本会議 藤田りょうこ都議(大田区選出)の中途議決討論
2020年第1回定例会 中途討論 3月5日
日本共産党 藤田りょうこ(大田区選出)
日本共産党都議団を代表して、知事提出の第29号議案、第59号議案および諮問第1号に反対し、その他の議案に賛成する立場から討論を行います。
第29号議案は、500億円ものスマート東京推進基金を新設する条例です。
「ソサエティー5.0の実現によりスマート東京に進化させる」ことが基金の目的、使い道だとされていますが、このように言われて意味が分かる都民はほとんどいません。
デジタル情報通信やAIなどの最先端技術を駆使して、サービスの高度化などを実現すると言いますが、それは本来、情報通信分野の民間企業の努力で進めるべきものです。
最先端技術の普及や活用を否定するものではありませんが、行政がどういう役割を担い、どういう範囲で都民の税金を使うのか、慎重な検討が必要です。そのことへの、都民的合意はつくられていません。
本会議で、知事の構想を実現しようとしたら、500億円ではとても済まないとの議論もありました。実際に、今後どれだけ総事業費がかかるかという見通しは示されていません。
そもそもソサエティー5.0というのは、日本でしか通用しない意味不明の言葉で、日本の財界が提唱し、安倍政権が旗振りをしているものです。今回の基金条例は、そこに首都東京を巻き込み、都民の税金を財界の利益のためにつぎ込む結果になる懸念があることを、指摘しておきます。
よって、わが党は、第29号議案に反対するものです。必要な事業は、毎年の予算編成で慎重な精査をへて計上することを基本とすべきです。
第59号議案は、中小企業支援に使われているイノベーション推進基金を廃止して、スマート東京推進基金に吸収するものであり反対です。
第105号議案は、新型コロナウイルス感染対策の補正予算であり賛成です。
しかし、この問題は、感染の拡大がつづいているだけでなく、安倍首相が、全国の学校の一律休校を、科学的根拠も示さず突然、要請したことにより、大混乱が生じています。都民生活への影響は深刻です。小池知事も、政府の要請に追随しました。
特別支援学校では、突然の休校でスクールバスの運行や学校の受け入れに混乱が生じています。放課等デイサービスなど、受け入れ先の体制もたいへんです。
「学校に行かせたいと連絡したが、放課後等デイサービスに行けるなら学校へは来ないで欲しいと断られた」「 障害児が休校によって受ける害も考えてほしい」などの声が保護者からあがっています。マスクも消毒用アルコールも不足している状況で、「放課後デイの人口密度は学校以上」という懸念も指摘されています。
一人ひとりの障害の特性に応じた専門的な支援を保障するため、特別支援学校の一律休校は解除すべきです。
小中学校をふくめ、突然の休校への対応を余儀なくされた保護者から、「そんなに休めない」「収入が減ってたいへん」「子どもがストレスをためてしまう」などの悲痛な声が寄せられています。
共働きやひとり親家庭の子どもの居場所の確保、学童保育の体制強化を求める声もあがっています。都は学童保育へ補助する方針を示しましたが、さらなる対策が必要です。
子どもたちの学習権をはじめ保護者の仕事と生活、あらゆる関係者の収入や営業補償の観点からも、冷静で科学的な対応が求められています。
先日の国会で文科大臣は、「設置者が学校を開くという判断をされれば、それは尊重する」と答弁しました。公立小中学校・高校においても、より現場に近い自治体が地元の実態に応じて柔軟に対応できることが必要です。一律休校のままとせず、都や区市町村が自主性を発揮するよう求めます。そのうえで現場や各自治体の判断を尊重するための体制確保や財政支援を行うよう要望します。
給食食材納入事業者や生産者をはじめ、多方面に休校による深刻な影響がおよんでいます。 わが党が緊急に行ったアンケートにも、多くの声が寄せられています。
小学校や幼稚園、保育園でお芝居をしている方は、2月後半以降で40もの公演がキャンセルとなりました。劇団員への給料保障のため雇用調整助成金だけでは赤字がふくらむと言います。
フリーランスの音楽講師の方は、指導している講演会が次々休会となり、収入がほぼゼロとなったため貯金を取り崩して生活しています。「先が見えず毎日不安でたまらない。フリーランスだと国の支援が受けられないのはおかしい」と訴えています。
ある病院では、手術室の看護師が7人必要なところ、4人しか出勤できず、予定していた手術を延期せざるを得なかった事態まで生じています。
また花屋さんは、卒業式などの中止が相次ぎ、花の需要が低迷して困り果てています。チューリップやスイートピーは去年の半分まで値崩れしました。
わが党は、こうした状況をふまえ、24項目の申し入れを知事および教育長に行いました。早急に具体化することを求めておきます。
新型コロナウイルスの検査体制の抜本的強化は、とりわけ急務です。また、飲食店もキャンセルが相次ぎ、悲鳴が上がっています。
事態が日々変化する中において、都民の命と健康を守り、生活を安定させることこそ、東京都に求められる責務です。先が見えない今だからこそ、都民の安心、安全のためのさらなる対策を検討するよう強く求め、討論を終わります