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申し入れ・談話

2020.08.26

9.1関東大震災朝鮮人虐殺事件追悼式典にたいする追悼文送付の再開を求める申し入れ

    

★申し入れを手渡す(左から)あぜ上三和子、原のり子、原田あきら(武市敬副知事)とや英津子、斉藤まりこ、河野ゆりえの各都議(2020.8.26)


東京都知事 小池百合子 殿

2020年8月26日
日本共産党東京都議会議員団

9.1関東大震災朝鮮人虐殺事件追悼式典にたいする追悼文送付の再開を求める申し入れ

  1923年関東大震災時、「朝鮮人が井戸に毒を入れた」「朝鮮人が暴動を起こす」などの流言飛語により、日本刀や竹やりなどで武装した自警団や、官憲が朝鮮人や中国人らを襲撃し、数千人もの命が奪われました。

 今に至るまで多くの都民がこの史実を風化させまいと懸命な努力を続けています。ところが小池知事は、1973年以来都立横網町公園で開催されてきた9.1関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典(以下「追悼式典」)への追悼文の送付を、2017年以降とりやめ、今年も記者会見で問われて送らないと表明しました。
 これは歴代知事が「多くの在日朝鮮人がいわれのない被害をうけ犠牲となったという事件は我が国の歴史の中でも稀にみる誠に痛ましい出来事」「世を越えて語り継いでいかなければなりません」として追悼文を送付してきた姿勢を覆すものです。また内閣府中央防災会議の「災害教訓の継承に関する専門調査会報告書」(2008.3)で、「今後の防災活動においても念頭に置く必要がある」と災害時の教訓の観点からも史実に向き合うことを求めていることにも背を向けるものです。

 追悼文送付の中止は史実を闇に葬り、歴史修正に手を貸す行為であり、特定の民族への差別や偏見、ヘイトスピーチを助長するものです。知事が追悼文送付を中止した年から、追悼式典の同時刻に同じ公園内の、隣接した場所で、「真実の関東大震災石原町犠牲者慰霊祭」と名乗る集会(以下、同「集会」)が開かれ、朝鮮人を貶め、傷つける差別的な演説がされるようになりました。「東京都オリンピック憲章にうたわれる人権尊重の理念の実現を目指す条例」(以下「人権条例」)が設置する審査会は、今月3日、2019年9月1日の墨田区内の集会における「犯人は不逞朝鮮人、朝鮮人コリアンだったのです」「不逞在日朝鮮人たちによって身内を殺され、家を焼かれ、財物を奪われ、女子供を強姦された多くの日本人たち」等、3つの言動が「別の集会に対して挑発的意図をもって発せられたもの」で、ヘイトスピーチにあたると認定しました。日時および自治体名から同「集会」のものと考えられます。知事による追悼文送付中止が、同「集会」のヘイトスピーチを助長したと多くの識者から指摘されていることは重大です。

 また、静穏を保ち、犠牲者の追悼と史実の継承に努めてきた追悼式典にたいし、東京都は、公園の貸し出しにあたり挑発的行為を繰り返した同「集会」と同列に「公園管理者の指示に従わなかったことにより、次年度以降、公園地の占用が許可されない場合があることに異存はありません」とする誓約書を書かせようとしました。これは追悼式典の開催を不当に制限する行為であり、撤回されたとはいえ、重大な反省が必要です。

 以上のことをふまえ、日本共産党都議団は以下の点について、知事に強く要請します。

  1. 小池知事は史実と災害教訓を後世にわたって継承するため、今年9月1日に開催される「関東大震災朝鮮人犠牲者追悼式典」に対して、追悼文の送付を再開すること。
  2. 「人権条例」審査会が認定したようなヘイトスピーチが二度と行われることのないよう、今年9月1日の横網町公園の運営に当たっては適切な措置を講じるとともに、知事はヘイトスピーチが行われることのない東京都を目指し率先して行動すること。
  3. 長年、静穏を保ち、犠牲者の追悼と史実の継承に努めてきた追悼式典の開催を不当に制限することにつながる誓約書の提出を求めることは、来年度以降も行わないこと。

以 上