計画案」では、目的に「2016年東京オリンピック・パラリンピック招致」、「TOKYO2016体操(仮称)の開発と普及」と明記されています。TOKYO体操は、作成、普及だけで約5300万円が使われようとしています。(08年 開発普及4300万円、09年普及1000万円)

  • 「東京レインボーウオーク」と「Tokyo Snow Style in 都庁」は、石原知事が08年12月12日の定例会見で、「東京のオリンピック・パラリンピックの招致に向けたスポーツムーブメントをいっそう盛り上げるため」として、突然開催が発表されたものです。「東京レインボーウオーク」は、報道発表資料でも「2016年オリンピック・パラリンピックの東京招致に向けたスポーツムーブメントを一層盛り上げるため」と明記されています。

  • 「東京レインボーウオーク」は、08年3月1日、首都高を4時間交通規制し7キロを5000人がウオーキング。卓球選手や野球解説者などが参加し、潮風公園で五輪招致トーク、TOKYO体操の実演なども行いました。
     主催はウオ―キング協会でありながら大半は都負担で、しかも当初の都負担は7000万円だったものが8300万円に引き上げられています。

  • 「Tokyo Snow Style in 都庁」の場合
     都心でスノースポーツを体感することを目的にして開催されたが、狭い都民広場に人工雪でジャンプ台をつくり、クオーターパイプのデモンストレーションなどを行うというもので、とうてい広く都民が体感するという趣旨にかなうものとは思えないものでした。
     主催は東京都ですが共催者全日本スキー連盟に経費の全額6800万円を分担金として都が支出しています。開示文書では、実施が起案され決定されたのは08年12月12日で、実施日の3カ月足らず前という急な決定。しかも起案文書では「予算については別途流用で対応する」と明記しているものです。

  • 都内ではこれまでも毎年度15〜18件ものスポーツ国際大会が開催されてきました。これに対し東京都は、昨年度の女子レスリング大会までは後援するだけで、財政支援は行ってきませんでした。また、08年度には東京都が名を連ねたスポーツの国際大会は17件ありましたが、女子レスリングだけを共催とし、1億5000万円を出し、他の16件は「後援」で財政支援していませんでした。なぜ女子レスリングだけ巨額の資金を提供したのか疑問がでるのは当然です。なお、オリンピック招致に名乗りをあげた福岡県も国際スポーツ大会の共催・後援をおこなってきましたが、支出した資金は大会経費の2〜3%程度にすぎません。
     (福岡県の場合 09年度 福岡国際女子テニス700万円、アジア太平洋福岡国際男子バレー745万円、福岡国際クロスカントリー745万円、福岡国際マラソン745万円)


○生活文化スポーツ局 東京大マラソンまつり       2億6424万円
07年 東京大マラソンまつり 3324万円
08年 東京大マラソンまつり 8300万円
09年 東京大マラソンまつり 1億4800万円
 都は「東京マラソン2008」及び関連イベントのコンセプトの一つとして「東京オリンピック招致機運の盛り上げ」をあげていました。また、都の「主要事業の進行状況報告書」では、「東京大マラソン祭りの実施」について、「東京オリンピックのプレイベントと位置づけ、オリンピック開催にむけて、段階的、継続的に機運の盛り上げに取り組んでいる」と明記しています。
 しかも、この大会とイベントにアジア大都市ネットワーク関係の諸都市の首長やマラソンランナーを都負担で招待しています。この招待の目的についても「今後の招致活動に資すること」をあげているのです。


○生活文化スポーツ局 オリンピック文化プログラム案作成    997万円
 オリンピック開会式における文化プログラム案を、文化評議会で作成


(5)在京大使館との情報連絡会等による招致活動           961万円
 知事本局は毎年在京大使との情報連絡会を実施しています。この連絡会をつかって東京招致への理解と協力を求めるはたらきかけを行ってきました。

08年11月27日「世代を結ぶオリンピックレガシー」をテーマにナショナルトレーニングセンターや国立代々木競技場を視察し、最後に知事主催レセムションを実施。 360万円
09年5月28日「オリンピック招致に向けて東京の魅力を世界にアピール」をテーマに、隅田川、東京湾等を視察。 350万円
09年7月16日在京アフリカ大使を招待しレストランシップで予定地を案内し東京招致への協力をよびかける。 251万円


(6)オリンピック招致を目的とした都議会議員の海外出張等      3684万円
 オリンピック招致を目的に、議員の海外調査や、IOC総会への応援ツアーなどが実施されました。
海外調査 06年にドバイ、アテネ、ドーハを4人で訪問 725万円
海外調査 06年にロンドン、フランクフルト等を5人で訪問 879万円
 いずれも目的は「東京オリンピック開催に向けた課題等調査及び招致活動」
08年2月 道府県議会への協力要請訪問 460万円
09年9月北京への招致特別委員会の委員派遣(議員7人) 620万円
 調査事項として「オリンピック・パラリンピック競技大会に係る実地調査」
09年10月コペンハーゲンへの「開催都市決定に伴う派遣」 1000万円
 (議員10人 1人約100万円で推計)  

合計額                       50億5659万円

以上


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